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カテゴリ:■爺と婆の立ち話
![]() フク爺「サチ婆さんや、 キイロウ爺さんはいつも七夕に何を書いたか知っちょるかい」 サチ婆「そんなもん知らん」 フク爺「そうやな、サチ婆さんは意外にキイチロウ爺さんのこと知らんもんな」 サチ婆「……」 フク爺「七夕の短冊な、サチ婆さん、名前を書くのを忘れたち言うたはな」 サチ婆「ワシはあわてん坊やけんな」 フク爺「うんにゃ、違うと思うで」 サチ婆「……」 フク爺「キイロウ爺さんも短冊には名前を書かんかったんや」 サチ婆「爺様が、あの几帳面の爺様が……」 フク爺「そうや、短冊にはな『みんなが健康でありますように』とか 『この村に災害が起こりませんように、やすらかな時間を』とか こん村んことばかりを書いちょった」 サチ婆「爺様は、なぜ自分の名前を書かんやったのかい?」 フク爺「村ん人、全員の願いやったんや」 サチ婆「……」 フク爺「自分んだけじゃなくて村人みんなことを考えちょったんや」 サチ婆「……」 フク爺「オマチの七夕飾りが派手になっちいきよっるのを見て、 こん村は笹竹の飾りに凝るんやち、キイチロウ爺さんは言っちょった。 七夕は竹と短冊と折り紙飾りが一番やとも言っちょった」 サチ婆「……」 フク爺「そうやな、キイチロウ爺さん、そう一枚だけ名前を書いちょったわい」 サチ婆「どんな短冊やった?」 フク爺「ふふふ」 サチ婆「隠さんと教えよな」 フク爺「ふふふ『婆様が元気でありますように キイチロウ』とな」 サチ婆「……」 フク爺「蝉が鳴きよるな……盆が近づきよるわい」 ![]() 人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.08.07 07:32:11
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