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カテゴリ:乱読
これだから書店通いはヤメられない。
「武士の家計簿」 加賀百万石の御算用者の詳細な家計簿を もとに幕末から大正までの武家の生活を 浮き彫りにした本。 おもしろい、面白すぎる。 24刷と書いてあるので売れているのだろう。 私は書店で見つけるまで聞いた事がなかった。 こんな本はネットではそうそう見つからない。 で驚いた事に、この本を購入した後にネットで 注文した「裏帳簿のススメ」になんとこの武士の家計簿の事が 紹介されているではないか・・・ 本好きにはたまらない偶然、鳥肌の瞬間。 本の主人公である猪山家は加賀藩の御算用者。 七代信之はあの東大の赤門の建設に関わってから 出世の道を歩むようになる。 武士の世界では御算用者は蔑まれた役目だったが 時代の流れにより組織が官僚化すると重宝されてくる。 戦争が終って平和が続くと経済を握るものが世界を支配する。 今も昔もそう変らない。 教科書で習った士農工商は単純すぎる。 武士は威張っているが、しばし自分の召使より 金を持っていない。 しかも召使はその事をよく知っているのだ。 社会学ではこのように権力・威信・経済力が一手に 握られない状態を【地位非一貫性】という。 著者は徳川幕府が長く安定した原因をこれに見ている。 武家の女性についても我々が持っているイメージとは程遠い。 猪山家でもさんざんお小遣いを使っているのは女性。 しかも実家からもお小遣いを貰っている。 その上借金という名目で夫に金を貸している(利子はさすがにとってないようだ) 夫婦の財産はきっちり別になっており、いつ離婚しても いいようになっているワケだ、実際離婚も多かったらしい。 宇和島藩の調査では藩士32人中18人が離婚経験者。 そのうち5人が2回離婚を経験している。 七代直之の小遣いについても記載されていたが 我々サラリーマンとなんら変わりない。 苦しい時は一年間自分の服を新調していない時もある。 しかし武家のつらいところは行事や付き合いの多さ。 武家の格式を守る為、金が無くともやらなければならない。 今でいう結婚式貧乏のようなものか。 長女の髪置きの儀式で「鯛」が買えず 「鯛の絵」で我慢したとある。(涙) そんな猪山家も英才教育を受けた八代成之が出世する事で 大分家計は楽になったようだ。 いつの時代でも教育の大切さは普遍だ。 自分の能力に投資するのが最大の投資。 →続くはず お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004.10.12 10:58:21
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