ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」
ヴェルディの中期の傑作と言われているオペラです。今結構はまっています。このオペラは完成度が高いですねえ。あらすじは暗くて陰惨で、ストーリー的にはかなり無理があるのですが、とにかく音楽がいい!一幕最後のマンチリーコ、ルーナ伯爵、レオノーラのノリノリの三重唱、二幕の有名なアンヴィルコーラス、それに続くアズチェーナのおどろおどろしいアリア、第三幕のマンリーコの、大変かっこいい「見よ、恐ろしい火よ」、第四幕のレオノーラとマンリーコの重厚な二重唱(ミゼレーレ)、緊張感ただようフィナーレ、などなど、どこを切り取っても名曲で飽きません。●ヴェルディ:歌劇『トロヴァトーレ』全曲 フランコ・コレッリ(マンリーコ) ガブリエラ・トゥッチ(レオノーラ) ロバート・メリル(ルナ伯爵) ジュリエッタ・シミオナート(アズチェーナ) フェルッチョ・マッツォーリ(フェランド) ルチアーナ・モネタ(イネス)、他 ローマ国立歌劇場管弦楽団&合唱団 トマス・シッパース(指揮) 録音:1964年ステレオ こちらのCDは、マンリーコ、レオノーラ、アズチェーナ、ルーナ伯爵4人ともすばらしく、死角がありません。コレッリの「見よ、恐ろしい炎を」Di quella piraのハイCも鳥肌ものだし、レオノーラのトゥッチは少々癖のある声で、カラスやデバルディと比べるとやや軽いんでしょうが、聞き慣れるとこういうレオノーラもいいな、と思います。アズチェーナ役のシミオナートは、重く暗めの声が役に合っていてさすが。ルーナ伯爵のメリルもコレッリに負けない重厚さと迫力で、男同志の対決がスリリングなものとなっています。シッパーズの指揮も、全編にわたって緊張感がありながら軽快で、ノリノリです。●ヴェルディ:歌劇『トロヴァトーレ』ハイライト プラシド・ドミンゴ ロザリンド・プロウライト ジョルジョ・ザンカナロ ブリギッテ・ファスベンダー エフゲキー・ネステレンコ、他 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団&合唱団 カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)こちらは図書館で借りたのですが、抜粋盤なのでなんとも中途半端なのですが、聴いた限りでは、ジュリーニの指揮はシッパーズ盤よりテンポはゆっくりめで重厚な感じ、でも締めるところは締めています。一幕最後はちょっとシッパーズ盤と違うところがありますね。ドミンゴは「見よ、恐ろしい火よ」ではハイCは出していません。ヴェルディの原曲ではないところなので、高音が得意なテノールがサービスで歌うようなものなのですが、コレッリやパヴァロッティの見事なハイCを聞き慣れてしまうとやはりちょっと物足りない。ファスベンダーのアズチェーナも、「炎が燃えて」以外はバッサリ切られているので、この曲でしか判断ができないのですが、シミオナートより軽めの声な分、かなり必至で歌っている感があるのですがそれがかえって良い気がします。シミオナートは淡々と、余裕で歌ってますからね。●ヴェルディ:歌劇『トロヴァトーレ』全曲エヴァ・マルトン(ソプラノ)ドローラ・ツァーイック(メッゾ・ソプラノ)ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)シェリル・ミルンズ(バリトン)ジェフリー・ウェルズ(バス)ロレッタ・ディ・フランコ(ソプラノ)メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団指揮:ジェイムズ・レヴァインこちらはDVDなので、演出や歌手たちの演技も楽しめます。マルトンは年いってるので、二人の男性から求愛される美少女と見るのは無理がありますが、さすがにすばらしいドラマティコ・ソプラノの迫力ですね。レオノーラは出番が多いので、ソプラノが締まらなければいけません。パヴァロッティは、軽々とハイCを出してさすが。でもコレッリやドミンゴと比べると軽いかな?ミルンズは舞台映えしてかっこいいですね。ヴェルディのバリトンはやはりこの人ですね。ザジックも熱唱。とくにフィナーレがよかったです。でも老けメイクが可哀そう。