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カテゴリ:祖母の日常
私が母の入院に付き添っている間、認知症の祖母は一人になる時間が多かったようです。
なるだけ家に帰るようにして一緒の時間をとるように努力はしたんですが、それでも私が帰ると側を離れないでいつもくっついています。 テレビを見ていると側に一緒にいるし、台所にいてもテーブルに座ってじーっ見ています。 私が私の部屋にいると部屋まで入ってきます。掃除をしていても後ろにくっついてきます。 いつもどこにいるのか見ているようです。ほとんど背後霊のようです。 正直にいうとちょっと困りました。今風の乱暴な言葉で言うと「ウザイ」って言うんでしょうね。 でもね。祖母の気持ちも分かります。義父母はあまり祖母と話しをしません。一日中誰とも会話の無い生活なんてさぞ寂しいでしょう。 「孤独」っていうけど、「まるっきり一人ぼっちの孤独」よりも「大勢の中の孤独」の方がずっとずっと寂しいと思うのです。 家族がいるのに会話に加われない。何の話をしているか理解できない。だから自然と口数が少なくなっていく・・・仲間はずれにされているようで、辛いですよね。 で・・・こういう時はどうするか・・・・祖母を家事に参加させることにしました。 一緒に居て祖母の話を聞いていればいいんでしょうが、私も家事をしなければなりませんので、一緒に家事をしながら話をすることにしました。 台所にいる時に祖母が来たら「ばあちゃん手伝って~」ってキヌサヤの筋をとってもらったり、広告でミカンを食べた後のゴミを入れるための箱を折ってもらったり、掃除をしている時に祖母が来たらク○ッ○ルワイパーやハンディーモップを持たせて手伝ってもらうことにしました。 もともと祖母は私が嫁ぐ前は料理も掃除も洗濯も家事全般をしていて、私にこの家の家事を教えてくれました。 洗濯物を干すときなんて厳しくって、私が干しているのを縁側で見張っていて、軍隊の将校よろしく「大きさをそろえなさい!」「洗濯物は全部東や南を向けて干すものなの。縁起が悪い!」「肩の線は揃えて干しなさい!」と何事も大雑把な私はよく叱られたものです。(私とすれば綺麗に洗って干せば、どっちに向いててもいいと思うんですけどね。) だから家事をすることが好きな人なのです。ずっと一緒にしていたのですが、年をとって体が動かなくなったので家事ができなくなりました。 足が悪いので物につかまっての伝え歩きですが、それでも私が掃除機をかけた後をちょっと歩いては「あー疲れた」とか「よっこらしょ。ちょっと休憩しようか。」などと言いながら椅子から椅子へは1メートルぐらいしか動いていないんですが、大仕事をしたようについてきます。 そして「やっぱり掃除機だけじゃ綺麗にならんの~」「わしが拭くけー綺麗になった」などとカチンカチンくるような言葉を発しながらク○ッ○ルワイパーを持ってついてきます。 私 「はいはい!ばあちゃんが一番!」 祖母 「そーじゃ!一番じゃ・・ハハハハハ」 祖母 「そーいやー最近お母さんを見ないのー。また旅行でも行っとるんか・・?」 私 「!!!」 昨晩は義母と一緒のテーブルで食事をしたし、さっき祖母の前で私と義母が会話をしているのです。だから祖母はその光景を見ているはずなのに、祖母の中で義母の存在が消えています。 私 「おるよー! さっきお母さん一緒にいたじゃない」 祖母 「そうか・・・??? あわんけーよく分からん」 私はちょっと驚いて哀しくなりました。認知症の人が自分の子供の顔が分からなくなるって聞いたことがあります。子供の顔を見て「あんたー誰かいのー」って言うんだそうです。 自分の親にそう言われたらどんなにショックでしょう。 祖母はまだ義母の顔が分からないわけではありません。でもあまり相手をしていないとそれも時間の問題だと思いました。「お母さん分かっているのかなぁ・・」ちょっと不安になりました。 午後になって私は施設の母の所へ行きました。部屋に入るとすぐに「あっ来たん!」と言って微笑みました。 目の手術を受ける以前は顔をくっつくまで近づけても私が来たことに気づかなかった母です。 「よく見えるようになったんだな・・」ってほっとしました。 私 「寝たきりになっても、認知症になってもかまわないから、お願いだから私の顔だけは忘れないでね。忘れて「あんた誰?」なんて言ったら許さないよ」 母 「大丈夫。大丈夫」と笑いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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