散り生く/逝く。
前回に続き彼岸花のお話。彼岸花は、地方によって死人花とか地獄花とか呼ばれて、忌み嫌われる傾向があるらしい。根に毒があるからとか、獣の忌避に墓に植えられたからとか、諸説あるようだが。直観・直感的に言うならば、その姿、おしべがまるで命散りゆくが如く、四方八方から天に向かっているからではなかろうか。滅びの暗示。いつか写真で見た、星の滅びゆく姿にも似る。滅び、というとマイナスのイメージをもってしまいがち。しかし、からだを、命を診ている私からすれば、生まれた瞬間から物質である肉体は滅び始めている。誕生は消滅の始まり。私たちは、彼岸花の形状よろしく、その命を八方に撒き散らしながら、死につつ生きている。溌溂(はつらつ)と撒き散らすからこそ、命は今を輝き、充実するのである。生と死は別ではない。健康と病気もまた別ではない(一方に囚われて、自らを苦に追い込む現代の世相、健康ブームは如何なるにや)。そんなわけで、溌溂と咲き、散りゆく彼岸花。嫌いではない。おまけ(前回掲載できなかった鼻水娘)