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灯台

灯台

呪われた時代

  一


私はこの一瞬のよろこびこそ

――捕虜となるよろこびだと信じている

愛する人は、知っている酵母

  雑多なざわめき、ミトコンドリア・・・語尾の緩い垂れ流し、現実逃避型の台詞

  列車爆発の、したたるようないいにおい! 微かに軋みはじめる。・・

   風の通路には 表面が把握される版図として 
 
   ――「レディ 震える レイディ 水の木々の枝

   枝が濃く いちように苺降るように灰茂る」
    、、、、、、
    モノクロォム 熱つぽい 瞳持つ 夜の森は

    被膜の オーロラ受容態の 転身 誰かを あいまいにするための 

    虚無の深淵へとわれわれを溶蝕する

信号機――うら庭をさぐる、墓地、アルコール・・海の断面のように、
     フレグランス
色彩 芳香 美しい音から底が練り上げられた

  病苦に悩み抜いた挙げ句、珈琲の孤独、

  さわさわとした風に吹かれて髪を揺らす女の子達――に、しのびやかな豹を

思想を、東の望楼のように求めた――前面に立ち塞がっているTIMER

賭けた! アンモナイト、ちがう、アンモニア!

 償われた未知 知られざる景色は 酸で穴をあけるように 脳震盪 何処か

 へと 島 きつと可能なわれわれの言葉がビー玉のように 

  ――――その内側に無数の記号を至福のようにかがやかしい無力でみたしていたら 

  きつとそれだけで レオナルドのような眼で 小さな片隅へと 

  《緩慢な捏造 残像の家庭》 稀有にして珍奇な 反転と指定の継続的な鏡
                                         いつ        
   像 のうちに届けられ 見るからに昔をしのばす哀れな 時 何時か
          ひとがた
   見知らぬ人形に 切り抜か れ た 時刻 彫刻師 の

   黄昏を待つて その身をうすく削ぐ

ウロウロする沸騰設定・・・闇と裏切る、呪い、――ふつふつと羞恥心が湧き起こる

ひとつでも多くの具足、・・それは多くは嘆息であり、それは短足だったわけだが――

  白い飛沫に 教会の厚みた えが たい ほど 昏い厚み 生誕 の 生誕 を 

  舫いつづけている狭間の 小指のような白い むすうの泡が 

  変化し 変化し 変形し 変化し 変形し 不変の 反復の 一語へと く

  せなく たたずみながら 小さな 顔を 覗かせている 時空は 

  すでに陽が沈んでいる 真夜中の水辺の 川筋の 数百年 数千年 誰でもなく 

  斧を入れたことのない鬱蒼たる深林の上を 無限 ストライブス の 風が 

    電線や高層建築にさえぎられることのない 鳥

    が 漏斗状の 簡潔にして要を得 て ねじられた 

    鼠や 虫を 口の端にくわえているさ

    ま [ところどころに散在する――](花摘み・・。)

大地をかざるべき蒼ざめた記念碑はなく、ただ茫洋とした大洋 あるのみ

ゆるぎのない糸が胎内からうみだされてきたもの(との間で、)切られる有刺鉄線・・

空のなかに慄えるようなよろこびがあり――木がわめく、ごみ缶がわめく

彼らは絶望するということを運転する無神論者さ

  (それは、)泣け! 涙が

  道徳的尊厳などカップのソーサー、受け皿のように、

  この世界の受け皿は・・・・・・

この盲目な街路――テラスにひるがえっている模様、影、

おおきなカーテン・・大きな歓びのように――まぶしいような、

マゾヒスティックな悦び・・抑圧的威圧的な雰囲気――高射砲の無数の破片

  電気スタンド まだ生きている ラテンアメリカの自由範囲ほめたたえる を わ
 
  た し は 人影 アイロンをかける 笑い 笑い声を 一瞬思う そこ

  に 文字 芝生訴訟 仮説 を 尽くした指 血と宝石の奇跡が 

    昼夜を詩的舞踏へと多重に投影する 指という蝮にかえ

    な が ら 雨が降る 創世神話 連綿とつながる時間と現象の同時多発的な 

    ひどく猥雑な 雑踏 太鼓 祭り囃子 だから その透明な色感の祭式が 

    わたしを太古 の ダイナミズムへと 連れてゆく 別

      の 場所 別の場所 へ と( ひとしれず、 “素描”―― )

「・・・なつかしいのだ、あらゆる歳月から 損失をかなしむために

選ばれた、――この悲しい・・・誰の胸にも淡く、からだじゅうにしみこむそれが

富も名誉もいらぬ――未来も、過去も
きょうこ
鞏固な根を張った大きな不安、

かれの運命、彼のエコー、彼のシャイン

それはうつろな眼で煙草をふかすかれに似ている


  二


     つねに誤つて記される 妙な口つきを

     して くちびるを 試験管からはみ出した 

     失敗の 言語空間自体の 液体の変化 泡のよ

     うに 繰返し確認される 遠さ 隔たり 

     うねりと認じられているトポスの回復をうながし

     ている 動かしている 麻酔 現実的感覚の乖離 

     肉体のさらに肉体らしいたまり 胆汁の 灰汁 の 

     闇を わたしは 不完全に 冷たい色をした 

     あのビー玉が 地球儀や その時点で すでに 

     海洋性の 凍結 過去へとつきすすんでゆく艦隊の 

     魂の変容 けはい びいどろ の よ うに 

     な つ たことを発見しながら 薄く薄く のばされ 

     引き伸ばされた 粘土に ラディカル 否 

     フェィスという停滞があつたことに気付きながら

     ペープメントに投げすてた――太陽を、西で見つけ出した

     それがルールだ・・・幕の下りるよりはやく、地下倉で!さあ! 

     ・・・贖罪(「を」)


  三


窯へ いびつな器を陶器にするために 

それが 共振する わたしの胸の中に 永遠の軽さを追い求め

  ようとする 煙が時間の 蔽いを 封印を解放する 

  それはまるでなにかの蓋のように 胸

  の深化 多層に溜まつていく 始原 

    あわよくばビリヤードのポケットのように内部に滑り

    込もうと 埋まつてゆく その時 わたしは 怪物の声で引き抜く 
 
    標的をはずさなかつたもののために わたしは 

    いつまでもぶら下がつていた 煙が見せた 巨大な塊を 指輪に
                     フレア
      変える 救済でなければ理想の炎 に わたしは あおられ

  ――それが答えの見付け方だと信じているから、アセチリン瓦斯よ

  尻拭いをするのは真っ平と、しわ寄せして、後は誰かに委ねてさっさとトンズラ。

  そうだ、太陽があらわれるたびに、きな粉で――砂糖で・・・鰐ざめがうまれる――

カゲロウよ、・・・釘でも投げつけられたような気分なんだ

それでバイクのタイヤに穴があいた、

  「沈黙の樹木のように 意識の表面をすべる」

  リリース リズム・リリース 離陸

    (歪曲する 破壊のための象徴行為――)

――薄い靄が自分の心臓に見えた「不滅の星よ!」

  屁泡になる・・しからば刺客――れっきとした 砂

飢餓のような凶暴な恋心は眠っていて、「こだま」は

茫然と声なき思い出の舞台だ。斑点だ、雪が兎の糞のように見えた・・
                   
「母」よ、「子」が、キューピッドの箭に射ぬかれ

街の灯の刺激で、ネオンになるのかBAD

  空を自由に飛ぶ鳥を うごめく皮膚 幾重にもかさねあわ

  せた かすかな呼気と言おうか その テイルランプ 交錯のしろい脚 

  緑の わななき 蛇の蛇行 旅愁に暮れる虹彩のな

    かで 来るべき迂回 うだった血のような空に無数の視線 

    多様な形態が モニュメントを ペインティングしているとき 

    よほど不思議なオルガンらしく 視線が鍵盤を押すころ申し

      合わしたように耳をそばだて 誰もそれを名づけることができなかつた 

      ガソリンのにおい [宇宙船を創造する――]
     かれら
灯油の 彼等 揮発的レコードの ドーナツの 再統制 

と わたしは思つていた 回転木

馬の夜がめぐり 空をかけめぐる
 
      くさりつつある 風・・焼却炉のペーヴメント・・・・

  ――私が倒れたとき、そこは白濛々の、・・・

  とび翔つ鳥が鼓翅くような、――きれぎれのからみ

    黄金の藁たち 糸屑たち (移動する――)

     この無傷の肌 存在は透明な音楽

        ――「書くほどに 鬱」「掻くほどに 打つ」

寄る辺ない君は蒼白い皮膚を剥いだ(かも知れない、)

切り捨てられる 例えば 舌のように刺さりくる

痩せてゆく私は――道路の小砂利にさえ命の複雑なこの詩形而上学

  蛭のようだった、片頭痛がエクスタシイのなかで幻のインディアン(する、)

  する、――風にも泉にも、ベルリンの壁

  どこにいっても、燐寸のあのにおいが贋金のように光ってた


  四


     何もなかつた混成 跳躍 収縮の指揮棒 樹は 紙のよ
                                
     うに葉を揺らし 髪は娘をさらつて ええ そこに咽喉の脈をみつけた時 

     葉脈は 指さすことを覚えた 人は嫌い は 鶺鴒の尾をたらすように 

     見せびらかし がん細胞の写真のように 人を濡らす 枝先がみずうみに

     貼られた 影において 内部は 無邪気な人を不自

     由にする 沼 ラピリュントスの歯 くつろいだ無干渉 

     リラックスした放任 何かの映画をいとおしむ種族 

     吐き出した種子のように生命はうしなわれながら 眼隠しのうちに 集

     合体を 専門化 細分化 おくぶかいコントラスト つねに余白のある 

     似た色 ゆめゆめ 感じる 音を 花のかたむく夏 

     花粉エクリチュールの終わり 思いこがれる小鳥なら、さまざまな方言。

     永久非公式のオマージュをささげる


  五


収容所のように、憂鬱な空気にフィットだってする

景色 散逸し 事物の記

銘する重さを 砦を 絶命という葉と葉の間でわたしは迎え入れていた 

  迎え入れている 花嫁 妖精ではなくて エルフでなくて 

  ドワーフとは違う 幻 まぼろしは まほろば
  、、 、、
  さら さら 鉛筆のちびたかなしみ アスファルトに 迷彩色が 

    あかるいしずかな嘆きの う ち に といてはいけない 

    盲いた 臭気の群れをつくる 群れには檻が 胸にも 澱 が

      熱をもつている いつわりの断片( 意識をうしなつたズッキーニ・・ )

  優しい子よ、おまえは美しく、夕ぐれの鐘の音に窶れるばかり――

  こんな田舎じゃ熊笹や、穂のある雑草しかとれない

  甘美な果汁も、軒を張ってゆく蜘蛛のようにサフランの花踏みにじるしかない

そうさ、悲しいつぶやきを聞け

音の中でのみしか目覚めな 

い 物質の固さ 歳月を憶う時

フロント・グラスいっぱいに排気ガスのにおいを嗅げ

そしてゼンマイがちぎれた私という薄鐡葉に、ありえない甘いにおいを信じろ

    樹は倒れていない 倒れたのは 呻く 砂の塔 迷宮を

    くるわせ 植物の成長をくるわせる わたし自身の分身 

      それも大いなる羽音の 熱い血の

      風 マグマのたいらかな一瞬ひとまわり狂つたような隆起 

        消滅にみちびかれる 駆動力

        それこそが その結節に にくしみや悲しみと 

          潮と なつた 

  あらゆる音の影(は、知っていた)

  新緑の枝にとまる洞窟の飢えた蝙蝠を、冷気の層を

もし楽園なら、十字架をかかげるべきだった、磔刑にしてしまうべきだった

見ろ! わきあがる素直なよろこび(「は」)

地下の死者をあざわらう花――せまり来る、汚名、付着する塩と砂糖

私はいつだって無防備だった・・・お前等は何だ! なんだ、土瓶の蓋のような顔をして

精一杯生きてますってツラをしやがって!

カーニヴァルはレースにラ
                     うしお
ッカーを塗りながら 貼り紙の実験室 潮

は石のくぼみ 防波堤 突堤 と いう 下くち

  びるをかんではまた舌の先でなめ いつせいに 

  姉妹的蛇口の炎 蛇にしてみみず の 意

    志のない恐怖であおく染まつていく古色の底 塩の堆積 を 

    ひとつの隠し味のように しのばせる しかも そのことで いつも 

    樹木はわざわいのうちに乱舞する 芽吹く 月下

    のランプは 悪霊を育て る 

それはふわりとした暖かい空気が冷え切つた顔にここちよく

触れ 内部で 扉の向こう側で 死ではないも のを 生成する
  
    (誰でもない破損、築かれる「を、」撮ろう、撮ろう、、何も失うものがない、

     ターボエンジンみたいにつんざいて、言う、ああ何も失うものがない、、、)

  ――ほてった私の身体なら、湯水の愛撫を拒むほど

  疫病の雨をふりまくほど、――雨水が田に一杯あつまっていた

水が死んでいる・・水が死んでいる――結氷だ、ほんとうに静かな朝だ

(この三角波のなかで、)救われたようにスポーツ新聞を読む――

病院と監獄と戦争(は、)

  い つだって私を脅かした。政治的経済的社会的な分野にまで侵入し、

  ひとたび普遍性を持てば多元的なり多義的なり多角的なり、

  もしくは人間の根元的なものに迫る深い文学 として。・・

荒廢がまず喰らった

忌まわしいガラス戸に私の雀の愛人が来てた! 月光の滴りでたらしこまれた

  愛液、(噴火山、――ふるわせて、打ち水)・・ジュクジュクダア

  ントニ ベトベトダア    通路でありながら街路樹

    というおびただしい哀しいような楽しいような 

    黙示的な瀕死の蛾 呪縛 延命 そし て

   雲が渦巻く不調和なクラクションの 

惡寒 魂の所在の 極点が にわかにかがやきはじめ

かりそめの 痙攣 のうち に 肉声の一高一低が巧妙な楽器となる 

森の中で おそらく 電話線のような のようなもの そのように 

呼ばれる うつろな頭を 眼の奥の痛みを

  うすれゆく調べに、五体が破れ得ない繭であるかのように耳をすましていた

  四面楚歌をただ逆回しするように、目をとじていた。

そして永遠の追放者、鹿のように(おまえから、)

暗碧へと人生の荒野は逃れたろう。愛や、そして悲しみは、

卑怯者たちの手でレース編みされただろう、毛糸よ、軽いタッチよ

  お前たちが、モラトリアムの苦悩と呼ぶ男は無数の兎だ

  水の縞になるまで焦がれきってた 狼の群れが、夜

  私というなきがらの上へ攀じ登ったように。・・


  六


           オベリスク                           イストワール
       飢渇した建築物の欲望が 方角を 等価の内に分断する 物語の 

       寄せる 覆う 魚鱗のような 外壁に 酔えない 夜をまさぐりつづける

       深海 の フレーズ 併行する現象ろれつの回らぬ舌で管を巻いている

       瞑想 執着 拒絶された輪郭 葬列の中で 膠を煮詰めたように夜 

       蜘蛛の巣が 全植物が 温み 不注意をはなはだ気にしたもうという
  
       次第しかるに 陰湿な めくれていくラフレシアの臭い息 不遜な舌へと 

       われわれはたぐられ 生あるものの歩み入る筐 花粉 夕暮れ 不可避 

       そのさなかのわれわれが沈澱する わたしは砂場の空虚な海底の雪の結晶

       亀裂する内部から甲羅のような中身が消えうせた化石の 魂の 

       脆弱な妊婦の時間 人の一生とは何か? ――背中にパトカーのサイレン

       が、オカマの声が、訪朝が おう オカルトな大風呂敷 表示には、単に

        下 のもの[破壊する物語とクロニクル]  萌え出る蕾は、狂乱し、

       骨の髄を刺し(て、)  枯葉のごとく歓びの消えたいま 暖炉のなかに

       パスポートが燃えている


  七


麦畑に鴉を 雀を 銅版画のうちに腐蝕させる か

つて 宇宙

の神秘 平易明亮な ときがたい災厄を促され

 誘われ 一段低い隣の生へと原質を 最小

 単位をなおも中庸のうちに探ろうとしていたことがある 

   わたしは 毒々しい運命の魔も

   身を隠して人を覗く暗い蔭の歪曲 

   調和にして不調和な到来 暗示にして思想 発掘にして

   普遍的な 想像流域をさらに進みなが ら

     硝子扉に身を押しつけていた

     お金の魔力は、ギャンブルの魔力に似通っている

  ナイフは、崖をなめる海風のように、首筋を滑ってゆく

  ひとりの弱弱しい――「すがた」として、ゴム風船をすりあう

めざめよ――よろこびに満ちた世界に近づこう――そして、目覚めよ

再現歴史的なエピソード、異邦人的イヴェント

ビール瓶で恋人の頭を何故割ってはいけないのか

    透明に揺らぐ明るいひざしもなくて あるは 歯型ばかり

    ひたすらに 存在し屈曲するものたちの世界

  かっと、射してきた陽が、私を乾いた砂にした、鼻を埃で撲った

  ブラックボードに白いチョークでメニューが幾つか書かれている、喫茶店

何故“思い出をいれる”ということを、恙無く、だとか、ご恩寵だと、

――笑おう! 見え透いたパンフレットじゃ、・・・黒いし、――重い

窓の外は絶えず吼えるハラワタ! でなけりゃチクビ!

  押しつけていたものは 書物か 呪文か それとも神話 

  過去の童話か われわれはいつでもいたるところに発生

    した 言語中枢にいたる曠野へ ナイフの真上にくるブランコの

    異様な興奮を有機的生命体 の ように気化せしめ 暗号を い

    まはまだ店かけの空洞に うつる おおいなる遠近法であ

     らかじめの姿が閉塞的状況から巨大なものに見えている 水底 

     ああ地底湖から 屠殺場のいまでは 外部というほかない 詩を 

     いま内部へと置き換えながら批評的視座を手に入れ

     て 始終惑い 惑うがために苦しみ 決心が鈍く 重く 

        逃れるかのように遅鈍なかたつむりのように 絶望的に 高熱の 

        影を わたしは美しさゆえに完璧な 端女や 魔女の箒の

        ように思いながらぴかぴか光る霊衣に 処 女のごとき象牙の塔に

        たくさんの溶けたアイスクリームを思い浮かべながら 沈黙す

        るように 動いた 動いている

  エンドレスリピート! ・・・ぷるんとした弾力を失ったいまは岩の割れ目から清水

  しかし露はみな涙! バニラ! まるで夜汽車を見送る人

    交錯する色彩や精神存在する 愛について(答えよう――。)


  八


   脱出不可能な時間の頭
 
   部に 戦車が砂に埋もれ 

   それがクロゼットのごと

   き缶ビール一ダースのつ

   うせつなむなしさ へ と 

   物質を粘液上の醜いトマト 

   雪のなかの 兎の足跡という 

   物質的にして 木偶の 不在の 

   第三の眼の 敵の 意識の 

   わたしに 鎖と 扉 ただ そ

   れだ け しかし なぜか? 

   ・・・何故だ? ――おまえ

   の あつい涙


  九


この骸骨ビルディングを百二、三十ヤードゴルフボールかっとばしたい

ガソリンスタンドに引火させたい――燃える目のなかに

家具や方向探知機部厚い鎧戸にかこまれた秘密の通路で

おまえのさわぐヨットが・・・しずかなあきらめの眠りにつかんとする!

ひとり友もなく。裸の美。――

    口笛や 鉄格子のある

  おまえを抱きたい! 抱きたい! 狂うほどに、抱きたい!

    ピアノ線!ピアノ線!ピツアーノ[気まぐれな軌道!]

  こわしたい! こわれたい! いかれたい!

そして((( サイヨウナイテイ )))

  ひとりもいない 部屋のなかの  あなたを

  たしかめるのは あなたのなかでぬれている

  の  は しめつているもの は

かよわい足どりか、にわか雨か

きっと狂いそうな 「冥府」が
   きれ
襤褸の片のようにあるんだ、それが不可解なウィンクするゴオスト

朦朧たる大幸福への棄却! ・・・亡霊! 悪魔!

  いつも女たちの  女たち の 眠り

魂のおそるべき夜をゆだねる羊飼い!

カカカ! ――(と、)私らの絶望をあざわらう。

    うずたかく砂の堆積する蛇口で 椰子の木のように

  わめきたてるハゲタカ、忌まわしいカラス

  ふわふわとした白い蒸気が、古代の遺跡、怪物の影とかわるまで、

  無名の者よ・・襟元をオイルで汚すがよい。――

インタンスト・コーヒー シガレット・エクセレント

そして腰を振る! ダンスの女の子

    奇形の目をした肉体の棘 “紙の上に――”

    百の舌を刺してしまう (さあ何とも言えない ヨガ!)

      郵便番号のように羅列する円盤型のファスナーぶうんという音

そしてそれはコンビニで売ってる!カラオケでは販売されてる

そしてこの街はスーパーマーケット・ラヴ

  ――「迷わないで あなた達は屑を作ってる」「塵埃を作ってる」
 
  (素晴らしい時代の スーパーマーケット・ラヴ)

  白い まだらの 青い 三色スミレの 聖なるかな! 

  ふふふ、私だけさ、私だけさ――明日の風に行方を聞いているのは
     かさ
  糸杉の毬果――鈴のごとく・・・歌の調べのごとく口より流れ出る

  それは私の町の森! ――警察が門の前でネズミしていた、あの森・・!
            めぐみ ほどこし
胸に宿った天使! 恩寵! 施術!

奇術母国語 (あの、)昼に見た正位!

聖なるかな狂気かな――魂をおびやかした者の頭上に!

遠くまで歌うためにいち早く運びだす 奥深い穴

・・・「洪水は旅の上にやってくるかも知れない」

  ぼろ雑巾のようになればいいんだね――寝なければ! ・・・そしてそこで死ねば!

  必要とされないということを認めて! 認めて! 認めて死ねばいいんだね!

    さあ詩のスーパーマーケット・ラヴ

    ――「お前なんかはお呼びじゃない」「というか、誰も必要ない!」

    俊太郎死ね! 朔太郎も死ね! 白秋も死ね!

    みんなみんな死んでうらおもての商品になればいいのさ、おまえら

    が殺した詩人たちの名前羅列するスーパーマーケット・ラヴ

そしてそこへ浮浪者! 老婆! 幻覚! 奇跡!

ああ人殺し! おまえの名前!おまえの名前!

  涜聖をおびたオートバイが――ひときわ美しい喘ぎ声・・・

  不細工! [灰いろの壁の前で、公孫樹がひらひら散ってゆくラプソディー]

  少し速く歌う!――少し速く歌う

    関西詩人協会!日本詩人クラブ!糞!まったくもって糞!

    現代詩手帖!詩と思想!ユリイカ!コールサックまーたくもうて糞!

    現代詩フォーラム!文学極道!クソ!ああまーたくもーて糞!

    クソ!糞!すんばらしいウンコ!(でも出すことは大切ですよ、ウンコらしく)

むかしのランプだったら空襲の心配をしていたのにドンマイ

どうしようもないから殺される――殺される前に金属を噛む

まともなことなんて一つも言えるわけがない!

ドン・マティヤスって誰だそりゃ――はなばなしいしゃっくりじゃ、

レフスタンドにお見舞いじゃあ!(どんどん、避暑地にトリックする。・・)

誘惑しきれない、感じない、・・・むしろ、ありったけの誠実のようにアアーン!

小熊秀雄だってやりたかったのさ しょうがない

A V事務所に売り飛ばしてやりたい大通り!

この詩人たちは口先だけのスーパーマーケット・ラヴ

やる気の欠片も根性もない――麻

薬だってあははそんなのじゃしびれないよ酔えない

よ狂えないよまともなふりしたって死ぬのがこわ

いのすぐにわかっちゃう見せかけだけ

の詩人きどりがいるぜサヨナラさよなら

スーパーマーケット・ラヴ


  十


          ジョアン・ミロ-パプローピカソー

         バーネット・ニューマンロバートマザ

        ウェルトムウェッセルマンゲオルクバ

       ゼリッツブリジット・ライリーアンディ

      ・ウォーーホルロイ・リキテンスタイ

  ンデイヴィッド・ホックニーアントニ

  ・タピエスジョゼフ・アルバースロバ

  ート・ラウシェンバーーグフランシス

  ・ベコンエルズワース・ケリー (ねえ、)

  カフェテラスで沙漠の夢を見た、駱駝に

  乗ってシルクロードをゆく夢を見た

  三好達治が大嫌いな私! いやしい奴! 

  いやしい奴は私じゃない

  卑しさよ! 卑しさよ! 卑しさよ! 西脇順三郎死ね

  ヒ ップスター! ヘロインDREAM

  かなしい音むせぶ声はECHO中央部のくびれ

  嘆く者よ、さらに泣け! エンドルフィン!

  内部の暗い樹液 癒すことのできない 光の破片


  一一


そして、――もう一度ローズピンクの鶏冠の鶏を殺してくるから、

もはや手や言葉ではなくてはみ出してしまうあなたの秘密

乾いた音と森の意識の中の であるか

花の匂いで喜ばせてくれ

  唄え! しかし遅い! 低い
  
  遅い! 遅すぎる! 遅い! 遅 い ! 黙れ!

  うたえ! くるったように舞え!

    (そんなんじゃねえ! ああ、かっこつけてんじゃねえ! いったいぜんてえ
 
     そんじょそこらのまくわうり!

     おまえが知りたいのは――高速TRIP!ワープ航行!

       「見たか!」――俺の電撃 陽の沈むところ!)

――燐寸を浮世絵にしてくれ! ベッドからイグアナを出してくれ

壊れちゃいそうなんだ! やっていいかい! ああやってるとも!

四次元ポケットがあるんだろう! どっかに錬金術があるんだろう

それできっと壊れちゃった覚えた・・怯えた・・・この夜をさらに沈ま

せてみせたんだろう神様! (未来は調和――バカらしい!)

機械という機械を[おいっちに、おいっちに]

  ・・・そして、この体操は、(そうさ、)目前に置かれてあるテキスト

    皿だとか 土器の破片だとか・・ただもう 消えてゆく星

    何兆光年先のでででびびびばぶばぶ製チャイコフスキーの音楽が鳴るぜ

  不遜な陽気! 魂の叫び! ――精神疾患予備軍一覧表

  こんにちはピースアンドラブこわれてしまいそうな君に捧ぐブッ壊れ!

  (もう真面目に語るもんか!・・・ああ誰がおまえなんかに正直に語るものか!)

    うっとうしかった老人ホーム詩壇! くたばれジジイやババア!

    ついでに言うが俳人歌人Mの名に賭けて誓う! さっさと辞表提出のこと!

  ――かつての不滅の調べがFBIにパクられたように媚びを売る。

  ヘーイ 選者ですよー。ぐへへ、とくに意味はないけど、いじってみようかなー

  ハイハイハーイ! 筒井康隆ですよ、とくに意味はないけど、いじっちゃおかなー。

  私恨だ! 文句あるか――どうせ死ぬんだ 俺が失墜するんじゃねえお前が死ぬんだ

  ピーナッツ畑! さとうきび畑! ・・・すいか畑! 最終的に、核畑!

    (機転がくっつくそれは処刑、非詩注意の売文家野郎どものオアシス!

     どこにも正義なんてありゃしねえ、ああ平和や自由もねえ愛すらも奪われた!

       ――ああ俺は過ごしてる・・糞野郎どもと!)

何処だってよかった! ただ、本が積み上げられているという比喩になりゃあ、

しかし比喩? 滑稽な、そんなもの一行たりとも私にはいらなかった・・・!

比喩なんて昼に見たパチンコ屋ののぼり程度のもの。カリスマ性っ

てなに? 人気ってなに? わたしには――俺にはわからない

よ悲しみが強すぎてチェリオ連呼したくなるだけ

  私の魂は詩人! この激情的興奮! どんな奴等も目の前で恐れをなして逃走する

  でてこい! 詩を騙る者! でてこい! ・・・私はいつも時の中にとどまっていた

    純粋に冗舌な魚トライアングル 監視する テーブル ピンポン
    
      「卓球――」欲しかったのさ 企業の儲け 包装紙のような人
    
この国は本で出来てる! 音楽も本で出来てる! 

映画も! そうさ、生き方すらも!

私は初めての勝利に喜んで

母国の誇り! よい協議会! ――なんて言うと思ったか、糞ばかたれ

    風変りなパッキング!グレイトだアンビリバボーだ!うひょー

    エネルギーにみちてる俺のダークネス――光のかげろう ダークネス
    
      ・・でも、浅い水で満足すんなって 心の中の声が言うんだ

  狂っているのはてめえだ、清澄な時間・・・原稿を見ては泣いた

    泣いてる俺に器があるんだ 苦しんだ一夜にこそ意味があるって思うんだ

    どこまでいっても傷だらけ どこまでいっても覚えがない、覚えがなくなるまで

  私は泣いた! ――涙が乾くまで、夜通ししゃくり続けた

  その前をお前は通り過ぎた・・悲しくないそれが自然なことだと思えたから

      傷つかないで――あなたに才能がなかったんじゃない

      あなたに ほんの少し 勇気が足りなかったの・・

        (通り過ぎる人がいまは泣いてる――泣かなくていい・・

         誰もが遠い日に泣いてき た だけだと 思う か ら)

  誰もその痛みを知らない! 知らないということをお前は恥じずに生きてゆく!

  いいんだ! 固有の振動 政治的なアンテナをもっても

  どんな侵略や暴露や嘘八百ならべたててもいい・・告白だから 魂の真実だから

  何も考えてないって思うような嘘をならべてるだけの駆け引きの生物の声だから

  ・・・そんな奴が芸術を語ること! 詩を語ること! 万死に値するではないか!

    (そうさ、矛盾するほどに――ぼくは、通信販売の注文)

ローソクたらしの亀甲縛りのこの国じゃ心底からいじめ抜きたい所存で御座い

(でも、今朝がたに届くのは、まったく別の言葉なのだ)

地獄まで連れてゆく

(野外劇ページ数を作る!って ね・・)

そしてお前等はまた同じことをする! プロレタリア! おおプロレタリア!

  人間の屑! 不幸や貧乏を叩き売った糞野郎たち!

  泣け! ・・・何処にも行き場のない詩人のためにおまえらは泣け

  ――繰返すことをおそれるな、しかしもう同じような生きるな

そして、誘惑したい――天使のあそこに、・・座敷の隅で、

工芸品的トウモロコシしたい兎的多産増殖

通過ショット空気! ゲームプレイ! ふたたびあがるゲームプレイ!

  ・・・それにきっと、色情狂は熱狂する! よろこべ除夜の鐘、赤い花

  ありがたい蝙蝠傘だ、いまわしいほどの僧侶的奴隷だ、倫理という儀式だ

高く舞えかなしみよ! 無人の呪いよ

この涙を弔鐘とせよ! ひと晩中さびしい街を歩く男にバナナなんていらない!

  アイルランドの荒野へと放て! ナポレオンの鼻先にまで届け!

  ビルゲイツも! この世界のなかの私が気に喰わない都合のいい名誉者に打ちつけろ

愛なんてもはやいらない! ・・・樹々よたぶらかせ、街よ!もっと孤独に喜んでくれ

私が冷凍食品を味っているのを知っているか! ――片頭痛、自意識過剰

正義! 正義だと! 正義! 正義だと!・・

  見知らぬ国のことばで新しい悲しみをうたったら、

  それはみんな私の天使かい・・・! [生命はあかあかと燃えたつ、]

馴れた飼い犬のように、風のないぬくい日にめまいしやがれ

旗をふりまくってやるーHEY ボーイ エンジョイしているかい?

もちろんそうさ、何という荘厳、なんという光の余韻

愛をうしなった! まともなことができなくなっていく聖書をうしなった

口ばかりの盲目者たちを嘲弄するままに、

腐った動物の肺、心臓、足、尻っ尾でもつけるべきか!

ああ清らかに死を欲するまでに、支配者よ!・・・支配者よ!

なおも地上を支配せよ――この死の淵で・・

サイレントあなたの静かなあなたの魂の結晶杯(「を」)

しづかに すなわち君の悲しみをわたし が 呑みほすま で・・・


  一二


    明晰な時間である描き出すことで存在の溶液

     空しく立つ魔術的な世界

     になることであるが 日

      常性のように根付け自らくびれる

       固形した恐怖と陶酔の石鹸

        メロスがメロンになった歓喜を忘れ

         私は彼の名前を要求していない――

         隠された顔・・・レース中の顔

         「――神を見たんだ!」こけむした家で・・

         蒼いとかげとなっていつもの水時計に過ぎない

         (腐敗。水分。・・死蝋化)柔らかい

         (アンダンテの)坩堝のように砂のように

          性 交と排泄何一つ所有できない これが樹木

          重い石のように生きるということは永遠

          に迷路になった草の根のように樹液ボロ布

          いわれなき根源的な根につらなって行く

          ひときわ美しいマリア・アベニュウで

          トランペットをふいたら、願望を満たし

          てくれるプラグになる月のクールな乳白色の

          光、セクスの蛇・・は・・・言――う、お前しか

          お前しかお前しかアーン私を見ていない! 

          ――私しかお前を見ていない


  一三



おまえの胸に電流が通り抜けちゃった、ワオ

屑のような森 生きない森に――迷い込んだわれわれの精神は 

森の中の渺々とした時間瞬時も その永久運動の歩みは昆虫魚か水船

のように存在する紡錘形に伸びたり縮んだりする

  野中では神秘で雑多な事物闇の中に突出させ 伸びあがりながら。

  太陽や風に吹き千切られた翼のように暗い湖である 

  だからとりとめもない恍惚と恐怖の間で 

   直立するいつも〈無限〉という遊歩道の中で 

   不意にわけもなく長い不眠の夜を 眠る動物たちの 死骸

   残された頭骨ごくありふれた帯 のように 細長く発熱する 

     予感が 兇悪な廃液の中で漂流する

  ああ 悲しい! 私の大好きだった雀嬢は来なくなってしまうし、

  新潮社からはふざけた紙が送られてくるし、名ばかりの出版社は私に悪態をつくし

  M新聞社は! ――破産してくれることを望むようになってしまうし

コン コン コン くたばれ

つつかないで、それ以上されてしまう何ともかんともうんともすんとも

おお! 壊れてしまえ、非常に激しい雨で、

息さえできぬほど、打ちつけて私を濡らしてしまうがいい

  雲も ああ あの夜空の星屑のように 存在す

  る 存在と意識の存在は 既にいかなる死者なのだ――。 

    独断的にしか開かれることはない は ず移動する 

    事物の毒について語る存在の砦〈血は空をめぐって行く〉

    手綱のように溢れ垂れ下がっている森は見えない時間

    の闇の中で集合離散する宇宙これが岩 これ

      が盲目の鉛やさしい盾名でもない白い繭のごとき存在

      となるのだ一杯詰まっている内部の世界を真昼の鳥も 湖も

  亀の橋、石川の河川敷で、――私の孤独な歌がひびいている

  もうこれ以上私は生きられない・・・生きられる! 闘える! 

  (そうさ!まだ、)嘘をつかないでいられる! まっすぐな眼をしていられる

馬鹿野郎! ――泣け・・冬はこの町を訪れ、また去ったと言うのに

何故この悲しみは消えない! 夢からめざめる。いばらに

蟻からうまれかわる蜂に(木々は、)みきみきと軋むあなたの話のリズムで

  コオロギは黒人のメロディー、スズムシはユダヤ人のメロディー

  迫害されたキリスト! ・・・あなたは雨でびっしょり

  尊敬してました! 崇拝してました!

そのたびに青ざめた森は そ

の唾液にみたされた死者たちのように 現象する鳥が流れる

  岩のように つづける 掛けの歪んだ手鏡に映し出され

  る底のない沼である光の中では 森は一枚のはてしな

  い地下身をさらす かつて曲りくねって 街薄

  い一枚の皮膚のように 何羽も町なのだ液体的な世界感覚

  では 非在の根深いを髭始めも終りもなく ただ 

    ひたすらにふくらまっているが 虹色始めも

    終わりもない始原の闇の中にすむ 孤と孤独な咽喉

   しか持たないから ただ事物の諸関係ステンドグラス

   のガラス絵壁の中に埋め込まれた空洞が 底のない陥穽

だってあなたは地上初めての大うそつきだったから!

何人あなたのために、――偉大な聖人たちを闇に葬っていったか

あなたは神の子ではない! あなたはそもそも、貧しい見窄らしい地上の糞だったから

  突然涙が値下がりしましたか――金が欲しくて、パンが食いたくて

  女を抱きたくて、見すぼらしい格好をしているのがもう嫌なんでしょ

  麻薬中毒者! ――でも愛していた、あなたを憎めば憎むほど

  あなたの胡散臭さが、私の人生にそっと光をともしてくれるようだったから

   だからどんな言葉も 言葉と言葉との間の 危険な関係のように い 

   つも失われた星に向かって 名づけ難い魂の帰趨が 

   あらゆる闇の関係の中で だから ぼくらの中では のように 

   めぐるぼくらのぼくらは と けがされる 胸の中の鼓動の存在の中に 

     物質的なおこりに似た戦慄の緻密な意思恐怖だけをいだきながら 

     そこには 彎曲時間の外側黒ずんだ皮膚のように けいれん時間 

     停滞時間 恐怖時間 解体される透明な闇の中の時間  うつろ

       聖なる場所それはぼくらが名づけることのない 余りにも遊星 

       いつも姿を失われた意識の原質だけがひどく眼醒めているので 

       すべては丹念に森はかえってそのことのために

       一つの方向しか指ささないから僕等の存在と意識のあいだで 

       少しずつその重い 顔を 貌を かえて行く

       (黒ずんだ石膏から――。)

あんとか、うんとか、うふんと、もう一度泣け!

もっと海老反りで! (ああ、もっと、)痙攣するような、死に装束で

MCみたいに俺は言う、いや、――MJ?

みな あの輝かしい地位にのぼろうとしたのではない

  多かれ少なかれ美学――あなたのわがままなまぶたの残りの部分

(しかし、)喜色のうかぶ気味悪い出発点だ・・・おのれの幸運、おのれの幸福

まるで美しくイルミネートされた飛行機さ

  太陽は明るくほほえみかけ、猟犬のように、私をしつこく追いかけ回した

  ショパン! ・・・おまえのメロディーが鋭く、鋭く咽喉元をえぐる

   前に 陰府の 眩暈・の傍で糸は 既に 一つの肉体が一つの一つの

   明確な姿勢を示す傷口のように 解体することもなく あたかも一枚の

   一枚の一枚の一枚の風景いつも容赦なく縺れる したがって立上る森

   はめまいではない め・ま・い 暗い隧道の醜い巨人

富良野のファッション的がらくたさ――フラノ? ・・・ピアノでもいいぜ
         さかい
何だっていいのさおまえらは死の界隈からぬけだせず、

ねたみ深い怒りをいだき、蝦蟇になったり、豚になったり、

それも、恍惚に――アンドロメダみたいに・・・ラジオの高校野球

さんらんたる春、どの草むらにもとき放たれた炎のように 金いろの蛇

夏のうちに消えて死に・・逝く季節の柩

まだいばらの道――いまだに、センチメンタルセシメタサ

消えゆくあらしの最後の雲のように・・・「おまえはだれか?」「セシメタサ」

森のまひるの露がしたたり、黒ずんだ蔦かつらの房が征服者の旗に忠実

  ――それは摧けないか? 

  (しなやかに潜む)手足を縛られ、

  あなたの完全な唇の笑い[しおれた花だけが知ってる・・]

  のしかかる時の重荷を支えることは、人ひとりには重たすぎる


  一四


          熱い季節

           のような

            完璧な空間を 

             すべてが樹木のように 

              ヒラヒラした

               時代のカスをなめて聞くと

              追って行くという権利とか

             位置とかを楯

            満足させるための本質も

             標準も書式気障主義な、

              お芝居気「立て!」

               浅薄傾向自分自身がただ

              軽薄とりとめのない程

            その場その場で動いて行く。

          でもそうは言っても

           ぼくらはぼくらの前に恐るべき夜もなく

            しかしいま

             おまえの伝家の宝刀

              ――良識

               ってやつは死んだ・・

              時には非常に強い、

            二つのことを確認する

           最終的には、自己の競争にすぎない――

            自己破壊にすぎない

             森や 川や 野や 丘や 海に・・・混沌

              それは怒濤のようにお祭りにする、

                血祭りにする、

                 鯉のぼりする

                さようならインテリマン! 

               ヒステリウーマン

              個人を失っている世界で、

             業績向上をいたずらに担うマシン!

            自分の意思決定! 

           ・・・それらは理解できる、といわれる場合

          力の美とよろこびを

         その生命の流れにひたし! 

          卑劣な言葉でもって

           おまえの詩は糞だと言わなければ

            ならない――なった!・・・

             恥しらず! ――顔も知らないのに、

              毒づくことだけが、うまくなる







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