|
カテゴリ:霜花の姫~香蜜が咲かせし愛~全63話
香蜜沉沉烬如霜 Ashes of Love
第31話「隕丹の破砕」 その夜、錦覓(ジンミー)と羌活(キョウカツ)は祝杯をあげていた。 今日は姑姑(ココ/敬称)に拾われた2人の誕生日、毎年、酔っ払うまで飲むのが恒例となっている。 誕生日の贈り物はしない約束だったが、錦覓は今年だけ特別に羌活に小さな多肉を贈った。 …もう渡す機会がないかも 錦覓は酔いつぶれて眠り込んだ。 するとまた第9話と同じ夢を見る…。 氷の世界にたった1人きりの錦覓、やがて大きな氷のつぼみを見つけた 『また私の夢に出てきてくれたのね!』 …夢じゃないわ、早く私をここから出して!あの人に愛を伝えたいの …人を愛するとその人といつも一緒にいたいと思い …相手が笑えばうれしくて、相手が泣けば悲しくなる …閉じ込められたら何としてもその人の所に行こうとするわ 錦覓はふと熠王(ユウオウ)への自分の気持ちと同じだと気付いた つまり自分も熠王を愛しているということなのか… しかしそこで羌活に起こされてしまう。 すると秦潼(シントウ)が熠王のお召しだと声をかけた。 錦覓が薄暗い殿内に入ると、旭鳳(キョクホウ)は芝居を開演するので座るよう促した。 旭鳳は影絵で2人が出会った時の話を面白おかしく演じ、錦覓は当時の事を思い出して大笑い。 やがて熠王の隣に移動して芝居に参加したが、熠王の優しい笑顔を見ながらふと返礼を要求されたことを思い出した。 錦覓はそこでやっと熠王が欲しい物に気づき、面紗を外して熠王に口づけしてしまう。 「あなたが好き!私の言葉を忘れないで あなたが好きあなたが好きあなたが好きあなたが好きーっ!」 「君を娶るよ」 その時、亀裂の入っていた隕丹にさらにヒビが入り、錦覓はわずかに顔を歪める。 旭鳳は錦覓の想いを知って感激もひとしおだったが、戦報を知らせに来た秦潼がいきなり入って来た。 錦覓と離れがたい旭鳳、しかし錦覓は仕方なくそこで下がって行った。 潤玉(ジュンギョク)は幼い頃の記憶が断片的によみがえり、自ら母の元を去ったことを思い出した。 母を傷つけたと気づいた潤玉は再び雲夢澤(ウンムタク)を訪ねたが、簌離(ソクリ)は決して会おうとしない。 仕方なく扉の前でひざまずき、往時のことを思い出したが母を責めたのは間違いだったと釈明した。 「幼く無知な私は母上を傷つけました…慚愧に堪えません 久しぶりに母上のお元気な姿を拝見できましたし、親孝行な2人の義弟がいることも分かりました 嬉しい反面、自責の念に駆られています 信じております、いつかは息子だと認めてもらえることを…」 潤玉が帰ると簌離(ソクリ)はようやく外に出てきた。 残酷な仕打ちだと分かっていたが、そこまでしても家族の敵を打たねばならない。 今や天界で何不自由なく暮らしている潤玉を自分の復習に巻き込むわけにはいかず、簌離はその場で泣き崩れた。 彦佑(ゲンユウ)は鯉児(リジ)を連れて夜神を湖畔まで見送った。 潤玉は2人も義弟ができたと喜び、母の世話を任せる。 鯉児は本当に義兄になってくれるのかと確認すると、潤玉は優しく鯉児の頰をなでた。 その夜、潤玉は錦覓を訪ねた。 錦覓は先日、いつの間にか眠ってしまったことを詫び、あの夜に潤玉仙が残して行った月下美人で茶を入れる。 すると潤玉は初めて錦覓と出会った時のことを思い出した。 図らずも自分の醜い姿を見られてしまったが、本当の自分を見ても毛嫌いせず、みんなと平等に扱ってくれたのは錦覓が初めてだろう。 物事に迷い、どうすべきか決めかねていた時は錦覓がいつも道を指し示してくれた。 実は潤玉は母の火傷の薬をもらうため錦覓に会いに来たという。 さすがに神仙の患者は初めてだったが、錦覓は紅玉膏(コウギョクコウ)と麒麟血膏(キリンケッコウ)を渡した。 …最初の患者が王で2番目が神仙なんて、やっぱり医者は転職なのね(ふふ 潤玉は感謝して帰ったが、その後、錦覓はまた激しく咳き込んで喀血してしまう。 密偵から報告を受けた天后は洞庭(ドウテイ)湖にやって来た。 「夜神たちが来たのはこの辺りです」 「…霊力の気配がするわ、ここが本拠地に違いない」 天后は敵を一網打尽にするため天界で兵を集めることにしたが、そこに彦佑が現れた。 彦佑は天后と一緒にいるのが滅霊箭(メツレイセン)の持ち主だった仮面の男だと気付いた。 錦覓の暗殺を命じたのはやはり天后だったのか…。 すると天后は口封じに彦佑を殺せと命じた。 しかし彦佑の危機を悟った簌離がついに湖底から姿を現し、天后と因縁の対決となる。 「太微(タイビ)は私の一生を台無しにした! そなたに子を奪われ一族を滅ぼされ、暴政を覆すと誓ったわ!」 簌離が滅日冰凌(メツジツヒョウリョウ)を放つと、天后はようやく簌離が旭鳳暗殺を狙う黒幕だと分かった。 潤玉は錦覓の薬を母に届けることにした。 歴劫が終わったら母に錦覓を紹介しよう…。 潤玉はようやく孤独ではなくなったが、そこに鯉児が息急き切って走って来た。 「哥哥!大変だ!母上が殺されちゃう!」 彦佑は密偵と戦っていたが、恩主が劣勢だと気づいて助太刀に向かおうとした。 しかし密偵に後ろから肩を刺されてしまう。 すると潤玉が現れ、簌離を庇って天后の火術を阻止した。 反噬(ハンゼイ)から潤玉は激しく喀血してひざをついたが、父と自分に免じて生母に寛大な処置を嘆願する。 天后は激怒し、そもそも潤玉が自分で選んだ道だと言った。 確かにあの時、母の屈折した愛に疲れた潤玉は天后からもらった浮夢丹(フムタン)を自ら飲み、記憶を失っている。 「私が間違っていた…母上、私の過ちです」 潤玉は母の元に戻ると訴え、2度とそばを離れないと誓った。 潤玉はなりふり構わず這いつくばり、天后に生母の命乞いをした。 旭鳳から世継ぎの座を奪おうと考えたこともなく、今となっては再会した母と静かに暮らせれば十分だという。 「義母上!どうか御慈悲を!どうかお許しを!どうか母をお許しください…」 しかし天后はこれを機に簌離と潤玉を亡き者にすると決め、2人に火術を放った。 簌離は息子を守るため咄嗟に立ちふさがり、邪道の術を使ってしまう。 天后は思いがけず深手を負ったが、簌離は効力を使い果たしてそのまま後ろに倒れた。 潤玉は母を抱きとめ、悲しみに暮れた。 簌離は最後の力を振り絞り、愛しい息子に告げる。 「この生涯で後悔しているのは天帝に出会ったこと…ただそれだけ お前を産んだことは後悔していないわ」 「母上は私を捨ててはいない…私が…私が天后にそそのかされて浮夢丹を飲んだのです」 共に孤独な人生を歩んだ母と息子、ついに再会が叶ったが、簌離は息子の腕の中で息絶えてしまう。 ようやく密偵を退けた彦佑も駆けつけたが、もはや手遅れだった。 しかし天后の魔の手が潤玉に襲いかかる…。 「潤玉、そなたの番だ」 潤玉の心の中で何かが壊れた。 静かな怒りはあらゆる水滴を舞い上げ、無数の刃となって天后に襲いかかる。 ゴゴゴゴゴ〜 つづく (  ̄꒳ ̄)常々、思っていたんだけど… 水術は火術より強いんじゃないの?なぜ火術が対等に戦えるのかな? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[霜花の姫~香蜜が咲かせし愛~全63話] カテゴリの最新記事
|