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こうこの手紙

2019.07.15
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「とうちゃん、この三連休はどうするんだ?」

「ふむ。今日は13日でくまの命日だからね。お墓参りに行こうかとも思うんだけれど、

川崎大師に行って脳梗塞で入院中の先輩の闘病平癒もお願いしたいんだよ。

けれどね、明日は雨だというではないか。なので球磨之介のお墓参りを済ませておきたいよ」

「じゃあバスでお寺に出かけよう」



「とうちゃん、桜ヶ丘の工事が進みだしたね」

「ふむ。本来だったら渋谷川が見えるはずなのである」

「なんだかどこも変わってしまうね」

「ふむ。変わるのは昔からのことだからね」



「連休初日だからかね。バスも混んでいないよ」

「とうちゃんは下痢が続いているから有難いね」

「ふむ。有難いね」

そうして東宝前に着いて表の仏像からお詣りをするのでした。



「とうちゃん、お盆が近いからかね? お参りの人がいっぱいいるよ」

「ふむ、呑気に写真など撮れないね。お参りも急いでしよう」

ふたりはいつものようにお参りをして、バスに乗って家路に着くのでした。



「とうちゃん、駅ビルも完成してもうすぐオープンっていう風情だね」

「ふむ。いろいろつけ足したビルだったから、多摩川線は一階、二階に山手線、

三階に銀座線と使いにくかったのがスッキリするんだね」

「スッキリするかもしれないけれど風情がなくなったな」

「ふむ、ただの四角い箱になってしまったのである」

「埼京線の渋谷駅ももうすぐこっちにくるね」

「埼京線の今の渋谷駅はどうなるんだろうね?

あっ! 球磨之介。カメラがないのである」

「バスに座っている時にポケットから落ちたんだね」

「ふむ。ポケットが浅いチノパンだったけど落ちるほとではないと甘くみていたよ」



家に帰って小田急バスに電話をすると、無事にカメラは届いているのでした。

狛江営業所というところに届いているそうで、次の日にハンサム団はとりにいく事にしたのでした。

「おじいさん、今日は一日雨ですよ。お腹の調子も悪いのですから明日にしたらどうですか?」

「ふむ、シロ。折角の三連休なのである。明日は晴れると聞いているのである。

明日は鳩森神社か川崎大師に行きたいのである」



「とうちゃん、狛江営業所に行くバスは1時間に1本しかないぞ」

「ふむ、下痢だけど急ごう」

「二日続けてお寺の前を通るな」

「狛江はお寺から更にニ十分くらいあるぞ」

ふたりは1時間以上かかって狛江営業所にいってカメラを受け取るのでした。

「球磨之介、時間が微妙であるぞ」

「成城学園に出て、登戸経由で川崎に行けば割と近いぞ」

「ふむ、携帯で調べたら4時には着きそうだね」

そうして携帯のケースを閉じようとした時に、一匹の蚊が飛んできたのでした。

「とうちゃん!危ない!」

「うっ! 蚊が挟まってしまったのである。血を流して潰れてしまってしまっているのである」

「とうちゃん、血を吸った蚊ということは妊婦さんじゃないか」

「申し訳ない事をしてしまったのである。これから産卵をするために栄養を蓄えていたであろう

お母さん蚊を殺してしまったのである」

「不可抗力だけれど、お母さんになるはずだった蚊も無念だろうな」

「ふむ。折角生まれてきて産卵を控えていたのに事故とはいえ殺してしまったのである」

「御供養をしてあげないといけないぞ」

「ふむ、献血でもしたいところであるが、拙者はプラセンタを注射されていて

献血はできないのである。蚊の供養はどうしたらいいであろうか」

「間に合ったらお大師に行こう。そうしてお線香をたいて御供養しよう」


一行は成城学園を目指すのですが、途中の駅で時間調整をしていて思いの他

到着時刻が遅くなるのでした。

「とうちゃん、お大師は無理だ。金王様で蚊のことを頼もう」

「ふむ、明日も休みだからお大師でお線香をたこうね」

ふたりは金王神社で蚊の冥福を祈るのでした。

「なあ、とうちゃん、もしとうちゃんがカメラを落とさなかったら、蚊は死ななくて済んだのにな」

「ふむ、腹が痛くなかったら、一本前のバスで出かけたのである」

「落とし物の受け渡しにもう少し時間がかかっていたら、蚊とは遭遇しなかったのにな」

「雨がやまなかったら、蚊も飛んでこなかったであろうし、拙者も椅子に座れなかったのである」

「成城学園行きを待たないで、調布か二子多摩川に向かっていたらバスに乗っていたのにな」

「昨日お大師に行っていれば、狛江までくることもなかったのである」

「とうちゃん、全てが蚊に不利に働いてしまったね」

「ふむ、可愛そうなのである。蚊として子孫を増やすべく卵を産む前だったのに、

拙者の携帯に挟まって、生物としての役目を果たさず亡くなってしまったのである」

「この世に生まれるはずだった蚊の将来もなくなってしまったね」

「ふむ。今度生まれてきたら特別の計らいを受けて欲しいのである」

「何しろ、生を全うできなかった蚊のご冥福を祈ることにしようよ」


「蚊とはいえ、とても無常感にとらわれるのである」

「命って儚いね。蚊だって大切な命なのにね」

「ああ、大切な命が儚く消えてしまったのである」

来週はお大師で御供養をしてこようと思うのでした。






最終更新日  2019.07.15 22:41:54
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