MASQUERADE 澤田知子展
KPOキリンプラザ大阪で表題の写真展が開かれている。澤田氏の過去10年のセルフポートレートの集大成のようだ。 仮面を剥ぎ取るように次々と新しい仮面が現れる「MASK」、眉、目、口、髪型など微妙な違いの変化で表情印象が次々と変遷していく「Appearance」、一見卒業アルバムのような「Recruit」、等々女とはかくも変幻自在な化け物かと恐れ入るばかりなのだが、文句なしに楽しいのは澤田氏のキャラクター故か作品の出来によるものなのか。仮面と本当の面との違いは何か、とか、どれが真でどれが偽なのかといった疑問はナンセンスだ。あるのはどれも澤田氏本人本物だという事実。ところがだ、この会場に当のご本人澤田氏が姿を現した。ン、ン、これは本物の澤田氏かと疑ってもいい訳だが、すぐにご本人とわかるところがまた面白い。ではあの変装は何なのか、かの作品群では他人と見間違えかねない変幻なのにだ。 この展示会で特に興味を感じたのは「Appearance」。広義の動画と言ってもいいのだが、狭義の動画の範疇には入らないだろう。一般に動画といえば単なる動きだけを捉えたものも指すであろうが、アニメとか映画とか基本的に時間芸術を意味したい。それに対しこの「Appearance」の本質はあくまでも空間芸術である。絵画彫刻写真工芸デザイン書等従来の概念の空間芸術の範疇をはみ出しているところに既成概念に囚われないこれの斬新さがあると感じる。 写真の場合2次元の紙の上にプリントされたものだけが「写真」だとこだわるのは時代遅れになるだろう。デジタルだ銀塩だとかはもうどうでもいいのだ。もっと突き進めて新しい表現様式の創造を考える時期にはいっている。http://www.kirin.co.jp/active/art/kpo/art/now_2.html