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即時に全原発を廃炉にすること。核燃料サイクルをやめ、六ヶ所村の再処理施設に替わる再処理方法に転換すること。高速増殖炉も現在の計画は中止すること。それでも今後かなりの期間、原子力技術は必要とされる。私は、福島県郡山市に生まれ、高校卒業まで、美しい安達太良山を望んで育った。その故郷が失われた悲しみを諦めにはしたくない。せめてもの再生の願いをこめて以下の意見を申し述べる。2011年3月11日の東電福島第一原発の事故は、これまでの原発安全神話を根底から覆した。安全対策は、危険性を認知して初めて成立するものである。安全と言い張っているうちは、事故隠しをはじめ、情報の隠蔽は止むことがない。12日早朝には一号機のメルトダウンが始まっていたにもかかわらず、政府にすら知らされていなかった。現時点で振り返ってみれば、政府・東電の情報隠し、偽情報の流布は、目を覆うばかりである。そしてそれは現在も続いている。これまでの原子力行政、エネルギー政策を根本から見直し、安全で低コストな技術を官民一体となって開発し進めなければならない。これまでつぎ込んだ10兆円を超える資金を以ってすれば、疾うに達成されてしかるべきであった。まず、9電力の地域独占をやめなければならない。そのためには、発送電分離、送電網の整備、送電方式の変換などを実現しなければならない。これまでの研究開発の重点を大きく転換すれば、簡単にできることである。また過大に膨れ上がった電力需要を、節電や省エネ技術の発展により、抑えることができることを考えれば、すでに原発不要の体制は整っていると見ることができる。関西電力の現状が、再稼動の必要性が決して電力不足によるものでないことを示している。今こそ核兵器技術につながるウラン-プルトニウム原発に決別しなければならない。その上で、しかしすでに膨大に蓄積されたプルトニウムをはじめとする放射性廃棄物の問題は残らざるを得ない。4号機の燃料プールをはじめ危険性はいまだ何も解決されていない。事故の収束などいまだ道遠しなのである。政府・東電はこのことを謙虚に認めなければならない。そのためにも福島第一・第二原発は、独立の機関で廃炉に向けた作業を進めなければならない。また再処理技術の見直しが必要である。六ヶ所村の再処理技術は安全性の面でもコストの面でも、失敗である。電中研OBの服部禎夫博士の乾式再処理技術を検討してみてはどうか。高速増殖炉にしても、計画の失敗は明らかである。にもかかわらず、既得権益の保護のみに汲々として、事態を直視しないいわゆる原始力ムラの面々の罪は許しがたく万死に値する。東電の解体と、9電力の電力独占体制の解体は、すべてに先駆けての前提条件であることは論を待たない。とにかくこれまでの、原発中心のエネルギー政策を改めなければ、日本という国の将来はない。すでに福島を中心とした東北・関東のかなりの部分が、沈没してしまったのである。目には見えないが、放射線管理区域のようなところに日常的に生活するという恐ろしい事態は、国を挙げて英知を集めて即時に改善しなければならない。まず福島県を始めとする放射能汚染地域から住民を移住させなければならない。子供と若い女性は優先的に避難させなければならない。安全を信じる信じないに関わらず、放射能被害は等しく生命体に降りかかるものである。まず安全。安全が確認されたら、帰ればいい。それが防災など危機管理のイロハではないか。現在はまったく逆のことが行われている。また食べて応援などというキャンペーンを即刻やめるべきだ。生産しなければ補償しないなどというバカげた政策はやめよ。農民に被爆させようというのか。絆というなら、子供を疎開させ、町ごとの移住を具体的に支援することではないか。日本の技術力と世界のこれまでの知見を持ってすれば、この危機を乗り越えることは可能だと信じる。であるがゆえに現実から目を背け、被害者を切り捨てる今のやり方には限りない怒りを感じるのである。現在の日本は核戦争後の事態であることを肝に銘じよ。核兵器を持たない日本が、原発事故によっていわば自爆・オウンゴールの放射能汚染を引き起こしてしまった。海洋汚染の広がりは地球的汚染を示している。なのに、それを何とか隠蔽しごまかして、これまでの原子力政策を続けようというのである。とても正気の沙汰とは思えない。最後にもう一度まとめると、再稼動を撤回し、即時全原発廃炉に向けたタイムスケジュールを作ること。ガスコンバインドなどの火力発電所の増設で再生可能エネルギー技術の確立までの時期を乗り切るのは可能である。原子力規制委員会は人事は論外だが、その存在自体も原発存続を前提とするもので、不適当である。必要なのは、廃炉実施監視委員会であろう。何よりも、放射能被害の医学的・物理的情報の開放を進め、知らされない事の住民の不安を払拭しなければならない。また希望者全員の移住を保障し瓦礫の全国拡散を即時にやめなければならない。比較的放射能が少ない地域を、わざわざ汚染させてどうしようというのか。全てはこれまで起きた事の責任を曖昧にしようとする企みとしか考えられない。姑息なことはやめよ。