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Neko月@ Re:野村美月 『“文学少女”と死にたがりの道化』(06/14) 深い。 面白い。 はまる。 読む。 サ…
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2006.02.09
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カテゴリ:感想
 7日に恩田陸さんの『蒲公英草紙 常野物語』を読了。

 日露戦争の頃、東北地方のある集落の名家・槇村家でのこと。医者の娘中島峰子は病弱な槇村家の末娘・聡子の遊び相手としてお屋敷に通うことになった。聡子は病弱で屋敷の外に出るのもままならず、「成人まで生きられない」と言われるほどだが、きわめて聡明で、槇村に相応しい凛々しさを持った少女である。お屋敷には画家の椎名、仏像彫りの永慶、発明家の池端などが寄宿していたが、そこに旅を続けていた春田家の4人がやってきた。彼らは、不思議な能力を持った「常野」と呼ばれる一族であった。

 『光の帝国』に連なる常野物語の系列。とは言うものの、例の春田家の人々はあくまで物語の味付け程度といったところでしょうか。存在感は大きいのですが。
 さて、峰子の語りで進行するこの物語、全編になにやら暗い雲のような雰囲気が漂っていたのですが、その中に差し込む一筋の光こそが聡子でしょうか。彼女はいきいきと動き、それだけに、中盤まで穏やかに進んだ平和な物語が終盤に至って暗転する様は、まさに悲劇であり、そして切なさと感動を呼び起こしてくれます。
蒲公英草紙 前半に語られる様々な事柄から、おそらくはどんな形であれ悲劇が展開されることは容易く想像されるのですが、その想像の中でももっとも効果的な展開が採用されている気がします。悲劇を迎える直前までのすべてが、悲劇に寄与するために存在しているかのような印象です。
 おそらく、よく似た展開を持つ物語もいくつかは存在するでしょう。けれども、作者の力でより高みへと押し上げられている物語です。

 残念なことに、『光の帝国』の続編ととらえて読んだ方には期待はずれだったのでは? 常野の一族がその能力を発揮して活躍する場面はわずかですから。

関連作:『光の帝国 常野物語





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Last updated  2006.03.16 09:41:51
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