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• 超音波内臓検査

  　もう随分長いこと、健康診断をしていなかった。　最後の検診は、十年間勤めて一身上の都合で退職を余儀なくされたあの時だから、すでに三年は過ぎている。　その時の結果は、忘れもしない。　肝機能低下につき、要再検査の赤いゴム印が押してあった。　日々の暮らしのどさくさに紛れて、わたしの健康診断をしようかという暇はなかった。　最近、背中の痛みに耐えかねて、重い腰をやっと上げたところなのであった。　三年間、特に健康診断を受けてないということで、すべての検査をすることになった。　そこで超音波の検査を、妊娠中以降初めて受けたのであった。　「うーん。これはまずいなー」　先生が時折唸った。　唸るから、相当やばいのかと思ってがっかりしていたら、胆石二個と胆砂だそうである。　今すぐ手術をするとか、そういうレベルのものでもないらしいので、ひとまず安堵した。　でも、実際に痛むのは別の場所なのだ。　ああ、本当にこの正体が分かるのだろうか？　今度は、胃カメラを飲むそうだ。　最短の予約で二週間は先の話である。

  2005年06月27日

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  箱根の旅、二日目（３）

  　なんども言うが、箱根フリーパスの威力はすごい。　バスは一時間に４本あるので、出たばかりでも２５分待つだけでいい。　バス停からもう一度、ポーラ美術館を眺めてみた。　　娘の友人のＹちゃんが、周囲の空気を全部飲み込んでしまうほど、大きく息を吸ってゆっくりと吐き出しながら、言った。　「また、ゆっくりと来たいなー。本当に良い所だったわ。あたしは美術館には今まで縁がなかったし、こんな風な旅をしたの初めて。なぁんか素敵だったわ」　「本当だよね。森林浴は出来るし。また来ようね」　二人の会話を聞きながら、わたしは嬉しくなってきた。　ジェネレーションギャップとか言われて、つまらなかったらどうしよう、と誘った手前気になっていたからだ。　「その上、強羅花壇の懐石料理まで食べられたんだもん。幸せー」　Ｙちゃんは目を細めて、心からそう言ってくれた。　「次のもきっと良いよ。湿生花園。行ったことある？」　　「多分、ないと思います」　２５分も待たないうちに、バスは来た。　湿生花園は終点なので、空いている座席に陣取った。　箱根の空は、梅雨の中休み。　絶好の行楽日和であった。　乗用車と違って、バスの目線は高い。　それが又旅の情緒とあいまって、中々良い感じなのだった。　わたしがここ箱根湿生花園に来たのは、１５回目の結婚記念日だった。　箱根は近いから普段なら日帰りコースなのだけれど、一泊を提案したのはわたしの方だった。　１５年という節目に、将来のことや子供のことを夫婦でしっかりと話合っておきたかったから。　その時の充分な手ごたえがよみがえった。　絶対に、この人は裏切らないだろうと確信したのだった……。　　　そんな思い出はおくびにも出さなかった。　今更思っても、詮無いこと……。　ただ、人生って本当に不可思議なものだなーと、一人で当時を反芻した。　誓い合った夫とは離婚し、その上彼は今、病床でがん細胞と闘っている。　どこで道の選択を取り違えたのかなー。　あの時、あんなに将来を誓い合っていたのになー。　でも今を決して悔いてはいないから、この選択肢しかなかったのだ。　もみじのトンネルから、光のシャワーが降り注いでいる。　この中を、わたしは嬉しそうに腕にぶら下がって歩いたっけ……。　「わたしが好きな花って、全部紫だわね」　今更ながら気がついた。　それというのも、デジカメを向ける花々がすべてそうだったからだ。　「そうみたいね」　傍らで、Ｍさんが優しく微笑んだ。　彼女といると、ほっとする。　わたしが、ほとんど丸腰でいられるからだ。　つい最近。　彼女と共通の友人、Ｏさんを亡くした。　そのことがものすごく辛いのに、わたし達は泣かなかった。　「泣く暇があったら、笑いなさい」　そう言う死んだ友人の優しい笑顔が浮かんだ。　「ね。素敵でしょ？ここ。わたしの大好きな場所なのよ。だから絶対にここに連れて来たかったのよ」　「亡くなったＯさんも連れて来てあげたかったね」　「うん、うん。でもさ、彼女のことだから、きっと居るわよ。その辺に」　二人で笑った。　Ｏさんも喜んでくれたに違いない。絶対に。　「今度また来ようよ。ススキの頃がまた良いのよ」　Ｍさんのバックに、仙石原を入れてシャッターを押した。　秋にも又来ようね、Ｍさん。　　　九蓋草＠湿生花園　ポンテデリア＠湿生花園

  2005年06月26日

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  箱根の旅、二日目（２）

  　ポーラ美術館の建物は、エントランスから気に入った。　無機質な建物が、大自然の木立の中に、とてもしっくりと溶け込んでいる。　外界との違和感が全くないのだ。　天井を見上げると、葉脈なのか人の血管のイメージなのか、そういう何かを感じさせるものが、上から注がれる光の中でゆっくりと流れていた。　大体わたしは無機質なものが大嫌いなのだが、それらはすーっと身体に馴染んで一つになっていた。　折りしも美術館では、開館３周年記念展『印象派』（2005/1/16～2005/8/28）が催されていた。　印象派は、比較的理解しやすい絵画なので、わたしも大好きだ。　もちろん、モネもルノワールもセザンヌも好きだけど、ここでもっと好きだなーと思わせてくれる画家との出会いが待っていた。　その画家は、ポール・シニャック。　何点かある中、『ブリシンゲン湾』の色使いは、久しぶりにわたしの心を震わせてくれた。点描技法に改めて開眼したのであった。　もちろんカミーユ・ピサロも大好きで、『エラニーの花咲く梨の木、朝』は、鳥肌が立った。　　　丁寧に、ゆっくりと館内を巡るうちに、一段と人目を引く二人の女性に出会った。　見るからに宝塚女優風のオーラが漂っていたのだけれども、全く宝塚歌劇に通じてないので、わたしには誰だか分からなかった。　それにしても、佇まいがやはり際立っている。　　「あのー、宝塚の方ですか？」　傍らの主婦グループの一人が、おずおずと尋ねている。　「はい。紫苑ともうします」　背の高い方の女性が答えた。　耳に飛び込んだ『紫苑』が、わたしの頭の中でこだました。　あ、それじゃあ、『紫苑ゆう』なのでは？　ネットでたまに、わたしは自分のハンドルの紫苑を検索することがあったから、この『紫苑ゆう』さんには、心当たりがあったのだ。　あまり耳をそばだてるのも失礼かと思って、わたしはその場を離れた。　それにしても、なんだかものすごく得した気分だった。　ふっふ。ふっふ。　Ｍさんの提案がなかったら、ここには立ち寄らなかったかもしれない。　Ｍさん、ありがとう。（Ｍさんはここで印象派展があることを、事前にご存知だったのである）　　建物から外に出る前に、外の山法師があまりにも見事だったので、わたしは思わずデジカメのシャッターを切った。　そしてついでに、心の印画紙にもしっかりと焼き付けた……。　　　ポーラ美術館内から外を望む　ポーラ美術館内から外を望む

  2005年06月26日

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• 箱根の旅、二日目（１）

  　ベッドが四つ。　窓際から、長女の友人Ｙちゃん、長女、わたし、わたしの親友のＭさん。　もう一人の親友のＪさんは、小田原駅から最後の強羅花壇、二次会のホテルでの宴会までという強行軍にお付き合いくださって、夕べのうちに帰られた。　それにしてもＪさんの名ガイドぶりには、頭が下がる。　たった一日で、こんなに満喫した箱根は、今までなかったもの。　だから若者達は、声をそろえて「楽しいー」を連発していた。　そりゃあそうだろう。　だって、小田原から登山電車を乗り継いで、紫陽花鑑賞でしょう？　そして強羅からケーブルカーで早雲山、早雲山からロープウェイで桃源台。　そこから海賊船で芦ノ湖の水面を滑り、元箱根の成川美術館。　最後は強羅花壇であの懐石料理に舌鼓を打ち、ホテルで芋焼酎をしこたまいただいて、硫黄の匂う温泉に入って一日目の夜は更けていったのだから。　　カーテンを思い切り引いたら、朝の眩い光がどっとなだれ込んだ。　「今日は、名ガイドなしよー。起きて、起きて。出かけるわよー」　寝ぼけ眼で食堂へ行き、朝食バイキングをゆっくりと時間をかけて、おなかに詰め込んだ。　　一風呂浴びてから、Ｍさんたっての希望であるポーラ美術館へ向かうことになった。　Ｍさんは、大のモネファンなのだ。　そのクロード・モネを含む印象派の絵画展が、折りしもポーラ美術館で開催中だった。　　昨日に引き続き、箱根フリーパスは威力を発揮した。　循環バスもフリーなのだった。　木漏れ日の中をジェットコースターのごとく右に左に揺れながら、わたし達は瀟洒で垢抜けた建物の『ポーラ美術館』へ辿りついたのだ。　アプローチブリッジからエントランスの佇まいは、見事に周囲の自然に溶け込んでいた。　　左手に、やまぼうしの白い花が咲き、柔らかな緑のもみじがそれを囲んでいた。　そのコントラストの素晴らしさに、わたしははっと息を呑むのだった。　　

  2005年06月26日

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  箱根の旅、一日目（２）

  　成川美術館＠元箱根　元箱根で下船して、遅めの昼食をとることになった。　予定していたレストランはすでに閉店していたので、急遽箱根芦ノ湖美術館の中のテラスで食べることにした。　『空腹は最高の調味料なり』とは、よく言ったものである。　ランチメニューのカレーライスセットは、近来にないくらいに美味かったし、何よりテラスからの眺めが、それ以上に美しかった。　目の前に広がる芦ノ湖は優しい風でさざ波が立ち、きらめく湖面が遠くまで続いていた。　庇代わりに頭上に迫り出したもみじは、秋にはさぞかし紅葉が美しいに違いないけれど、今は細かく揺れる薄緑の葉っぱ越しに、柔らかな光のシャワーをわたし達に浴びせていた。　　　まったりとした時間に区切りをつけるように、デザートの珈琲を飲み干した。　そして一同は、この旅の二つ目の目的である成川美術館へと向かったのである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　☆　　成川美術館は、わたしの大好きな美術館の一つである。　１５回目の結婚記念日に、別れた夫と初めてそこを訪れた。　展望室から見た芦ノ湖にいたく感動を覚えたのが、昨日のことのようだけど……。　その時、ふと気がついたのである。　わたしは洋画より、日本画が好きなんだということに。　当時展示してあった、田渕俊夫の作品（作品名は失念）の前で、わたしは魂を抜き取られてしまった。　繊細で、それでいて大胆な構図。　妖しげで儚げで、幽玄の美とでも言えば良いのだろうか。　いっそ、その絵と心中しても悔いがないくらい、素晴らしいものだった。　まだ小学生だった長女のお土産に買った画集は、引越しのどさくさで手元から離れてしまったけど、今でもわたしの脳裏には鮮やかに蘇る。　その感動した薄緑色の葉っぱが印象的な作品（蔦の葉か秋草だったか）を、この旅でどうしても長女に見せてやりたかったのに、今回は展示してなかった。　館員に訊いたところ、１５日までは展示してあったのだとか。　そして、いつも展示してあるという作品ではなく、展示されるのが珍しいくらいなのだと、教えてくれた。　うー、残念！常設展示作品だと信じこんでいたわたしのミステイク。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　☆☆　丁寧に美術館を見て歩き、外の景色に満喫した後は、元箱根発強羅行きのバスに乗った。　中強羅（ケーブルカー駅）のホテルにチェックインするためだ。　まだ外は充分に明るかったのだけれど、夕食に予約した強羅花壇は六時である。　急に慌しくなった。　　九十九折の道を走ってきたバスに酔った友人を慮って、強羅から中強羅までの坂道は徒歩で登ることになったのだが、これが思ったより急勾配できつかった。　若者たちは、はるか前方を余裕で歩いていたが、わたしと友人はやっとの思いで辿り着いた。　チェックインを済ませた後は、予約時間が迫ってきたのでタクシーに乗った。　　息を切らして上った坂道をタクシーは、ほんの数分で下りてしまい、踏み切りを横切って、強羅花壇の車寄せに静かに滑り込んだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　☆☆☆　　まさか、こんなところで懐石料理がいただけるなんて……。　夢なら覚めないで欲しい、そんな気持ちで二階への階段を踏みしめた。　程なく通された和室には絨毯が敷いてあって、その上に重厚なテーブルと椅子が配されていた。　そして床の間には掛け軸が設えてあり、夏草が涼しげに活けてあった。　和洋折衷なこの空間は、以前は宮家の別荘であったようだ。　時折、甲高い鶯の鳴き声が辺りにこだました。　食前酒の梅酒が運ばれてきた。　いよいよ、懐石料理が始まったのである。　味良し、器良し、景観も良し。　そして何より、その部屋に流れる優雅な時間が、我々を魅了した。　控えめで謙虚な作り手の思いは、一品、一品に込められた料理から伝わってきた。　すべての料理を味わい尽くした後。　身体の中を清々しい風が通り抜けたような、そんな清涼感があった。　わたし達の暮らしぶりからすれば、やはりものすごく贅沢な場所ではあったけれど、それだけに大きな感動があった。　またいつか、ここに来れたら良いなー。　若者達が、感動を言葉にして呟いた。

  2005年06月25日

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  箱根の旅、一日目（１）

  　十時に小田原駅に集合。　小田急箱根フリーパスを購入し、箱根登山鉄道で強羅に向かった。　沿線の紫陽花が、この旅の本当の目的である。　　紫陽花を求めて、人々がごった返すホーム。　「毎日の通勤でうんざりなのに、観光地でラッシュなんて最悪ー」　若者達が嘆いた（娘＆その友人）。　それはその通りである。　でも、この時季の箱根紫陽花は、全国区の観光地だ。　瞬間の、花の命の盛りに遭遇したいのは、誰しも同じ気持ちなのだろう。　だからわたしは、我慢して寄り付かなかったのだけれど、久しぶりに大阪から友人が来ることになったので、いつも（いつもは鎌倉なのだけれど）と違う紫陽花も良いかなーと、思いついたのであった。　　ところが、紫陽花は時季が早すぎたのか、雨不足からなのか少し元気が無かった。　野生化しこんもりとした茂みには、まだまだ若い色玉が点在していた。　そんな中にもブルーやピンク、紫色の強烈な大玉もあったので、遠くからやって来た友人の手前、わたしは安堵した。　　電車の窓にせり出した紫陽花は、手を伸ばせば枝や葉、花に触れることができた。　何しろこの時季の登山電車は初めてだったので、まるで子供のように無邪気な気持ちで、電車の両サイドに流れ行く紫陽花を愉しんだ。　強羅から早雲山まではケーブルカー（上記の画像はケーブルカーからの眺め）、そしてロープウェイで桃源台。　もう十年くらい前になるだろうか。　冬のロープウェイで、ひどい目に遭ったことがある。　寒風でゴンドラがひどく揺れたのだ。　その時、わたしは心に誓った。二度と乗らないぞ、と……。　だからロープウェイは、それ以来だった。　ああ、どうしよう。　怖いなーーー。　ところが、みんなで乗れば怖くない。否､怖くなかったのである。　ゴンドラは安定しているし、見晴らしを満喫する余裕すれ出てきた。　真下の緑の中に、小さな白い星を乗っけた樹木を見つけたＭさんは、「何の花かなー」と誰にともなく聞いた。　『やまぼうし』ではないかと思いながらも、地面との距離がある分、花が小さくて、自信が持てなかった。　　桃源台に着くやいなや、芦ノ湖に浮かぶ海賊船が待っていた。　一同は童心に帰り、喜び勇んで船に飛び乗った。　周囲を深い山に囲まれた芦ノ湖の水面を、海賊船は音もなく静かに滑り始めた。　天候に恵まれて、デッキで風を受けていたのだけれど、陽射しが暑くて耐えられなくなった。　若者を残して年配組は、二等船室（一等船室は有料）へ逃げ込んだ。　水面を抜けた涼風が、船室になだれ込んできた。　梅雨の晴れ間は、最高の行楽日和であった。　（運良くすれ違った海賊船には、こんな悪が乗っていた＾＾）　　　　

  2005年06月25日

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• 出かける前に…

  　何か書いて行こうと思って、パソに向き合ったけど。　いろんな思いが渦巻いているけど。　まぁ、今日はそれらを忘れて、思い切り楽しんで来よう。

  2005年06月25日

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• カラーリング

  　長女が髪を染めて欲しいと言った。　もちろん、ＯＫである。　美容院でカラーリングするお金がもったいないのは、わたしも同じだったから。　　以前、わたしは姑の髪を染めてあげていたので、カラーリングの手順はお手のもの。　本当にうまくいく？と、半信半疑な長女の髪を、鼻歌交じりで染めていく。　「え？液状じゃないのー。クリームタイプのものしか使ったことがないよー」　一人ごちながら……。　長女の髪は長い。　そのせいもあって、想像したより難しいではないか。　困ったなー。　上手くいかないよー。　わたしは、ほんの少し焦りながらも、こともなげにその作業を終えた。　長女は、色むらができてないか、ものすごく心配のようである。　なんでも職場の同僚が、美容師見習いの友人のモデルをした時、そのようになったとか。　散々心配したのだけれど、結果はオーライだった。　「母さんは天才だね」　「そりゃそうさー」　わたしは、ほっとした。　そして思い切り、威張ってやった。　「どうだ。母さんの腕前は。参ったか？」　「うん。参った、参った。ありがとう」　ものすごく嬉しそうな顔をした。　これで六千円は、節約できた計算だ。　これからわたしは、きっと彼女のお抱え美容師（但し、カラーリング専門の）に任命されるに違いない。　

  2005年06月24日

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• 遠足気分

  　明日は、箱根の紫陽花を見に行く。　ずっと行きたかったから、ものすごく嬉しい。　その上、ツアーに参加するメンバーが面白い。　　はるばる大阪から駆けつける大親友。　こちらでいつも、お相手をしてくださる飲み友達兼大親友。　そして長女とその職場の友とわたし。　小さな、小さな（言葉を繰り返し、小さいと言うことを強調することが、大好きなわたしです）ツアーは、初日は五人で催行だ。　最近は、旅の前に興奮するということが極端に減った。　行きたくない訳ではないのに、どこか気が重いのだ。　だから旅仕度も、当日の朝少し早めに起きて慌しくすることが多かった。　でも、今回は違う。　なぜか嬉しくて、わくわくする。　　まるで、遠足の前日の、あのわくわく感が蘇った。　　先日、顔合わせに娘の友人とわたしの友人がBarで合流したのだけれど、初対面とは思えない盛り上がりに、このツアーはきっと楽しいものになるに違いないと確信できた。　だから、早く明日が来ないかなー。

  2005年06月24日

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• くちなしの花の咲く頃

  　わたしの実家は、小さな小さな平屋の一戸建てである。　予算の関係で、ほとんどが工務店任せでお仕着せの、いわば既製品のような家だった。　敷地は１００坪ばかりあったのだけれど、南に向いた前面を少し空け、将来は駐車場をもくろんで北側を大きく空けるという、無駄の多い配置なのであった。　ところが、駐車場のためにあけた土地は、道路との段差があり過ぎて、用をなさなかった。　結局、そこには大きなプレハブを建て、後に巨大物置と化してしまうのだった。　　父の唯一の希望は、ど真ん中にフローリングの居間を置き、どの部屋にもそこを通るようにする、というものだったから、その点だけは願いが叶った。　何しろ、少ない予算での新築だったのだから、文句も言えなかったのである。　その家ができて間もなく、母がどこかからもらって来て植えたのが、くちなしの苗木だった。　日当りの良い前面に植えたのが功を奏したのか、いつしかわたしの背丈を越えるようなりっぱな潅木に育っていった。　青々と茂ったくちなしの木には、たくさんの白い花が強い芳香を放つようになっていて、毎年、その匂いが初夏の到来を教えてくれたものだった。　　ところがいつの間にか、柔らかな新芽が出たばかりのその潅木を、大きな毛虫が占領し、丸裸にしてしまうようになっていた。　でも母は、その毛虫の大群を決して駆除はしなかった。　「今に見ていてごらん。きれいなアゲハチョウに変身を遂げるから」　花も好きだけど、そのアゲハチョウも母の楽しみなのだった。　毛虫がさなぎになって、そして羽化する時、それは一つのドラマを見るようだった。　華麗に変身を遂げたアゲハチョウが、その場所から飛び立って行った日のことを、わたしは今でも鮮やかに覚えている。　そのくちなしは、今も実家の同じ場所に咲いているのだろうか？　すでに枯れ果ててしまったものか、記憶にないくらい実家に足を向けてない。　くちなしの白い花が咲くと、わたしは新築したばかりのあの小さな家を思い出す。　そこには、あらゆる希望がまだいっぱ詰まっていた……。　　

  2005年06月23日

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• 痛み

  　夕べ。　胃の辺りから背中全体にかけて、激痛に襲われた。　ずっと前にも、同じことがあって救急車に運んでもらったのだけれど。　その時は急性胃腸炎だと言われた。　同じ症状だけど、今度は病院では胆石の疑いありって。　健康だと思っていたら、とんでもなかった。　　だけど元夫は、毎日これ以上の激痛と闘っている。　そう思って、わたしは痛みに耐えてみた。　心の痛みも身体の痛みも、自分が経験しないと本当の辛さは分からない。　神様は、その試練をわたしに下さっているのだろうか。　わたしの身体は、元夫の窮地にいつもリンクしている。　三年前もそうだった。　当時、わたしは足に激痛が走って歩けなくなった。　このまま、歩行困難になってしまうのだろうかと思ったけど。　嘘のように、跡形も無く痛みは消えた。　　先週末、自宅療養の元夫の見舞いに行った。　そして今週の月曜日に、彼は再入院した。　新しい抗がん剤の投与のためだ。　毎日、病魔と闘っている。　その自分の生き様が、別れた家族への償いだと信じて。　人間って、強いのか弱いのか、時折分からなくなる。　わたしのこの痛みは、それを感じ取れという、警告なのかもしれない。　がんに苦しむ彼からしたら、わたしの痛みなど、たいした痛さではないだろう。　彼は病床から、わたしの身体を心配している。　娘達をたくせるのは、母さんだけだから、と言った。　自分の身体はこんなんだから、頼むから身体を労わって健康で居てくれ、と。　そんな言葉が、ずっしりと胸に来た。　そうだ、もっと自分の身体を大事にしなければ……。　

  2005年06月22日

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• 夏至の夜に小さな宴

  　電車の窓からの風景が、今日はやけに明るい。　相変わらずの風景を、何も考えずにぼーっと眺めるのがわたしは大好きだ。　そうだ、今日は夏至。　昼の長さが一年中で一番長い日だ。　これから、段々と短くなっていくんだなーと感慨にふけっているところへ、　娘どもからメールが入った。　「夕飯一緒に食べようよ」　「良いけど。お金がないから安いところならね」　さんざん迷って、美味しいオムライスの食堂に決めた。　わたしが下車した街には、昼間の光がたっぷり残っていて、まだ充分本が読める。　待ち合わせの時間まで悠に三十分はあったので、公園へと向かった。　途中、こぎれいな居酒屋に出くわした。　メニューがどれもすごく安い。　オムライスは、わたしが食べたくなかった。　「なんだか良さそうな居酒屋を発見。集合は店の前ね」　メールを発信し、これから夜の街に変貌するであろう界隈を、急ぎ足で通過した。　文庫本の文字が見づらくなって、目を上げた。　公園はゆっくりと夕闇が迫って来て、三々五々人々が散って行った。　そんな光景を、ただぼんやりと眺めるのが大好きだ。　ただじーっとしたままで……。　約束の時間が来たので、わたしも公園を後にした。　初めての居酒屋で合流し、娘たちと小さな宴が始まった。　酒を飲み、肴をつまんだ。　こういう光景は、まだまだずっと先だと思っていたのに。　二人とも、もう見かけはすっかりオトナであった。　わたしは、そんな娘たちを綺麗だなーと眩しく感じた。　　「今日は夏至。一年で一番昼の時間が長いのよ」　「へぇ。そうだっけ？」　きっと、二十数年後、彼女らも同じ会話を繰り返すはずだ。　わたしと母がそうであったように……。　　　　

  2005年06月21日

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• 名刺

  　名刺を作った。　もちろん、ＰＣの手作りである。　　普段、取り立てて不自由はしないのだけれど、　「わたしは名刺を持たないのです」　と言い訳をしながら、恐縮して受け取るのが面倒になった。　そこで、わたしが何者なのかを表記した名刺を作ろうと思い立ったのである。　　ところがいざその作業に取りかかると、肩書きもない、本名も明かさない名刺はかなり妖しいことに気がついた。　苦肉の策で、ひとまず三通り作成し、それぞれを使い分けることにした。　ハンドルの『紫苑』に住所を表記したもの、しないもの、そして本名と住所を表記した一般的な名刺である。　　肩書きは、『えっせいすと』とひらがな表記した。　なんだか、おこがましいなーと思って眺めていると、　「こういうモンは、資格がいるわけじゃなし、名乗ったモン勝ちよ」　と、長女が傍らで笑っている。　「そうかー、そうだよね。名刺を持ってみると気分もエッセイストになれる気がするわ」　そして『紫苑（しをん）』を中央に配置して、右肩にワンポイントの紫苑の花。　「なかなか様になってるじゃん」　「そう？」　二人で、密かに盛り上がった。　誰と交換できるか分からないけれど、ひとまず50枚手元に刷り上った。　さて名刺の肩書き通りに、エッセイストとして文章が書ける日が来るかしらん？　そんな日が来ることを願って、『紫苑（しをん）』の名刺は、名刺入れの中で行儀よくスタンバイしているのである。

  2005年06月21日

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• 手相

  　そういえば、この間。　手相を見てもらった。　ものすごく冷やかし気分で、ドーデもいいけど的に。　そしたら、興味深い結果を（嘘でも嬉しい）次々に言うのだ。　　まず、今年男性に出会って、来年か再来年には結婚の相あり。　経営者の才能・商才ありで、仕事を二つ以上持ち、名誉財産を手に入れる。　金運は良いが、出費が多い。　で、開運の鍵は、なんと「人を誉めること」だそうな。　さりげなく人を誉めるうちに、運気が向いて上記のことが実現可能とか。　こんなことを言われると、八卦といえども気持ちは良い。　それなのに、まだ一人も誉めてない。　誉める癖がついてないんだなー、わたし。　でもこれからは、誰でも良いから誉めるよー。

  2005年06月20日

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• 元嫁

  　元夫と元姑。　そして長女とわたし。　次女はバイトで同行できなかったけれど、かつてこの五人が家族であった。　いがみ合った嫁姑だった。　彼女はわたしを全く受け入れなかったのだ。　「何処の馬の骨とも分からぬ女」　わたしは、よくこの言葉で罵られたものだった。　ものすごい怨念がこもった悪意ある呼び名に、わたしは深く傷ついた。　それでも、頭の中にはホームドラマが存在し、いつかはめでたし、めでたしなハッピーエンドがやって来ると信じて疑わなかったのに。　　雨戸のない家の、夏の朝は早い。　自然光で目が覚めると、台所ですり鉢を使う音がしている。　何事かと覗いてみると、元姑が長芋を懸命にすりおろしていた。　客人（わたしと長女）のもてなし用なのだった。　丁寧にすり鉢に当てられた長芋は、美味しかった。　粘り気のあるものすべてが嫌いなわたしにさえ、美味いと感じた。　蕗と若竹とがんもどきの煮物、山菜のおひたし、手製の漬物などの料理は、かつての食卓にもよく並んだものである。　その味付けには年季が入り、わたしはとても好きだった。　元姑は、すでに神様になっていた。　わたしと諍いあったことすら、頭の中にはないらしい。　いっそ、このまま家族が復活してもおかしくないくらい、平然としたひとときだった。　でも、わたしは元妻であり、元嫁なのだった。　食事のお礼に、家中の埃を拭い去った。　カーテンをはずして洗濯をし、同居時代には考えられないほど汚れたトイレをきれいに掃除した。　わたしの掃除魔は姑譲りだったのに、今の彼女にはその片鱗もなかった。　流れた時間の膨大さと、二度と取り戻すことはできない時間が、今は流れていた。　元夫との、残された時間がすべて消化した後、わたしは二度と訪れることはない家なのだ。　それでも元嫁時代に教わったとおりに、家の隅々まで掃除をした。　わたしの身には、今尚しっかりと元姑の教えが刻み込まれていた。　　

  2005年06月19日

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• 父と娘のいる風景

  　傷心の長女を癒すために、別れた父親の見舞いに行くことを奨めてみた。　週明けには、元夫は大きくなった副腎のがん細胞に抗がん剤を投与するための入院が決まっていて、絶好のタイミングだった。　折りしも父の日も控えていて、彼はまず長女の突然の来訪を疑いもしないだろう。　「明日、行きます。都合はどうですか？」　「やったー！本当に待っていて良いのかな？予定はすべてキャンセルします」　「大きなプレゼントつきです。楽しみにしていてください」　こういうメールのやり取りが父娘で交わされた後。　「母さん、一緒に行ってくれる？」　「なんで？」　「母さんが、父さんへのプレゼントだから。父さん元気になるんだもん」　「そうねぇ。行こうかしら？それじゃ母さんに特大のリボンをつける？」　「つける、つける」　わたしの同行には、長女も手放しの喜びようだった。　　しかしながら元夫に会いに行く時、わたしはものすごく緊張をする。　別れた妻がその実家を訪れるのだから、居心地が良い訳がないのだ。　その上親戚縁者の来訪が多い家なので、それにはどう応対をしたものか、実のところわたしは戸惑っていた。　でも彼は子供たちの父親であり、別れたとはいえ二十数年間暮らした相手である。　わたしの気持ちが氷解した今は、ちゃんと彼の生き様を見ていてあげようと重い腰に鞭を打つのだった。　会うたびに体力は消耗し、やせ細る元夫の姿には胸が痛んだ。　激痛を抑える痛み止めのその量は日増しに増えていて、すでに効果の間隔が短くなっていた。　　「お、来てくれたのか？大きなプレゼントっていうから、母さんかなー。それとも彼氏かなーと思っていたんだよ。どちらにしてもものすごく嬉しい相手に違いないのだけれど。嬉しいなー」　　顔中の皺を中央に寄せて、本当に嬉しそうに我々を迎え入れた。　長女は彼と別れたことは言わなかったし、わたしも特には触れなかった。　「やっと呪縛から解き放たれた気がするよ」　外の光がレースのカーテン越しに射し込む午後。　元夫は、半ば照れながらポツリと言った。　すでに過去の出来事のすべてを水に流したわたしは、感情に波も立てずに　「まだ解放されてなかったの？」と、少し目をまぁるくして答えた。　「いや、１００％の解放という意味でさ」　この間訪れた時に、元夫の表情が元通りになっていると感じたのは、こういうことだったのかと、目からウロコが落ちた。　わたしが折れたことで、彼は解放されたのだろうと思う。　　　長女が加わって、彼がこの世を去った日のことを話し合った。　大前提は快方することを望みながら、現実問題としてはかなり難しいことを誰もが承知していた。　寝ている元夫の傍らに寝そべって、長女は父親に甘えていた。　彼もそんな娘に目を細めている。　そこだけに、特別柔らかなスポットライトが当たっているようだった。　「少し風を入れようか？」　わたしは立ち上がって、窓を開けた。　外で待ち構えていたのか、たちまち風は部屋の中に進入し、レースのカーテンを泳がせた。　こんな午後の風景が、かつては日常茶飯事だったのだけれど……。　でも、ほんの些細な今瞬間の幸せに違いないのだった。　

  2005年06月18日

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• 友の死

  　　突然の訃報に頭の中が真っ白になった。　でも、何度スクロールしてみても、携帯メールには『亡くなられた』の文字がへばりついていた。　　　わたし達は、ニフティの会議室で知り合ったけれど、もう十年近くリアルタイムの友人であった。　何度も会い、たくさんの楽しさを共有した。　彼女は過去大病をしそれを乗り越えて来た方なので、生きるということを本当に大事にし、感謝していた。　だから反面、しっかりと死も覚悟もできていた人だった。　思い出すのは、京都の嵯峨野路を散策したときのこと。　若き日の大ロマンスを語ってくれた。　そのときの嬉々とした笑顔がはっきりと浮かんだ。　つい最近のこと。　「背中が痛くてつらい」　わたしは、彼女からのメールに目を疑った。　彼女から、辛いという言葉を初めて聞いた気がしたからだ。　それでもすぐ後に、再び元気なメールをもらったので、ほっとしていたばかりだった。　　毎年、時季がくるとイカナゴの釘煮を送ってくれた。　わたしはそれを心待ちし、春がきたのだなーと感じるのだった。　でも、来年からはその楽しみはない。　これからは、その季節がやってくると、彼女が本当にこの世を去ったことを思いしるのだろう。　まだ、わずかばかりタッパーの中に、彼女が作ってくれた釘煮が残っている。　そのことが、その現実との隔たりが、わたしを混乱させてしまう。　いつも笑って「元気ださなあかんよ」と背中を叩いてくれた友。　だから、わたしは泣きません。　笑顔が大好きなあなただから、精一杯の笑顔であなたを送ります。　遠く横浜の空の下で、あなたの冥福をお祈りしています。　どうか安らかにお眠りください。　大好きな友『大阪のおっかさん』へ。　

  2005年06月17日

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• 鍵

  　長女が彼と本当に別れた。　テーブルの上に置かれたキーケースの中から、彼の部屋の鍵が消えていた。　いつも仲良くくっついていた鍵が、ぽつんと一個だけになっていた。　それがものすごく寂しそうで、これが彼女の今一番の心境なのだとぐっと胸に突き刺さった。　　「じめじめしないで、すっきりと笑顔で別れなさいよ」とアドバイスしながら、実際に事はそのように運んだのだが、わたしはものすごく辛かった。　すでに彼は、わたしの中では家族となっていたのだ。　だから「色々とありがとうございました。お元気で」と言われた瞬間、涙が溢れそうになった。　大事な家族が、二度と会えない場所へ旅立って行くような、そんな悲しい気がした。　二人の気持ちも良く分かる。　馴染んだことと愛情とは別物だと確信しながらも、その実二人共まだ愛し合っているのだと感じた。　それなのに、こうして別れてしまうことも、人生の中にはままあるのだろう。　今時の若者達のように軽く薄く生きていかれたら、まだまだ先まで続いたのかもしれないのに、互いの気持ちに正直に生きようとすれば、仕方のない結末だった。　結婚を前提に同棲をしたいと言われた時、諸手を挙げて賛成というわけではなかったし、事あるごとに引き離そうと目論んでいたわたしであった。　過去のブログ(『婚姻届』)にはその辺りの記述があり、今更ながら懐かしく読み返している。　　実は、わたしは彼に心から感謝をしている。　情緒が不安定で、学校をサボってばかりいた長女の卒業をサポートしてくれたり、何かとわき道にそれてしまいそうな日々の軌道を修正してくれたり、と数えればきりが無い。　本当に愛情を抱いてくれなければ、こういうことはできるものではないからだ。　だから、こういう結果になっても、わたしは彼を少しも恨んではいない。　　当り前のようにくっついていた鍵が、一個だけになった。　それを見ていると、涙が込み上げてきた。　まるでわたしまで失恋したような、そんなさみしさが襲ってきた。　彼の存在がわたし達にとって、ものすごく大きな位置を占めていたことに今更ながら気づかされた。　「別れ際に、ちゃんと詫びた？そしてありがとうって言えた？」　長女に訊いた。　「うん。そしたら彼もありがとうって」　わたしは少しだけほっとした。

  2005年06月16日

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• 背中までの距離

  　親というのは因果なもの。　「幸せならいいか…」と、あらゆる自己を抑えてきたのに。　とうとう、長女は彼と別れることになった。　相手に言いたいことは山ほどあるけれど、この期に及んでは何を言ってみても詮無いことだ。　ただ、今この時期に結論を出した長女を、わたしはほめてやりたいと思う。　多分、ぬるま湯に浸かった、いわゆる生殺し情態を打破したかったのだろうから。　狭いベッドに居て、背中までの距離は近い。　手を伸ばせば届くのに、その手が出せない恐怖。　それは、拒まれるかもしれないという、深くて暗い恐怖なのだ。　惨めであったり、この上ない孤独感であったり。　でもここでけじめをつけなかったら、もっと惨めな気持ちになるだろうと、彼女は勇気を出して別れを切り出したのだ。　結果、修復などあり得ない、別れと相成った。　シュミレーションは全部見えていたはずだから、本当に勇気を振り絞ったのだろうと思う。　人は、恋をしてはそれを失うものである。　だから、これが最後の恋だと思っても、いつしか新しい恋に出くわすものだ。　恋も失恋も一過性のものであり、熱病のようなものとも言えるのだけれど、そこに到達するまでの距離は、遠くて長い。　でも、どんなに辛い失恋でも、いつしか時という薬に癒される。　大丈夫……と励ましながらも、本当はわたしも同じようにやりきれない思いでいっぱいだ。　今は彼女の傍に居てやって、どうってことのない日常を一緒にやり過ごすことぐらいしか、わたしには術がない。　　それでも彼女の唯一の救いは、素敵な男と恋ができたことである。　だからそれに感謝しながら、もっと素敵な女性に成長することだ。　後で「惜しかったなー」と、地団太を踏ませてやることだ。　　だから、ここが正念場だよ。　一歩踏み出して……。　ほら。　　　　　

  2005年06月15日

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• ユキノシタ

  　昔住んでいた家の側の井戸を覗くと、びっしりとユキノシタが生えていた。　白い小さな花は、まるで妖精が乱舞しているみたいで幼心に楽しかったものである。　深く深く覗き込んで、その小さな花を摘んでいたら、母が大慌てで飛んできた。　「危ない！井戸に落ちたら死んじゃうよ。深くて冷たくて底がないんだから」　と、わたしは大きな声で怒鳴られた事があった。　それからはぞっとして近づかないようになったのだけれど、わたしが最初にこの花と出くわした場所は、そんな井戸の中だった。　その記憶からユキノシタは井戸の中に生えるものと認識していたら、事情があって手放してしまった以前の家の、隣家の境界線であるフェンス越しに覗いユキノシタを発見した時には、全く別なものを見るような気がした。　「これ、てんぷらにすると美味しいんですよ」　「てんぷら？」　隣家の主婦は、少し驚いていた。　　母は、よくユキノシタのてんぷらを作ってくれた。　ユキノシタのほかには、菊の葉だったり、何か山菜であったり。　わたしは、その中ではユキノシタが唯一お気に入りだった。　衣がしゃっきりとして、噛めば果肉の厚さに食べ応えのする感触が、今でも忘れられなかった。　隣家の主婦に断って何枚かもらって、ユキノシタのてんぷらを作ってみたことがあったが、母が食べさせてくれたものとは、どこか別物であった。　先日の鎌倉散策では、あちらこちらにユキノシタの花が満開であった。　初夏の花なのに、雪ノ下とはなんとも不思議な名前である。　たまたま手にした雑誌には、こんな説明がついていた。　「雪の下でも枯れずに残っているから」とか、　「雪のように白い花の下にちらちら葉が見えるから」とか、　「葉の上に雪のように積もった花が咲くから」　「井戸のまわりのじめじめしたところに生えるから、井戸（いけ）の下がなまった」とか。（私のかまくら六月号より抜粋）　いずれにしても、ユキノシタの花は、可愛くて風情のある花である。　やっぱりこの可憐な花も、わたしは大好きだな。

  2005年06月14日

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• ストレスの解消はカラオケで…

  　娘たちのストレスの解消策には、どうやらカラオケが良いらしい。　というわけで、わたしは昨日、それに付き合う羽目になったのだが、個人的にはあまり好みではない。　その原因は上手に歌えないのと、騒音のようなボリュームにあるのだろうと思う。　でも昨日は特別だった。　長女の落ち込み方が気になったので、少しでもその塞いだ気持ちが払拭されるのならと、スポンサーとして同行したのである。　二人とも、声を張り上げて歌いまくっている。　わたしは、その騒音をBGMに文庫本をひたすら読んでいた。　『海辺のカフカ』の終盤だったからだ。　最後の場面を読みたくて読みたくて、騒音のはずが逆に外界を遮断する作用が働いていた。　「んん？待てよ」　時折、音楽に耳を傾けてみた。　「うーん。いつの間に？」　実は、次女がすごく腕を上げていた。　上手くなっていた。　どんな高音も無理なく出ているではないか。　これは相当通ったのだろう。　中島美嘉、BOA、マライヤ等など。　長女とハモるところはハモり、中々心地良い。　最後に、わたしの好きな『We　are　the　World』で二時間の行程は終了。　　　「どう？」　「ありがとう、母さん。おかげで気分は爽快だよ」　「それなら付き合った甲斐があったわ」　夕飯を食べた後のカラオケと飲み放題メニューは少々高くついたけど、二人の満足した顔を見たら、そんなケチな気持ちは消えた。　「まだ月曜日だからねー、明日から頑張ろう！」　軽くなった足取りは、こころなしか弾んでいた。　　

  2005年06月14日

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• 今日の予定

  　ストレスの溜まった娘たちと一緒に、カラオケに行くことになった。　わたしは、どちらかというと苦手なのだけれど、まぁ仕方がない。　付き合ってやることにした。　なんだか歌って発散させるらしいから。　それが出来るのなら、カラオケなんて安いものだ。

  2005年06月13日

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• 今、見えるもの

  　当時は何も見えなかった。　　ただ、たまらなく辛い日々の延長線上を、とぼとぼと歩いていた。　でもその日々を、母親がどんな思いで支えてくれていたのか、今ようやく見えてきた。わたしも今、母のその年になったから……。　「ケイちゃん。この辺であなた自身の幸せを考えてみたらどう？あなたが思っているほど、あなたに魅力がないわけでもないし。親の目から見たらあなたは十分に可愛いと思うけど人の好みは様々で、あなたの好きな人があなたを好んでないだけのことなんだから。それは仕方がないことでしょう？恋なんて次に好きな人ができたら、前の恋はきっぱり忘れられるものよ。見切りをつけるのも人生のうちだから」　振り向いてくれない恋にしょげ返るわたしに、母は違う道を勧めてくれた。　でも、わたしの思いは断ち切りがたく、他の誰にも気持ちが向かなかった。　ところが、鬱々と過ごす青春の只中、その彼は突然結婚してしまったのである。　事前に知らされることもなく、わたしの恋ははかなくも終わったのであった。　　わたしは、もう恋なんて二度としないと思った。　そして、好きでもない男達と表面上付き合っては、逃げ出した。　要は、男なんて誰でも良かったのだ。　すさんだ日々を送るわたしを、母はどんな思いで見つめていたのだろうか。　とにかく平凡な結婚が女の幸せとばかりに、次々と見合い話を持ち込むのであった。　片っ端から母の言いなりに見合いをしてみたが、わたしの心は閉ざされたままだった。　今、娘たちの失恋に遭遇し、わたしは亡き母の気持ちが痛いほど感じられた。　あの時の母の気持ち、こんな風に切なかったのだ。　だから、その気持ちが母親になった娘たちに伝わるのには、きっと膨大な時間を要するのだろう。　もうこの世には居ない母に、わたしはそっと手を合わせた。　今更だけど、ありがとう。母さん。　　

  2005年06月13日

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• 鎌倉・紫陽花便り

  　我が家のトイレのカレンダーは、鎌倉の花々。　そして6月の写真は、成就院の紫陽花である。　急に紫陽花と夏ツバキを見たくなった。　　江ノ電・極楽寺駅から徒歩三分くらいのところにある成就院の、　石段を上り詰めたら遠くに由比ガ浜がひろがった。　去年は刈り取られたばかりだったので、少し早めに出かけたのだけれど、　紫陽花の咲き具合は、いま少し早すぎた。　来週末あたりが見頃だろう。　鎌倉に戻って小町通りをそぞろ歩いた。　ものすごい人だった。　来週はもっと増えるだろうなー。　電車に乗ってから、夏ツバキを見なかったことに気がついた。　来週もまた鎌倉に出かけなくちゃー。　ランチに食べたカレーが、美味しかった。

  2005年06月12日

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• 

  イベント最終日

  　空は難しい顔をしていた。　折りたたみ傘にしようかと迷いながら、長い傘を持参し、　集合場所のみなとみらい駅には、15分前に到着した。　改札から吐き出される人の波を、目を凝らしてじっと眺めるのが好きだから。　それぞれの人々が、それぞれの人生を背負って、それぞれの物語を持っているのだろう。　そんなことを思いながら、ぼんやりと眺めていた。　　五月末から参加していたイベントの最終日。　この間に、色んな人達との出会いがあった。　わたしは、歩きながら物語を思い浮かべる。　横浜の街の佇まい、潮の香り、空模様、などなどを背景にして。　　最終日のお目当ては、レストラン船『ロイヤル・ウイング』の無料乗船だ。　ベイブリッジをくぐる時の、あの感動や、潮風に髪をなびかせるあの快感。　なかなか捨てがたい。　去年の夏乗った時の楽しいひとときは、ひとつなくしてしまったけれど、　また素敵な明日がやってくるだろうし。　誘った知人、友人が下船して、家路を辿るとき。　「ありがとう。素敵な体験だったわ」と……。　ウォーキングの途中で、少し雨に遭ってしまったけれど、　それも楽しい一こまだった。　最終日。　神様はとっても素敵なプレゼントをくれた。　虹。それも特大の。　二重に上がった半円の虹。　生まれて初めてだった。　オーバーだけど、「生きてて良かった」と。　そんな感動もあったイベントは、今日で終わった。　多くの人々の協力の元に。 　　

  2005年06月11日

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• 偽善者

  　良い人だと思われたい訳ではない。　そんなことより、物事を複雑にすることの方が性に合っていないだけなのに。　いつしか、わざわいの渦の中に引き摺る込まれる。　無味無臭な存在で居られたら、と思う割には強烈な存在感を誇示しているようだ。　争い事はたくさんだから、耳を塞ぎ目を閉じている。　それなのに、ちゃんと聞いてあげる振りをしてるから。　わたしは、『偽善者』に違いない。

  2005年06月10日

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• 飲み友達

  　Ｍさんは、もう完全に飲み友達と化した。（笑）　どんな些細なことでもなんでも話せるし、何より博識なのにはいつもながら驚かされる。　夕べも興味深い話に相槌を打ち耳を傾けていると、気が着けば終電の時間が迫っていた。　さまざまな沖縄料理に泡盛のロック。　美味しい酒宴だった。　そこへ長女が友人と合流（わが娘たちは、こうして何の抵抗もなく同じ席につくので、ほとんどのわたしの友人を知っていた）し、益々宴は盛り上がった。　楽しかったなー。　ゴーヤ＆紫芋の素揚げに、残波はぴったし。　料理もお酒も、そしてなによりお話も、本当に美味しかった！　久しぶりに、フルに飲んだから、少しだけ記憶が飛びそうになったけど。　　

  2005年06月09日

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• 恋の行方

  　最近、何かにつけて長女とよく話をするのだけれど、その成長振りにはある種の感動すら覚える。　今までわたしは、上から一方的に物事を押し付けてきた。　でもこの頃では、彼女の主張の方が的を得ていることが多くなった。　これは父親と息子の関係で言うところの、力の逆転なのかもしれない。　背丈は五年生の時に抜かれてしまっているので、体力的にはとっくに及ばない。　今ではその両方の軍配が、長女の頭上に上がっていた。　そのことは、わたしにとって頼もしくもあり、嬉しくもあった。　　ところでわたしは、自分自身の老いについて、あまりにものん気であった。　ずっとずっといつまでも、元気で若いつもりでいたのだから……。　だから子供と逆転する日が来るなんて、全く頭の中を過ぎりもしなかった。　「母さん。それは母さんがおかしいよ」とか、　「母さんは、あたしの目から見ても人間的魅力があるよ。だから大丈夫よ」　などと、飴と鞭を使い分け、的確な指摘をしてくるようになっていた。　そんな長女が出した恋の結論の潔さに、わたしは驚きと同時に深い感動を覚えていた。　ものすごく愛していた恋人に、自ら別れを告げたのだ。　一度は自分自身を支えきれないで、ぐじゃぐじゃになったけれど、結論を出した瞬間に、今度は未来へと気持ちを切り替えたのだ。　「今の自分があるのは、彼と出会ったおかげだから、恨んではいないよ。ありがたいと思ってるし、感謝しているの」　腫れたまぶたが痛々しかったけれど、そこには恋に破れた惨めさは微塵もなかった。　今度こそ、ちゃんと一人で歩き出すだろう。　　　「母さん。あたしの初ボーナスでハワイに行こう。あたし彼とはいっぱい旅行したけど、友達とは遊んでないでしょう？だから友達と行くつもりで計画してたけど、友達より先に母さんと行きたいから。ね、行こうよ。」　　「それからね。これから当分気持ちが浮き沈みするかもしれないけど、黙って見ててね。ちゃんと克服できるから。もう大丈夫だから」　　「当分もう恋はしないだろうと思うけど、今度は父さんみたいな人がいいな。父さんとは戸籍が離れてしまったけど、人間的には素敵な人だもの。母さんが選んだ結婚は間違いじゃなかったと思うよ。だって、母さんと父さんが居なきゃ、あたし達は生まれて来なかったわけだしね」　ああ、なんという成長だろう。　これからは、もう女性として対等で良いのだ。　「そうだね。　結婚が失敗だったと結論付けるのは簡単だけど、別れてしまったけど、父さんは本当に母さんを愛してくれていたと思う。もし逆の立場だったら、決して母さんを捨てたりしない人だもの。だから父さんに見切りをつけてしまった母さんは、自分が非情な人間だったと落ち込むのよね」　わたしは、口に出さないで言葉を呑み込んだ。　今度こそ、本当の意味で肩の荷を降ろして良いのだと思った。　

  2005年06月09日

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• 反省

  　最近のわたしには、母親がものすごく似合ってない。　つまり、年を食ったガキなのだった。　些細なことで、雲行きが怪しくなったり、キレテしまったりと。　昨日のことである。　長女が野球観戦に誘ってくれた。　実は身体がとても疲れていたので、行きたい気持ちと、それほどでもない気持ちが半々だった。　だから本音はまっすぐ帰宅して、だらーと過ごして、疲労回復に努めたかったのだ。　でも、それは前からの約束であり、わたし自身も楽しみにしていたことでもあったから、待ち合わせに遅れまいとして、全速力で乗り継ぎのホームの階段を上った。　息を切らして電車に飛び乗り、一分でも遅れまいとしたのに、到着してみたらまだ来ていなかった。　　結果、三十分以上も待つ羽目になったのだけれど、もちろんそのことに彼女の落ち度はない。　なんといっても、仕事上で起こったトラブルのせいだったのだから。　それなのにわたしは、身体の内部から言いようのない空しさに似た怒りがふつふつと沸いてきて、抑えられなかったのである。　こういう状態は、最近よくある傾向なのだ。　不機嫌さを長女にぶつけてしまって、それは当然伝播した。　ああ情けない。　せっかく、一緒に楽しむために誘ってくれたのに…。　心の中で反省しながら、一体わたしは何なのだろうと思った。　これではまるで、ガキじゃないの。　いろんな不平や不満の捌け口を、娘に求めるなんて浅はかだった。　年々、母性は欠落し、ひたすらガキ街道をまっしぐらである。　でも、本当に行って良かった。　それは内部から沸き起こる怒りすら鎮める作用が働いた。　華のあるスター選手、新庄も拝めたことだし。　やはり、誘ってくれてありがとう、だ。　素直にならなきゃ…ね。ふぅ。　　

  2005年06月08日

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• 通勤電車の中で

  　時々、不覚にもまぶたから涙があふれ出ることがある。　訳もなく唐突にやって来るので防ぎようもなく、あわてて手の甲で拭う羽目になる。　今朝、電車の窓から外を見ていた時、それはやはり唐突にやって来た。　こういう時って、過去の経験からするとろくなことがなかった。　　わたしは右手でつり革につかまって、文庫本を読んでいた。　村上春樹の『海辺のカフカ』下巻である。　出だしはかったるくて、どこかで読むのを止めてしまいそうな衝動にかられながら、いつのまにかぐんぐんと物語の中に引きこまれていた。　「上手いなー。こんな風に本が書けるなんてすごい才能だなー」と、寸暇を惜しんで本を広げたばかりの時だった。　何にわたしは呼応したのだろうか。　窓外は、いつもの見慣れた風景が右から左へと流れていた。　ほどなく、原因は別れた夫だと気がついた。　昨日もらった携帯メールの、『突然の夜中の痛みに動揺をした』という部分が、頭の中をぐるぐると駆け巡っている。　全体の文章から受ける印象は、いつもと少し違っていた。　今までは、ものすごい生への執着を感じさせる文字が並んでいたのに、随分と弱気になっている。　とうとう、その命の期限に近づいたのだろうか。　わたしは、動揺し、すばやく模索していた。　　人は別れるために出会っているのだけれど、わたしと彼も例外ではない。　問題はどの地点で、それがやって来るかということなのである。　わたし達は、思いのほか早くやって来てしまったが……。　否、きっと決して早くも遅くもなく、運命というシステムの中では、頃合いだったのかもしれない。　『どうしてこうなったのだろう』を解明するするには、あまりにも劇的で、あまりにも衝撃的で、あまりにも唐突だった。　だから、起きたことを受入れられなくて、呑み込めなくて悶え苦しんだ。　でも最初から、わたしの運命というシステムの中には、組み込まれていたのだとしたら……。　そう思うことで、少しずつ、本当に少しずつ事態は変化を遂げた。　ただ、その線上の中盤か終盤かは不明であるけれど、彼との永遠の別れが潜んでいたのだった。　わたしは、こうなったことを悔いてはいない。　悔いることより、運命だと受け入れた方が楽だからだ。　それでも、わたしが出来ないことを、別れた夫は平然とできる人だった。　彼の今は生への執着心ではなく、自分がガンとどう向き合ったかで、わたしと娘達に責任を果たしたいのだろう。　『最後まで、頑張るから』という言葉が、携帯メールの中から消えていた。　そのことが、頭の片隅で引っかかった。　今朝は、そのことがやけに重くのしかかっている。　　　　　

  2005年06月08日

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• 

  ダイエット後記

  　本日で終了！（正確には九日目のメニューを本日こなしたらという前提です）　　結果的には、このダイエットのキャッチフレーズ通りの『九日間で４kg減量』に達することはできませんでしたが、激しい空腹感を味わうことなく（全くゼロではありません。少しくらいの飢餓感は味わうべきで）、意思の弱いわたしにも挑戦しやすかったということです。　正直、４kg減らなかったから金を返せという気持ちはありません。　今後も食べ過ぎたかなーとか、カロリーオーバーな日々が続いたら、この九日間ダイエットで調整しながら、自分の健康管理がしていけるような気がしています。　考えてみたら、短期間でどんどん体重を落とす方が、不健康な方法だと自覚したし、これまで様々なダイエットに挑戦しては、くじけてしまったわたしにとって、ようやく合っているものに出会ったという感じです。　　「少し痩せたんじゃない？」　「そう？」　「何かやってる？」　「ええ。そんなに激痩せはしないけどね。ゆっくり気長にね」　　見た目はそれほど違わないだろうけれど、わたし自身、身体のキレが良いから満足しています。　以下が、今回わたしが人体実験したダイエット方法です（笑）。　よく読んでみると、４kg減量するとは書かれてないですね。　全く減らないか、または増えた場合は、条件付で返金という仕組みです。　ということは、ひとまずわたしは成功者なのですかね。　　全く落ちる気配を見せない体重の、わたしは突破口が欲しかったのです。　ほんの少しでも落とせたら、それを維持したり、もっと有効な方法を見つけたりできるかなーって考えてのことですが…。　テレビ放映後、ネットで安易に飛びついたサプリメントもありましたが、やはり不安があり、購入後飲まないで放置しているものもいまだにあります。　職場でも、男女問わずダイエットは最大の関心事です。　こんな風にしたら減ったよー、という情報は日々交換しているところですが、中々最後までやり遂げられたものはないようです。　アボカドと豆乳、パイナップルetc。色々試してみました。　なんで続かないのだろう…という疑問にぶつかったとき、『やはり手軽で美味しいものじゃないと』に到達したというわけです。　　この豆乳クッキーは割合甘いので、甘味大好き人間にとっては、そういうものの代用になりうるし、しかも硬いので決められた水分を摂取しながら良く噛んで食べると、空腹が満たされるのでした。　わたしの場合、お昼の弁当屋さんの弁当がカロリー計算してくれていたのと、ものすごく美味しいところに目をつけて、何も考えずに完食できたことが大きかったと思います。　なにしろ、昼食後の満足度１００％でしたから。　だから、日ごろ一番重い夕飯に豆乳クッキーを持ってきたのは、大正解でしたね。　毎晩飲んでいたアルコールを止めるわけですから、肝臓関係にもものすごく良い訳だし……。　ダイエットの動機は人それぞれ違うことでしょうけれど、わたしは飽食をすることなく健康第一に、これからも自分に合った方法を模索したいと思っています。　ひとまず、去年の洋服は着れるようになりました。　　　　豆乳クッキーダイエット　　

  2005年06月07日

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• ダイエット九日目（終了）

  　今朝の体重（－2.4kg）AM６：００計測（初日から2.4kg減量！）　朝：バナナ１本（86kcal）、青汁＆クエン酸ジュース（35.2kcal）　昼：若鶏の山賊焼き、白身魚の揚げ物、刺身こんにゃく、　　　じゃがいもそぼろ煮、さつま揚げとお煮しめ、漬物（731kcal）　夜：代用食（146kcal）、牛乳200cc（76kcal）　　　※無脂肪牛乳に変更（これは甘くてなかなか美味しい。　　　　給食の脱脂粉乳を思い出す＾＾）　合計：1,074.2kcal（目安：1,200kcal）　本日：-125.8kcal　

  2005年06月07日

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• 古本屋

  　スーパーの前に、にわかに店を出している古本屋に足が止まった。　料理本やグラビヤに目がいったのだ。　何年か前のものだけど、料理などは内容が変わるわけでもなく、半額なら良いかなーとめくっているうちに、いろんな古本を手に取ってみた。　　やはり花をモチーフにしたデザイン関連、焼物、紅型、和服、和風を扱ったものには目がないわたしである。　結局、古本を購入しレジで支払う金額は安くはなかった。　でも、これを定価で買ったら倍額するのだから、お得には違いないのだ。　重い書籍をうんこらと運びながら、心はものすごく贅沢な気分になった。　思い起こしてみると。　こういう気質は父の血筋を継いでいる気がする。　父は、美術、骨董、焼物の書籍を始め、あらゆる書物やクラシック音楽に造詣が深かった。　結局、蒐集してみても音楽以外はゆっくりと眺める時間はなかった。　今になってみると、その父の気持ちが少し分かる気がする。　欲しいのだ。眺めてみたいのだ。ただ持っているだけでも、心が豊かになった気がするのだ。　少し時間のたった書籍は、独特のにおいを放っていた。　それでも頁をめくるたびに、わたしはとても嬉しくなった。　

  2005年06月06日

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• 人と人

  　最近、面白いなーと思う。　自分の周りの人とそのまた回りの人が繋がるのだ。　しかも良い感じで。　だからどんどん紹介している。　それを見て、目を細めている。

  2005年06月06日

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• ダイエット八日目

  　今朝の体重（－2.0kg）AM６：００計測（初日からようやく2kg減量！）　朝：バナナ１本（86kcal）、青汁＆クエン酸ジュース（35.2kcal）　昼：ちりめんご飯、いかの味噌焼き、野菜コロッケ、　　　切干大根、酢の物、キャベツの千切り、　　　　　がんもとこんにゃくの煮物（730kcal）　夜：代用食（146kcal）、牛乳200cc（76kcal）　　　※無脂肪牛乳に変更（これは甘くてなかなか美味しい。　　　　給食の脱脂粉乳を思い出す＾＾）　合計：1,073.2kcal（目安：1,200kcal）　本日：-126.8kcal　昨日のウォーキングの効果なのか、スタートからやっと２ｋｇ減った。　減り方は顕著ではないものの、どうしても越えることができなかった壁は突破したので、それなりに満足。　特に身体の調子が良いのが嬉しい。　残すところ後一日となったけれど、しばらくは続けてみても良いと思っている。　水曜日、木曜日と飲む機会が控えているのだけれど、食べる量やカロリー計算をしながら、なんとか健康的な体重維持はできそうな気になっている。　

  2005年06月06日

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• 

  横浜の風

  　環境ウォークへ参加した。　こんなに大勢の人々と歩くのは初めてだった。　しかもすごく速い。　デジカメで風景や興味ある物体を激写していると遅れてしまうし、追い着くまでにはものすごい速度が要求された。　最初は、ふんふんと鼻歌交じりで歩いていたのだけれど、中盤を過ぎた辺りでは全く余裕がなくなって、結局大桟橋でギブアップと相成った。　足に来たのだ。足に来ると歩き方が変わるし、腰に来るのが分かっているので無理をするのはやめた。　　でも、潮風に青い空の好天気は、とっても気持ちが良かった。　　こうして、人は病みつきになるのだろうな。馬車道からランドマーク 臨港パークから臨んだ海臨港パークからベイブリッジ 赤レンガパーク大桟橋から氷川丸（山下公園）※ここから一行は山下公園、港のみえる丘公園、　ゴールの元町公園、元町・中華街で解散であるが、　わたしは悲しいかな、ギブアップとなったのである。

  2005年06月05日

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• ダイエット七日目

  　今朝の体重（－１.8kg）AM６：００計測（やっと0.4kg動いた。それにしてももう七日目の朝なのになー^^;）　朝：青汁＆クエン酸入りジュース200cc(35.2kcal)　昼：焼きうどん（465kcal)　夜：ビール（400kcal）、揚げ物ほか（533kcal）　　　※無脂肪牛乳に変更（これは甘くてなかなか美味しい。　　　　給食の脱脂粉乳を思い出す＾＾）　合計：1,433.2kcal（目安：1,200kcal）　本日：＋233.2kcal　今日は約７キロ歩いた。　打ち上げでとうとうビールを飲んでしまったー＾＾）

  2005年06月05日

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• ダイエット六日目

  　今朝の体重（－１.4kg）AM８：００計測（今朝も体重変わらず、これで良いのかなー）　朝：バナナ２本（172kcal）、コーヒー　昼：辛子明太子入り超旨チャーハン：しいたけ、トマト、　　　ミョウガ、アサツキ、辛子明太子入り（700kcal）　夜：代用食（146kcal）、牛乳200cc（76kcal）　　　※無脂肪牛乳に変更（これは甘くてなかなか美味しい。　　　　給食の脱脂粉乳を思い出す＾＾）　合計：1,094kcal（目安：1,200kcal）　本日：-106kcal　とにかく身体は快調。　あしたのウォーキングでどれだけ落とせるかしら。　少し楽しみ。

  2005年06月04日

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• 明日は『環境』ウォーク

  　あしたはの日曜日（５日）、『環境』ウォークに参加します。　先週も歩きましたが、今度はもっとしっかりウォーキングしようと思います。　まだ間に合いそうですよ。　潮風に吹かれながら、環境をテーマに歩いてみませんか？　新たな発見があったり、横浜の町は素敵ですよ～～。

  2005年06月04日

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• 忘れないために

  　最近、些細なことが記憶の襞から欠落してしまう。　考えれば考えるほど不確かになり、分からなくなるのだ。　だから、来年の今日のために記録しておこうと思う。　今日は友人Ｆさんの誕生日。　去年は仲間が集ったし、つい先日まではしっかりと覚えていた。　それなのに急に分からなくなった。　念頭に新しい手帳に記入した記憶はあったので、それを探したけれど見つからない。　迷った挙句。　それでも当日を過ぎてしまうことの方が間抜けだと思い、昨日『おめでとう』メールを送ったところ、一日早すぎた。　あああ。申し訳ないことをしたなぁ。　わたしは、ものすごく悲しい気持ちになった。　彼女は良い人だから、「気にしてないから」と言ってくれたけど……。　誰だって、当日に祝福されたいに決まっている。　一日早くても、一日遅くても、それは意味が違うと思うから。　だって、世の中におぎゃーと生まれた日は、二日とないじゃない。　だからこそ、その当日に「おめでとう」と言ってもらえるくらい、嬉しいことはない。　わたしは、どんなプレゼントをもらうより、誕生日におめでとうと言われたいのだ。　だから、昨日は大失敗。　来年は、ちゃんと忘れないために、ここに書いておく。　そして彼女のお誕生会は、来週の水曜日にすることになった。　これも、ものすごく申し訳ないのだけれど、わたしの都合なのだ。　ああ、ダイエットする時期をちゃんと計算しておけばよかったな。　そんなこんなで、本日お誕生日のＦさん、おめでとう。

  2005年06月03日

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• ダイエット五日目

  　今朝の体重（－１.4kg）AM６：００計測（体重変わらず、これで良いのかなー）　朝：バナナ２本（172kcal）、コーヒー　昼：（弁当屋さん）エビフライ、若鶏から揚げ、　　　和風カレー、キャベツの千切り、ハム、サラダ、　　　あさりとひじき煮物、蓮根のきんぴら（773kcal）　　　※お弁当は少しずつ品数が多く入っているので、目と舌で楽しめています。　　　 唯一、食事らしい食事のお昼なので、よく噛んで味わっていますよ。　　夜：代用食（146kcal）、牛乳200cc（76kcal）　　　※無脂肪牛乳に変更（これは甘くてなかなか美味しい。　　　　給食の脱脂粉乳を思い出す＾＾）　合計：1,167kcal（目安：1,200kcal）　本日：-33kcal　目標まで後2.6kg。果たして落とせるのかなー。　でも、一日の食事の取り方、食品のカロリーなどが大体頭に入ってきた。　これはずっと気をつけながら食事を摂る習慣がついて、終えた後にも役に立ちそうだ。　お腹も落ち着いて、ひもじい思いとかは全くないし、今まではとにかく食べたくて仕方がなかったけれど、それは完全にないのが嬉しい。　　ダイエットは、自己との闘いだ！！（笑）

  2005年06月03日

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• 感謝の気持ち

  　ダイエットを始めたのは、去年の洋服がきつくて不経済だからである。　このままわたしの身体を放置しておくと、限りない肉の塊と化し早晩健康を害してしまうだろう。　　ある日のこと。　長女と元町を散歩した。　とあるブランド店に足を踏み入れたとき、鏡に映った一人の女に驚愕した。　「ねぇ、あれって母さん？」　「あったり前じゃん。二人しか居ないんだし」　そうなのだった。　ちょうどそこには客が切れたのか、わたし達は二人だけだったのだ。　信じられないけど、それはわたしが対面した、紛れもない現実であった。　　身体の変調を感じた頃から、わたしはあまり自分の姿を見ないようにしていた。　もちろん家で化粧をしたり、洋服を合わせるときは別として、ショッピング等の時、大きなガラスに自分を映して客観的に見たりしなくなったということなのだ。　少し前、否うんと昔には、そういう姿を見て「まだ大丈夫」と安堵したものだったのだけれど、今は違う。　見るのが恐かった。　　「せめて去年のシーズンモノが着れるようにしよう！」　これが、わたしのダイエットの発端であった。　今、わたしが飛びついているダイエット方法は、ひもじい思いが比較的少ない。　実際に成功したら、その方法は明かすけれど、千差万別でうまくない場合もあり、今は秘めておこうと思う。　このダイエット方法で、わたしが実行していることは、昼食に重点を置くことだ。　運良く職場で取っているお弁当は、ちゃんとカロリー計算ができていて、その上手作りなので、味もはずれない。むしろ美味しい。　それまでは、あまり感じなかったのだけれど、よく噛んで食べるとどんなものでも、本当に美味しいということに気づかされた。　昼食を楽しみに待ち、それをゆっくりと美味しくいただける。　これはまさに至福であり、わたしの胸は感謝の気持ちでいっぱいになった。　　わたしのダイエットは、ある種の断食に通じている。　完全な断食ではもちろんないけれど、その信念は近い気がしている。　この期間（九日間）は、昼食を何より楽しみにし、心から美味しくいただける事に、わたしは手を合わせている。

  2005年06月02日

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• 枇杷

  　通勤電車の窓からぼんやりと外を眺めた。　黄色の実が鈴なりの、枇杷の木が見えた。　その実を食べる人はいないのか、いつもそのままで潰えてしまう。　皮を剥いても、大きな種だけの小さな小さな実なのだからしかたがない。　ふと思い出した。　小学校の一年生の時の、枇杷のなる季節の頃を……。　　母は近所の食料品店で、掛買いをしていた。　「つけといて」と言えばなんでも買えた。味噌でも砂糖でも菓子類でも。　幼心にそれをわたしが言って通るなどとは思ってもいなかったのに、ある日魔がさした。　いつもは仲間はずれにされていた近所の悪がきを従えて、その店の前に立った時。　「わたしと遊んでくれたら、好きなものなんでも買って良いよ。」　すらすらと、口からでまかせが飛び出していた。　それは驚くほどよどみなくだった。　「うっそー。本当にいいの？」　半信半疑で、彼らは問いかけてきた。　「もちろん。でも遊んでくれんきゃ駄目だけどね」　数名の悪がきは大喜びで「いいよ。遊んでやるよ」と言いながら、もう駄菓子に手を出していた。　「おじさん。これつけといて」　「お母さんがいいって言ったのか？」　「そう」　おじさんの目から、わたしは思わず視線を反らした。　「そうか」　各々が手にした菓子を計算し、「いいよ」と言ってくれた。　わたしの心臓は早鐘を打つように、激しく音を立てた。　怒られると覚悟していたのに、それを咎められなかった。　でも咎められなかったことに、一抹の不安を感じてその場を逃げ出した。　「ちょっと来なさい。一緒に謝りに行こう」　「どこへ？」　「お店。おじさんを騙したでしょう？」　母はいつになく青ざめた顔で、わたしの手をきつく引いた。　母がぺこぺこと謝る傍らで、わたしはじっと見つめていた。　その店の路地に植えられた枇杷の木を……。　小さな、わたしの背丈ほどの木には、数個の枇杷がなっていた。　美味しいのかなーとぼんやり思った。　　鮮やかに、あの日の枇杷が蘇った。　わたしがあまり枇杷を好まないのは、きっとこの事件せいだろう。　　　　

  2005年06月02日

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• ダイエット四日目

  　今朝の体重（－１.4kg）AM６：００計測（体重変わらず）　朝：バナナ２本（172kcal）、コーヒー　昼：（弁当屋さん）ミートコロッケ、冷やし中華、　　　鯖の生姜煮、筍の土佐煮、インゲンピリ辛、　　　佃煮、浅漬け（705kcal）　夜：代用食（146kcal）、牛乳200cc（76kcal）※無脂肪牛乳に変更　合計：1,099kcal（目安：1,200kcal）　本日：-101kcal

  2005年06月02日

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• おごり

  　二十歳の可愛いお嬢さんが、職場の違うフロアーに入ってきた。　同じ会社からの派遣なので、当然わたしが面倒を見ることになったのだけれど、これが思いのほか重い。　実際の組織上では担当者責任者がいるので、わたしは素知らぬ顔をしようと思えば出来る立場にあった。　でも、同じ派遣元であり頼まれた関係上、それなりに世話を焼く羽目になったのだ。　ほぼ次女と同じ年齢である。　だから同僚としての目線ではなく、やはり母親の目線で加減しつつ様子を見ていたところ、思わぬ苦情が舞い込んで唖然としている。　「窓を開けると埃がすごいから、トイレの窓を開けないで欲しいと頼んだら、どうせあなたは掃除で雇われたんでしょう？汚れたら拭けばいいじゃんって返されたわ。なんだかカチンと来た。孫ほども歳が違うのに、腹が立って辞めようかと思ったわ」　と、掃除担当の年配の女性が悲しそうな顔をした。　「私はやっぱり掃除のおばさんって目で見られていたんだね。そうに違いないけど、ものすごく傷ついたわ」　と、その年配の女性が言葉を繋いだ。　わたしも驚いた。　もう少し言葉を選べなかったのだろうか。　二十歳だからこそ、もう大人の女性なんだからこそ、言葉を選んで欲しかった。　彼女は、そのフロアーに中々見つからない後釜として来てもらうことになったのだけれど、チヤホヤされることと問題を履き違えているのだと思った。　職場の中で一番若い。　若いからこそ、もう少し気の利いた言葉を使って欲しいのに。　まだまだ奢る年ではない。あなたの周りは、皆が人生の先生なのに。　そう思いながらも言葉を飲み込んだ。　彼女が明日から来なくなると、たちまち困るのはわたしではないからだ。　「しょうがないわね。ごめんなさい」　わたしが代わりに謝った。　どこか違うと思いながら……。　「うちの娘ならそんなこと言わないなー。もし言ったらぶってやるんだけど」　心の中では、絶対にわが娘なら言わないだろうと信じて、言い訳をした。　

  2005年06月01日

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• ダイエット三日目

  　今朝の体重（－１.4kg）AM６：００計測　朝：バナナ２本（172kcal）、コーヒー　昼：（弁当屋さん）八宝菜、煮卵、白身魚のさっぱり酢油漬け、　　　ロールキャベツ、大根と木耳中華サラダ、白滝生姜煮、　　　はりはり大根（735kcal）　夜：代用食（146kcal）、牛乳200cc（137kcal）　合計：1,190kcal（目安：1,200kcal）　本日：-10kcal

  2005年06月01日

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• 欲望との闘い？

  　横浜で待ち合わせて、本当に久しぶりに娘と三人でショッピングをした。　目的は、OL一年生の長女の、この時季に羽織るジャケットでも見立ててやろうと思ってのこと。　大学生の次女にも何か欲しい洋服があれば一緒に、と誘ってあった。　大体次女は、こういう何かメリットがないとついてこないのだ。　　おしゃれのセンスと金額から、わたしはZARAだと思ったので、長女にメールを入れるとＯＫの返事が来た。　長女に白のジャケット、薄茶色のインナー用のタンクトップ、そして黒のパンツ。　次女は、傾向が少し違うのか黒のパンツだけで良いというので、それを購入。　　わたしの頭の中には、次の行動は描いてあった。　どこかで食事をして、その後カラオケ（娘たちは大好きなのだ）でも良いかなーと。　でも、わたしはダイエット中で、夕飯を一緒には食べられないのだ。　　　そこで予めダイエット用の代用食を携行し、それをぼそぼそと食べるつもりでいた。　とりあえず、喉の渇きをビールでということで、ビアホールを選んだ。　スペアリブ、ナンピザ、フライドポテトと、ビールに合いそうな料理が運ばれてくる。　わたしは烏龍茶で乾杯し、その代用食をひたすらご馳走の前で食べた。　不味くはないし大量の水分を摂るので、直にお腹は膨れてきた。　目の前の料理は実に旨そうなのだが、少しも誘惑されない自分に驚いた。　いつものわたしだと、「ダイエットは明日から～」とばかりに飛びつくはずなのだが。　結局、小一時間の食事中、ほんのわずかも心が食べ物に動かなかった。　再三、娘達は悪魔のささやきで、わたしを食べ物へと誘うのだったが、本当に動かなかったのだ。　我ながらこれには感動し、「よっし今度こそ乗り切れる！」と実感したのはいうまでもない。　この夏、二の腕を披露できるかもしれない。　大好きなノースリーブから出た、少し細めの二の腕だ。　　

  2005年05月31日

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• ダイエット二日目

  　今朝の体重（－１Kg）AM７：００計測　朝：バナナ２本（172kcal）、コーヒー　昼：（弁当屋さん）スパゲティナポリタン、焼きさつまみぞれ乗せ、　　　切り昆布の豆板醤炒め、赤しば漬け、車麩と野菜煮（682kcal）　夜：代用食（146kcal）、牛乳200cc（137kcal）　合計：1,137kcal（目安：1,200kcal）　本日：-63kcal

  2005年05月31日

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• ダイエット一日目

  　　本日の体重を０とする。（AM６：００計測）　　朝：バナナ１本（86kcal）、牛乳200cc（137kcal）　　昼：（弁当屋さん）　のり弁当・茄子の天婦羅、　　　春雨とキュウリとキクラゲの酢の物、　　　ニンニクの芽と厚揚げに鶏ひき肉あんかけ、かに巻き卵、　　　干し椎茸の旨煮、蕗と油揚げの煮もの（798kcal）　　夜：代用食（146kcal）　　現在少し空腹感あり。眠る前に牛乳200cc（137kcal）　合計：1,304kcal　　（目安：1,200kcal）　本日：104kcalオーバー

  2005年05月30日

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• パソコン暦、満九年

  　パソコン通信の世界に入って、今日で九年というお祝いメールが届いた。　振り返ってみれば、色んなことがあったなーと感慨も一入。　何より、ニフティのIDを取らなかったら出会えていない友人の、なんと多いことか……。　当時の夢は、高校三年間を楽しく過ごしたクラスメートをネットで繋ぐことだった。　でも悲しいかな、いまだに一部の人としか繋がっていない。　暇がない、覚えるのが面倒だ、今更デジタルじゃなくても…、アナログで十分だ、等など。　　子供に優越感を持って教えられるわたしの唯一は、パソコンである。　あ、後いけばなもあったか……。　この二つだけは、尊敬の眼差しを感じることがあって、少し幸せな気分に浸れる。　今日から十年目に突入したわけだ。　何か足跡を残せたら良いなー、と思っているところ。　　

  2005年05月29日

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