灰色の空のむこうには…

それにしても案内役ってなんだか地味ね～。
まぁ、一応案内してるのが国賓のオーブのお姫様だから
そんなのと張り合えるのはわたししかいないので、
わたしにしか出来ない仕事といえば仕事なんだけど。
怪我してるから医務室に連れて行くっていうのも
ほんと退屈だわ。この艦は戦闘体勢に入っていると
いうのにわたしの愛機は調子が悪いから出撃できないと
きたら、こうしているしか仕方ないのよね…。
でもあの護衛、本当にあのアスラン・ザラなのかしら？
どうせ処置が終わるまですることないことだし、じっくり
観察でもしてようっと。



＜いきなりの爆発音にびびるルナマリア嬢＞


何！？何なの？？？
いきなり爆発音がしたけど、このミネルバまでどこか
被弾したっていうの？
まったく医務室にいると戦闘の状況がわからないから、
それもそれで怖いことよね。これからもミネルバが
戦闘に出るたびに、ここの衛生兵の人たちって状況の
わからないまま待ち続けないといけないのかしら？
なんだかそれってかなり不安のような気もするけど。
ふと思ったんだけど、後方支援の人たちって戦闘中は
何してるのかしら？ちょっとした疑問よね…、実際。


わたしの名前はルナマリア・ホーク。

それにしても初めてオーブのお姫様って見たけど、
わたしと並んでみるとどう見てもわたしのほうが
華があるわね…。ふっ、勝った！



＜台本を読みながら報告するルナマリア嬢＞


あっ、コンディションレッドの発令も解除されて、
イエローに移行したみたいだし、艦長に報告に行かない
とっ！艦長に報告するのって、なんだか緊張しちゃうわ。
まぁ、台本どおりに言えば大丈夫かしら？でも、
手に台本を持ったまま報告するので、気楽かといえば、
気楽だけど、さぁブザーを押すわよ。台本を見る限りは
なんだか文章が長いので噛まずに言えるか不安だけど、
やっと脚光を浴びるシーンなので頑張るとしますか。
それにしても３話にしてようやく長い台詞が来るなんて
いったいわたしをなんだと思ってるのかしら？


あれ？シンが暇そうにしてるわ。わたしの出番は終わったし、
イエローで待機するにしても機体の整備って言っても
修理のほうが優先だからわたしってばすることないのよね。
シンでも冷やかしに行こうかしら。無事にお姫様と護衛の
人も艦長に伝えれたしね。そうそう、あの護衛がひょっと
したらあの伝説のアスラン・ザラかもしれないっていう
ニュースはまだ誰も知らないはずだから、このとっておきの
ニュースを話さないって手はないわよね。

もうっ、シンったら、なんでそう無感動なのよ、せっかく
わたしがとっておきのニュースを伝えたってのに、あまり
反応ないみたいだし。しきりにあのザクを誰が動かしてたか
ばっかり気にするなんて。本当に根暗でおもしろくないん
だから、もういいわ。でもあのアスラン・ザラが本物だと
したら、この際いろいろと近づいておかないとね。うわさでは
オーブに行ったとかいう話だったし、先の大戦ではお姫様と
一緒に戦ったから、思わずお姫様が口走ったのも現実味が
あるしね。

あら？議長がお姫様と護衛の人を連れてデッキに来たわ。
なんで機密なのに議長はよその国の、しかも国賓を連れて
来たのかしら？まぁ、議長の権限で連れてきたのなら、
わたしたちには何も言えないけどね。
って、そうこう見てるうちにお姫様が声を荒げだしたわ。
まったくお姫様と言っても乙女にはほど遠いことばかり
してるわね。見れば見るほどわたしの描くお姫様像から
離れていっているわ、なんだか幻滅～。こうなったら
わたしが乙女を目指すのをやめてお姫様を目指そうかしら？
え！？シンが何か言ったわ…。綺麗事はアスハのお家芸
ですって？議長がいるっていうのに、まったく何言って
いるのよ。根暗はこれだから、場の雰囲気が読めないから
困るわ…。無愛想な金髪がシンに掴みかかりに行ってるし。
あの襲撃以来、艦内もムチャクチャだわ…。

コンディションレッドが発令されたわっ！！！
なんか気まずい雰囲気だったけど、これで解放されるわ。
パイロットはモビルスーツに待機だから、早く着替えて
こなくちゃ。でも、こんな短期間にわたしの愛機は修理された
のかしら？整備士のみんなも途中で作業を中断して、シンと
お姫様のやり取りを見てたみたいだけど。
まぁ、いざこざはともかく、今度こそ絶対に活躍するわよ。
戦場を駆ける乙女の強さ、見せてあげるわっ！
さぁ、出撃するわよっ！！！




機動戦士ガンダムSEED　DESTINY　1


ＰＨＡＳＥ２４以降の本編"恋する乙女の脳内補完計画”は
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