深夜魚
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いつからか雨を避けるようになったやさしく絡みつくように流れる雨を厭い 身を離し暖かな部屋の中へと逃げ込んだ窓からガラスを伝う滴を見つめ雨がまだ自分を待っているのかと自惚れるように思う
Apr 20, 2010
二階の窓から見下ろした雨は糸の如く竹ばやしに降り注ぎしゃらしゃらと鮮やかな音をたてる竹の葉を転び落ちる水滴の愛らしいさまを思い浮かべ唐突に軒下の巣で身をちぢませる燕を思う
Apr 12, 2010
地下街を歩く人々の頭上を泳ぐ鮮やかな緑のエンゼルフィッシュピクトさんの前に後ろにいざというときに進むべき道を示すただ誰も気に留めない間は群れる人間たちを見下ろして優雅に泳いでいる
Apr 6, 2010
春は憂鬱 死ぬにはよい季節湿っぽく重たいものが首筋から肩にかけてへばりつき「まだ生きているのか」とささやく脱ぎ捨てることもはぎとることもできないのしかかって死を催促する「お前は愚図だ、まだ死ねない、だからって生きてもいない」あぁ、そうだ、だからまだ生きている春だ 死ぬにはよい季節だ
Apr 5, 2010
信じたくないものだ魂の不滅など死してなお精神が残るとはいかなる責め苦か死は無そう信じたい
Mar 27, 2010
花冷えの朝うつむいて歩く水溜まりを見て空の青さを知る
世界は春を孕んでその喜びを隠そうともしない
Mar 12, 2010
京極夏彦の『十万年』を読むあぁ、魚はここにいたのかと合点し嫉妬したこれは深夜魚なのだとそう思えた
Mar 8, 2010
いつもの道に背を向け見知らぬ町の夜を歩く廊下にぽつりぽつりと灯りのともるマンション暖かな灯りの洩れる民家児童公園 寒々しいトイレ連なるタクシー 煙草の火小高い墓地 高層ビル首都高と国道の立体交差closedの看板ショウウインドウの灯りかさこ地蔵のような自動販売機交差点 いつもの道振り返る見知らぬ町夜の道
Mar 5, 2010
車窓から眺める町は雨雲の下に低く沈む灰色の空間に魚の影尾びれを振るい優雅に泳ぐ寒々しい風景になお寒さを加える長い影
Mar 2, 2010
瑠璃色に輝くせみの脱け殻だれもが素晴らしいと讃えこぞって集め 互いに誉めあいときに論争して優劣を決めようとするだが誰もその脱け殻がまだ地下にあるときの姿を知らない飛び去ったせみの声も知らないただ脱け殻だけを褒めそやす
Mar 1, 2010
駐車場に投げ掛けられた外灯の円い光の端に小さな青い手袋が片方そっと光の外から手袋の指ほどの魚の影が指先をつついてさっと闇に消えた
Feb 24, 2010
いつもの言葉にいつものイメージ退屈な発想発想ですらない魚も寄り付かぬ頭の中の珊瑚は白っぽい亡骸を淀んだ生ぬるい体液の中に沈めている
Feb 21, 2010
魚たちはどこへ行ったもう長いことその姿を見ていない深夜のビルの谷間に空の雲の入り江に輝く窓に映る風景に私の心の中に
Feb 16, 2010
ふとかゆみを覚えた指先に記憶にない小さな傷赤く血のにじむは朱肉のよう絆創膏を貼りながら感じる思わぬ人生のほころびを見つけてしまったかのようだとこの小さな傷から大きな崩壊が始まるのかと
Feb 15, 2010
ざりざりと身をこする降りしきる雪細めた目に映るは灰色の濃淡で描かれた街雪に削られ輪郭を失っていく私も私の心もまた
Feb 13, 2010
人は携えた小さな灯火を明々と燃える火にし燃え盛る炎となしついにその炎で街を焼き尽くす煙りくすぶる焼け跡から人は小さな火を拾い小さな灯火として携えまた歩み始めるのだ
Feb 12, 2010
心地よい むなしさ求めている胸の奥で心は塵となりさらさらと崩れてゆく思い出を消してなにもかも断ち切って流されるままいつとも誰ともわからぬむなしさのかすかなぬくもりだけを抱いて暗い空間を漂いゆく
Jan 23, 2010
空は青く雲は白く風はすさんでいる遠くの山並みはかすみ向かいのホームはサビれている左の胸には穴があき風が吹き抜けるたびにカラコロと音をたてる笑っていいのか嘆くべきか
Jan 13, 2010
東雲の空鋭い月がかがるように昇って行くひとしきり星が散ったあとをああして繕っているのだ
Dec 14, 2009
夜明け前喉の痛みに目を覚ます湯飲みに残る 冷えた茶を一口氷砂糖のような のど飴を一粒また一粒奥歯で砕き 小さな破片をしゃりしゃりと音を立てて飲み下す破片の尖った先が喉をひっかいてゆくそれで満足して眠る朝の冷気が重く掛かる
Dec 11, 2009
葉をすっかり落とした林の影にボソボソ燃える青白き火 ひとつ、ふたつみっつ、よつ夜の冷気が凝結したかオリオンの輝きがしたたったか揺らめきもせずただそこで寄り添うように燃える陰の火
Dec 10, 2009
ぐずぐずに雨を含んだ雲が頭の上を抑えつけている寒さの中に漂う焚き火の暖かな匂い手袋のない手は凍え温もりを求めてポケットを探るそこはからだというのに
Dec 9, 2009
葉を落とした冬木立は空に枝を伸ばし雲を絡める白い雲はやがて雪に変わり空の色は岩絵の具を溶いた青雪に冷やされ空さえもうっすらと氷が張る氷を透した日差しは弱々しく枝に積もる雪は溶けない
Dec 5, 2009
胸に穴を開けて青空を覗き込む白い雲、軽い風目にしみる空の青爪先を見つめて歩く毎日がたまらないせつなさばかりを 募らせる右の目に筒差して宇宙を覗き込む白い月、光る星流れ行く天の川闇の中振りまかれた星光叫んでも返事はもどらない切ないほどの孤独感狂おしいほどの虚無感こんなに人がいるのに星の外に誰かを求めてしまう
Nov 30, 2009
なんだろう このつまらぬ世界病に冒された脳で感知するこの世界はあまりにもむなしい
Nov 29, 2009
青空をかがる白い糸銀の針は冷たく鋭く凍える心も風に縫い付けてさらに落葉も飾る影が長く日は短い
Nov 18, 2009
築くそばから錆びてゆきできあがる前から朽ちてゆく雨垂れの音は嘆きの愚痴聞けばため息がもれる思うそばから否定して自分自身を貶める
Nov 14, 2009
息がつまるほど心が動いているあぁ私はまだ生きているのだ
Nov 13, 2009
夜空をえぐった傷口から冷たい夜風が吹き下ろす肉体を抜け魂に吹き付ける風魂を肉体から引き離し暗い空へ誘う風に乗った魂はコウモリのよう羽のない翼を広げ風をさかのぼり夜空に光る傷口へ飛んでゆく残された肉体は影になり夜の闇に溶けて消えた
Oct 21, 2009
かつての自分にわびるつもりですべてを無に返すかつての自分が諦めた目でこちらを見ている滅びてしまえと自分を呪った自分無邪気な過去に未来を告げる必要はない可能性の未来はただの虚像消えてなくなれ
Oct 16, 2009
意味のないアクセス俗悪な広告金はあっても心のない楽天
Oct 15, 2009
考えることにも疲れました見渡す世界は広いけど空しさや困惑がみちている夢の中まで侵されてやすらぎはない孤独の空ばかり見上げてやすらぎを求めた
Oct 14, 2009
燃え上がる半月が夜空から降りてくる救いはない逃げ場はない地獄は地下にあるのではなく天界から遣わされ燃え盛って下界に落ちてくる慈悲を乞うても無駄だ震えて眠れ最後の晩だ
Oct 10, 2009
むなしさが満たされたあとには何があるのだろう
その感情は僕の中にもただとても弱々しく今にもぬくもりが失われそうでかすかな鼓動を繰り返すもう立ち上がることもあつく熱を放つこともないだろう
Oct 8, 2009
くすんだ窓から見る青空は作り物めいていて流れる雲すら誰かが手を貸しているよう窓を破ればさわやかな秋の風が淀んだ部屋の空気を換えてくれるいや、あの空へ作り物ではない空へ飛べるかもしれない
Oct 4, 2009
雲間から差し込む午後の日差しを受けてヒルズがにびいろに輝く近くに見えて遠いそれは幻の戯画のよう幻の中で今日も人が生きている
Oct 3, 2009
やがては軌道を去る月いつか別れるという月夜に輝き昼におぼろに浮かぶ月たまらぬいとおしさは届くことなく星の空に消える分けへだてなく降り注ぐ青い光で身を包み我が身抱きしめこれは我ひとりのものともの苦しく思い詰める
降りしきる雨の中翼を折り畳み空から海へ魚は鳥の夢を見るというならば今は夢から目覚め一匹の魚に戻ろう
Oct 2, 2009
暗い目の男は群雲覆う空に鳥影の幻を追う
Sep 26, 2009
啼鳥の声に秋を知る悲しく喉裂けるがほどの声胸に刺さりなお疵口を押し開かん
Sep 25, 2009
夜空に白い雲月もないのにおんもらと輝いて意思のある生物のようにゆっくりとうごめいて地上を見下ろし天上から身を離し浮かんでいる地上の夢想夜空のため息
Sep 24, 2009
天地をひっくり返して空に飛び込む雲を突っ切り青い世界へ高くは深く地上を離れてやがて深き星の世界へ
Sep 22, 2009
まるでぽっかりと穴が抜けたように都会の星なき夜空は暗い無数の星星の輝きは 街の光が裏打ちした夜のベールのその向こう都市は夜空の輝きを取り戻そうと光を集め夜空をますます暗くする悲しき憧憬
Sep 20, 2009
穏やかな灰色が空を覆いやがて細かな雨を降らしかわいた街を潤すだろう黒くぬれたアスファルトに窓の灯りが映り車のランプが流れるショウウインドウに往来の影やがて雲は夜の闇に空を譲る輝きは遊星からそしてすすがれた街から湿った夜気を胸いっぱいに吸いゆっくりと吐きながら家に帰る夜明けにはまた雲が戻るだろう
Sep 18, 2009
振りかえれば三年あまりの闘病は胸の奥に黒々と足跡を残し希望と想像に暗い影を落としたどれほど夢を見ようとそこには闇があり無表情の眼差しで私の心を暗くさせる闇なき光はあらねどもしかし哀しきこと
Sep 11, 2009
絶望を抱えてもはばたこうとする翼青空は目の前にあるのになぜあんなに遠いのか足に絡まる鎖はただの幻わかっているのにほどけない翼よはばたけ空へたとえ胸破れ足がもがれようと翼よ私を空へもう地上に残すものはない
Sep 9, 2009
夜明けまでのわずかな時間北風とともに闇が流れいつしか曙光がにじみ出すだろう眠れぬ夜を越えてぼんやりとしたうつつに至るあぁ少し眠ろう夢も忘れて
Sep 4, 2009
知恵の実を食べたこと?いえ、他の命を取り入れないと生きていけないこと
Sep 2, 2009