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カテゴリ:日本社会
江戸時代に漂流してロシアについてしまった人々が、日本へ帰るまでを淡々と描いております。少し単調な物語で、何を表現したいのかわからなかったのですが、最後の解説を読んで納得がいきました。
日本人として、ロシアに入ってしまうわけですが、10年と言う長い歳月の間に、日本人の感覚ではなくなっていく。そして、やっと日本に戻ったとき、すでに日本的感覚をなくしてしまっており、なんともいえないむなしさを感じます。 日本と世界に横たわる目に見えない壁を、内側からじっくりと見せてくれる作品です。 解説の中で、特にその考え方が変わる一節が紹介されております。 「いいか、みんな根性をすえて、俺の言うことを聞けよ。今度は、人に葬式を出して貰うなどと、あまいことは考えるな。死んだやつは、雪の上か凍土の上に捨てていく以外仕方ねえ。むごいようだが、ほかにすべはねえ。人のことなど構ってみろ、自分の方が死んでしまう。いいか、お互いに葬式は出しっこなしにする。病気になろうが、凍傷になろうが、みとりこっもなしにする。」 ヤクーツクの1月の平均気温は、零下43度。気温が零下をしたまわらない日数は、95日しかなく、夏の最高気温と冬の最低気温の差は百度を超え、地球上で最もその差の激しい場所とされている。 集団主義的な日本的な考え方が、日本ではありえない気候の中で個人主義的に変わった瞬間でるように感じられます。 ![]() おろしや国酔夢譚 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.06.12 13:46:18
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