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青春のギターリペア  K2ギターファクトリー

青春のギターリペア  K2ギターファクトリー

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2020年09月25日
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カテゴリ:ギターリぺアー
◆Gibson Les Paul  Firebrand フレット打変えのご依頼を頂きました
 
ギターオーナー様は築100年の古民家にお住まいの【O様】です。
 大阪に出掛けた際に、たこ焼きを買いに行ったついでに、見かけたギターショップで
 衝動買いされたそうです・・・
 FirebrandはGibsonの文字を焼き印で刻まれており、製作された年数は極僅かな期間だけ
 で、k2も数台見かけた事が有る程度です。

◆画像から確認して行きます


●オイルフュニッシュ仕上げで、ボディはウォールナットとマホガニーの3P仕様です


●Firebrandのネーミングの由来です


●トグルスイッチの位置が何時ものレスポールとは違います
 演奏中に間違える事が有るそうです


●サーキットのザグリがこのサイズですとポットの交換も楽です

◆フレット打替えの理由を確認します


●フレットクラウン全体が【0.9mm】の高さに揃えて擦り合わせされていて、
 ポジション移動の際に違和感を感じるために、弾いていて楽しく無い、つまり弾いていて 
 ストレスを感じるそうです。
 試奏したk2のテクでは全く感じ無いのですが、スパーテクニックのギタリストだけが
 感じる世界と思います


●前オーナー様のオーダーで0.9mmに擦り合わせされた形跡が有りますが、
 完全にプロの仕事です

◆フレットサンプル・ギターです

●フレットの種類【201~214、スチェマ製】まで,特殊なフレットを除いた
 6種類のフレット打込んで有り、現状のフレットから違うタイプのフレットに交換される際に
 【どんな感じか?】を指で体感出来る様に作りました。
 最初はネックだけだったのですが、使い道の無いボディが手に入ったので、処分する訳にも
 行かず無理やりセットしましたが、ネックだけを指で触ったのでは、良く判らない事に
 気が付きまして、画像のウクレレ用のブリッジを外して、メロディメーカー用の
 テールピースとブリッジが一体になった、弦を弾いてフレットボードの感触が判る様に改良
 して有ります

◆O様の青春のギターであるEX近い、207に交換する事に決定しました

●世界の一流メーカーに供給している、三晃製作所のフレットワイヤー207番です
 フレットクラウンのサイズは、幅2.4mm、高さ1.4mm タイプです

◆フレット打替えの準備をしておきます

●弦は勿論ですが、簡単に外れる部品は事前に外しておきます


●事前にエボニーのフレットボードにオイルを補給しておきます


●フレットを抜いて行きますが、エボニーのフレットボードはメイプルよりも
 細心の注意をしないとエッジの欠損が起こり易いので、1本目は特に緊張しますが
 画像の工具を使うように成ってからは、フレットチップ併用で短時間で抜ける様になりました。
 最終フレットから抜いて行きます
 

●20分足らずで抜けましたと言うか、この工具を使うとフレットが自分で浮いて来る
 感じです。師匠のリペアは工具で決まるよ!のお言葉通りです


●22フレットの1カ所の欠損も無く外せました


●R250のフレットボードを軽くサンディングします


●仕上げはやはり指の感覚で仕上げます



●掃除機と刷毛で溝のダストを吸い取ってから、仕上げに溝を綺麗にします


●フレットが入る溝の深さが有るか、全てのフレットを確認します
 溝の深さが足りないと、フレットの浮きが発生しますので必ず確認します



●打込むフレットをカットしておきます。フレットホルダーに差し込んでおきます


●フレット打替えとは違う話ですが、Gibsonに搭載されているグロバーのペグはポストが
 長くて弦を通す穴が上に有ります。
 1E~3G弦は巻き数が多いので良いのですが、4D~6Eは数回しか巻きませんので、弦の角度が
 通常14度の角度を下回ってしまいます。
 画像の丸棒がヘッドと平行になって14度になる事がお判りかと思います。
 ヒスコレでテンションが足りない感じがする原因がこれです、ヒスコレは17度でネックが
 仕込んで有りますが、巻が足りないと14度を下回ることさえ有ります。


●フレットを打ち込んで行きます


●例のジョーズで打込むと言うよりも、圧着する感じで打込んで行きます


●指でフレット溝におっぺしてズレ無い様にします


●全てのフレットを打ち込みました。余分なエッジは同じ角度でカットします


●フレットのエッジを揃えていきます。右上のベベリングファイルと2本のファイルは
 使いますが、画像左の通常フレット打替えの時に使われるフレットクラウンを揃える
 ファイルは使いません、理由はご説明したと通りです。


●フレットボードをマスキングテープで養生してから、ベベリングファイルで角度を
 揃えて行きます


●45度の角度で両側を揃えましたので、指にエッジが引っ掛からない様に整えて行きます



●フレットエッジを揃えましたが、冬季【乾季】になりますと、フレットボードが
 乾燥によって縮んでエッジが引っ掛る可能性が有ります、そうなりましたら微調整
 させて頂きますのでご安心下さい、弦高調整もそうですがギリギリのレベルで
 セッティングしてますのでご理解下さい

◆ナットを交換します

フレットクラウン打替え前0.9mmの高さに対して、1.4mmのフレットを打ち込み
 ましたので、1フレットに全ての弦がベタ付きに成りますので、ナットを交換します
 

●ミトンでカバーして温風を当てます


●綺麗に外れました



●6mmの工房オリジナルのナット溝用のファイルで整えておきます


●削り出したナットは水牛ボーンのオイル浸けです


●外したナットは不思議な構造で、プラスチックの芯にタスクを張り付けた構造に
 なってます、Gibsonはタスクを純正に使ってると承知してましたので、初期の
 タスクはこの様な構造になってのかも知れません【未確認です】
 オバーサイズで削り出したのですがナット溝にピッタリです、と言うことは既存の
 ナットが交換されていた事になります、良く見るとGibson純正とは形状が違ってます


●弦との接点が少ない形状で削り出して有ります
 フレットクラウンの高さ1.4mmに、1フレットクリアランス0.5mm、6Eの弦溝0.5mm
 計2.4mmでナットのトップを削ればピッタリに成りますので簡単です




●1フレットに0.5mmのスペーサーを咬ませて仕上がり予定の弦高を確認しておきます
 O様の好み通りです


●ナット溝を仕上げていきます
 巻弦は半分が露出する深さが適正とされてます


●全体の仕上がりです


●フレットエッジは現段階で指に引っ掛る場所は有りませんが、冬季になると
 フレットボードが縮んで引っ掛る場所が出て来ますので、その時の微調整の
 費用は必要有りませんのでご安心下さい。
 余裕を持たせずにギリギリの調整をしてますので、この様な対応に成ります


●プラスチックのナットから水牛ボーンのオイル漬けのナットに交換しましたので
 音質の改善が楽しみです


●全体にオイルフュニッシュ仕上げ用のワックスを掛けて仕上がりました

◆試奏タイム
 クリーンでフレットの接触が無いか、指に引っ掛る場所は無いかだけのテストに
 留めました、全てのポジションでOKです
 音の変化はO様にお任せ致します

🌸たいへんよくできました🌸






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最終更新日  2020年10月06日 01時30分33秒
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