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2006年02月08日
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ガラスの靴          司由衣

西の外れの福西本通りを南へ
街路樹のあいだを通る風にみちびかれ
小畑川公園 福西遺跡公園 洛西大橋 福西竹の里
探しものは未だ見つけられないけれど
大蛇ケ池公園の根株に腰掛けて
コンビニのおにぎりをたべながら わたし
-ここらで牝を脱いではいけないか
  そもそもわたしは
  戯れに吸った煙草のけむりを
  風にふんわり乗せてみたかつた
   だけなのに
  あのとき こわい父が
  わたしの部屋を覗いてじつと睨んでいた

  あわててけむりを逃がそうとしたけれど
  窓の鍵は外からも掛けられていた
  窓を壊してひんらり
  外へ飛び出すのは自由だ
  けれど
  再び窓から入ることは許されない
  勢いで飛び出したものの
  外はまるで樹海だ
  いったん足を踏み入れると
  もう元には戻れない
  雑踏の繁みをあてもなくさまよう
  四条 鳥丸御池 丸太町 今出川 鞍馬口
  きしきしと鳴るガラス製の牝音を
  石だたみの上に響かせて
  上賀茂御薗橋 朝露ケ原町 柊野別れ
  行きずりに逢ったそのひとは
  フェロモンのにおいに充ちていた
  上着のポケットからさりげなく取り出した
  板チョコを半分に割ってわたしにI

  けれど
  あとの半分をたペてしまうと そのひとは
  「さようなら」と言って
  行ってしまった

それから幾星霜
かずかずの出来事に遭遇して寧日なく
年かさの今もなお思いが残る
あのとき たしかに
窓の鍵は外からも掛けられていたが
ほかに出口はなかったのだろうか
消し忘れた煙草の小さな焔は
どんな風に燻りつづけたのだろうか

ガラスの靴が血の滲んだ踵に擦れて痛い
思えば
窓を壊したあのときからずっと
わたしは一度だって.
靴を脱いだことはないのだから
常にガラスの靴を履いている





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最終更新日  2006年02月09日 10時01分52秒
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