ゴジラ老人シマクマ君の日々

2022/05/15(日)09:34

週刊 マンガ便  田泰弘「紛争でしたら八田まで5~9」(MORNINNG KC 講談社)

週刊マンガ便「コミック」(84)

​​​​​​​​​ 田泰弘「紛争でしたら八田まで5~9」(MORNINNG KC 講談社)​​​​​​​​  田泰弘「紛争でしたら八田まで 9」(MORNINNG KC)が2022年4月のマンガ便で届きました。1巻から8巻が2022年1月のマンガ便でした。前回1巻から4巻まで、まとめて案内したのですが、もちろん5巻から8巻、そして今回の9巻まで読み終えました。 ​​​​​​​​ えらくたいそうな誉め方もされているようですが、まあ、シマクマ君的には、世界漫遊記マンガという理解なわけなので、国ごとに紹介しますね。地政学というハヤリ言葉に踊らされて、あんまり信じ込むような読み方はやめた方がいいように思います。  というわけで、5巻から6巻の舞台はアメリカでした。「自由平等の国」の現状を「人種」、「宗教」、「支持政党」、という、まあ、地政学的基本要素で分析しながら、ネイティブ・アメリカンの居留地にカジノ建設という、いかにもアメリカ的な地域復興策を持ち出してドラマ化しています。まあ、マンガ的ご都合主義はこのマンガの特徴ですから、ノンキに読みました。  6巻は7巻にかけて、イギリスでフット・ボールをネタにした話で、次の話がナウル共和国です。パプア・ニューギニアあたりの、そんな言い方がいいのかどうかわかりませんが離島国家が舞台でした。 ​​​ 知りませんでしたが、戦前は、日本軍の軍事基地の島ですね。このマンガの舞台の選び方の面白さですが、全く知らなかった小さな国の産業と経済の話でした。世界の周辺の弱小国家と中央の先進国家の両者が資本主義的経済成長の論理に包括されざるを得ない関係の描き方なんか、勉強にになりますねえ。 ​​  7巻の後半はシンガポールに出かけて一仕事した後、日本に帰ってきて8巻です。  8巻のメインは韓国ですね。韓国といえば、脱北、半地下、Kポップです。あくまでもマンガとして読むわけですが、最近、韓国映画にもハマり気味ということもあって、ナルホドそうだったのかとなりました。​​  で、今回のマンガ便の9巻はマリです。アフリカの砂漠のなかの国ですが、どこにあるかすぐにわかる人って少ないんじゃないでしょうか。  アルジェリアの南に位置する国で、20世紀の前半まではフランスの植民地だった国らしいです。その国の民族紛争と、そこに絡むイスラム原理主義が紹介されています。ただ、ここでもマリという国の、現実を正確にこのマンガが描いているとは考えない方がいいと思いますが、関心を呼び起こされたことはたしかです。 ​ べつに総論しようというわけではありませんが、1月のマンガ便から4月のマンガ便のあいだに、実は、地政学が最も得意とするらしい「戦争」が、現実にはじまりました。今のところ、このマンガがあの辺りを話題にしたことはありませんが、どこかで八田さんが出かけて行ったりするのでしょうかね。​  ​八田さん​が活躍する余地が、果たして、現実の戦場にあるのかどうか、まあ、マンガはやっぱりマンガだと思うのですが、ちょっと興味を感じますね。  現実のグローバルな世界の混沌を、地政学という、いわば、ポリティカルなパワー・オブ・バランスの視点を導入することで、「わかりやすく」マンガ化していて面白いわけですが、混沌は、やはり混沌であるという現実は、そんなにわかりやすいわけではないことも忘れないでいたいですね(笑)。 ​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​ ​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る