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テーマ:今日は何の日?(481)
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2610/08/14 死んだ富豪バンクロフトの精神の最後の遠隔保存。
(『オルタード・カーボン』上下巻 リチャード・モーガン アスペクト文庫) ____________________________________ 人間の精神活動のデジタル化と保存が可能になった世界。超光速通信はあるが、 超光速航法はない状況で、人類は、太陽系外に受精卵と精神を保存した メモリー・スタックを送ることで移民を行った。主人公タケシ・コヴァッチの 出身地は、地球から186光年離れたハーランズ・ワールドで、日本の系列が 東ヨーロッパの労働力を利用してつくった入植地だった。彼は、エンヴォイ (特命外交部隊)という特殊部隊にいて特殊訓練を受け、何度もデジタル 人間移送による任務を経験していた。除隊後、犯罪に走り、200年近い 保管刑を受けた。そして、目覚めたとき、そこは地球で、富豪で有力者で、 357歳のローレンス・バンクロフトから、自分が殺された事件の調査を依頼 された。バンクロフトは自宅で、頭に埋め込まれたスタックを破壊するように 射殺されていた。警察の捜査では、侵入者もなく屋敷内にいた人間も犯人では なく、自殺と断定していた。しかし、バンクロフトは、自殺であることに 納得せずコヴァッチを雇った。バンクロフトは、スタックの遠隔保存を行って いて、かつ、クローンの身体を用意していたので、保存された時点の状態で 生き返っていた。生き返ると分かっていて自殺はありえないと考えていた。 最後に保存されてから射殺されるまで、約48時間があった。 一方、捜査をしたオルテガ警部補は、再生した直後のコヴァッチに接触して きて、事件は自殺で間違いないと強調していった。 バンクロフトと妻に話を聞いた後、ホテルに向かったが、チェックインする 途中で、ふたり組に襲われ拉致されそうになる。幸いホテルのセキュリティ・ システムによって、ふたり組は射殺された。コヴァッチは自分を拉致しようと した人間がいたことから、バンクロフトの事件は自殺ではないと確信した。 未来を舞台にしたハードボイルド探偵物です。未来の技術が事件の謎や原因と うまく絡んでいて、ご都合主義なところは、ほとんどありません。 2610年というのは、8月14日が火曜日で、ライカー刑事が、国際的事件解明で ヒーローになったのが、2609年なので、2610年か2621年。オルテガ刑事が34歳で あることを考えると2610年しかありません。 人間の身体は、スリーヴと呼ばれ、精神の入れ物のようになっています。 スリーヴに他人の精神を入れるためには、メモリー・スタックというタバコの フィルターほどの大きさのものを後頭部に埋めこんでいる必要があるようです。 スタックを埋め込まれた人間の人格・記憶・精神は、全てスタックに記録され るようで、スタックさえ破壊されなければ、死んだ時点の状態で生き返ること ができます。そのため、犯罪捜査では、スタックが残っているかどうかが重要に なります。 シリ-ズ化され、『ブロークン・エンジェル』『ウォークン・フェアリーズ』と 続きます。 (新規) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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