海への誘い（うみへのいざない）

夜半、風と波の音で何度も目覚めた。
風と波の音が気になって眠れない。
地の底から響いてくるような波の音。
そして、シートを激しく煽る風の音。

果たして帰れるのだろうか。
船は浜に着岸できるのだろうか。
荷物の積み込みは素早くできるか。
もし帰れなかったらどうするか。
台風は進路を変えどんどん接近してくる。
様々な思いと心配事が交錯して眠れない。
学生たちは焚き火の番をしているようだ。
おいおい、そんなに派手に燃やしたら、
風が強いからテントに火の粉が飛んで来るではないか。

テントの外に出てみると、
波も風も思っていたほど強くはない。
テントの中で寝ていると、
音響効果が激しいのである(笑)。
壁と屋根のある家が、
どれほど安心できるかを実感する。


設営した我が家も翌日には撤収することになった。