第21話 いつかカボチャになる日まで桜蘭高校ホスト部第21話 いつかカボチャになる日まで 月が出ている夜のことです。 馬車が1台走っていました。 「その馬車は真夜中になると、きっと南瓜になっちゃう。ただし魔法の呪文を唱えたのは魔女のおばあさんじゃない」 1年A組 次の議題に移りましょうと言っている学級委員長の相賀。 来週の企画について話し合うそうです。 書記をしているのは副委員長の倉賀野。 企画が何なのか分からないハルヒに光はハロウィンだと言います。 高等部からの特待生のハルヒに倉賀野が説明します。 校内模試の採点とかぶる10月の末日まで授業はお休みで、学院内での仮装パーティーが許可されているそうです。 更に親睦を深めるために丸1日をクラスのイベントで好きに使っていいことになっていると付け足す相賀。 大抵はお茶会とか映画上映だけどねと言う双子。 すると、甘いですわとれんげの登場。 「ハロウィン、それは夏の終わりと冬の始まりを告げる日。ハロウィン…訪れる死者や悪魔に人々は同じ姿を持って対抗する日。ハロウィン…そしてそれはやがて仮装と悪戯のお祭りになったと申します」 仮装パーティーの許可が下りなくても年中コスプレしている人がいますよと言う双子に頷くハルヒ。 れんげが着ている制服は何か尋ねるハルヒ。 れんげは来年発売予定のうきどきメモリアル2に登場する女子キャラ用の制服だと答えます。 金にものをいわせて極秘で情報を横流ししたようです。 未発表の情報を得て作ってみたのだそうです。 相賀はれんげにHRの時間なので机の上から降りるように注意します。 コスプレしてお茶会はホスト部でいつもやっていることなので、更なる刺激がなくて何がハロウィンでしょうと言うれんげはハロウィンスペシャルきもだめし大会を提案しました。 理事長にお願いして夜の校舎を開放してもらうと言うれんげ。 そして、皆で交代でお化けをやって脅かしあうのだそうです。 相賀の顔色がどんどん悪くなっていきます。 双子は夜の学校ってところが気に入ったと言います。 クラス全員やる気のようです。 相賀は1人ずつじゃ効率が悪いのでは?と言います。 時間配分も考えないといけないのでせめて3~4人ずつとも言います。 倉賀野はうんと怖いやつと言います。 途中で逃げ出した奴は臆病大臣として校内新聞の一面を飾ってもらうこと死しようと双子が言います。 これまた、クラス全員が賛成するので、相賀は冷や汗が止まりません。 多数決に異論のない人はいませんかと相賀はハルヒに標準をあわせます。 しかし、ハルヒは反対しません。 よってハロウィンスペシャルきもだめし大会に決まりました。 第3音楽室ではホスト部が営業中です。 環はヴァンパイアに仮装してます。 というか、ホスト部全員ヴァンパイアの仮装しています。 ホスト部は今日からスペシャルハロウィンウィークになるのだそうです。 お客様はヴァンパイア環にメロメロです。 1年生トリオが遅れてやってきました。 ハロウィン当日まで部活を休むのだそうです。 理由はハロウィン当日まで暮らすイベントの準備で忙しいからだそうです。 ならしょうがないと言う鏡夜。 環は何故ハルヒを連れて行くと双子に言います。 同じクラスだもんと言う光と夜の学校でスペシャル肝試しやるんだもんと言う馨。 環脳内ミッドナイト劇場が始まります。 夜の校内を歩く双子とハルヒ。 お化けに驚いたハルヒが双子に抱きつきます。 そんな如何わしい夜のイベントに本気で参加するつもりなのかとハルヒに尋ねる環。 クラスの親睦も大事ですからと言うハルヒ。 環はどんな親睦だと嘆いています。 そして、うちの子に夜遊びさせるなんてお父さんは許しませんよと言います。 「これが魔法の呪文だ、僕達はただ部活のメンバーだけど殿はハルヒを娘と呼び、そして僕達を家族とイメージしている」 第3音楽室から出て行く3人。 俺もそのイベントに混ぜろと言う環。 その時、不気味な笑い声と共に猫澤先輩が現れました。 「これは面白いことを聞きました。そうですか、ベルゼネフも楽しそうだと思いますか。底なしの恐怖をお求めなら我々黒魔術部が一役買わないわけにはいきませんね。是非とも1年生に忘れられないハロウィンをプレゼント差し上げましょう。フフフフフフ…」 予算をどうしようか考えているようです。 お化けとか凝り始めたらきりがないと言う倉賀野。 双子は庶民ルールで300円以内で、陳腐な方が面白いと言います。 れんげは気絶する人がいるかもしれないのでお医者様に待機してもらった方がいいとか言ってます。 ハルヒを手招きして呼ぶ相賀。 何と、相賀は暗所恐怖症のようです。 加えて、ホラー映画恐怖症、怪談話恐怖症、いきなりバーンと脅かされるの恐怖症、TVの恐怖映画予告恐怖症だそうです。 前フリなしに流すなんて怖がりの人権はどうなるんだと言っています。 しかも他のクラスはお茶会とかなのに、うちのクラスだけ全員一致でどうして肝試しなんだと言っています。 秋なのに意味わかんないと。 相賀に落ち着くように言うハルヒはい綾なら反対すればよかったのにと言います。 相賀はそういうのは委員長の権限を振りかざすようで嫌だったと言います。 こういうのに興味なさそうなハルヒに反対してもらおうとして、必死にサインを送っていたそうです。 相賀は1人でも異論があれば議題にできるのにと泣いています。 テレパシー能力ゼロなハルヒは気がつかなかったと謝っています。 相賀は明日は同じ班になってくれとハルヒに頼みます。 君の側にいれば平常心が伝染して落ち着いていられそうだからと。 そして付け足し小声で双子に内緒にするように言う相賀。 しかし、それを双子が聞き逃すわけがありません。 双子は面白いものを見つけたかのように笑みを浮かべます。 「「委員長って怖がりなんだ~」」 そこに倉賀野は班分け希望を聞きにやって来ます。 そして、相賀、双子、ハルヒの4人でBチームになりました。 双子は相賀に頑張ろうねと言います。 お気の毒にと思うハルヒでした。 ハロウィン当日……………の夜。 校内は飾り付けられています。 双子、相賀、ハルヒは脅かし役として隠れています。 相賀はどよ~んとしています。 双子は時計塔の魔女の話をしています。 昔、ハロウィンの日に魔女の仮装をした女生徒が時計塔から転落して、依頼ハロウィンの日にその姿を見た者は呪われてしまうと相賀に向かって言っています。 相賀は止めてくれ~と泣いて震えています。 ハルヒは双子に同じチームの人を脅かしてどうすんのと怒っています。 今は脅かし役なのにと。 双子は誰も来なくて暇なんだもんと言います。 相賀の魂が天高く上がっていこうとしますが、ハルヒが魂を捕まえて、相賀に戻します。 「大丈夫。ほら、図書室で怖い状況を切り抜ける(108の)方法って本借りといたから」 「藤岡…」 「え~と、なになに。怖い状況に直面した場合の対処法その1…」 相賀の後ろにはハルヒ作300円きもだめしグッズ!、いわゆるこんにゃくがあります。 「うんうん…」 「耐えていればいつかは終わる。その2、場を去れと10回唱える。その3、見ててても見えないふりをする」 そんなの何の解決にもなってないと泣く相賀。 臆病大臣でも何でもいいから帰らせてくれと言い出しました。 「いいのかな~?愛しの倉賀野姫に笑われても…」 また抜けかけた相賀の魂ですが、今度は1人で戻りました。 顔を赤らめる相賀。 「へぇ~、委員長って倉賀野さんのこと好きなんだ~」 単なる幼馴染で今回のこととは関係なくてと顔を真っ赤にしながら否定しています。 はいはい、分かってると言う双子。 「委員長の権限振りかざすの嫌とか言ってたけど…」 「本当は弱気なところ見せたくなくて企画に反対できなかったんだもんね」 「違う。反対できなかったのはそんなんじゃない。僕は…僕はただ…」 もじもじしている相賀。 「倉賀野さんが…倉賀野さんがきもだめし楽しみにしてるみたいだったから…」 ピュアだ、純情路線だ、苛めてはいけない国の人だ、己の穢れが浮き彫りにと言う双子。 苛めていいタイプのピュアさんは環。 なら尚更協力してやんなきゃと言う光。 「気のせいかな?今、白い影みたいなのが窓の外に…」 相賀はまた怯えます。 物音が階段からするので、階段に向かうと、髑髏が落ちてきました。 悲鳴をあげる4人。 Aチームの奴らの騙し討ちだなと言う馨。 光はルールは守れよなと髑髏を蹴ります。 すると、痛い痛い痛いと言う声と白装束の人影が現れます。 まさか時計塔の魔女!?と思う4人。 髑髏を蹴ったのはお前らかと顔をあげる白装束の人影。 白く固まり、悲鳴をあげる4人。 相賀と馨、ハルヒと光に分かれて逃げます。 そして、ハルヒはロープに引っかかり、トラップが作動し、光共々捕まってしまいます。 そのため密着してしまう2人。 相賀はどこかの教室の扉を開けます。 「ブランケン…」 ブランケンに扮したモリ先輩がいました。 相賀はまた走って逃げていきます。 また別の教室へ逃げ込みます。 「狼男~!!」 ちがう。 大きなカボチャを頭にかぶったハニー先輩がいました。 それでも怯えて逃げていく相賀。 相賀に落ち着くように言う馨。 いきなり頭上から現れる、くれ竹と門松は2人をどこかの教室に閉じ込めてしまいます。 「フフフフ…。私の恐怖作戦は完璧ですね。鏡夜くんは参加しないのですか?」 電気の消えた廊下で懐中電灯で本を読んでいる鏡夜。 「しません」 閉じ込められた馨はドアを強く叩いています。 相賀は体育座りをしています。 「畜生…閉じ込められた…」 ロープの網に捕まっているハルヒと光。 光は馨のことが心配になり、動き出します。 そのため揺れるロープの網。 ハルヒはソーイングセットのはさみでロープを切るのでじっとしているように言います。 「おぉ…ハルヒにも女の子らしいところが…」 「何だよ、そのハルヒにもってのは。口が悪いな、光は」 「お前こそ光はってのは何だよ。馨だって変わんないだろ」 「馨は1人だと割と常識人ぽいし、落ち着いてるよ。光は1人でも煩いし、非常識」 「そうかよ…」 「それじゃ、じっとしててね」 ロープを切るために体がより密着する2人。 「何?この体勢…」 「ごめん。他に身動き取れないし…。苦しいかもだけどちょっと我慢してよ」 「…イヤ…我慢ってゆーか…」 それを見ているお面を取った白装束の環は許せんと2人の元に行こうとしますが、猫澤先輩が作戦が台無しでしょうと止めています。 理科室に閉じ込められている2人。 「いくらなんでも、やり過ぎだろう、Aチーム…」 「君、どっち?」 「馨だよ。腰抜けた?」 「いや、何かもう怖すぎてどうでもよくなっちゃったよ」 「…あーあ、計画丸つぶれだよ。実はさー倉賀野姫が回ってきたら散々脅かしてさ、そこを委員長に慰めさせてやろうという心暖まるシナリオを用意してたんだ」 「いや…ありがたいんだけど本当にいいんだって。大体倉賀野さんって藤岡のファンだしさ…。藤岡は今のところ倉賀野さんに興味ないみたいだけど、そのうち両想いになるかもしれないし…」 「いや、それは神に誓って絶対にありえないから」 「どうして?」 「どうしても」 「だけど言い訳に聞こえるかもしれないけど、本当に今のところどうする気もないんだ。倉賀野さんと2人で、一緒にクラス委員もやれて楽しいしさ。当分は今の関係を壊したくないっていうかさ…」 つまりそれは委員長の馬車の魔法かと言う馨。 「確かにそういう考え方もアリだよな。このまま走り続けられれば悪くない。父とか娘とかの家族設定はきっと今の関係を壊したくないっていう殿の魔法なんだろうな」 「えっ!?」 「殿も僕らも今まで大勢の友達と遊ぶとかなかったからさ、できる限り今のままで楽しくやりたいってのは僕だってそうだし」 「ごめん。何の話?」 「でも、どうせいつかは泥沼のカボチャになっちゃう可能性が高いんだけど…」 いるのか?とドアを開けて入ってくる光。 「馨!!馨!!」 「光…」 抱き合う双子。 相賀がハルヒがいないことに気づきます。 忘れてたと言う光。 3人の元に送れて走ってくるハルヒ。 ずるいよ、網を抜けた途端に1人で走っていっちゃうんだもんと言うハルヒ。 1-Aの皆のところに戻る4人。 持ち場放棄してどこに行ってたんだよと言われます。 きもだめし切り上げて探していたと言われますが、そっちが悪さしたせいだろと言う馨。 Aチームは何もしていないと言いかけているときに倉賀野とれんげが悲鳴をあげます。 窓の外に映る白い影に驚いたと言う2人。 そして、その白い影が再び現れ、全員が悲鳴をあげます。 校内新聞の一面は悲鳴をあげた1-Aでした。 黒魔術部にしてやられたと感じるハルヒら。 よく見ると、白い影はベルゼネフです。 「聞きましたわ」 「えっ!?」 「和清くん、本当は怖がりなのにクラスのためと思って我慢してくれたんですって?」 「あ、いや…ま…ごめん」 「偉いです。私、改めて尊敬します」 「えっ!?」 「いいムードじゃん。やっぱ馬車の魔法はいつまでも続かないのかな…」 何の話と尋ねる光。 ま、あの状況で僕のところに走ってくる内はまだ大丈夫かと思う馨。 でも、光がもう1歩先に進みたいと思い始めたら、僕はどうしようかなと思う馨なのでした。 第21話完 |