カテゴリ:ギターリぺアー
◆CHECKMATE
ギターオーナー様は、兵庫県在住の【薪拾いジジィ】様です 久しぶりにご依頼を頂きましたが、今回も流石!です これだけ味わい深いギターを探し出す目利きプリに脱帽です ◆メールで頂いた画像をアップします ![]() ●60年近く経過したギターですが、検年変化で実に味わいの有るギターに成長してます ![]() ●ナットは経年変化?でオイル漬け風味になっているのか?交換されたのかの判断は画像では 付きませんが製作年数を考えると、牛骨に交換された様に思います【画像では牛骨に見えます】 最近オイル漬けナットの瓶底から発見した、【オイルに漬って推定10年】の凄いナットが有りますので 後ほど画像アップ致します。 もしプラスチック製でしたら音質を良くするためオイル漬けに交換すると思います ![]() ●ピックガードがバキバキになる事も無く様状態で、鳥は既に飛び立った後なんでしょうか? For birds to flyモデルと先に勝手に命名しますと、世界にたった1台のギターと言う事になります ![]() ![]() ●丁寧にGibson参考に製作されてます。画像では見分けが付かないと思います 剥離しているブリッジを接着固定して、ピン&アジャスタブルブリッジ&ブリッジ固定ボルトは そのまま使います。サドルは金属製の様ですから振れ止めの弦溝を整えるだけでOKと思います ![]() ●見事なウエザーチェックが入ってますので、ニトロセルロースのラッカー仕上と思います この景色は個人的に大好きですから、手を入れる様な事はたとえご依頼を頂いてもお断りしてます ![]() ●ペグは工房特製のスーパー液で復活する可能性が有ります ネジが交換されている様ですが、マイナス頭ネジに交換したい所です ![]() ●バックのクラックは外部からは手を付けず、必要と判断した場合は内部補強に留めたいと思います ビンテージギターの外側の経年変化には、特別な事情が無い限り一切手を入れないが鉄則です ![]() ●お茶目?なのか判断は割れる所ですが、Epiphone&Gibsonなら理解出来ますが、この順序は 実はレアな様な気がします ◆リペア開始して行きます ![]() ●剥離してますブリッジを先に接着固定します 弦&アジャスタブルサドルを外して、更にブリッジ固定ボルトを緩めておきます ![]() ●タイトボンドを流し込んでクランプ固定して接着を待ちます ![]() ●既存のナットは牛骨製で間違い有りません ![]() ●メールでお知らせ致しました、10年物のオイル漬けナットです ![]() ●比べて見るとこんな感じですが、オリジナルも手を加えれば充分使えると思いますが ご判断はお任せ致します 🌻問題は交換するペグの選定です ![]() ●ヘッドの厚みが最大値で18.80mmあり、使えるペグに制限が出てます ![]() ●ブッシュは既存の物を流用する選択肢が有りますので、それ程問題にはなりません ◆第一希望のマグナムロックペグです ![]() ![]() ![]() ●ネック厚18.80mm+ブッシュの出が1.8mm=20.6mmですから、第一希望のペグは取付不可能です ![]() ![]() ●Gibsonと同じ規格のクルーソンタイプのペグをセットして見ますと、弦穴がやっと出るだけで 弦を巻く事が出来ませんので使用不能です ![]() ![]() ![]() ●グロバー製のペグで六角固定するタイプですと、ペグ本体から弦穴の芯まで23.6mm 有りますので使える可能性がありますが、18.8mm厚のヘッドに対して固定用の六角がペグ本体に 届いて締められるかは、メーカー公表の寸法図ではデータが不足してますので判断が出来ませんので、 メーカーに確認してから判断となります ⇩画像でご説明しますとこの事です ![]() ●グロバーを始めとするロトマチックタイプですと、ヘッドが厚いので固定用の 六角がペグ本体まで届かず、ペグの固定が出来ませんので取付不可能です ![]() ●グロバー 135N と102が同じサイズですので、取付可能か試してみます デジタルノギスに数値表示が出てませんが、ここは9.00mmが出ているとお考え下さい ![]() ●締め付けトルクが掛かるギリギリが17.31mmでヘッドの厚みが18.8mmなので、 僅かに足りませんが⇩ロングタイプの六角に交換しますと取付が可能です ![]() ●ロングタイプの六角です ![]() ●既存のペグの弦穴までの長さは22.5mmで弦を巻けますので、センターポールの長さが 弦穴の中心で23.6mmですから問題無く交換出来ます ◆情報を頂きましたGOTOHのSD-90HAPです ![]() ●HAP機構で24.5mmまで伸ばせれば取付は余裕でOKです ![]() ●クルーソンタイプペグを使う時は↑のアタッチメントを取付ける事は必須です このアタッチメントを取付ますと、ゼンターポールの安定性が全く違って、ブレも無く 更にヘッドと密着しますので、音が良くなる効果も期待出来ます 🌻GOTOHのペグで宜しいかと思いますが、受注生産のため納期が1カ月くらい掛かります ↑情報を頂いたHAPタイプのペグを手配致しました。GOTOHさんは基本体に受注生産 方式に変わってますので、納期は3週間程掛かる様です ![]() ●ブレーシングの確認をしますとネックブロックが剥離してました はみ出している接着剤を取除いてから接着固定します ![]() ●タイトボンドを圧入してクランプ固定して接着を待ちます ![]() ●ナットを交換して行きますが、どう見ても牛骨に見えますが ![]() ●実はプラスチック製でした ナット下の白いプラスチックはヘッドの化粧板です。これは出音に良くない影響しか 有りませんので削り落とします ![]() ●ナット溝の直角を出すと共にプラスチックを取除きます ![]() ●10年物のオイル漬けナットをセットします ![]() ●受注生産のため納期が4月末頃の予定でしたが5日で届きました HAPタイプは初めて扱ったのですが、なるほど良く考えられてます ![]() ![]() ●センターポールの高さを調整してペグをセットしましたが、2弦と3弦//4弦と5弦のペグ取付穴が 1.5mm近くペグが干渉【乗り上げてしまう】ため、苦肉の策として画像で見るビスの下を削って 取付けました ![]() ●アジャスタブルブリッジをサンディングして弦溝も整えました ![]() ●↑はサドル下にセットするスペーサーですが、曲がってますのでバイスで挟んで ストレートになる様に矯正します ![]() ●アジャスタブルブリッジをセットしますと金属サドルが溝に挟まってまして これ以上下げる事が出来ませんので周囲を削って入る様にしないと弦高調整に支障がでます ![]() ●1フレットにスペーサーをセットしてセッティングして行きます ![]() ●ロッドを限界手前まで締めても6E/12Fで3.00mm有ります ![]() ●1E/12Fも同じく3.00mm有ります ◆弦高を下げる工法を考えます ①順ゾリをネックアイロンで可能な限り矯正する ②アジャスタブルブリッジのスペーサーをエボニーで削り出して弦高を調整出来る様にする ③その他 最も合理的な方法が有るのか考えてからセッティングして行きます ![]() ●サドルが入る様にブリッジの溝をサンディングしました ![]() ![]() ![]() ●ご希望の位置にストラップピンを取付ました 使用するピンはGibson型でストラップから抜け難い形状の物です、 2個セットのパーツなのでリア側も交換してあります ◆ブリッジのサドル溝を修正して更にセッティングをつめて行きます ![]() ●金属サドルに弦のテンションが掛かるギリギリまで下げます ![]() ●6E/12Fは2.60mmでまだ高いです ![]() ●1E/12Fも2.75mmの状態です この状態で音を出しますと、予想通り大浴場で弾いている様なリバーブが掛かった 様な音が出ます ![]() ●大浴場リバーブの原因は、サドルとプレートに有る隙間と思われます 過去にグレッチのピックギターでこの症状が有りました ![]() ●隙間の形状に合わせたマホガニー材を削り出しておきます ![]() ●弦高を0.5mm下げる事と、弦のテンションを掛けるためブリッジのトップを 1.5mm削る以外に対処法が有りません ![]() ●ブリッジをサンディングしますと、僅かにクラックが入ってましたのでパテで補修します ![]() ●サドルをセットして弦高を下げてましたら、弦高調整用のビスが折れてしまいました 六角レンチで調整出来るボルトを加工して代替パーツを作りました。 久しぶりに自分で仕事を作ってしまいまして申し訳有りません。 ![]() ●ご依頼の通りエンブレムは規定の位置に貼り付ける事を承知致しました ![]() ●ヘッドエンブレムは両面テープで貼り付けて有ります ![]() ●ブリッジ周りの仕上がりです ![]() ●弦を張り戻してセッティングの詰めて行きます ![]() ●1フレットのクリアランスを調整します ![]() ●シェイプを整えてマイクロファインで仕上げますと艶が出ます ![]() ●フレットワイヤー&フレットボードの仕上がりです ![]() ●コーションマークを貼り付けます ![]() ●ヘッドエンブレムを貼り付けました ![]() ●弦を張り戻してフレットのクリアランスを確認します ![]() ●ブリッジ周りの仕上がりです ![]() ●6E/12Fは2.30mmにセットしました ![]() ●1E/12Fは1.80mmにセットしました ◆リペアの完了です ![]() ●10年物のナットがギターの風景に完全に馴染んでます ![]() ●1E弦側のフレットワイヤーのエッジ角度が斜め過ぎてますが、試奏した限りでは弦落ちは しませんのでOKと思います ![]() ●リペアの完了です 本日は臨時休業のため明日発送致しますので楽しみにお待ち下さい 🌻K2ギターファクトリー 千葉県八街市 八街 に-67-3 代表 加藤 和久 ☏ O8O-5376-O998 ⁂お車6台分の駐車場をご用意しております お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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