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糸井重里「ボールのようなことば。」(ほぼ日文庫)
なんだか久しぶりの糸井重里です。「おいしい生活」とか「不思議大好き」とか、いまとなってはどこの、なんのキャッチコピーだったのかわからないのですが、「彗星のように登場した、元ペケペケ派!コピーライター。」として知ったのが40年前です。「コピー・ライター」という職業名を普通名詞にした人というのが、シマクマ君の定義なのですが、詩人で評論家の吉本隆明が、今から10年ぐらい前に亡くなった前後、彼の生前の講演を、音源のままCD化してヒット商品に仕立て上げるという離れ業には、感心した記憶があります。 で、最近、松本大洋の「ルーヴルの猫」、「かないくん」と、立て続けに糸井重里がらみで出会って、気になって手にしたのが、この本、「ボールのようなことば。」(ほぼ日文庫)でした。2012年に出版されている文庫本ですが、「みっつめのボールのようなことば。」(ほぼ日文庫)まで出ているようですから、ヒットしているのでしょうね。 これが裏表紙ですが、ネットで見ると、三冊とも表紙、挿絵は松本大洋のようです。 で、内容はというと、全編、糸井重里の、まあ、箴言集です。だから、糸井重里的「ことば」が嫌いな人は「きらい」が凝縮されていますから、たぶん無理です。ぼくは、ついていけるような、いけないような、中間地帯の人です。 世の中はね、 こういうのに出会うと、うまいもんだと感心しますね。でも、たとえばこんなのもあります。 「わからないですね」って、しっかり言える人って、 なんというか、吉本隆明と原丈人と、ご自分の糸井重里を並べている、ちょっと考えつかない、このバランス感覚がすごいと思いますね。 ちなみに、原丈人というのは、「公益資本主義」とかっていってて、アベとかキシダとかいう人達のブレーンしてる人ですね。団塊世代より後の世代のトップ・ランナーとかの一人でしょうね。 吉本=戦後、糸井=団塊、原=団塊以後という並びです。で、おっしゃっていることとは別ですが、この並べ方に、ぼくは、なんだかアザトさを感じたりしちゃうわけです。なんか、お商売がお上手っていうか。 でも、その次に、こんなふうなのがあるんです。 原爆が落とされたおかげで戦争が終わった、 とか 憶えていようと思ったわけでもないのに、 とかね。 で、こういうのに出会うと、「まあ、いいか」と思うわけです(笑) この本の表表紙と裏表紙を並べるとこんな感じになりました。この人間関係というか、ここにいる人たちが、ぼくには、なんだかとても遠いですね。知っているようで知らない。本のなかの「ことば」が、彼等に「消費」されるということが、たぶん「よくわからないんです。」 まあ、それにしても、松本大洋の表紙も、挿絵も、とてもいいですね。売れるはずです(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.05.12 00:10:26
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