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カテゴリ:感想
辻村深月さんの『子どもたちは夜と遊ぶ』を読了。
2年前のこと。留学がかかった論文の選考が行われた。天才肌の木村浅葱か努力型の狐塚孝太のどちらかだと予想されていたが、2人を出し抜いたのは「i」を名乗る匿名の人物だった。 こっそり「i」を探し続けた浅葱だったが、2年後に彼のもとに「i」からメールが届いた。「i」は浅葱の双子の兄木村藍だというのだ。再会を望む浅葱だったが、「i」はゲームの提案をしてきた。それは、「i」と「θ」としてクイズに対応した人物を2人で交互に殺しあう殺人ゲームだった。孝太を追ってきた月子や孝太のルームメイト恭司、研究室の先輩萩野たちとの生活は少しずつ狂っていく。 前作『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞してデビューした辻村さんの2作目。前作では文章にやや冗長な面がありましたが、今作は上下巻2冊にもかかわらずそんなことは感じませんでした。丁寧に人物が描写されていて、それが物語全体にうまく使われています。ただ、いろいろなエピソードを詰め込みすぎている気がします。たとえば、秋山教授は真紀の元彼に囁いた言葉(下巻P65)。何を囁いたのか気になるのですが、最終的に放り出されてしまっています。 全体としては、寄生蜂のエピソードをうまく利用している感じです。それと感じさせずに。ただ、真相に至るまでの過程と比較すると、終盤で明らかになる真相はやや拍子抜けかな。こういうことを期待してはいなかったので。それでも、8人目の被害者のエピソードには見事に騙されてしまいました。あとから考えれば、伏線らしきものが結構散らばっているのに。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.02.03 10:04:24
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