第17話 鏡夜の不本意な休日桜蘭高校ホスト部第17話 鏡夜の不本意な休日 鳳家は由緒ある公爵家の血筋だ。 財閥体制の昔より医療分野に進出、頭角を現し、現在も病院経営を核とし、ヘルスビジネス界の優とされている。 後継者を選ぶ…。 在学中の主席キープなどはお前の兄達がこなしてきたことだ。 私がもうそれくらいで満足しないことくらい分かっているはずだな。 環の凄いことを考え付いたぞという言葉を目を開ける鏡夜。 見渡す限り庶民の群れなので、ここがどこだが分からない鏡夜。 夏のクリアランスセールの文字があります。 ついさっきまで寝ていたはずではと思い起こしている鏡夜は環が何か叫んでいたことを思い出します。 なんとか展に行くとかどうとかと。 「面白そうだろ?鏡夜。貧しい庶民はたびたびこうした催し物を開いては旅行に行けないむなしさを癒しているという。各種の名産品を手にすることで、少しでも旅行気分を味わおうというわけだ。そこで我々は庶民文化を身をもって体験し、2学期からはハルヒの心情をより理解して部活に臨むというプロジェクトを立ち上げた。というわけで、さぁ行こう、すぐ行こう。ちなみにプロジェクトの目的に合わせてハルヒは不参加だから、よろしく」 1時間ほど前 鏡夜のベッドルームに集まっているホスト部メンバー。 舌打ちする鏡夜は寝起きがとても悪いのです。 夏休みに昼近くまで寝ていていいと思っているのかと鏡夜を揺り起こすホスト部メンバー(モリ先輩除く)。 「言っておくが、俺が寝たのは明け方5時だ。だいたい誰の許可を得て、他人の寝室に上がりこんでいる?」 低血圧魔王の鏡夜の目が妖しく光ります。 怯えるホスト部メンバー達。 寝起きが悪いんだねと言うハニー先輩に、お前が言うなと言うモリ先輩。 ハニー先輩は低血圧怪獣なので、寝起きが悪いがわりと早起きのようです。 「何が庶民文化だ。庶民ネタはいい加減飽きがきてるんだよ。このマンネリ人間め、行きたきゃ勝手にしろ」 かくっと眠る鏡夜。 環は低血圧魔王様のお許しが出たと、勝手に着替えさせるホスト部メンバー。 庶民デパート 眠っている鏡夜をおんぶというか、肩にもたれさせながら連れてきた環。 庶民デパートに目を輝かせているホスト部メンバー。 同じ服ばっか売ってて凄いと言う双子は大量生産だと喜んでいます。 まずはペットショップに行こうと言う環ですが、ハニー先輩は屋上でアイスを食べると言ったり、自由行動するのかと思いきや、環がっ買う会のご案内の表示を見て屋上で何かのを発見します。 鏡夜をベンチに座らせたまま、ホスト部メンバーは庶民デパートを探検しに行きました。 で、ようやく低血圧魔王様が目を覚ましたときには気づけば彼はひとりぼっちでした。 なるほどそういうわけかと今の状況を理解した鏡夜。 現在の位置は歩いて帰れる距離ではないので電話して車を回させようとする鏡夜ですが、財布・携帯共に不所持なようです。 加えて空腹な鏡夜。 うろちょろ走り回っているお子様にぶつかられます。 謝ろうとしたお子様が見上げたとき、鏡夜のメガネが怪しげに光り、怒った表情なので怯えてしまいます。 環を殺すとか言っている鏡夜に話しかけてきたハルヒに所持金がいくらなのか尋ねます。 ハルヒは鏡夜に本当にハンバーガーショップでいいのか尋ねます。 上には一応レストランがあると。 お前の手持ちが少ないんだから仕方ないだろうと答える鏡夜。 ハルヒに、環に10倍返しさせるので領収書を貰っておくように言う鏡夜。 恐怖を感じるハルヒ。 ちょっと物産展を覘こうと思っただけなのに無茶苦茶機嫌悪い鏡夜に出会ったために来なきゃ良かったと感じています。 どうやって注文するのか尋ねる鏡夜に、自分が頼みますとハルヒは何がいいか尋ねます。 返ってきた答えは量が多ければ何でもいいというものでした。 店員は鏡夜を見て、私好みとか思ってます。 店員は新商品のデザートをお勧めしますが甘いものは結構だと断る鏡夜。 店員はクールで更に私好みだと感じます。 店員は新作シェイクをお勧めしますが、鏡夜はいらないと言っていると言います。 吹雪が吹き荒れます。 固まる店員に領収書くださいと言うハルヒ。 席に着く鏡夜とハルヒ。 ハルヒはいくら機嫌が悪いからともっと言い方があるでしょうと言います。 向こうもお仕事なんだしと。 鏡夜はハンバーガーにかぶりつきながら、過剰な接客が正しいとは限らないだろうと言います。 ハンバーガーを食べている鏡夜を見ているハルヒ。 「何だ?」 「あ、いえ。意外に豪快に食べるなと思って…。もっと上品に食べるイメージがあったし、こういうのはお口には合わないのかと」 「別に口には合わないが、奢ってもらっていて文句を言う非道な人間だと?」 「いいえ」 心の中では思っているハルヒ。 「大体、こういうのは手掴みで素早く食べられるのがウリだろう?その方針に従って食べるのが美味いに決まっている。それに上品だろうが下品だろうが、ここには誰の目も気にする必要はないからな」 やっぱりお金持ちの世界ってマナーとかそういったプレッシャーがあるのかなと思うハルヒ。 「おい、言っとくがこんなところで上品ぶっても何のメリットもないということだぞ。お前に礼を尽くしても何のメリットもないだろう」 そうですよねと思うハルヒ。 鏡夜が格好良いので、隣の席はいいかと尋ねる女性3人組。 席を借りてもいいか尋ねてくる女性に眼を向けずにどうぞと言う鏡夜。 メリットがないとこんなにも無関心になれるのかと思うハルヒなのだった。 天然ホストみたいな環と全然違うのに何で仲が良いのだろうと思うハルヒ。 「何故環と仲がいいかとと聞かれれば…答えは簡単だ。利益があるからだよ。俺はそれ以外の理由で動かない。エゴイストだからな」 思考が読まれていると思うハルヒ。 「環先輩が聞いたら泣きますよ」 「泣かないさ。あいつは最初から知っている。その上で手を組んだ。光や馨、ハニー先輩やモリ先輩ですら、俺達はまず互いへの利益があってこそつるんでいる。お互いの家の関係や、そこで各人が置かれている事情とか。ま、お前の知らないことが色々とあるってことだ。ま、環の馬鹿は時々利益がなくても行動してるがな。確かに環と俺は1ミリも同じところはないな」 庶民デパート内での催し物である「ふるさと地方物産展」にやってきた鏡夜とハルヒ。 鏡夜にタクシーで帰るんじゃなかったんですかと尋ねるハルヒ。 折角だから少し見学していくと言う鏡夜。 石垣島の黒真珠を見て、上物だと判断した鏡夜はこんなところで買い手がつくのかと言います。 ハルヒは分かるんですかと感心しています。 そういう教育を受けていると答える鏡夜。 普段からある種の壁があるのは感じていたハルヒですが、鏡夜の家のこととか全然知らないですねと言います。 別にわざわざお前が知ることのことではないさと言う鏡夜に不公平じゃないですかと言うハルヒ。 「不公平?」 「だって鏡夜先輩はうちの家のことは父の仕事仲間まできちんと把握してるのに何か不公平ですよ」 「それなりに興味深い感想だ」 鏡夜の2人の兄について尋ねるハルヒ。 息子を紹介する父。 3人ともかなり優秀だが、鳳家を継ぐのは間違いなく長男だろうがとか、末っ子の鏡夜はルックスが印象的だったが、三男なのでどうあがいても当主にはなれないわねと話しているのを聞いてしまう鏡夜。 「優秀な人たちだよ。父の期待に無難に応えられるくらいにね。だから三男にはそれ以上のものが期待される」 色々大変なんですねと言うハルヒにこれ以上面白いゲームはないと思っているがと言う鏡夜。 ため息を吐くハルヒ。 高価そうな壺を見ているおばあさん。 小松匠陰の作品がこんなところで見られるなんてと言っています。 お店の方はお目が高いと言っています。 目つきが変わる鏡夜を不思議そうに見ているハルヒ。 ずっと壺を買おうか迷っているおばあさんを見ている鏡夜。 お店の方は門外不出にしていたものだと言っています。 門外不出のものが何故庶民デパートで売られるのでしょうか。 「偽物ですよ、奥様」 子どものくせにふざけるなと言うお店の人。 「確かにこの青の出し方は匠陰のものと酷似していますが、本物はもっとグラデーションの根元がくすんできますし、塗りも綺麗過ぎる」 営業妨害だと言ったり、学校名を聞きだそうとする店主。 「ああ、やっぱり底の刻印も一部のハライが違いますね。本物なら証書があるはずです。筆跡鑑定にかけましょうか?」 店のほうに置いてきたと言う店主。 「ああ、それでしたらうちは古くから小松家と交流がありますので、今すぐ連絡を取って確認させますが、よろしいですか?」 おばあさんに感謝される鏡夜。 人助けも鏡夜先輩にとっては利益なんですよねと言うハルヒ。 あのご婦人は大手電機メーカーの会長夫人だと言う鏡夜。 会うのは初めてだが、左手の指輪を見て、家と取引の多い企業だと。 呆れるハルヒ。 こんなところで鳳家の坊っちゃんに会えるなんてねと会長婦人はお宅のリゾート施設をぜひ利用させてもらうわねと言っています。 光栄ですと言う鏡夜。 鏡夜は鏡夜出しかないのかと考えるハルヒですが、自分たちのいたところから手が隠れて見えなかったことを思い出します。 「おい、ハルヒ。知ってたか?」 「何です?」 「メロンはそんなにお菓子メーカーに人気あるのか?」 コーンスナックをわざわざメロン味にしているのは、実際はメロンではないので違和感を感じるだけではないかと言う鏡夜の言葉に笑うハルヒはそれなりに興味深い感想だと言います。 笑うところかと言う鏡夜。 さっき1ミリも同じところはないと言っていたのに環みたいなことを言っていると言うハルヒ。 確かに双子や環が喜びそうだなと言う鏡夜。 買っていこうと言う鏡夜は財布とハルヒに言います。 デパートの屋上 犬に懐かれている環、アイスを食べているハニー先輩とモリ先輩、メリーゴーランドに乗っている双子。 何かが始まるので子どもたちと一緒に舞台を見ているホスト部メンバー。 笑い声と共に現れたのはれんげでした。 司会のお姉さんの仕事をしているれんげ。 ドクターなまはげに捕まってしまうれんげ。 怯える子ども達。 助けて桜蘭戦隊ホストレンジャーと叫ぶれんげ。 底に現れたのはホストレンジャーの影のリーダーと噂されるブラックでした。 これによって、ようやく鏡夜のことを思い出すハニー先輩。 ベンチに座っている鏡夜とハルヒ。 環は人助けにもきっと利益を感じると思うと言うハルヒ。 あいつはそうだろうな、俺とは違うと言う鏡夜。 鏡夜の利益とは何なのか(お金、名声、具体的に形のある実益などなのか)を尋ねるハルヒは環は自分から見ても無駄なことに利益を感じるなと思っていると思うと言います。 鏡夜と環はよく似ているとも言います。 『迷子のお呼び出しを申し上げます。東京都よりお越しの鳳鏡夜くん。迷子の鳳鏡夜くん。保護者の須王様が2Fカウンターでお待ちです。鏡夜くんは身長180cm、特徴はメガネ…』 放送に固まっているハルヒ。 鏡夜の周りではあの人じゃない?と噂になっています。 あの馬鹿殺すと怒りを露にする鏡夜をひぇ~と怯えるハルヒ。 2Fサービスカウンターの前にいるホスト部員たち。 そこに歩いていく鏡夜。 無事だったかと喜ぶ環ですが、何故一緒にハルヒがいるんだと言います。 ハルヒに遊ぼうと言うハニー先輩と双子。 もう帰ると言うハルヒは疲れたと言っています。 犬にじゃれられている環に、その犬は何だと尋ねる鏡夜。 屋上のペットショップで買ったそうです。 アントワネットと言う名がつけられたようです。 こんな馬鹿と俺のどこが似ていると言う鏡夜。 「さっきのご婦人を助けたとき、指輪を見て決めたっていうのあれ嘘ですよね?最初にあのご婦人を見かけたとき、指輪なんて見えませんでした手前に幟がかかっていましたから。よく分かりませんね。先輩がわざとエゴイストとして振舞うのはエゴイストでない以上違和感を感じます」 それなりに興味深い感想だと言う鏡夜だった。 第17話完 ジャンル別一覧
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