虚顔~偽れる顔と真実の愛~#1
虚颜 A Familiar Stranger(日本語字幕編集版)第1話十七(シーチー)は女画師。鎏金(リュウキン)坊の妓女である親友・盈袖(インシウ)に頼まれて描いた閨房(ケイボウ)画が評判を呼び、店は大繁盛していた。今日は十七に閨房画を描いて欲しいと他店の妓女たちまで集まったが、どの妓女にもあざは見当たらない。実は十七は幼い頃、遊戯街で消えた姉を探していた。姉の肩には梅の花のアザがあるという。すると突然、相国の令嬢・沈沁(シェンチン)が十七を訪ねてきた。十七はなぜ高貴な令嬢が閨房画を所望するのか分からなかった。しかし思いがけず沈沁が姉の居場所を知っていると明かす。「姐姐?!姐姐はどこに?!」「明日の戌の刻、芊影(センエイ)山荘に来て絵を描いて、そうすれば姐姐の居場所を教えてあげる」翌日の夜、十七は約束通り人里離れた芊影山荘へやって来た。すると寝殿で沈沁と男があられもない姿で戯れている。驚いた十七は慌てて帰ろうとしたが、沈沁は酒を取ってくるとごまかして衝立までやって来た。「姐姐に会えなくてもいいの?」沈沁は衝立越しに自分たちの房事を書き終えたら姉の居場所を教えると約束した。十七は衝立の小さな穴から二人を垣間見ながら絵を描き始めた。しかしうっかり物音を立ててしまう。危うく男に見つかりそうになった十七、すると沈沁が咄嗟に野良猫だとごまかした。沈沁の房事の相手は寧王(ニンワン)・子衡(ズーホン)だった。沈沁にはすでに父が決めた許嫁がいたが、明日こそ退婚してみせるという。しかし寧王は鎮国公の唯一の息子で撫遠(ブエン)将軍でもある蕭寒声(シァオハンシォン)との縁談を喜んだ。「私を愛しているなら私たちの将来のためにも蕭寒声に嫁いでくれ もし蕭寒声が私の味方になれば君を取り戻す策を考える 駄目でも君は未亡人になる、どちらにしても私の屋敷に入れる日を待て」「身ごもっているの!」「ふっ、君とは長い付き合いだが、顔も覚えていないような女と同じような脅し文句を使うとは… 蕭寒声に嫁いで将軍夫人となり、私のために役に立ってくれ」十七は完成した絵を持って寝殿に入った。しかしすでに寝台はもぬけの殻、すると中庭の広い湯船に浸かっている沈沁を見つける。「あなたに意中の人はいる?」「私は…」「くすっ、その様子じゃいるようね、私にもいるわ でも父は政略のため、顔も知らない男に娘を嫁がせるの」「私は幼くして両親を亡くしました、唯一の姐姐とも生き別れです あなたの気持ちは私には想像もできないけれど、沈小姐、相国と話し合ってみては?」「ふふっ、おめでたい人ね…」沈沁は呆れて湯の中に潜ってしまう。十七は沈沁が自分に絵を描かせようと嘘をついただけで、姉の居場所など知らないとあきらめた。「帰ります、絵はここに置いておきますから…」しかし潜ったまま一向に上がって来ない沈沁が心配になり、やはり湯殿へ引き返してしまう。「沈小姐?沈小姐?!…そんなに思い詰めないでください」十七は思わず屈んで湯船の中をのぞき込んだ。その時、突然、沈沁が現れ、十七に抱きついて湯船の中に引きずり込んでしまう。山荘に頭から外套をすっぽり被った男が現れた。男の顔面は包帯で覆われ、かろうじて左目だけが見える。「あなたには恩がある、私の術で恩を返すが、これで借りはない」十七は薄れゆく意識の中で謎の男と自分に馬乗りになった沈沁の姿を見た。すると沈沁は十七の顔をまじまじと見つめる。「美しい顔ね~でも今後は私のものになる…」十七は朦朧としながら沈沁の問いを思い出していた。…意中の人がいる?夢にまで見る相手、朝も夜もずっと一緒にいたいと心から願う人が…『いるわ、一度しか会ったことがない恩人が、彼にずっと恋をしている、でも名前すら知らない』その時、十七はふいに目を覚まして飛び起きた。覚えているのは最後に見たの沈沁と謎の男の姿…。すると相国府の侍女・小倩(シャオチァン)が駆けつけ、気を失った沈沁を将軍府まで運んだと説明した。実は今日は皇帝が決めた蕭寒声と沈沁の婚礼の日だという。沈沁は十七と顔を取り替えていた。鏡を見た十七は自分が沈沁の顔だと知って驚愕、しかし腕には生娘の証しである守宮砂が残っている。「私は大小姐じゃない…他に鏡はないの?!」十七は錯乱したように寝所を飛び出し、別の鏡を探し回った。「人違いよ!鏡は?!…鏡はない?!」すると十七は護衛が止めるのも効かず、将軍が禁足を命じた部屋に入ってしまう。その頃、蕭寒声と軍師・雲諾(ユンヌオ)は隠し部屋で寧王と相国に仕える男を拷問していた。何も知らない十七は将軍の部屋にあった鏡で自分の顔を確認、衝撃のあまり鏡を動かしてしまう。実はその鏡が隠し部屋の戸を開ける絡繰りだった。蕭寒声は口を割らない男に切り掛かったが、突然、花嫁が現れ、返り血を浴びて倒れてしまう。再び意識を失った十七。すると小倩はその隙に大小姐の顔に花嫁の紅蓋頭を被せ、首を絞めた。しかし将軍が現れ断念し、慌てて逃げ出す。十七は苦しくて目を覚ましたが、紅蓋頭を外してくれたのはあの忘れられない想い人だった。「将軍…あなたなの?」蕭寒声は自分を見て涙ぐむ花嫁にいささか戸惑いながら、夫婦の杯を交わすことにした。「将軍、実を言うと私…」「しーっ…」結局、十七は本当のことを打ち明けられないまま酒を飲もうとしたが、その時、外から物音が聞こえた。「もう良い、ここまでだ」実は蕭寒声は沈沁と夫婦の杯を交わすふりをしただけだった。小倩が回廊から寝殿を見張っていると、将軍が出て来た。将軍は部屋に錠をかけ、独りでどこかへ行ってしまう。そこで小倩は合図の手巾を落とした。するとそれを見た刺客が一斉に蕭府へ雪崩れ込む。つづく※中国版1~2話