カテゴリ:ギターリぺアー
◆Chaki W-3F 再始動リペアのご依頼を頂きました
ギターオーナー様は、偶然工房の前を通りかかった事がご縁で来店されました阿部様です 阿部様が学生時代に御茶ノ水の楽器店で、購入されてからの40年以上の付き合いでしたが ここ最近は弾く機会が無く、ハードケースの中で眠っていたのですが、復活させたいと 考えていたタイミングに工房の前を通り掛かったそうです・・・W-3Fのお導きかも知れません ◆画像から確認して行きます ●かなり弾き込まれてますが、ボディコンディションは画像の通りで、大切にされていた事が 伝わって来ます。再始動後が楽しみで、今まで知らなかたW-3Fの世界を引き出したいと思ます ●ヘッドストックのインレイは手が込んでます、ヘッドのデザインからエピフォンの コピーモデルと思います ●Chakiのラベルは製造年が消えてしまいます ●ポジションマークもこの通りです ●バックのキズも殆ど有りません ●Ariaのペグです・・・ノーコメントです ・・・推測ですが、ペグは重量級で重いペグは音に良い影響が有ると言われてますので 採用してのでは無いかと思ってます ●ネック裏は弾き込まれてる事が判ります ●サドルに調整された後が有ります。弦接点がネック側の一直線に来てますが、違和感を感じますので オクターブを出す専用治具でチェックする必要が有ります ●ピックガードは外してから、余り強力で無い両面テープで貼り付けます 🌻リペア開始して行きます ●全体のクリーニングから始めます ●フレットボードは綺麗に見えても歴史が有りました、フレットボードの歴史は容赦無く リセットします ●ボディもピカピカです ●ネック裏は弾き込んだ部分の艶は戻りません ●バックもこの通りです ●経年変化のサイドバインディングを考慮して、ワックスは手仕上げです ●外れ掛けてましたピックガードを外します ニカワで接着されてましたので、フィンガーボードもニカワが使われてると思います ●ニカワは60℃まで加熱しますと融解しますが、ボディとピックガードのセルには高すぎますので 蒸しタオルでゴシゴシして取ります キズが付かない様にしますので、結構時間が掛かります ●強力では無い両面テープで貼り付けます ●サドルが無い状態&弦テンションが掛かって無い状態で、アバウトですが弦高を計測します このままでは高くて楽しく弾けるレベルには無いようです ●順ゾリの最大値は0.10mmです ●ロッド調整して見ますが、ロッドで済むほど世の中甘くは無かった様です ●ボディの隆起も深刻なレベルでは有りません ネックのセット角度も元起きしてるレベルでは無いので、弦高の事は一時忘れて気分転換に 他の箇所を確認していきます ●トップ&バック側のブレーシングに問題は認められませんでしたが、弦振動が掛かった時に 音で確認して行きます ●オリジナル・ペグも外して磨きを掛けました ●Aria製のペグは重量が有りますので、音を考えて採用してるのかも知れません ペグは重い方が音に良い影響が有ると考えられてます 🌻セッティングして行きます ●既存のサドルをセットして、弦を張る前でどの位の弦高になるか確認しておきます このままでは済みそうも無い高さになる事が確定しました ●1フレットに0.5mmのスペーサーを挟んで12フレットの高さを確認します 張った弦は【011~】です 🌸弦を張りましたので音出し試奏をしました、・・・凄いです、なんじゃこやぁ?です 余力を引っ張り出すなんて、大見得を切ってしまいましたが約束は守れそうに有りません 弾き易く弾いていて楽しいセッティングに戻す事をメインにします ●6E/12Fが、2.75mmです ●1E/12Fは、2.5mmです ◆無理と我慢をすれば弾けない高さでは有りませんが、楽しいか?と問われれば、楽しくないと 答える高さです・・・更に追い打ちを掛けているのが☟です ●ネック全体が素直な順ゾリをしてまして、最大値で0.30mmのシクネスゲージが サクッと通ってしまいます。トラストロッドは限界の一歩手前まで調整しての高さです 更にサドルにも余裕が有りませんので、解決方法はネックヒターを掛けて矯正する 以外の選択肢が有りません ●ネックヒターを掛けて順ゾリを矯正します ヒターからはみ出して見えてる棒は、ガリガリ君のスティックでは有りませんよ Me君 ●治具を外して修正具合を確認します ●ノーテンションでストレートの状態まで戻りました ●6E&1E共にあと一息ってレベルです ●ブリッジの厚みが十分に有りますので、ブリッジトップを削ります ブリッジ固定のネジの化粧貝も画像の通り下がってますので 必要最小限で削ります ●今回は音を変えない様に、ボーンのオイル漬けサドルに交換します 何時ものオイルとは違う、レーシングカー用のオイルに漬け込んだタイプなので 発色が薄いですが、画像の通りオイルが仲間で浸透してます ●努力された痕跡てんこ盛りのサドルですが、フレットボードのRとは画像の通りです ●僅かに余裕を持たせて削り出します 弦との接点はサドル中央が正解でした、手を加えている間に前の方に削ってしまっていた様です センターに戻した事で、合い難かったチューニングもバッチリです ●1フレットにスペーサーを咬ませて弦高を確認します ●工房標準設定の6E/12Fは、2.25mmです ●1E/12Fは、1.75mmです ●リペアの完了です ◆試奏タイムです 凄いの一言です フィンガーピッキングでもピックで弾いてる様な音量でしかも繊細です 2.0mmと言う分厚いべっ甲のピックでガンガン鳴らしても、ちゃんとコードの音として 和音で出て来ます。厚いピックで力強いストロークをすると、通常は音楽に成らないのですが ちゃんとコードの音としてバランス良く鳴って来るので驚いてます マーチンの繊細さにGIBSONの力強いピッキングに対応出来る、相反する演奏方法を可能にする 珍しいギターです お嬢様が私に頂戴ね!と言うのも判ります 🌸凄いです!🌸 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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