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私がタイのプレムチャイジムで練習していた時、ポン君という有望な子供がおりました。ポン君はまだ13歳でしたが、イサーン(東北地方)から男一匹上京し、ファイトマネーはすべて仕送りして家計を助けているという、幼いながらいっぱしのプロの顔つきをしているのでした。
私はタイでもなぜだかガキ共には人気があり、その中でもポン君は特に私になついておりました。(むかしから私は女にはもてませんが、ガキとオカマにはもてるのであります) そのポン君が試合前だというのにカゼでダウンしてしまったのです。薬を飲んでも一向に良くならず、ぐったりしているポン君に試合をキャンセルする事はできないのです。タイの子供はカゼだろうがなんだろうが試合をやらされてしまう。そうやって勝ち抜いていった者だけが生き残っていくキビシイ世界なのです。 「困っている人がいたら助ける」これは我がナカムラ家の家訓なのです。私は日本から持ってきた「新ルル・エース」のビンを持っていき、「これは日本で一番いい薬で一粒100バーツだぞ」と言うと「なにっ!」とばかりにジムの連中が集まってきました。(ちなみに当時1バーツは約4円。カオパット20バーツ、ゴーゴーバーのビール60バーツ)「オレにもくれオレにもくれ」とあっという間に行列ができ、大事そうにチリ紙に包んでしまう奴、中にはその場でボリボリ食べだす奴もいる。「こらっ!お菓子じゃないぞ」と関係ない奴らを追っ払い、ポン君にも飲ませたのです。するとどうでしょう、次の日にはポン君はすっかり治ってしまったのです。元気をとりもどしたポン君は試合にも勝ち、私の株は上がったのでした。 私は「病は気から、とはこういう事をいうのだな」と思ったのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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