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青春のギターリペア  K2ギターファクトリー

青春のギターリペア  K2ギターファクトリー

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2017年03月11日
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カテゴリ:ギターリぺアー
◆今回は、開放弦でビビるのは何故?って話です、珍しくアカデミックな話なので
 読み流した方が良いかも知れません。

●ビビりのポピュラーな原因は・・・
 ネックの逆ゾリ
 ネックの捻じれ
 ナットの摩耗
 フレットの摩耗
 弦高調整が低すぎる
 弦を押さえる力が弱い?プレヤーの問題です

 ざっとこんな感じでしょうか?

これではギターテクニシャンの書く内容では有りませんね!
どれもこれも、見りゃぁ~判る事でしょう。

◆実はこんな事でもビビる事が有るのです。

 結論から言いますと
 
  ブレーシングの剥がれでもビビる様に聞こえる、正確に言うと【共鳴】って
 事になろうかと思います。

◆この素晴らしいL10のオーナー様は、千葉県成田市【旧・栗源町】の
 LIVE RESTAURANT WOODSTOCK のオーナーミック様です。



●LIVE RESTAURANT WOODSTOCK 
 ジャムセッションが楽しめます、若い頃バンドやってたけど・・・メンバー集まらないし練習する
 時間も無いけど、やっぱし演奏したい!って言うプレヤーの方や、武者修行したい!って方にも
 最高のスペースです。勿論、美味しい食事、ドリンク、お酒も楽しめますので是非お出かけ下さい。
  オーナーのミック様はマルチプレーヤーで、ピアノ、ドラムス、ギターと何でもOKって感じです
 グランドピアノがドンと構えてます。PAシステムは、ミキサーのU氏がプロヂュースされてます
 ので最高です。
  

 
◆正真正銘のジャパンビンテージ ヤマハ/L10 で起こった事です。
 実はリペア前の打合せの時に、ノックテストでブレーシングが剥がれてる事は判ってました。




★ヤマハL10は、高3の時に同じクラスの篠崎君が購入して、試奏させて貰った時の
 衝撃は今でも忘れられないと言うか、アコギ道の原点となったギターなのです。
  自分の使ってたアコギは【ベベン ベンベン!」】って音がしてたのですが、篠崎君の
 L10は、正に、シャンシャン~~~レコードで聴いた音と同じだったのです。

  すげぇ~~~ です。

 その週末に、某石橋楽器さんで、予算4万円でL10に負けないギター頂戴!で買ったのが
 ライダーR400Dだったのです。

●話がそれましたので、元に戻します
 
◆全体の調整セッティングと、1E 2B 3G でビビるって事でお預かりしたのです。

◆タバコの煙?その他の要因で、赤黒べっ甲柄のピックガードが黒に見えた程で
 状態が想像出来ると思います。
 トップ板の汚れは、確実に音に悪影響を及ぼしますので、弾き終わったら軽く拭いて
 あげて下さい。


  いつのも様に、コンパウンド2種とワックス2種で、残ってる輝きが戻って来ましたが
 右腕が掛かる所のラッカーが薄くなり輝きが戻りません。
 どれだけ弾かれて来たのか、状況を理解した瞬間にこのL10の歴史を見た思いです。

画像では判り難いと言うかさっぱり違いが判りませんが、右肘が掛かる所のクリアが薄く
なってる個体って滅多に見ないでしょう。
この部分はギターオーナー様とL10の歴史ですから、クリアで補修するなどと言った
戯けリペアはしません。

●フレットを打ち変えるに値するギターですので、打替えを前提に打合せしたのですが
 リペアー台に乗ったL10を見て、擦り合わせでも行けるかも?
 駄目元で擦り合わせて見たら・・・OKOK!

 ちゃっちゃと擦り合わせて、フレット&フィンガーボード磨いてピカピカです。
 ついでに、ポジションマークのパテがはみ出していたので、フラットに仕上げて
 起きます。

フレットの窪みを完全に除去しますと、フレットのショルダーが落ちすぎて、多分、弦落ち
の原因になりますのでこの辺が限界です。

●ナットが限界を超えてましたので、【水牛の骨】ボーンで作り直しますが、ナットを
 外したら、なんと!カッターの刃がスペーサー代わりに挟まってました。
 オーナー様の創意工夫に脱帽です。
  ナットもちゃちゃと作り直しましょう、出来ましたが溝調整は最後に、慎重かつ
 慎重に調整して行きます。


●ペグもクスミが酷かったので、外して磨き&グリースアップしておきます。

●元の位置に戻しますので,ゼッケン番号は必須です。
 ヤマハってオリジナルペグ使ってますが、グロバー好きのK2は、昔からグロバー使えば
良いのにのにと思ってました。

●このL10はエレアコ仕様なので、サドルも作り直す予定だったのですが、
 ピエゾマイクって、ブリッジにマウントする凹の字の金属板にハーネスが付いて
 いて、サドルは交換可能と思ってましたが、なんとL10は、サドルからハーネスが
 出てる・・・しばし呆然。
 交換出来ないでは無いか!
  サドルに付いた弦の跡を取るだけに留めざるを得ません。

ストリングガイド溝も中途半端だったので、弦の太さに合わせて溝付けしておきました。
トップセンターの線は、一応クラックなのですが完全に割れてませんので今回はリペア
を見合わせる事にしました。今後乾燥が更に進んで完全に割れた時点でリペアします。

エンドピンが完全に収まらずに、収穫の遅れた大根の様に浮いてますので、専用リーマーで
ピッタリ入る様に整形しておきます。

◆全ての調整が満足の行く状態で済みましたので、早速セッティングに移ります。

 弦を張って、ロッド調整~ナット溝調整 1フレット 0.47mm 12フレット2.5ミリ弱

 何と、1弦の開放がビビリます。
  
 やっと今回の本題に辿り着きました・・・長い前置きでした

  バック側のブレーシングが、4か所剥がれてました。1弦開放等の特定の振動でビビり
 と言うか共鳴するのです。ビビり音がサウンドホール内から聴こえて来ます。
 1弦の開放でビビリるって、1フレット .047mmのクリアランス ネックはストレート
 普通はビビる訳有りません。
 エレアコの機材がビビってるのかな?調べても該当なし。最初の見立て通りにブレーシング
 の剥がれが原因でした。
 バックのブレーシングが剥がれてますと、笑ちゃうくらい可笑しな音が出で来ます。
 今回は共鳴ビビリだったので珍しいと思います。オールソリッドの関係も多分に有ります。

極薄のスクレーパーしか入りません。・・・スクレーパーで剥がれた範囲を確かめると
・・・残って剥がれた接着剤の感触が全く有りません?この幅広のブレーシングが剥がれる
とは・・・殆ど接着剤が付いて無かったのかも知れません。


●ブレーシングの剥がれを自作ジャッキでリペアして行きます。
 サウンドホール近くのブレーシングは、見える手が届くので簡単ですが、一段下は
 微妙に手が届きません、逆ネジのジャッキを矢印方向に回しますと、上がって行くの
 ですが、トップのブレーシングが邪魔して、ちゃちゃと上がってくれませんが、何時もの
 事なので気にしません。


●一か所ずつ、ジャッキを掛けて外側からクランプを掛けて完全に接着して行きます。
 計4か所ですと乾燥時間を含めて、一日仕事になります。

◆4か所のリペアが終りましたので、1日放置してから完全に接着されたか入念に確認
 します。

●完全に接着されてる事が確認出来ましたので、セッティングをして行きます。

◆セッティングが決まりません。
 ネックの1E&2Bの5~付近から微妙にネックが捻じれてして、セッティングがなかなk
 決まりません。5カポでプレーしますと、1E&2B弦が6フレットに引っ付いてしまいます。
 他の弦は問題有りませんんで、要するにネックが微妙に捻じれてると言う事になります。

◆部分的な擦り合わせ用の治具がこれです。

●撮影の角度が思ったよりも判りずらいので解説しますと。アルファベットの【I】
 若しくは【H】の形状をしてまして、弦を張った状態で擦り合わせする事が出来ます。
 

●ナットにはボトルネック奏法をする時に使う治具を取付けますと、弦高が上がり上記の
 擦り合わせ治具が弦とフレットの間に入れる事が出来る訳です。
 弦のテンションが掛かってませんと、擦り合わせした時は良くてもテンションが掛かった
 瞬間にネックが動きますので、逆効果の擦り合わせになってしまいます。
 全べてのフレットが可能な長さと、3フレット間用と、5フレット間用の3種類を作りました
 ので、殆どの場合に対応可能です。
  使うサンドペーパは400番~600番をでフレットの材質で番号を変えて使います。金属ヤスリと
 違い削り跡が細かいため、フレットクラウンの整形が楽になります。

◆この治具の効果は絶大で、全てのフレットでビビリは無くなりました。
 後は、数日間は調弦試奏&緩めを繰返してネックの微調整をして行きます。
 ネックは生き物でコンディションで微妙な変化をしてくれます。

◆流石にL10です、セッティング完了後はネックが微動だにしません。
 都合の良い時にお引渡し可能です。

 試奏はご機嫌その物です、弾いていると高校3年生に戻った様です。

🌸たいへんよくできました🌸

PS 部分擦り合わせの工具の形状が、【さっぱりわからん!】と各方面各位様より暖かいお叱りの
  お言葉が続々お寄せ頂いて居りますので、長・短3種の画像を再アップさせて頂きます。
  別にどうって事無い工具ですが有るととても便利で有ります。お使いの時はフレットロッカー
  で正確な位置を確認しながらの作業で或る事をお忘れ無い様にお願いします。
  それと、フレットクラウントップにマジックでマークする事もお忘れなく。


●左から全フレット用 5フレット用 3フレット用 フレットロッカー


●完全に平面が出ている部分に両面テープでサンドペーパーを貼り付けます


●この画像には弦が有りませんが、1弦と2弦の間にセットして調弦した状態で擦り合わせが
 出来ます。
  フレットのクラウン【頂点部分】にマジックで印を付けて於きますとマジックが消えた
 事によって擦り合わせ完了のシグナルになります。
  治具をXの字を書くように軽くサンディングして行きます。必要以上に力を入れたら駄目です。
 優しくなでる様に平行に掛けて行きます。
  完了したらフレットを整えて完了です。





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最終更新日  2017年10月10日 06時12分11秒
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