萬華鏡－まんげきょう－

[国盗人（リチャード三世）特集] カテゴリの記事

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• 【６:物語と感想】国盗人「馬だ、馬をよこせ。国はくれてやる！」

  また長らく更新が空きました…(￣▽￣;)このシリーズ日記もいい加減完結させます(笑)やがて赤薔薇一族の理智門が「正義」と言う名目の下、北で兵をあげ、久秀も謀反を企てたと悪三郎のもとへ知らせが入ります。右大臣(今井朋彦)は現在、悪三郎の家臣ですが、妻の連れ子が理智門。つまり義理の息子。近臣さえ誰も信じられなくなった悪三郎は激情。暴言を吐き散らし、もはや家臣の気持ちは離れていくばかりなんですよね、きっと。今井さんの右大臣が巧く家臣らの気持ちを代表するような演技をしていたのが印象的。進軍する悪三郎の元に姿を表す母、皇太后。白石さんの4役目ですが、左腕は悪三郎と同じように醜く湾曲していました。彼女の人生も波瀾万丈ですね。白薔薇と赤薔薇の戦争によって夫は殺されました。息子の一郎は玉座に座る栄華を迎えたものの病に倒れ、二番目の善二郎は牢獄にて無惨に殺され、残った悪三郎は、冷酷で世にもおぞましい鬼となってしまった…。いっそ、腹の中にあるうちに絞め殺せたなら…プレビュー公演や2回目の観劇では私自身がこの母・皇太后の真意をしっかり感じることができなかったのが正直なところ。戯曲のイメージが強かったんでしょうか。「リチャード三世」では、いとも簡単に母と息子は現世での別れをお互いの憎まれ口で締め括るイメージが強くて、「母として悪三郎を愛してあげなかったから、こうなったんでは？」と思う印象が強かったんです。※新訳リチャード三世公爵夫人「残虐に生きたおまえは、残虐な最期を迎えろ、生き恥をさらしおって、死に恥もさらせ」(退場)となっているし、文面で読む限りでは親子の情もうまく汲み取れなくて(￣▽￣;)三神勲氏の翻訳本「リチャード三世」ではリチャードが母に向けて言う台詞「断食のお仕置きをうけたとき、母上はわたしを外して、おひとりで朝食を召し上がったことがある。だが、このわたしがそれほどにお目障りなら、このまま行かせていただこう、ご不快にさせては申し訳ない」とあります。なんだかちょっと切ないです。現代にある「子が母を、母が子を殺す事件」の印象もあるせいか、徹底的にお互いの溝は断絶していて、愛の欠片だってないように感じてしまったんですね。私の読み込む力が足らなかったのだと思うんですが(￣▽￣;)幼心に母から疎まれている事実を「朝食のこと」になぞらえて、ずっと記憶しているのは母に対する慕情の証なのかもなぁ。国盗人の舞台では、この複雑な親子愛を感じることができました。私が二度、三度感極まったシーンで、過去の日記にもクドクド書いてます。母は悪三郎を振り返らず去っていく。「絶望して死ね」ショッキングな台詞であまりに残虐なのに、絞り上げるように悪三郎に言い聞かせる白石さんの演技に呼吸を忘れるほど。悪三郎にとって安息の場所とは「死」であり、罪はその「死」をもって償え。母としての愛を感じるようになったのは本公演2回目の鑑賞からでした。「もう二度と会うことはない」白石さんの物言わぬ後ろ姿に母としての強い愛情と決意が…(T-T)クライマックス。理智門(今井朋彦)と言う青年が赤薔薇軍を導き、高らかな声で出陣の号令をかけますが、悪三郎の陣とシンクロしながら戦いの様相を表現。悪と善の対比を巧く魅せる演出だと、他の方たちの評判をチラホラ聞いた場面です。死した者たちの呪いは能面を用いた演出で、悪三郎の夢に現れ、苦しめます。今まで俺は悪に徹するのだと、迷いもなくひたすら走り続けて来た悪三郎は「己が振り返りもしなかった善の心」との葛藤が首をもたげはじめるのです。何より、良心の呵責が我が身を苦しめはじめたとき、悪三郎はえもいわれぬ恐怖に襲われていく…。悪三郎には良心の呵責が一番の敵だったのかな。…あくまで観客として観ている私のイメージですが…もうこのあたりは苦しくて、悪三郎を見ているのが辛くなるほどでした。戦場では王の身でありながら剣を振るって闘いますが、理智門に破れて死んでいきます。「馬だ、馬だ！馬をよこせば国はくれてやる」リチャード三世の有名な台詞。勝鬨をあげる理智門はハムレットのフォーティンブラスさながらの清らかさ。今井さん…現在放送中の風林火山、へっぽこ信濃守護、小笠原殿とは明らかに違い(笑)かっこよかった(^ー^)息絶えた悪三郎に当たるスポットライトがその表情を照らしていましたが、何だか安らかな美しい顔でした。暗転。白いワンピースを着た女性が手にした悪三郎の面を元の場所に置き、その場から立ち去ります。「兵どもが…夢の跡」この国盗人は夢幻。能のような余韻を残し、終幕を迎えました。[【６】まで来てしまい、いい加減長ったらしいので(笑)後半は急ぎ足…]全て書ききれずいくつかのシーンはカットしました(￣▽￣;)あらゆるシーンを回想したくて、物語をつらつら書いてきましたが記憶違いは御許しを(苦笑)凝り性な自分としてはかなり名残惜しくて、ウンタラ語りつつ、国盗人東京公演後も随分と堪能しました(。-∀-)きっと再演はあるでしょうね。すでに河合先生はその気満々のようなお話ぶりでしたしね(^ー^)スタンダードなリチャード三世のイメージが強かったのと、ポスターは陰惨な空気を感じさせるおどろおどろしいものだったので、初めて悪三郎に出逢ったときは見事に度肝を抜かれましたゎ、参った(笑)プレビュー公演一回こっきりしか観なかったら、こんなにハマらなかったかもしれない(笑)回を重ねる毎に役者のテンションも上がり精度が高まったように見えたし、舞台進行もスムーズで、かなり物語の中に入り込めたもの。ただ、ひとつだけ。あの国盗人と白石さんならば、わざわざ四役に拘らなくてもいいかなぁと思ったり。多分、政子と皇太后の二役だけで十分存在感があるような。戯曲だけだとあんまり魅力がないんですが、国盗人の中で白石さんが演じた女たちはかなりインパクトありましたもん。それから、私としては「政子VS王妃」女の激しいバトルも観たかったなぁ(。-∀-)王妃に夏木マリさんなんて、いいなぁ。ものすごいバトルになりそう(笑)国盗人・悪三郎祭り。書きたいことはほぼ書いた、かな(￣ー￣)楽しい夏祭りでありました(≧ｍ≦)←まだ梅雨明けてないんじゃ…

  2007年07月31日

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• 【５：物語と感想】国盗人「悪三郎の王子殺し・腹心久秀の謀反」

  ［だんだん記憶が薄まってきちゃいましたが…せっかく【５】まで来たので…］悪三郎オンステージのあとは祝宴の席に変わり、杏は喪服を脱ぎ、新王妃となって玉座の隣に座っています。一人だけは嫌悪な空気。何かを仰ぎ見て、咽び泣き出す杏。悪三郎から渡された盃を振り払い泣きながら奥へ立ち去ってしまいます。己の恥辱と罪を悔いたのでしょうか。恐ろしい夫が手に入れた玉座の隣に、王妃として座る自分…。もしかしたら…赤薔薇王子(元夫)や戦死した臣下たち、無実の罪で殺された善二郎をはじめ左大臣らの影なき怨念を…祝宴の場に見てしまったのかもしれませんね(想像)。しばし、杏の消えた方向を向いて呆然とする悪三郎。…妙な間が流れます。ふと我にかえり盃を太郎冠者に投げ返し険しい表情へ変わる悪三郎。この豹変の意味するところは…？悪三郎の真意は？…。欲しくて手に入れた王位や妃、多数の家臣に囲まれていても、何か空虚だと…気付き始めた瞬間なのか…。観る人によってどう感じるでしょう。利害でしか結ばれていない関係は極めて脆く、数多の人間を集めても空虚です。強固な絆のない悪三郎の孤独は王位を手に入れてなお、増大していったのかもしれませんね。杏の涙は、楽しく愉快に戴冠し、絶頂の瞬間から一気に転落していく瞬間です。王子が生きていては自分の王位もまだ安泰ではない。久秀に暗殺を促すしますが、なかなか首を縦に振りません。すでに廃嫡までしておきながら、王子を殺害する必要や正当性に欠くと思ったのでしょうか～。久秀の態度に痺れを切らした悪三郎は、自らの手によって幼い王子を殺害してしまいます。ここは原作と違うところですね。［余談ですけれど…］そもそも、本当の史実上でも王子(エドワード五世と弟ヨーク公)は、リチャード三世が即位したあとはもちろん、戦死したあとにもロンドン塔の窓から顔を出す幼い王子たちが目撃されている、なんて話も残っているようだし、真実リチャードが殺したかどうかは定かじゃないと言う話を聞いたことがあります。エドワード五世が存命していて困るのはリチャードではなく、このリチャードを倒して王冠を戴いたテューダー王朝の祖、ヘンリー・テューダー(いきなり降ってわいた？リッチモンド伯)だとも…。後年、ロンドン塔から幼い二体の遺骨が発見されたそうです。DNA鑑定や骨の大きさから、何歳で死亡したかなどは現代ならば推定できるはずですが、どうやら明らかにされてないとか←随分前にニュースで聞いたことで今はわかりませんが(￣▽￣;)しかも私が図書館で読んだ文献たちは、みぃんな古くてボロボロ。一昔前の話かも(苦笑)真実、知りたいなぁ…この話題は長くなるので、萬華鏡にネタがなくなったときにでも徒然に調べてみよう…(笑)［余談終わり］あれほど陽気で楽しかった戴冠の宴から一転。王子殺害に向かう悪三郎の後ろ姿は恐ろしく醜い。悪三郎の暴走に拍車がかかり、本格的な鬼へと変貌していくようです。そして完全に彼は孤独。王妃(白石加代子)は悪三郎に殺された王子の死を嘆きますが、すでに弟まで殺されています。危険を感じ、赤薔薇家臣との連れ子を右大臣(今井朋彦)の勧めによって理智門のもとへ逃します。やがて、久秀は王位簒奪の手助けをした恩賞を貰えないまま粗雑に扱われたため、悪三郎を裏切り逆臣へと変貌します。久秀は、どうやら戦国時代屈指の下克上代名詞、「松永久秀」から取ったようですが、私にはあんまり馴染みのない御方で陰が薄い歴史人物←無知よね(汗)悪三郎に激しく付き倒され、「そうか…そうか…」と怨み事を発する久秀の境遇は私の場合、明智光秀の方がピンと来ちゃうんです(笑)まぁ、こちらだとあまりにもメジャーな謀反人になっちゃいますね(≧ｍ≦)←捻りなし［レポートというより、あらすじ書いてるだけですけれど・苦笑］つづく。

  2007年07月23日

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• 国盗人テレビ放送決定＆降ってきた悪三郎の家紋

  「国盗人」悪三郎リサイタルが始まった瞬間、左肩にバサッと言う衝撃。あ？(・。・)と思いつつ、後ろの人の衣類か何かかなと気に止めず(舞台上の悪三郎オンステージから目が離せないから(笑))そのまま終幕。肩にそんなものが落ちてきたことも忘れ、さぁ帰ろうとした時、隣のお友達が「これ…」と手渡してくれた手拭い私たちが立ち退いた後、座席に落っこっていたみたい。その時は、舞台からのおひねりかと信じ込んでいたけれど、よーく考えても前方から飛んできた記憶もなくて(笑)よもや後方席や2階とか3階席からかなぁ。1300円もする手拭い、投げるか？┐('～`;)┌投げて遠くに飛ぶようにしっかり折り込まれており、「もしや？」と広げてみたけれど、誰のサインもなかった(笑)未だ誰が投げたか謎のまま、悪三郎家紋入り手拭い。これが通算5本目の正体(笑)ともあれ、ラッキーなんだろうな、うん♪そういうことにしとこ(￣ー￣)さて、3本も買って手に入れた野村萬斎直筆サイン入り手拭い(←これ本命。まんまと商法に引っかかった・爆)は、どうやって保管しよう。タぺストリーや暖簾も考えたけれど、汚れて「洗濯ジャブジャブ」いや～あり得ない(￣▽￣;)額に入れて飾るか？←大袈裟が、しかし色焼けすると困るのだ( ´・ω・)←心配性結局、防虫対策して箪笥なのかもしれない(笑)サイン会なんて茂○家じゃないからやらないし(爆)、何かの抽選も当たるわけないし、道ばたで偶然見掛けるなんて幸運は更になさそうだし(笑)万が一あったとしたってテンパって「サインください」だなんて間違っても言えない(迷惑か)(￣▽￣;)←そもそも肝っ玉小さいから無理ゆえに、二度と手に入らない代物だろうなぁ。河合先生のサインとともに、国盗人祭りのかけがえないお宝になりましたヽ(・∀・)ノ★「国盗人」8月10日 NHK教育「芸術劇場」にて放送決定★芸術劇場へようこそはやーい(≧ｍ≦)もうですか！地上波ですかぃ！観劇の興奮冷めやらぬうちにお茶の間で悪三郎くんに逢えるなんて♪ヽ(´▽｀)/悪三郎リサイタル…何度もリピートしちゃいそうだわ…【つぶやき】どうやらこの楽天さんのトップページに明日から広告が出ちゃうらしい･･･無料で使っているゆえ文句も言えないのだけれど、、、イヤダぁ

  2007年07月19日

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  【４:物語と感想】国盗人 第２幕-悪三郎　戴冠の宴-

  「さぁ、そろそろ始めるぞ」悪三郎の声が客席に響きます。ディズニーランドのアトラクションか？と思ってしまいましたが(笑)久秀との会話だったんですね(￣ー￣)ここから腹心・久秀、技量の見せどころ。市長をぐるっと取り囲み、謀反人(左大臣)処刑の正当性、王子は妾腹であるから王位を継承するに相応しくない、…と半ば力ずくで説き伏せます。パワハラですな(爆)ビビった市長は市民に悪三郎さまが王位につくことについて演説をすることに。そんな市長が心許ないので、久秀は市長を脇へ押しやり雄弁を奮います。観客いじりと言われているのが、ここですね(^ー^)巧く観客を市民として巻き込み、拍手を促すパワーは上々(笑)この辺りから悪三郎が戴冠するまでの間、石田久秀の活躍は言うまでもなく最高潮。数百名も入るキャパの劇場観客(市民)の心をスパーンと持っていきましたね(笑)「王位を継ぐことに最初はイヤイヤしてください。どうしてもと望まれて渋々引き受けるのです」そんな久秀のアドバイスどおり、事が順調に回り始めます。読経を上げ(狂言で僧が唱えるあの「うじゃらうじゃら…」です・笑)信心深き演出をこしらえます。「王になってください」久秀「ぜひ、ぜひ」悪三郎「無理、無理」久秀「ぜひ！」…悪三郎「無理。」このあたりのやり取りが狂言「呼声」みたいですし(笑)明らかに「芝居めいていて」可笑しい。石田久秀主導でクルクル動き回る月崎太郎冠者が活躍する場面ですから、狂言色が非常に濃いシーン。ここで、戴冠することを承諾。私たち「梃子でも動かぬ市民」のせいにして(笑)悪三郎は王位継承を受け入れます。アデューカムフラージュの法衣を脱ぎ捨て悪三郎祭りのはじまり。まさに悪三郎様のリサイタル。金のマイクでノリノリ(爆笑)♪国を盗ったら王様だ～♪祭りだ、祭りだ、ケセラ～セ～ラ～節は口ずさめますが歌詞が不明です。記憶にありません(苦笑)日記でお伝えできないのが残念(￣▽￣:) 悪三郎ダンサーズが周りで踊り、おひねりも市民(客席)に奮発(笑)今までゴツイ怖い顔をしていた悪三郎手下の二人(平原テツさんとすがぽんさん)が、ぱーっと明るい笑顔で踊り出すのも隠れた見どころ(笑)このギャップがかなりいい。悪三郎の手下二人に狂言「鈍太郎」のように手車をされて人差し指を上にかざし、ミラーボールが回る異様な光景は…「いつの時代じゃ、そりゃっ」(笑)突っ込むのも忘れるほど面白いです(≧ｍ≦)ここは好き嫌いが分かれ賛否両論かもしれませんが、聞くところによれば河合先生や萬斎さんもかなり拘った箇所だそうで…(笑)ミラーボールは悪ノリが祟っちゃった気がしなくもありませんが、私は好きです(*´∀`)♪むしろこの落差(クライマックスに向かっての悲劇性)が、ジェットコースターのような感覚で襲うので不思議と中弛みを感じさせない。悲劇を観たら喜劇でバランスが取りたくなる。逆もしかりで…。いわゆるここって「悪三郎風、戴冠式」ある意味、厳粛でも地味でもいけない、王位簒奪の記念すべき瞬間。多少の悪趣味さ(爆)を醸し出し、王になった瞬間のメリハリを付けるには何かしらの大イベントは必要だろうなぁと思うわけです。当初・・「随分と笑かしてくれるよー、悪三郎！」とだけ思っており。ちびっと「お下品」とも思ったりもした（爆）単なるウケ狙いの感覚でしか考えていなかったこの悪三郎リサイタルですが。結構大事な効果かもっ！！！←3日目の観劇後あたりに気付く（遅）一緒に悪三郎の戴冠式を楽しみ、喜んだ時点で、まんまと悪三郎の僕です（笑）萬斎さんの謡いではない歌声が聴けるのはもとより「摺り足ではない2ステップが見られる」(笑)狂言師として…異種格闘技に出ていくことがあるとはいえ～、ミラーボールの下で2ステップは滅多にお目にかかれまいて(爆)プレビュー初日に万作さん、7/5に万之介さん、他の日にも一門の方々や能楽師仲間が見に行ったりしていると言う目撃談を聞きましたが、一番気になるのはお父上　万作さんの感想です(笑)千秋楽にもいらしたようですね。東京フィナーレの後は休む間もなく狂言地方公演で恐らくお父上と行動を共にされていると思いますが、どんな会話がされてるのかなぁ(≧ｍ≦)あ…。つい熱くなりまして・・・悪三郎リサイタルに関する感想が長くなりましたつづく(￣ー￣)

  2007年07月16日

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• 7/12　国盗人。完全に心を盗まれた

  平日、初マチネ。冬休みもらったので←いま夏だよ「ああ、長くて結構お尻が痛くなるなぁ」だ、なんて…考えている余裕があったプレビュー公演とはまるで違い、第一幕冒頭からすっぽり舞台へ引き込まれてました。 独白。言い方も、放つオーラも変わりました。「世の中の…くだらぬ喜び一切を…憎悪してやる…」ちょっと・・・鳥肌。役者として台詞に凄味を持たせる技術だの何だのではなくて、そこにいるのは完全に悪三郎が憑依している野村萬斎。固唾を飲んで舞台を見つめる観客たちと悪三郎の間には、えもいわれぬ胸騒ぎと異様な雰囲気。言葉では言い表せない特別な空気が充満する瞬間でした。早い時間帯に国盗人ワールドに入り込ませる吸引力があの舞台にはありました。ファンの贔屓目と言われて笑われそうですが、格段に進化した国盗人に、ごっそりハートを盗まれましたから(笑) 同じ芝居を初日、中日、楽日あたりに見に行く人の気持ちがよくわかる(^ー^)昔は映画やお芝居は一度観て満足していたのだけれど←お財布の中身や余暇との相談もあるし(苦笑)贅沢なハナシ、楽日に向けてこれだけ散財しても良いと思うほど、私を病にさせた国盗人…おそるべし。案外カタイんですよ、財布の紐は(￣ー￣)もー、ゆるゆる。やられちゃったな～(笑)いやぁ、ぶっちゃけ。プレビュー初日の一幕終了後は、「んんん？？？」「どーだろ、これ」首を捻っていたものです（爆）終幕後は「もう一回はあるし」という余裕がありましたがこれほどハマるとは思っていなかったんですよね。・・・一晩、二晩と経過するうちに。気になる気になる。「きっと2回では物足りないかも～（汗）」そんなときに、お友達からチケット手に入れましたがいかが？と天の声。そりゃもう即決めですよ、行きますよ、会社は休みだ、祭りだケセラ～セ～ラ～・・・。真面目なレビューに戻しましょう（汗）どれを取っても同じ舞台なんてないのだろうけれど、台詞の抑揚や演じ方の工夫も重ねられ、当然役者同士の呼吸も合ってくるから、長いと思っていた三時間なんてあっという間でした(笑)政子の凄まじい呪いに気をとられて、今日の今日まで気付かなかったのが、「この豚めっ」と言われて「ぶひっ」と鼻を鳴らす悪三郎(笑)リチャード三世または悪三郎の家紋はイノシシですからね（笑）「ぶひ」って・・・絶妙なタイミングだし。にほんごで新年に「ぶひぶひ」言っていた(猪コスプレ)を思い出しちゃいます(笑)んも～、笑いも涙もあらゆる場面で魅力が萬斎←ベタだなっ(爆)理智門との戦に向かう前、母と対面する悪三郎。前回もココでうるっとしましたが、より一層濃密な親子関係が存在していて呼吸を忘れるほど。「お前はあの戦場で死ぬのだ」と言い放つ母・白石さん…心の奥から憐れな息子を思う最大の愛は、発せられる台詞とは裏腹に、白石さんの演技の中にじんわり表わされて。。涙しました。すごいなぁ…。白石さん。母の前にふてくされた顔で座り込む悪三郎。それは小さな子供さながら、本当は抱き締められたかった、愛されたかった…口に出せない心の闇と孤独。しっかりと表現されていたように思います。自分の涙で舞台が潤んでしまったもの。台詞では発せられないけれど、その心理を推し量る余白を見事に魅せられました。目は口ほどに物を言う。役者の細かな表情の動きをじっくり観ることが出来、Last国盗人は1階席の程よく近い距離感を堪能しました。振り返らない母を呼ぶ悪三郎。「母上ー！」静寂の中、ふと見上げた悪三郎の瞳は今にも涙が溢れ出しそうでした。今回はNHKのテレビカメラが入っていました。他の役者さんたちももちろん素晴らしくて熟す期を迎えてきたようです。最高の舞台が映像として収まったんじゃないかなぁ「ブラボー！」カーテンコールの喝采と演出兼主演　野村萬斎の充実感が観て取れる清々しい笑顔が、舞台クオリティの高さを表しているようでした。 4回目のカテコ。さっと右手を振り上げ３階席に向かってニッコリ。うわ～綺麗だぁ～。キラキラしてて。観る度によくなった国盗人。ブラボー♪ヽ(´▽｀)/

  2007年07月14日

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  【３：物語と感想】国盗人－政子の呪い～暗躍する悪三郎　左大臣の処刑－

  ※ネタバレ有り。ご注意ください。新訳リチャード三世　どこまで書いたか忘れてしまいそうなほど日が経過。。。そう、書き忘れていたことがありました。呪いです。呪いの"政子"。マーガレットです。白石さんが王妃として登場していたすぐ後にすぐ出なければならないので切り替えが大変そうです。カツラをつけていますが、かなりインパクトのある（笑）"乱れて堕ちた感じ"が出ています。後々、この政子の呪いが悪三郎または左大臣、王妃の弟や連れ子、そして久秀の頭上に降りかかることとなります。政子の登場とともに鳥肌がたつほどのド迫力。白石さんの"声"は存在感と共に武器ですね～なんで政子がここにいる者たちを呪うか。悪三郎は政子の夫（赤薔薇王）とその王子を殺害した。左大臣はその殺戮を黙って見ていた。王妃の弟と連れ子は元は赤薔薇の家来であったものの、白薔薇に寝返った。とにかく自分の王妃という座を奪った現在の白薔薇王妃も憎い。この場にはいないけれど、善二郎も実際に赤薔薇の王子を殺しているので、政子の怨みは深いわけですね。。。とはいえ、政子も赤薔薇王妃の頃は相当残虐なことをしてきたわけで。悪三郎の父や弟も殺しています。少年悪三郎の目には相当忌まわしい存在として政子は君臨していたであろうことが想像されます。ここは一幕冒頭　悪三郎独白で、後ろのスクリーンに投影されて再現されています。悪三郎が王位簒奪と転落をメインに描かれる国盗人(リチャード三世）この前に起きた時代の物語は悪三郎の回想という場面にて、ほぼ人物はシルエットだけでサラっと語られてしまうので、人間関係と歴史がわからないと「あれ？おや？」で終わってしまう可能性があるかもしれません。さて。善二郎は暗殺され、白薔薇王が死に、残る邪魔な人間は王子。その前に目障りなのは王妃の側に仕える弟と連れ子。とにかくこの時代は陥れられたら負け。。。謀反人とでっち上げられたら弁明の余地なく処刑されてしまう時代、怖いですね。戴冠式の日取りなどを決定する重臣たちの会議を前に、久秀（石田幸雄）の命により太郎冠者（月崎晴夫）が左大臣の元に参じ、「悪三郎様が王座につかれたら・・」という話を持ちかけ真意を探ろうとします。「悪三郎様が王位につくくらいなら、この首刎ねられた方がいい」ヘイスティングズ卿のキャラクターだとあくまでも亡きエドワード王（白薔薇王）とその王子に忠誠を尽くす正しき臣下のように思うのだけれど、太郎冠者が訪れる前はスケベーな大森左大臣らしく"ピンクシーン（爆）"と共に再登場のインパクトは「なんだかちょっといい加減」（爆）まぁ、ピンクシーン・・といっても影ですが（笑）「うひょひょひょひょ♪」と女と戯れる影絵はちとばかり、リアル(笑）これは演出家の案でしょうか（爆）「後ろからピンク色の照明で投影してみようか。」影を使った演出は「まちがいの狂言」でもありましたよね(￣∀￣)そして、記憶に新しい２００６年　新宿狂言での「骨皮」住持といちゃとの情事を暴露する新発意という場面で、ピンク色に染まった障子・・・が思い出されます(笑）いや、狂言だとそんなにエロくないですけれどね。・・・いや狂言にしてはエロいのか（爆）この辺りを捨て置いてレポれないあたり。私こそエロいのかね(￣▽￣:) やだぁま、冗談はさておき（笑）←すぐ脱線する戴冠式のあれこれを決定する席上で、左大臣はまんまと処刑されることとなり。すっかり大森左大臣のファンになってしまった私としては、本気で淋しいワケで。２度目の観劇のとき、この大事な会議に参加している主なメインキャストの表情はそれぞれお互いを牽制しているふうで、観ているとその心情を推し量ることができて面白いです。悪三郎から「苺をいただきたい」と所望されその場から立ち退かされた右大臣（今井朋彦）の訝しげな様子。左大臣は何も知らず、どんどん悪三郎の言葉にはめられていくし、その企みを知っている久秀は表情も変えず冷静に聞いているし。舞台にいる役者がそれぞれ自分のパーツをしっかりと演じ、そのキャラクターの心の内までも伝わってくるから面白い。一番わからないのが悪三郎なのだけれど。。逆らうものは殺す。邪魔者は消す。それだけのことなのだけれど、彼の生き様はきっとそんなに単純じゃないんです・・・。左大臣が処刑されると、祐筆が現れ「すでに処刑された者の罪状を（事後に）作成する不条理」を観客席に訴えかけ、「20分の休憩」となります。次々と人が死んでいますが、ここまで善二郎、白薔薇王、王妃の弟、左大臣・・・命を奪われた瞬間、能面が出現し、死後の世界とリンクします。一人一人何の面かなぁと舞台に近かったプレビュー公演は目を凝らして観ましたが、善二郎のときの面が中将っぽい？（もう忘れてきた）ということしか分りませんでした(苦笑）もとより能面を一目見てすぐに名前が出てくるわけでもないので無駄な努力なんですけれど(￣▽￣:) 死人が能面をつけることで、「死の世界（あの世）」という発想はまさに「能」ですね。☆あめみこ御用達　リチャード三世を知る書籍☆「英国王室史話」「英国王妃物語」「リチャードを探して」ＤＶＤ「英仏百年戦争」

  2007年07月10日

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• 「新訳　リチャード三世」に河合祥一郎先生のサイン

  頂いちゃいました♪ヽ(´▽｀)/ああ、しあわせ。国盗人カンパニーの方々のブログにも同じようにサイン本に喜ぶ役者さんもいらっしゃいました。きっと萬斎さんも河合先生のサイン本、持ってるよねぇ←おいお揃い(≧ｍ≦)←あほ冗談はさておき←半分以上本気(笑)観劇後、ロビーにいらっしゃった河合先生。色々な人に囲まれて質問などを受け大人気。人が大分はけたところで勇気を出して「サイン頂けますか」と言ったら快く対応してくださいました。こんなときに、しっかり万年筆を持参してる自分。でかしたっ！他にもサインを待つ方がいらしたので質問するのは差し控え、月並みな言葉ですが一言だけ「とても良い舞台でした(*´ー｀*)」と言ったらキラキラした少年のような笑顔で「ホントですか？(^ー^)ありがとうございます」と仰ってくださいました。純粋にこの舞台に対する河合先生の愛着がヒシヒシと伝わるんですよね。新訳リチャード三世は注釈も充実、読みやすくて国盗人の舞台が所々フラッシュバック。すっかりファンになりましたよ(笑) 本当は「悪三郎リサイタルのあの歌詞は河合先生がお考えになられたのか」なんてことも聞きたかったんだけど(笑)目の前にすると緊張して何も言えなくなっちゃうものですなぁ…(苦笑)

  2007年07月08日

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  国盗人7月3日 ポストトーク(河合祥一郎×白石加代子)

  全く覚え書きを残せぬまま二夜明け(笑)なんとなく記憶していた内容を雑に書いておきます。ニコニコと笑顔で登場した河合祥一郎先生。思っていたより背が大きくてしっかりとした体格をされているなぁと…全く関係ないことを考えつつ(笑)「白石さんはお着替え中なので」と河合先生のお話が始まりました。まず1日の「友の会」公演日に来られたお客様からFAXで頂いたご質問です、と実際に届いた用紙を広げて紹介。◎「悪三郎の家紋は何故イノシンなのですか？今年の干支だからですか」宣伝だらけになってしまいますが、と予め前置きを挟んで「この劇場でしか手に入らない猪の家紋入り手拭い…是非お求めいただき…(笑)それから、わたくしが翻訳しました「新訳リチャード三世」の中にも実は書いてございます…」とこれまた怒涛のCMを入れ抜け目のない河合先生(笑)会場の緊張感を解いてくれました。過去の萬華鏡のレビューブログにも書いてあり重複ですが、河合先生のお言葉を付け足しながらお話すると、リチャード三世の家紋が「猪」であり、今年の干支だから…というわけではありません。たまたま今年が亥年であり上演されるべく年だったのかもしれませんね、と。右大臣の夢の中にも猪が現れて左大臣を襲い、猪は悪三郎の紋所であるから不吉だ、用心しなさいよ、と言う台詞の中にもそういった意味が隠されています。◎「リチャード三世～国盗人脚本ができるまでのお話」萬斎さんの手掛けるシェイクスピア作品の第三弾。一作目が「ウィンザーの陽気な女房たち」の「法螺侍」、二作目が「間違いの喜劇」から「まちがいの狂言」そして三作目となったのが「リチャード三世」の「国盗人」です。10年も前からリチャード三世をやりたいとの願望があったのはここ最近有名な談話、ようやく念願叶ったというわけですね。前作の法螺侍、まちがいの狂言の脚本を手掛けた高橋さんと萬斎さんの間でリチャード三世をやるときに、「女をいじりたい」と話されていたそうです。しかし実現される前にご他界。河合さん曰く「女をいじりたい」と謎の言葉だけ遺されて逝ってしまったので…と苦笑い。このキーワードに随分萬斎さんと悩まれたんでしょうね(笑)◎白石さんの四役について「私にとっては演劇の女神様」まさか引き受けて下さるとは夢にも思っていなかったと語る河合先生。お着替えを済まされた白石加代子さんが四役から解放され、河合先生のお言葉に照れながらお聞きになってました。普段から「百物語」など、いくつもの役柄を演じることが多いので、むしろすんなりと受け入れられたという白石さん。ただ、今までは目をつむって聞いてくださっていると、多少誤魔化せる(といった言葉ではなかったような気がしますが…記憶飛びました)のですが、今回「国盗人」の場合は…うら若き乙女を演ずるのに忍び寄る老いはねぇ…(苦笑)と頬を両手で包んでお話されてました。白石さんの印象といえば、どうしても「呪いのマーガレット」(笑)しかし今回の役どころでの苦労談を語り出すと、それはむしろハマり役のイメージが強い「マーガレット」だったそうです。白石さん「萬斎さんは毎日(演出を)変えられるのが大好きで(笑)」「結構難儀してます(笑)」河合先生「普段の白石さんをご覧になればとってもチャーミングでいらして、素は杏(アン)に近いかもしれませんね」普段の日常生活からは確かに「呪い」なんて縁遠い。そういう意味では「演じる」要素が一番色濃い役柄なのかもしれません。◎国盗人 杏の台詞にはハムレット、オフィーリアの台詞が隠れている全く気付いていませんでしたが、思い出せばなるほどオフィーリアの台詞があったように感じます。夫・王子の亡骸にすがって杏が泣く場面にはハムレット、オフィーリアの台詞。ハムレット。気になって本棚の奥深くから引っ張り出しました(笑)＊以下 新訳ハムレット(河合祥一郎訳)より「ああ、気高いお心がこんなにも崩れてしまうとは…宮廷人の、武人の、学者の、眼差し、弁舌、剣術、わが国の期待の星とも華とも謳われ、流行の檻、礼節の手本として、みなの注目を集めた方が、見るも無惨なあのお姿…(以下略)」国盗人では多少台詞は変わっているのでしょうが、こんな裏話があると何だかまた観たくなっちゃいますね。(…行くけど・爆)◎シェイクスピア演劇と狂言リチャード三世はシェイクスピア初期の作品。だからよりリアリズムではないんです。そういう意味では非常に狂言とは近い、と語る河合先生。「ぐるっと回ったら都に着いた」なんてことはリアリズムではありませんからね(笑)と。…3日の観劇を終えてシェイクスピアを研究する河合先生と狂言の手法を知り尽くした狂言師のタッグはそれは斬新で新しい「味」新聞の劇評には少し厳しい見方をした評価が載っており、白石さん演じる四役がわかりづらいとあったようですが、そうかなぁ～、私は一回目から白石さんの演技と脚本構成の工夫で充分解りやすく楽しめたけれどなぁ(笑) ただひたすら楽しむことだけが目的な私には、演出の善し悪しもまるでわからないので、終幕後に満足感が手のひらに残れば、それはもうお薦めするに値する舞台。私のようなリピーターが増え(14日にも行っちゃう・笑)、追加席・補助席が軒並みSOLDOUTになっている現状を見ても、劇評云々より観客の支持を着実に得た、と言うことが一番説得力があるのではないかな～

  2007年07月05日

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• 国盗人7/3 本公演に行きました

  本公演。行きました。一番私の気持ちを捉えた感想だけ少し。国盗人…二幕クライマックスじんわりと。切なく。苦しくなる瞬間が。ありました。愛されないと自覚した心を…壊さずに保ち続けるには悪に徹するしか…道はない。愛がほしい本当に信じられる友や恋人がほしい。母親にさえ愛されなかった孤独感「誰か愛して」悪三郎の叫びがこだまするようで苦しかった。…。少しずつ主演・演出野村萬斎さんの意図する舞台を観られたのだろうかギュッと吸い込まれまさに夢幻の世界に陥ったかのような感覚さえ感じられました。そうして気付けば夢中になって観ている自分がいました。狂言的であり。能的であり。能狂言の世界に身を置いている演出家が手掛けた舞台それが能狂言を模した構造になっていることを知りました。初心者ながら能狂言を好んで観る私にとっては非常にバランス良く味わえたように感じました。そして。主人公はチャーミングで可哀想でどんなに悪党でも密かに応援したくなるような 悪三郎(リチャード)の魅力を引き出してくれたようで大満足のうちに幕が下り…。気付いたら掌が痒くなるほど拍手してましたよ。ポストトークは脚本を書かれた河合さんと白石さんでした。このお話はまたのちほど

  2007年07月04日

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• 【２：物語と感想】国盗人－善二郎の暗殺と白薔薇王の死－

  『兄・善二郎を暗殺』ネタバレを含みます。ここより先はご注意ください。【あらすじ＆感想】※一部敬称略牢獄に送り込まれる善二郎と行き逢います。いかにも、この謀略は兄王一郎の妻(王妃)であると吹聴し、かねてより不信感を抱いていた善二郎は簡単に悪三郎の話を信じこみます。善二郎をまんまと出ることの叶わぬ牢獄に送ると赤薔薇軍により投獄されていた左大臣(大森博史)が釈放されてきました。立烏帽子を被り顔は白塗り、公家っぽいんですが、冒頭からナイスキャラ(笑)オネェ口調の麿言葉(なんじゃそりゃ・爆)大森さん、好きです(o≧▽゜)o萬斎さんとの舞台共演歴は長くハムレットや子午線の祀りも出演されてるんですね。悪三郎と対面し挨拶を交わすとピンクの照明に変わり「シャバはいい♪」と従者が色っぽい女人に早変わり(笑)どうやらスケベキャラでもあるらしい(≧ｍ≦)観客の注目、一気に悪三郎から左大臣が奪いましたね～(笑)原作ではヘイスティングズ卿ですが、こんなシーンはないですし国盗人オリジナルの脚本のひとつでしょう。ヘイスティングズと左大臣は随分キャラクターが違いますけれど(笑)これからご覧になる方はお楽しみに。悪三郎は二人の刺客を放ち、善二郎を暗殺させます。最期まで弟・悪三郎を信じていた善二郎に自分を狙う悪の首謀者を知り無念の中死んでいきました。葡萄酒の樽で溺れ死んでいた、なんて噂のあるクラレンスですが、国盗人ではステージが和…なので「酒樽」となっていたようです(^ー^)王妃(白石加代子)が弟と連れ子を伴い登場。「善二郎を牢獄送りにするよう王に吹き込んだ張本人」悪三郎の大芝居によって王妃を陥れていきます。悪三郎の腹心・久秀(石田幸雄)はしたたかにそれを冷静に観ています。あくまで大敵をむやみに作らぬポールポジション。全く、巧く立ち回っていますよね。こーいう人、現代のリーマンの中にもいるだろうなぁ王妃が隠れると丸眼鏡をはずし、速やかに悪三郎が王座につけるべく謀を進言。人の善悪を眼鏡ひとつ外す仕草で表す演出は久秀の狡猾さが滲み出てわかりやすいですね。権力のある者の下にピッタリと張り付く、本当に小癪で都合の良い男です(苦笑)王の一郎は、自分が出した処刑取消の書状が牢獄には届いておらず、すでに善二郎が殺されたという事実を知り、罪悪感に苛まれたまま呆気なく憤死。(チーン…)二番目の兄を殺したら、一番上の兄も死んじゃった(≧ｍ≦)(笑)と階(きざはし)まで出てきて独白…観客に自慢しているようにも見えますが(笑)軽～く笑い飛ばす悪三郎は悪びれた様子もなく、あまりにも天真爛漫に言い放つので客席も笑いの渦に。さて…。次は、悪三郎が新王となる邪魔な権力者の始末。そして亡き王・一郎の王子。舞台進行は私のレポートとは前後しますが、ひとつ感じたこと。王妃とその連れ子、弟がセットで登場します。原作の設定ではエリザベス王妃、ドーセット侯、グレー侯と言うことでしょうが…衣装が地味で、身分不相応に王妃となった母、そうした近親の恩恵により出世できたと言う割に…あんまり甘い汁を吸っている成り上がり感がないような(爆)…ていうより…私には単なる身分の低い兵士や従者にしか見えず(爆)衣装がもそっと豪華でもよかったのでは…しばらく「一体あの人たちは何者？」原作をしっかり読んだはずなのに混乱していたプレビュー初日でした(苦笑)←おばかまた折を見て続きを(^ー^)感想が肝心要な舞台に潜む本質にまだ迫れない状態ですが、プレビューとは大分テンポアップしたという悪三郎くんに再会したら、また感じ方も変わるかもしれませんね。レビューも、もそっとテンポアップしないと終わらないかも。だはは(＞ω<)/。・゜゜・

  2007年07月02日

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• 【１：物語と感想】国盗人－プロローグ～悪三郎と杏－

  プレビュー公演初日22日に行ってきました。配役は密かに文中に記載していきます。＊以下、ネタバレを好まない方は『ぜ～ったいに』ご覧にならないでください(^ー^)封印解除の方は続きをどうぞ(笑)【登場人物】☆白薔薇☆悪三郎(白薔薇一家の三男)一郎(白薔薇の王)善二郎(白薔薇一家の次男)皇太后(一郎、善二郎、悪三郎らの母)王妃(白薔薇王妃)王妃の弟王妃の連れ子王子(一郎の息子)左大臣(一郎の忠臣)右大臣(白薔薇の家臣・理智門の義理父)久秀(悪三郎の腹心)太郎冠者(悪三郎の従者)祐筆(白薔薇一族の家来)悪三郎一党の者(二人)★赤薔薇★杏(赤薔薇王子の妃・のちに悪三郎の妻)政子(赤薔薇王の妃)赤薔薇王子●その他●勅使女官影法師市長市民たち【あらすじ】赤薔薇一族と白薔薇一族による権力争いの時代。赤薔薇一族により、自らの長である父と末弟を殺害された白薔薇の三兄弟。一郎(山野史人)、善二郎(今井朋彦)、悪三郎(野村萬斎)は、赤薔薇王とその王子を殺害する。激しい争いの末に勝利を掴んだ白薔薇一族が、新王一族を中心に栄光の宴に酔いしれる中、ひとり鬱々とした気持ちを募らせる悪三郎。醜い姿の自分にとっては、平和な世は災いでしかない。「もはや悪党になるしかない」と王位簒奪の野心を抱く…(略)「国盗人劇場パンフレットより」【感想】※一部敬称略能舞台を模したような朽ち果てた柱舞台。蝉の騒がしく鳴く声の中、白いワンピースに日傘をさした女性(白石加代子)が現れます。「夏草や兵どもが夢の跡」中央に置かれた白い武悪面を拾い上げるとたちまち白薔薇・赤薔薇の闘いの中に巻き込まれていきます。夢か幻かと言ったところなんでしょうか。悪三郎(野村萬斎)は醜男戦場帰りの兵士ような風体で足を引き摺り、片腕は醜く湾曲し、背を丸めて登場。能の次第のような始まり方。空気は重厚な色に変化。能舞台で言う「階(きざはし)」に立ち、余命いくばくもない兄王に善二郎(今井朋彦)が暗に裏切り者であるかを吹き込み幽閉されるよう仕向けたと独白があります。ポスターのキャッチフレーズにもなった「世の中のくだらぬ喜び一切を憎悪してやる」…と。姿は醜く、人気も人望もない。「人生なんて、俺なんて」と自分を蔑んでいながらも殻に籠るのではなく非常に攻撃的、自らの手で運命を変えるべく行動するこの悪三郎(グロースター公リチャード)。「悪党の宣誓」を終えた悪三郎は手始めとして、すでに『先の闘いで手を下した赤薔薇王子』の妃「杏」(白石加代子)を口説きます。夫の喪に服し悲しみに暮れる杏は実年齢からすれば微妙かと思ってましたが(爆)いつもの白石さんらしい低い声ではなく何と可愛らしい(笑)声色、仕草ひとつの工夫で若き王太子妃に見えてくるから不思議です。亡き王子の遺体の側で悪三郎は杏を口説くために饒舌に語ります。悪三郎は持っていた剣を杏に差し出し自分を受け入れぬならば刺し貫けと言って半ば脅迫めいたことを言います。現代語調の杏と狂言調の悪三郎。哀しみに暮れる姿や感情の豊かさはやはり現代語調のほうが高く伝わり、狂言調はいかにも様式的で口先だけ(嘘)のようなのに不思議な説得力がある…目の前で聴くアンサンブルな言葉(音)の聴こえ方にかなり戸惑いがありましたが、あとになるとこれも計算だったりするのかな？と深読みをしてしまいます(笑)何度か鞘から剣を抜こうとすると、悪三郎は絶妙の間で、あなたの美しさが手を下させた張本人だと言い、杏は剣に映る自分の姿を見ては躊躇ってついに刺すことができません。杏との場面では駄洒落を取り入れたり、コミカルな言い回しで進行していくので可笑しくてつい笑ってしまい、息を飲むようなシーンはありませんね(笑)「あなたの優しい胸で生きられるなら」「世界中の男を皆殺しにしたいと思わせたのだ。」-参考＊リチャード三世戯曲-レプリークBis(白石さんと萬斎さんの対談)にも書いてありましたが、杏が悪三郎に悪態をつくタイミングは、悪三郎よりも先に口火を切るような変更を加えているとか。原作を暗記するほどまでに読んではいないので気付きませんでした(笑)が、戯曲「リチャード三世」で読むよりも、役者二人のテンポにすっかり飲み込まれ、妙な違和感を感じませんでした。悲劇的な作りではないから、夫の遺体の前であるにも関わらず、簡単に杏が口説き落とされてしまうところもちょっとした喜劇の一貫に見えてしまいます。白石さん演じる杏は大真面目なんですけれどね(^ー^)すっかり悪三郎の思惑にはまり、館に行っているように促されると「猪の紋章」(日本的に言えば家紋かな？)が出現し、悪三郎の館に入っていったことを表します。【猪＝リチャード三世】と言うのは原作や史実の中も語られているところ。リチャード三世のバッジ(スタンダード)には「猪」が描かれていることもあり、「白い猪」と後世にわたり称されてきました。なぜ猪？と思った方はこの構図を思い浮かべるとシックリ行くでしょうね(^ー^)猪くんのバックは金色というか、黄…。悪三郎が後半身に付ける衣装もゴールドです。本来は白い猪ですが(笑)王様らしさで黄金色なのかもしれませんが『＝反逆者』を連想します(^ー^)さて次のターゲットは次兄 善二郎。瀕死の兄王より早く死なれては困るわけです。…。長いですね(＞ω<)/。・゜゜・次からはもそっと端折って・・更新しましょうかね(笑)というわけで。続く。相変わらずネットは復旧しないので綺麗に編集できなくて誤字脱字多発かと思いますが、いま暫くのご猶予を(苦笑)え！！(゜ロ゜ノ)ノワールドエンドの感想？…悪三郎に邪魔立てされちゃいました…そのうち書きます(笑)

  2007年06月27日

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• [６]シアターガイド7月号－狂言とシェイクスピアの意外な関係

  すでに発売されて10日が経過していますが・・・地元の本屋には置いてなく、やっとこ東京駅丸の内OAZO丸善に降り立ち買おうかと思いつつ、やめて立ち読み(爆）してきました←おいシアターガイド7月号シアガＨＰのグラビアではちょっと見えないのですが、その首もとのスカーフは？？！いや、昔のレプリーク"水玉貴公子"を思わせる(笑）いま、そうやって首元にスカーフを巻く人はあまりいない（爆）さて・・・(￣∀￣)シアターガイドの特集には「国盗人」の簡単な筋書きが掲載されていまして、それを観る限りそれほど深く予習しなくても大丈夫のような気がしてきましたが・・・リチャード三世に不安を感じている方はシアガ、読んでみてはいかがでしょう♪ヨーク家ＶＳランカスター家　の戦いはそのまま『白薔薇ＶＳ赤薔薇』という家の戦いということになっており～○白薔薇・リチャード三世はご存じ＝悪三郎・エドワード四世（長兄）＝一郎・クラレンス公・ジョージ（次兄）＝善次郎・エリザベス・ウッドヴィル（王妃）＝？（明かされてません）・ヨーク公未亡人（公爵夫人）＝？←一郎・善次郎・悪三郎の母●赤薔薇・ヘンリー六世＝？←悪三郎に殺されちゃう人。赤薔薇の"王"としか書かれてません）・エドワード（皇太子）＝？←やっぱりとうちゃんと一緒に殺されちゃう。この人も名前は謎・マーガレット・オブ・アーンジュ（先の王妃）＝政子←呪いの達人なる人・アン・ネヴィル（皇太子妃）＝杏←そのままじゃん(笑）その他のキャストは不明です。バッキンガム公はキーマンなのでいないと困るのだけれど名前はやはり謎。その他、白薔薇家　悪三郎に殺されてしまう一郎の子どもたちもいるはず。ドーセット侯やグレー侯はいるのかな・・・・どのあたりのキャストまで登場するのかわからないけれど、上の主要メンバーさえわかっていれば大丈夫っぽいかな？？はてさて。「リチャード三世」ではすでにヘンリー六世とエドワード皇太子は殺されてしまったあとですが、国盗人では先の王妃「政子（マーガレット）」の目の前で殺されちゃうところからなのかな、という雰囲気が。政子の恨みがここからだと言うことが観客側から観て分れば随分違うかもしれません。悪三郎は暴挙の限りを尽くし権力も女も手にしてしまいますが、一人また一人と側にいたものが離れていき・・・いやぁ、どんなクライマックスを迎えちゃうんでしょう。それにしても。一郎善二郎悪三郎という名前の付け方はどーであろう（笑）おっかさんよ・・・(→ω←)ぷっ狂言らしく安易で(爆）単純明快なところが狂言の手法を取り入れようとしている「国盗人」の一端を感じられます。どんなふうに魅力的な「悪人」を魅せてくれるのか。6月22日のプレビュー公演でそのベールに包まれた真相は明らかになりますがパンフレットを買って目を通す瞬間が今から楽しみです(￣∀￣)

  2007年06月12日

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• ［５］エドワード四世とエリザベス王妃

  ルーアンの薔薇と称された美男子の誉れ高き王がエドワード四世。リチャードのお兄さん。肖像画を見ても…のへ～…っとして「そうかなぁ」と言う感じなのですが(笑)まぁ日本でも中世は下膨れな女性が美しいとされたから、昔はエドワード四世のような面立ちがモテたんでしょうね(笑)あちこちへ浮き名を流したプレイボーイ【イングランド版の光源氏】ってとこかなぁ(笑)鷹狩りと言う名目で出掛ける先には必ず女性がいて、エドワードが来ると知れば男たちは妻や娘を隠したという(笑)愛人たちはやたら「エリザベス」と言う名前ばかりだったようですが(笑)妻に迎えた人の名も「エリザベス・ウッド・ヴィル」エリザベス好き？？？（笑）妃選びを早まって臣下の反乱を招くことなど知る由もなかったエドワード四世。まぁ…女で身を滅ぼしかけた王…なんて珍しくはないのだろうけど(苦笑)戯曲リチャード三世でも、エドワード四世王妃「エリザベス」は、グロースター公・リチャード(三世)やクラレンス公・ジョージから大変疎まれていることでもわかるように、連れ子がおり、身分も王妃になるには低すぎました。生まれも育ちも元々高貴でブルジョアな王室の人々から見たら「年下のエドワード四世をたらしこんだ年増の成り上がり者」なわけで。いい気はしませんよね。しかもエドワード四世が王に就くときに大変貢献した伯父でもあるウォーリック伯(リチャード・ネヴィル)が進めていたフランス王室との縁談を無視して結婚してしまったので、さぁ大変。それだけならまだしも、こうした口やかましい伯父ウォーリック伯からの脱却と権力を切り離そうとエリザベスの身内を次々と重要なポストに就かせてしまいます。これにはウォーリック伯どころか周囲の不満も募る一方です。そんなもんだから、力のあったウォーリック伯は王座に魅惑を感じるクラレンス公・ジョージを誘い、マーガレット率いる？もとい、ヘンリー六世のランカスター派に寝返った、という経緯があるわけで。人気のある王様だったようですが、より薔薇戦争を複雑にしたのもエドワード四世なのではないかなぁ結局、ウォーリック伯は戦死しクラレンス公・ジョージは兄エドワード四世の元に戻りましたが、その後も絶えない強欲な癖は抜けきれず、議会にかけられ処刑の判決が下ります。戯曲の悪党リチャードのイメージをまたまた崩す余談ですが、史話ではこの兄ジョージの処刑には猛然と反対したリチャードだったとか。クラレンス公・ジョージについても、戯曲とはまた全然違ったキャラであることは、前回[４]と重複してしまいますが、弟がこんな風になったのも、女たらしな兄エドワード四世のせい…か…も(爆)この兄ちゃん、肺炎死亡説がありますが荒淫がたたり寿命を縮めたという噂も…。王妃エリザベスも、親族が次々に力をつけていく反面、そんな反抗勢力からの妬みをまともに食らい、やや悲劇的なイメージがありますが、ちゃっかりしている感じもしますね。戯曲リチャード三世では、二人の王子たちをリチャードに殺された悲劇の王妃ですが、「憎い憎い」と言いながら、娘をリチャード三世と結婚させても良いとまで心変わりをしてみせます。結局はリチャード三世を下したリッチモンド伯・ヘンリー七世と結婚をさせることになるのですが…なんだか都合良いような(^_^;)時代が時代だからやむを得ないことなんでしょうけれどね～…【薔薇戦争ってなんぞ？まめ知識】薔薇戦争とは、簡単に言ってしまうとヨーク家(白薔薇)VSランカスター家(赤薔薇)という一族の権力闘争です。元を辿ればヨーク家とランカスター家はエドワード三世を祖とした４男と５男の家系で同じ「プランタジネット王家」と言う身内の中の戦争です。戯曲リチャード三世でこんな台詞があります。第二場で先の皇太子の棺の前でアンがリチャードに口説かれるシーンでアン「あの方にまさる夫がこの世にいるはずがない」リチャード「いるとも、もっとあなたを愛している男が」アン「だれ？」リチャード「プランタジネット」アン「まぁ、あの方ではないか」リチャード「姓は同じでも、気立てのもっといいひと」アン「どこに？」リチャード「ここに。」…とあります。例えば一族すべて「山田さん」だったら「山田さんがあなたを愛しているよ」と言うことになり(笑)自分(アン)だってプランタジネットなわけだから…なんだか妙なやりとりの台詞ではあります(爆) それにしても。国盗人でもこんなに必死に口説くんでしょうか…(笑)さて。「リチャード三世とその仲間たち」←仲間と言うには仲悪すぎ(笑)大概私の知ってるような浅い部分のお話はリチャードを覗いてしてしまいました(笑)それこそ、バッキンガム公とかちょっとしたキーマンもまだいるんですが…書けるほど知りません(苦笑)ますますこのブログの内容も国盗人やリチャード三世とはかけ離れてしまいそうですが(苦笑)次は大御所。「白い猪」リチャードについて書けるかな

  2007年06月12日

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• ［４］リチャード三世「マーガレット編」

  ◆赤いばらの女王ヘンリー六世妃マーガレット(オブ　アーンジュ)…の続きです。精神を病んでヘロヘロな夫・ヘンリー六世はロンドン塔に幽閉されたり、マーガレット王妃に取り返されたり、逆襲の渦中に巻き込まれ、すったもんだが続きました。「余がいない方が勝てるという、いっそ死んでしまった方が！それが神の御意にかなうなら…」＊シェイクスピア「ヘンリー六世」よりうぁ～ぁぁん、ボクなんかいないほうがマシなんだ(;o；_；)o↑ヘンリー六世肖像画も可哀想なほど気弱な感じです。マーガレットは過激なだけではなく謀略にも長けていたようです。エドワード四世の弟であるクラレンス公・ジョージ。兄の王冠を簒奪する野望を抱いている、と言うことをすかさず察知、味方に取り込んでしまうわけです。↑戯曲リチャード三世ではイイ人すぎてそんな気配微塵も見せないけどそれでもグロースター公・リチャードは甘い囁きには応えず、ひたすら兄エドワード四世の復位に貢献していたのです。一旦はエドワード四世を玉座から追い落とし、ヘンリー六世の復位が叶いますが、すぐにまたヨーク家のエドワードは反撃を開始。この間、ランカスター家に寝返ったクラレンス公・ジョージを説得。形勢不利と感じたジョージは兄弟と和解したのだそうです。全く、なんて都合のいいやつ(*｀Д´)ノ！！！…あ。マーガレットのお話でした(笑)最終的には夫ヘンリー六世はロンドン塔で殺害、皇太子のウォーリック伯エドワード(またここにもエドワード・汗)もチュークスベリーの戦いで殺されてしまうのです。↑皇太子エドワードとはアンの元ダンナです(笑)リチャード三世戯曲では、この殺人がグロースター公・リチャード(三世)によって成されたとされていますから、マーガレットの怨みも深いってわけです。↑でも真相は謎リチャード三世 戯曲の中においては「わわしい女ナンバーワン」ではないかと(笑)肖像画を見たら、可憐な感じなんだけどなぁ…人々を死の淵に追いやったフランスの雌狼そんなマーガレットの晩年はフランスに返され、寂しい晩年を迎えたようです。庇護をしてくれるはずのフランス王ルイ十一世からも見放され、決して幸せな最期ではなかったようです…。国盗人のことはどーなっちゃうのか全くもってベールに覆われているので～・・・たんなるリチャード三世まめ知識になっていますが（笑）国盗人を純粋に楽しみたい人はクラレンス公・ジョージがホントは裏切りモノなんじゃないかとか、頭に入れないほうが・・・いいのかもしれませんけれど（苦笑）さて。次は、エドワード四世とエリザベス王妃夫妻のお話に参ろうとぞんずる。。。

  2007年06月08日

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• ［３］戯曲リチャード三世のあらすじ

  ヘンリー六世王妃マーガレットについて先に書いてしまいましたが、簡単あらすじをば。【リチャード三世】エドワード四世の時代。病に臥せっている兄エドワード四世を見て長くはないと確信を得たリチャードは、自らが王冠を戴くための足掛かりを築き始める。まず邪魔な人間は次兄クラレンス公・ジョージ。巧みにエドワード四世に逆賊の疑いありと吹き込みロンドン塔へ監禁させ、そこに刺客を放ち殺害に成功する。一方、ランカスター家・ヘンリー六世とその皇太子をすでに殺害していたリチャードは、その皇太子妃アンを口説きついに我が物にしてしまう。これはアンの実家であるネヴィル家が持つ広大な所領が目的だったと思われる。愁いを遺したままのエドワード四世は病死。本来であれば嫡子エドワード五世が即位し、叔父であるリチャードは摂政を勤めるはずだったが、王位簒奪を企むリチャードは、巧みにその母后エリザベス(ウッドヴィル)と二人の息子たちを引き離す。そしてロンドン塔に押し込められた王子二人は暗殺、忠臣らも反逆罪として処刑。挙げ句にはバッキンガム公を使い「エドワード四世とエリザベス王妃との結婚の前には他の女性との縁談があった。これは重婚であるから無効であり、その子エドワード五世も王位継承者として相応しくない」「しかも亡きエドワード四世は母セシリーが浮気によって産んだ子供であった」とまで吹聴した。市民は納得こそしなかったが沈黙し、ついにリチャード三世が即位する。バッキンガム公はリチャード三世を王位に就かせた労の報酬を申し出るが、リチャードはこれに応じず。腹を立てたバッキンガム公は反乱を起こそうとするが失敗。バッキンガム公は結局捕らわれて処刑される。亡命中だったヘンリー・テューダーがフランスから侵入、王位奪還を狙う。リチャードは自らが戦場に赴いたが奮戦実らず、ボズワースの戦いにてヘンリー・テューダーの前に破れ戦死。ヘンリー・テューダーは「ヘンリー七世」として即位。ヨーク家であるエリザベス・ウッドウィルの娘、エリザベスと結婚し和解、これでランカスター・ヨーク家による薔薇戦争は終結した。【…とまぁ…】殺戮を重ね続ける鬼のような存在、リチャード三世。いたいけな王子、エドワード五世やヨークまで殺しちゃうなんて…ねぇ。でもリチャードを取り囲む面々に「かわいそう」と感情移入してしまうような感想があまりないのはなぜだろう。例えば…アンは夫を亡くしたばかりで棺とともにあるとき、リチャードに口説かれるけれど、最後には「ごきげんよう♪」なんて言いながら結婚を承諾するし……リチャードは愛すべき夫を殺した憎い敵ですよ(爆)エリザベス妃は「娘と結婚させて♪」と懇願するリチャードの申し入れを半ば認めてしまうし…これも愛すべき二人の王子を手にかけた憎き夫の弟ですよ～しかも、実兄や前夫との子どもたちまで失う羽目になっているのにいかにも「短絡的」「骨のあるやつがいない」とどこかで読んだ感想ですが、同感で(笑)マーガレットも汚い言葉で罵ってるだけだし、バッキンガム公は調子がいいし、リチャードの生母、公爵夫人(セシリー)も自分の息子なのに憎しみの言葉を吐き洩らすだけ。リチャードの前にひざまずくのは己の利権に関わるときだけ。愛のある人間関係が見えてこない。唯一、ロンドン塔で殺害されたクラレンス公・ジョージはリチャードを大切に思っていたようだけれど(戯曲では)、史話で語られている所業を知ってしまうとあまり好きになれないし(爆)↑いづれ日記に書きますがせめて母に愛されて育っていたら、リチャードはもっと違った人格形成を辿ったかもしれないのに……かわいそうじゃないか、リチャードがっ…。あれヾ(゜０゜*)ノ?なんだかちょっと泣けてきます。「悪」がどうして生まれるのかなんてことを考えてしまうのでした。トップページへ戻る

  2007年06月06日

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• ［２］リチャード三世「マーガレット」編

  ◆赤いばらの女王ヘンリー六世妃マーガレット(オブ　アーンジュ)戯曲「リチャード三世」では、ひょっこり現れては悪態や呪いの言葉を吐きまくっては、ウザがられているランカスター家元王妃「呪いの達人」です。最終的にはマーガレットの言うように宿敵ヨーク王朝はリチャード三世の戦死をもって終わり、殆んどの人々は不幸のどん底ですから、念願叶ったり…なわけですよね。この不気味な言葉を放つ老マーガレット。薔薇戦争の立役者にはなくてはならない重要人物。かつて、マーガレットはフランスから和平のためにヘンリー六世に嫁いだ女性です。気弱で政治に無能な夫ヘンリーの代わりに陣頭に立ち、数々の戦争を招いた並々ならない権力への執着。最近、萬華鏡でレビューを書き続けていた誰かに似てませんか(笑)「花の乱」に出てくるあの人(笑)…英国版「日野富子(応仁の乱)」にも思えてしまう「花の乱冷め遣らぬ私」です(。-∀-)ヘンリー六世が精神異常を発症してどうにもこうにもならないので、立派な叔父ヨーク公リチャード(リチャード三世の父)が後見人(摂政)になった時期もありました。マーガレットにとってみればヨーク公・リチャードは有能な上に自分の祖国フランスに対しては主戦派。正直「目の上のたんこぶ」の何者でもありません。しかも我が夫、ヘンリー六世の王位奪回すら企んでいるやつ。「えぇい、邪魔なやつめっ！はらだちや、はらだちや…」←言わないね(￣▽￣;)王妃の身の上であるにも関わらず、闘いの先頭に立ち、ランカスター軍の指揮をとります。そしてあと一息で王になれたはずのヨーク公・リチャードを戦死に追いやります。執念の勝利。噂によれば、このヘンリー六世妃マーガレットは残忍な処刑好き。自ら捕虜の首筋に斧を振るったとか振るわないとか…(怖)先にも述べた自分の地位を脅かしたヨーク公・リチャードの晒し首には「紙の王冠」をのせて笑い者にしたそうな…悪趣味でござるよ。過激なところは源頼朝の妻、北条政子に近い(笑)←愛人の家を破壊した激しき気性の持ち主でもマーガレットほどの残虐さは北条政子とてカワイイものに思えてしまいます(苦笑)その後、戦死したヨーク公・リチャードの遺志を継いだ息子エドワード(後の四世)が弟、クラレンス公ジョージ、リチャード(後の三世)らと協力してランカスター家を敗北に追いやり、ヨーク家念願のエドワード四世王が即位します。めでたしめでたし…チョンチョン…って終わらないんですね(￣▽￣;)戯曲「リチャード三世」で語られている過去からの憎しみやランカスター・ヨーク両家の確執は特にこんなところから関わっています。「ヨーク公・リチャード」(リチャード三世のお父さん)ＶＳ「マーガレット」の時代のお話でした。「赤い薔薇の女王」「フランスの雌狼」などと言われたマーガレットの反撃はまだまだ続いちゃいます。本を見ながら書いていないので、かなり適当な書きっぷりです(￣▽￣;)ちゃんと知りたい方はWikipediaなどで詳しく読んでください←こらあ～(汗)ケータイのバッテリが…つづく。

  2007年06月05日

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• ［１］【序章？】国盗人とリチャード三世を楽しむ日記

  萬華鏡の更新は久しぶりです。時の経つのは早いものでf(^ー^;気付いたら３周年を迎えてました。今日から６月。国盗人までもうちょっとです。リチャード三世は読み終わってしばらく経っているものの、もともと戯曲を読むのは苦手なので頭に入ったのかどうなのか(苦笑)でも、リチャード三世という薔薇戦争の最後を飾るイングランド王とその仲間たち(笑)のお話はなかなか面白いものです。グロースター公・リチャード(のちの三世)が殺したとされているヘンリー六世と皇太子エドワード。←ランカスター家ねそして遺された王妃マーガレットと皇太子妃アン。このマーガレット（私の持っているリチャード三世の戯曲では老マーガレットなんて書いてますが・笑）激動の生涯なんかも随分とこれ興味深いんですよね～。戯曲では「呪いの達人」ですが・・・(怖）ここの殺戮もあくまでハムレットの戯曲「リチャード三世」の中だけの話で、実際に誰が殺したかという真相は明らかになっていない部分ですが、それはロンドン塔に幽閉されたエドワード四世の遺児、エドワード(のちの五世)やリチャード(弟)二人の小さな王子たちの死も謎に包まれたとこです。戯曲では主人公リチャードがなーんの躊躇いもなくじゃんじゃん殺しまくってますが…(￣▽￣;)ここまでつらつら書いてきて思ったのだけれど、名前がややこしや～ったらありゃしない(笑)ヘンリーもエドワードもリチャードもいーっぱい出てくるし何だか書きながら「この人何したリチャードだったっけねぇ」みたいなことになります(笑)「リチャード三世」戯曲には登場せず言及されてるだけですが、☆リチャード三世のお父さんもリチャード(ヨーク公)だし、☆甥もリチャード(これまたヨーク公だったりする)、☆義父もリチャード・ネヴィル。そう、リチャードが戯曲の中で散々に口説き倒したアンのお父さんです。余談ですが狂言を観始めたころ、○世万蔵とか○世千五郎とか一体誰が誰の子供でどーなってんの？今は何世なんじゃ？と首を捻っていたけれど、それより遥かに複雑←当たり前か史話を語るときは仕方がないのだろうけれど、私は外国人の名前と世界史が苦手なのでツラいとこです。↑かと言って日本史も微妙なのだけれど(爆)ということで。タイムアップ。切り替えて仕事に向かいます。花の乱レビューの日課も終わり、ネタもあまりないので(笑)しばらく「国盗人・リチャード三世を楽しむ日記」を書いていく予定…子午線の祀りほどはきちんと書けない自信があります(￣▽￣;)ですが、気付いたら千秋楽だったぁぁぁあ…と言うことは避けたいものです←ありうるし(笑)あ、「花の乱」は時代劇専門チャンネルで明日６月２日(土)から一挙再放送です。録画できなかった方はチャンス(。-∀-)ニヤリ

  2007年06月01日

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