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青春のギターリペア  K2ギターファクトリー

青春のギターリペア  K2ギターファクトリー

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2021年07月23日
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カテゴリ:ギターリぺアー
◆Gibson  Southern Jumbo 音質改善&セッテングのご依頼を頂きました
 ギターオーナー様は、Ni様からご紹介頂きました。Ni様の従妹のTak様です
 改善したいポイントを先にお聞きしてますが、先入観無しで試奏して行きます

◆画像から確認して行きます

Southern Jumbo はJ45/J50の上位機種の位置付けの機種です


●K2の記憶が間違って無ければ、数年前にGIBSON社で製造が中断していたと聞いていました


Southern Jumbo はビンテージ・ロゴで、GIBSONロゴでは無かった様な気がします
 個人的にはGIBSONロゴが好きですね


●GROVERのペグは弦の巻き数に注意が必要です


●画像では判り難いかも知れませんが、GROVERのペグはポストがクルーソンタイプと比較して
 長いため通常の巻き数では、ヘッド角度の14度下回ってしまい、弦のテンションが不足する
 可能性が有ります。1E&6Eはナットと近いのでOKですが、2B~5Aは巻き数を増やして、ヘッドと
 平行になる様にして下さい

◆弦高をチェックしておきます

●一般的には問題が有る高さでは有りませんが、0.25mm下げると格段に弾き易く成ります


●1Eで2.25mmは確実に高いです


●1フレットは6Eを除いて理想的なクリアランスですから、これ以上ロッドで調整は出来ない 
 事を意味してます



●ナットの交換の件ですが、K2ギターファクトリーで人気の高い【水牛ボーンのオイル漬け】です
 GIBSONはナット&サドルにタスク材【人工象牙】を採用してまして、両方が固い素材は如何な
 物かと思います
 水牛ボーンに交換しますと、表現が抽象的に成りますが、音に艶が出る様に感じるのと同時に
 見栄えは格段に良くなると思ってます


●ご紹介者のNi様のカスタムショプ製のJ45にマウントした参考画像です


●音質を劇的に変化させるナットも、タスクから水牛ボーンのオイル漬けに交換してみる価値は
 有ると思います

🌻先行試奏の率直な感想です
 グッドタイミングで工房試奏担当の、KIKI氏が駆けつけてくれました、​
 2人の一致した意見は、 Southern Jumbo を探しに行ってこの個体に出会ったならば
 【間違い無く買います!】です
  ​ ローコードのEマイナーを弾くとバック材のセンター近くが振動して腹に響いて来ます
 ローのDコードでは振動は伝わって来ませんが、それは成長過程の中に居ると言う事を
 意味してると思います。これから弾き込む事によってガンガン鳴って行くギターです
 ギターの音質よりも、???の気持ちの方が少し心配です
 確実に鳴るギターですから、お互いの信頼関係を築いて行って下さい


◆リペア開始して行きます
 ナットorサドルどちらが先か3秒考えましたが、音質の変化に絶大な効果の有る、サドルを
 先に差し替えました
 削り出しの工程は絵に成りませんので、弦高を調整したサドルをマウントした画像を
 アップします


●弦高調整後の水牛ボーンのオイル漬けサドルです
 ブリッジ材のオイル分が完全に抜けてますので、オイル分を補給する必要が有ります


●サドル交換後の弦高の確認です
 6E/12Fは、2.25mmmmです。僅か0.25mm下がっただけですが、この差は天と地の差が有ります


●1E/12Fは、1.70mmです

🌻サドルを差し替えましたので試奏してみます
 タスクとの差はやはり大きいです、音質は完全に個人の好みですがK2は好きな音色です
 サスティーンも改善された様に聴こえますし、言葉では表現が難しいのですが、落ち着いた
 どっしりした音質に変化した様に聴こえて参ります
  サドルの差し替えでOK!の様に感じますが、ナットも交換して組合せでよりお好みに近い
 組合せを選んで頂く事がベストと考えてナットを削り出して行きます


●純正のナットを外して行きます
 ヘッドストックに食い込んでいるタイプと、塗装が咬んでますのでカービングナイフで塗装に
 切込みを入れてし、ドライヤーで温めてから慎重に外して行きます


●綺麗に外れました


●GRAPHTECH製のPQL-6010-00と同サイズです


●粗削りの状態ですが、ナット溝にピッタリ入って入る事を確認しておきます
 仕上げ前はこんな感じですが、マイクロファインで磨きますと、艶が出ますのでご安心下さい


●ネックのサイドバインディングを含めると43.0mmのネック巾に成りますが、全体的に
 弦溝の位置がズレてます。しかしながら、試奏の時に弦落ちなどの全く違和感を感じません
 でしたので不思議です。




●ネックサイドバインディングは工房ではナット巾に加味しませんので、42.0mmのナット巾で
 弦溝を切って行きます
 現状のままで弦溝を切るか決定するまでは少し迷いました、しかし、現状で切ると将来他の
 リペアショップさんが見た時に【なんだこりゃ?】と成ります事は確実で、基本を着実に行う
 と言うセオリー通りに決定しました


●ストリングスペーシングルラーで確認します
 マクロ撮影で寄って撮りますと、撮影角度で6Eが僅かにズレている様に見えると思いますが
 ルラーを当てて無い画像を見て頂ければOKで有る事は確認出来ると思います


●ロッド&サドルの調整が済んでますので弦溝を調整します


●調整後の6E/12Fは2.10mmです
 ネックが完全に安定に要する時間の予測は不可能で、GIBSONレスポールで5か月後に安定した
 事も有りました、お届け後に弦高が下がり過ぎて、フレット接触してバズる現象が出ましたら
 ロッドを、時計の針で説明しますと【12時➡9時の位置に緩めて下さい】それでもバズる様でしたら
 少しずつ緩め方向に戻して下されば解決します


●1E/12Fは、1.70mmです

◆リペアの完了です

●ナットは仕上げにマイクロファインで磨きますと、艶が出て見た目も良く成ります


●サドルも同様です


●ブリッジのオイル分が完全に抜けてましたので、オイルを補給しますと印象が変わります
 ブリッジ&フレットボードは定期的にオイルを塗りませとクラック発生の原因に成ります


◆試奏タイムです
 音質は完全に個人の好みで聴こえ方も変わって来ますが、仕上がったSouthern Jumboは
 私の個人的に好きな音質で有る事は間違い有りません。
 サドル&ナットの材質を変えた効果が出ていると思いますが、ご紹介頂いたNi様に試奏して
 頂いてご意見を頂きたいと思ます

🌻お知らせです
 ナットの組合せで、より好みの音質を求める前提ですから、今回交換した水牛ボーンのオイル漬け
 ナットは接着しないでお届け致します
 画像の通り、溝に収まってますので緩んで落ちたり、チューニングの時に左右にズレたりしません
 のでご安心下さい
 どちらのナットか決まりましたら、木工用のホワイトボンドを少し塗って固定して下さい
 時々、瞬間接着剤で付ける様な情報が有りますが、微調整が効かない瞬間接着剤は、難易度が
 高くK2の技術では使えません。置いた瞬間に完全に接着されてしまうのは、普通は無理だと思います

🌸出来る事は全て施しました🌸





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最終更新日  2021年08月06日 07時31分21秒
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