Small Talk

2006/12/22(金)15:53

E.B.ホワイト 『シャーロットのおくりもの』

音楽/本のレビュー(117)

E.B.ホワイト著『シャーロットのおくりもの』(CHARLOTTE'S WEB by E.B.White)を読んだ。 映画館で予告編を見て、読んでみようと思ったもの(映画には惹かれなかった)。ファンタジーを読むのは久しぶり。 ブタのウィルバーと、クモ(蜘蛛)のシャーロットの友情の物語。 クモが主役で、しかも悪役ではないなんて、ちょっと珍しい設定。 読む前は、優しいクモなんて想像しにくくて感情移入できそうにないかな、と思っていたけれど、ウィルバーがシャーロットに信頼を寄せ親友になっていくのに合わせて、そんな気持ちはどこかへ消えていった。 とても賢いシャーロットのおかげでウィルバーは命拾いをするのだけれど、シャーロットの寿命は短く、やがて別れがやってくる・・・こんなシーンは、子ども向けの童話と侮るなかれ、じわじわーっと涙が 友情の美しさ。 一見まったく相容れないようなモノ同士でも、対話や共通の経験を通じて信頼関係が築けること。 こういう良い面はもちろん、それ(悪く言えばキレイゴト)だけでなく、生まれたばかりのウィルバーを世話していた少女ファーンが成長するにつれウィルバーへの興味を失っていく様や、賞を獲ればウィルバーを大事にする農場主ザッカーマンなど、かなり現実的なところにも、完全な“悪役”を作り出すことなく触れられているのが、上手い童話だな、と思った。

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