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カテゴリ:感想
ひきこもりの兄・友彦を抱え、母と3人で暮らす山田なぎさは中学二年生。兄を養うために”実弾”を欲するなぎさの前に現れた転校生は、自分は人魚だとうそぶく海野藻屑であった。なぎさを振り回す藻屑であったが、友彦は彼女を「砂糖菓子の弾丸」と表現した・・・
中編程度の長さしかもたない作品ですが、圧倒的に濃密な作品でした。 とにかく、冒頭に置かれた新聞記事が効いていて、一気に世界に引きずり込まれます。ここで提示された結末があまりにも無残で悲劇的であるが故に、終始その印象が頭を離れることはありません。どんなシーンであっても。むしろ、本来であれば明るく楽しいはずのシーンであっても、その影に暗いものを感じずにはいられません。 とことん戦うことによって生き抜こうとする少女と、とことん装うことによって生き抜こうとする少女の物語だと思うのですが、その違いが最終的な結末に直結していて、生きるということの意味を改めて感じました。 ただ、これだけの凄惨な事件を扱っているにもかかわらず、予想していたほど読後感は悪くありませんでした。確かに、一方の少女の身に降りかかったのはいかんともしがたい悲劇でしたが、もう一方の少女には彼女次第でいかにでもなる未来が用意されていたからでしょうか。 2007年6月1日読了
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Last updated
2007.06.07 09:20:06
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