コードギアス 反逆のルルーシュ STAGE22STAGE22 血染めのユフィ「行政特区日本、ユーフェミア皇女殿下には良からぬ噂があるのですが」 「神根島の件だろ。ゼロと接触していたと」 「まさかトップレベルで繋がってるのでは!?」 「それはない。問いただしたのは総督だけではないのだ」 「何れにしろ、あそことの関係は」 「断ち切るべきだ」 「遅すぎましたな。証拠は全て揃いましたよ、事務次官。NACからの利益共有」 「ダールトン将軍、感謝します。これで…これで、やっとクロヴィス殿下を喰いものにしてきた輩を掃除できます。ふふ…ユーフェミア殿下の特区抗争に慌てたネズミは予想以上に多かったですな」 「特区日本への申請は20万人を超えました。この様子だとまだまだ増えますね」 「あなたのお陰です」 「は?」 「あなたという日本人の代表がいるからこそ、皆さんはここを信じられるんですね」 「…いいえ。皇女殿下自らの宣言があったからでしょう。感謝しています、本当に」 「私の方こそ…。これからも色々と助けて下さいね」 「イエス、ユア…」 「ん?」 「…はい」 『ブリタニア初の試みとなるこの行政特区日本はユーフェミア皇女殿下自らのご発案とのことで、その斬新な発想は殿下が先日まで学生であったことと無関係ではないようです』 「ユーフェミア様が言うことなんだから、私には…」 『明日の式典は全世界に中継される予定です』 「大したものだね、ユフィは。これでエリア11のテロ組織は民衆の指示を失い打開する。治安も安定するよ」 「個人的には反対です」 「でも、君だって解っているからこそ、ダールトンを補佐につけたんだろ?」 「公の政策を起動に乗せる…。総督として当然の処置です」 「ふーん…ユフィの今後を受け入れたのも公の立場としてかな?」 「…」 「特区日本…悪い話ではない」 「与えられた日本に果たして価値がありましょうか」 「今回の譲歩を引き出したのは我らの抵抗活動の成果だ。恥じることはない」 桐原公。あなたはサクラダイト採掘にからんで特区での地位を約束されていると聞きましたが?」 「勘ぐるではない。式典参加の要請だけ…」 「上手い言い抜けを」 「…主ら」 「ゼロは?…黒の騎士団はどうなりましょう」 「事態は深刻だ。支持者だけではない。団員の中からも特区に参加する人間が出てきている」 「黒の騎士団と違って特区日本にはリスクがありませんしね」 「それに由緒正しいお姫様と正体不明の仮面の男じゃ、どうみてもあっちの方が良さげだし」 「キョウトも向こうに協力するって話だ」 「何だよ、そりゃ!!」 「平等って言われちゃあな」 「平等なんて口だけで信用できないって!!」 「賛成。でも今は、早急に対応と決めないと」 『特区に参加したいって?』 『あそこならブリタニアとかイレヴンとかいう縛りは関係ないし』 「…なぁ、ユーフェミアの提案通り、黒の騎士団ごと参加するわけにはいかないかな?」 「だから、ブリタニアの約束は」 「ゼロが言っていることと特区に参加することは矛盾しないだろ?」 「でも、それは…」 「まず、平和という名目で武装は解除させられるな」 「そりゃ困ったわ~」 「我々は体制に取り込まれ、独立は失われる」 「しかし、参加しなければ自由と平等の敵となる」 「だったら、まず参加して」 「何の保障もなくですか? 「でも、無視はできない!!」 「悪いな、寄り道してもらって」 「買出しに付き合ってもらってし、シャーリーと待ち合わせって聞いたらさ」 「どうせ向こうも買出しだろ。行政特区が始まるからって騒ぎすぎなんだよ」 「はいはい。それより早くシャーリーと仲直りしてくんないと」 「何が行政特区だ、何が援助だ!!署名などするものか!!」 日本人を杖で叩いている貴族。 「あーらら、貴族さんかしら?」 「もう平等になった気か?下の者はおとなしく上に従っておればいいのだ」 「確かに、それが副総督の博愛。その正体だ」 「何だ!?お前は」 「そうやって上から見下ろすのは、さぞや良い気分だろうな」 「そこまでだ学生、下がっていろ」 ギアスを発動させるルルーシュ。 「君こそ早く家に帰りたまえ」 「…うん、そうだな。では、私はこれで」 「は?…お、おい、何を言っておる。戻らんか、こら」 「どうした貴族さん。借り物の力を自らの能力と勘違いする。貴様のようなクズは人知れず死んで…!!」 「まぁまぁ、この辺にしとけって。おっさんも一言ぐらい謝ったら?」 「無礼者!!ワシは」 「失せろ!!」 「…ふん」 「あ、ありがとうございます」 《イレヴンを助けた…ゼロなのに。いえ、ゼロだから?…だったらどうしてユーフェミア様と一緒に…!?…駄目、深入りしたら危ないかも》 「ただいま」 「お帰りなさい、お兄様。シャーリーさんは?」 「いや、結局来なかったんだよ。連絡も取れないし」 「ちょっとした仕返しかも。最近冷たかったみたいですから」 「そうかな、反省するよ。あぁ、咲世子さん、お茶を入れてくれないか?」 「はい、かしこまりました」 「…何か心配事でもあるんですか?」 「え?」 「ユフィ姉様のこと?また会いたいなんて我侭は言いません。お兄様とユフィ姉さまに迷惑がかかりますもの」 「…ユフィのこと好きか?」 「えぇ、お兄様だって好きでしょ?」 「あぁ…好きだったよ」 『こちら行政特区日本開設記念式典開場です。開場内はすでにたくさんのイレヴン…いえ、日本人で埋めつくされています。会場の外にも入場できなかった大勢の日本人が集まっています』 ガウェインに乗って式典会場に現れるゼロ。 「来てくれたのですね」 《どういうつもりだ!?お前の招待はわしが墓まで持っていくものだったものを。ゼロがブリタニアの皇子だと知れたら、全てが終わる。ブリタニア人による茶番だと誤解される。この行政特区すら終わってしまうぞ》 「ようこそ、ゼロ。行政特区日本へ」 「ユーフェミア・リ・ブリタニア、折り入ってお話したいことがあります」 「私と?」 「はい、あなたと二人きりで」 「やっぱり、私達も行くべきだったのでは?」 「仕方ないでしょ?ランスロットが待ち構えていてはゼロが来ないかもって皆言うんだからさ」 ゼロの身体検査がなされ、ユーフェミアが案内する。 「ユーフェミア様、やはり、この男と二人きりになるのは危険です。せめて、自分だけでも」 「大丈夫です。私を信じて下さい」 「用心深いのね。カメラならオフにしてあるのに」 「ずっと隠れてきたからな、どこかの帝国のせいで。…セラミックと竹を使用したニードルガン。これは検知器では見つからない」 「ルルーシュ、あなた撃たないでしょ?」 「そう、俺は撃たない。撃つのは君だよ、ユフィ」 「え?」 「…何故、ゼロなんかと一緒に…」 「見えているようだな。間接接触と神根島の件がキッカケになったか。それともアイツが?…だとしたら」 「この式典は世界中に中継されている。そこでブリタニアの皇女である君がゼロを撃つ。どうなると思う?」 「暴動になるんじゃないかしら」 「だが、騙し討ちされたとなればゼロは殉教者となり、君の信望は地に落ちる」 「何ふざけてるんですか!?私と一緒に日本を…」 「上から一方的に押し付けるのならクロヴィスと同じだな」 「え?」 「もう全ての条件はクリアされた。ゼロは生死を彷徨い、奇跡の復活を遂げ称えられる。人は理屈ではなく、奇跡に弱いモノなんだよ。さぁ、受け取りたまえ」 「はぁ?」 「メシアは一人でなければならない。君が偽者だとわかれば民衆は…!!」 ガウェインから降りるC.C.。 「や、やっぱり…」 「一つだけ答えろ。お前は…!?…まさか、もう…」 「おい、どうした?」 C.C.に触れるスザクは何かの映像を見て倒れてしまう。 「ルルーシュ!!」 「やめろ!!これ以上俺を哀れむな!!施しは受けない。俺は自分の力で手に入れてみせる。そのためには穢れてもらうぞ、ユーフェミア・リ・ブリタニア!!」 「その名は返上しました」 「!?」 「いずれ本国から発表があると思いますが、皇位継承権は返上しました」 「何故!?…まさかゼロを受け入れたから…」 「私の我侭を聞いてもらうのですから、それなりの対価は必要でしょ?」 「…。随分と簡単に捨てられるんだな、君は。俺のためだとでも言うのか?」 「ふふ、相変わらず自信家ね。ナナリーのためよ」 「!!」 「あの子言ったの。お兄様と一緒にいられれば他に何もいらないって」 「…そんなことで!?」 「そんなことで決心が着いちゃったの。私にとって本当に大事なものは何だろうって。だからルルーシュ、私は本当の本当に大切なものは一つも捨てていないわ。安心して、あなた達のことは誰にも…」 「ふ…ふははははは!!ーネリアは?」 「別に会えなくなるわけじゃ…」 「バカだよ君は、大バカだ」 「そりゃゲームでも勉強でもルルーシュに勝ったことは一度もありませんけど」 「しかし、無茶なやり方なのに結局全てを手に入れてしまう。考えてみれば君はいつも副総督や皇女殿下である前に、ただのユフィだったな」 「ただのユフィなら一緒にやってくれる?」 「っ…」 「…」 「…君は、俺にとって最悪の敵だったよ」 ユーフェミアの手を取るルルーシュ 「…君の勝ちだ」 「え!?」 「この行政特区を生かす形で策を練ろう」 「!!」 「あぁ、部下になるわけじゃないからな」 「えぇ。でも、私って信用ないのね」 「ん?」 「脅されたからって、私がルルーシュを撃つと思ったの?」 「あぁ、違うんだよ。俺が本気で命令したら誰だって逆らえないんだ。俺を撃て、スザクを解任しろ…。どんな命令でも」 「もう、変な冗談ばっかり」 「本当だよ。例えば日本人を殺せって言ったら君の意志とは関係なく…」 ルルーシュの意志とは関係なくギアスが発動してしまう。 「!!…嫌、私は…嫌…殺したくない!!…嫌…」 《…まさか!?》 「そうね、日本人は殺さなきゃ」 「!!今の命令は忘れろ、ユフィ!!」 ルルーシュの拳銃を拾うユフィ」 「な!!待ってくれ!!ユフィ」 「あぁ、中華連邦との話はついたから、今日中に本国に戻るよ」 『では、実験適合生態はまだこちらに?』 「うん、知能は?」 『エリア11では限界がありまして』 「あぁ、ローゼンバーグ研究所に話をしてみよう。連絡がついたらあの実験機とセットで送ってもらえるかな?」 『解りました。あと、神根島の遺跡ですが…』 「エリア11の治安が安定してからだよ。そのための行政特区。感謝しないとね。ユーフェミアのおかげで全て上手くいきそうだから」 「日本人を名乗る皆さん。お願いがあります。死んでいただけないでしょうか?」 「今、何て言った!?」 「嘘だろ!?」 「えーっと、自殺して欲しかったんですけど、駄目ですか?…じゃあ兵士の方々、皆殺しにして下さい虐殺です!!」 「な、本気か!?」 「マイクとカメラを切れ!!」 「止めろ。ユフィ!!」 兵士に抑えられてしまうルルーシュ。 「退け」 「テロリストが」 「退くんだ!!」 ユーフェミアが銃を放つ。 「さぁ、兵士の皆さんも早く!!」 「ユーフェミア様!!一体どうなさったのですか!?お止め下さい、こんなことは」 ダールトンを撃つユーフェミア。 「将軍!!」 「っ!!」 「ごめんなさい。でも日本人は皆殺しにしないといけないの。さぁ、ブリタニアの皆さん!!」 ナイトメアに乗ったブリタニア軍が日本人の虐殺を始めてしまう。 《これは…俺のギアスが…!?》 「ゼ、ゼロ…」 「!?」 「私達を、日本が…救世主…」 「止めろ、私は救世主じゃない…メシアなんかじゃないんだ」 「希望を…あなただけ…」 「…止めろ…俺に、俺に押し付けるな。罪を償えと、背負い込めと言うのか…俺が…」 「ゼロ…貴様、ユーフェミア様に何をした?」 「アンドレアス・ダールトン。コーネリアの側近中の側近だったな」 「何!?会場で何が起こったの!?」 「驚いたぞ、ここまでするとは」 「俺じゃない」 「何?」 「俺はギアスをかけていない。いや、かけたつもりはなかった」 《…そうか、やはりさっきのは…》 「解っていて俺は契約した。これがヤバイ力だということくらい。なのに!!」 「うわっははははははは!!あやつよ、やりおったか!!」 「!!な、何だ!?これは…」 「お待ち下さい、コーネリア様」 「付いて来こられる者だけ付いて来ればよい!!」 「何かおかしい。今までのユーフェミアと違いすぎます」 「交渉の余地があればよいが、桐原とも繋がらんし」 「ふむ、ひとまず我らだけでも」 「左様ですな。土産は?」 「情けない」 「ん?」 「とどのつまりは我が身大事か」 「皇よ、口が過ぎますぞ」 「日本のためにも我らが残らねば」 「我らだけ残ってどうするのですか?」 「引かれ、神楽耶。家の格だけの女子は」 「今動かずして、何のためのキョウトか!!」 「おい、開場の外にブリタニア軍が出て来たぞ」 「あぁ、こうなったらユーフェミアを最大限利用するしかない。それが、せめてもの…」 「…。あっ」 「ゼロに通告する。その機体をあけ渡せ!!その機体は我が軍の」 攻撃を加えるガウェイン)。 「黒の騎士団総員に告げる!!ユーフェミアは敵となった。行政特区日本は我々をおびき出す卑劣な罠だったのだ。自在戦闘装甲機部隊は式典開場に突入せよ!!ブリタニア軍を壊滅し、日本人を救い出すのだ。急げ!!」 「絶対、絶対ユフィを」 「見つけ出して殺せ!!」 次回、「せめて哀しみとともに」 「誰が作り出した、この状況を。誰の罪だ、この惨劇は。誰が望んだ、この戦いを。誰のものなんだ、この世界は。…あぁ、わかっている。だがしかし、それでも俺は…」 ジャンル別一覧
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