鍼灸医学における風邪の治療 その5
乳幼児から大人まで、40度を越えるような高熱に対し、解熱薬を服用したり、座薬タイプの解熱薬をおしりから入れたりしても、なかなか熱がすっきり下がらないようなケースでも、きちんとした鍼灸医学の見立てのもとで、鍼(はり)治療を行うと、熱がうまく下がってくる場合は、鍼をした瞬間から大量の発汗が体幹部を中心におこり、スッと下がる。 これは、開業してすぐから現在に至るまで、もう数えきれないほど私自身臨床の現場で経験していることだ。 この事実をねじ曲げることはできない。 もし、鍼灸師で「熱がある時は、鍼治療はしたらダメだ」という鍼灸師がいるとすれば、それはそこまでの腕のレベルか、勉強していないかである。 また、その他の医療関係者で同様のコメントをする人がいるとすれば、鍼治療により熱が下がるという事実を知らないのである。知らないで、あて推量でそんなことを言っているのである。 残念であるとともに、非常にはがゆい思いがする。 我々鍼灸業界も「熱があっても、正しい見立てと正しい治療をほどこすのであれば、鍼治療を行う事ができるし、むしろ熱を正常な体温に安全に下げる事ができるくらいなんだ」ということをもっと世間に認知されるべく、現場で臨床実績を積み上げる努力しなければならない。