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2019.09.11
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三生三世十里桃花 Eternal Love
第19話「囚われた素素」

その夜、夜華(ヤカ)率いる天族、長海、西海の連合軍が出陣した。
激しい雨の中、対峙する連合軍と鮫人(コウジン)族…。
すると首領が息子を殺された恨みをこの斬魄刀(ザンキトウ)で晴らすと怒号を響かせた。
夜華はいよいよ青冥剣(セイメイケン)を抜き、天族太子として最後の戦いに挑む。
「シャーーーッ!」


同じ頃、俊疾山(シュンシツザン)も激しい雷雨に見舞われていた。
落ち着かない夜を過ごしていた素素(ソソ)、そこで銅鏡に話しかけてみるが夜華からの応答はない。
「眠っているのね…」
その頃、夜華は懸命に戦っていた。
やがて首領と一騎討ちの様相となり、間合いを見ながら刺し違えたように見せかける。
計画通り斬りつけられた夜華、しかしすぐに反撃し、首領の息の根を止めた。
すると夜華は力尽き、その場で崩れ落ちるようにひざをつく…。
「夜華ぁ!」「太子殿下ぁ!」
連合軍が騒然となる中、連宗は夜華に肩を貸してその場から連れ出した。

「夜華!夜華!目を覚ますんだ!夜華!持ちこたえろ!」
素素の銅鏡から突然、緊迫した声が聞こえてきた。
驚いた素素は銅鏡に向って必死に呼びかけるが、深手を負った夜華にその声は届かない。
「夜華、待ってて!」
夜華の身に何かあったと気づいた素素は思わず草屋を飛び出した。

素錦(ソキン)は連宗に運ばれて行く夜華に気づき、慌てて後を追った。
すると雨でドロドロになった地面から夜華の名を叫ぶ女人の声が聞こえる。
それは夜華が途中で落とした銅鏡だった。
その時、無我夢中で飛び出した素素がちょうど仙障を破ってしまい、その存在が発覚してしまう…。

素素は天宮に引っ立てられた。
しかしそこがどこなのか、上座の老人が何者なのか見当もつかない。
混乱する素素は夜華を探そうと立ち上がったが、天君は無礼な人間の娘に激怒した。
「ここをどこだと心得る、天宮であるぞ?!」
「…天宮?」
天君は夜華の女子だという娘を鎖妖塔(サヨウトウ)に放り込めと命じたが、そこへちょうど楽胥(ラクショ)が駆けつけた。
素素は咄嗟にその女性に助けを求め、夜華と夫婦になり、お腹の中には子供がいると訴える。
驚いた楽胥は素素の脈を診ると、確かに身ごもっていると分かった。


楽胥は天君と夫・央錯(ヨウサク)に人間の娘が夜華の子を身ごもっていると報告した。
夜華の生死が分からぬ今、この娘のお腹にいるのが唯一の跡取り…。
央錯と楽胥は天規を犯した罰を自分たちが代わりに受けると申し出て、夜華の子は見逃して欲しいと懇願する。
すると天君はひとまず娘を誰もいない昭華宮(ショウカキュウ)に入れ、厳しく見張るよう命じた。

一方、深手を負った夜華はようやく目を覚ました。
しかしそこが水晶宮だと気づき、計画が失敗に終わったことを知る。
「夜華、聞いてくれ、3日前にお前が鮫人族の首領に斬られた直後、
 お前の人間の妻は仙障を突き破ってしまった…
 仙障の外に出たゆえ、父君に見つかったんだ」
驚愕した夜華は素素を助けに行こうとしてもがき、傷口が激しく痛んだ。
連宗は必死に夜華を制止し、素素を守るために生きろと叱咤する。
実はお腹に子供がいたおかげで素素は無事だった。
しかし夜華は天君に知られた以上、素素との関係はもう終わりだと落胆する。
「せめて素素の命を守るため、天君に素素に何の関心もないと思わせなくては…」
そう言うと夜華はせきを切ったように泣き始めた。

天君にようやく夜華の消息が届いた。
皇太子は交戦の一日目に鮫人族首領の斬魄刀で斬られ瀕死の状態だっが、戦に影響しないよう秘密にしていたという。
ただし薬王の診断では夜華の元神は損なわれておらず、天君は一安心した。
すぐに様子を見に行きたいところだが、すでに法会の招待状を発送済みのため中止にできない。
そこで天君は連宋に夜華の面倒を任せることにした。

天族皇太子を斬りつけた長海鮫人は翼(ヨク)族の支族だった。
老臣たちは翼族まで責を負うことになると恐れたが、肝心の翼君・離鏡(リケイ)に会えない。
実は離鏡は政務もそっちのけで人間界に入り浸りだった。
仕方なく玄女(ゲンジョ)は天界から届いた法会の招待状を持って離鏡に会いに行く。
しかし相変わらず離鏡の態度は素っ気なかった。
そこで玄女は老臣たちの訴えを伝えて翼界に戻るよう説得したが、離鏡はこのまま天宮へ向うという。
ただし法会に参加するのではなく、鮫人族の件を天族に謝罪するためだ。
「理由がどうあれ君が兵符を盗み出したことも大罪だ
 だが夫婦である以上、本君は君を処罰できない…続きは宮殿に戻ってからにしよう」
すると玄女は離鏡の腕にすがりつき、実はお腹に離鏡の子がいると教えた。
どうやら離鏡が玄女を司音(シイン)と間違えて床を共にしたあの夜、子供を宿したらしい。
「君上は父親になるわ、まさか嬉しくないの?
 玄女は7万年も待ち焦がれて来たわ、やっとこの日が来たのよ」
「もういい、お前と宮殿に戻ろう」

その夜、夜華は急に苦しみ出し、吐血した。
連宗は慌てて薬王を呼んで診察させたが、そこにいきなり素錦が乗り込んで来る。
憤慨した連宗は素錦の前に立ちふさがり、叱責した。
「君は天君の小天妃だ、あろうことか儲位の寝宮に勝手に立ち入るとは…
 今すぐ出て行けっ!」
素錦は仕方なく部屋を出て、外で夜華を見守った。
すると銅鏡からまた女人の声がする。
『夜華…夜華?大丈夫なの!夜華?!何か言って?何とか言ってよ!』
素錦は銅鏡を眺めながら、素素への言い様のない嫉妬に駆られた。

司命星君(シメイセイクン)は白鳳九(ハクホウキュウ)に皇太子に人間の女子がいたと教えた。
九尾狐一族の鳳九には白浅(ハクセン)と婚約しながら別の女子がいるという皇太子を理解できない。
しかし司命星君は人間界の帝王さえ後宮に大勢の妃がいるものだと話し、天族の太子ともなれば子孫繁栄のため多くの側室が必要だと言った。
鳳九は馬鹿馬鹿しいと憤慨、皇太子の女人を問い詰めるべく、昭華宮に潜入してしまう。

昭華宮はわびしく、扉も錠で閉ざされていた。
鳳九は扉を叩いて声をかけたが、女子は泣いてばかり…。
すると仙娥たちの声が聞こえ、鳳九は咄嗟に九尾狐に化けて石灯籠の後ろに身を隠した。
「″人間のことは口外するな″との命だけど…太子がいない間にまさかあの者を?」
「しっ!黙って!北海水君の件を忘れたの?」
仙娥たちの様子を見た鳳九は、どうやら思ったより複雑な事情だと悟る。
本来なら白浅のために人間を問い詰めるべきだが、どうもあの人間が可哀想に思えて来た。

離鏡は玄女と一緒に大紫明宮に戻った。
玄女は嫁いでから7万年、初めて幸せな3日間を過ごしたと喜び、離鏡と一緒に天宮へ行きたいと懇願する。
しかし玄女は体調が悪く、離鏡は反対した。
玄女に睨まれた巫医(フイ)は、確かに仙女である翼后と翼族の子はお腹の中でそれぞれの気息が反発し合っていると説明したが、静養すればいずれ良くなると取り繕う。
離鏡は結局、玄女の同行を認め、念のため巫医を連れて天界へ向かった。

仙娥は離鏡たちを上清境の寝殿に案内した。
すると離鏡は第7話で天君に献上した寒月芙蕖(カンゲツフキョ)を見に行きたいと頼む。
仙娥は昭華宮の横にある蓮花池まで案内することにしたが、玄女は体調が悪いので遠慮した。
翼君の座騎(ザキ)・火麒麟(カキリン)は寝殿で待つよう命じられたが、ふと漂ってきた桃の花の香りに誘われて出かけてしまう。

玄女は離鏡の姿が見えなくなると途端に苦しさで顔を歪めた。
実は仙女である玄女は翼界に長くいたせいで身体を損傷し、もともと身ごもるのに適していない。
巫医は脈診したが、もはや子供の心音を感じることができなかった。
「娘娘、真実をお話しします、小殿下に生きている兆しはありません」
巫医はすぐ翼界へ戻るよう進言し、何より自分の身体を大事にするよう説得した。
しかし玄女はせっかく身ごもった子供をどうしてもあきらめられない。
そこで巫医に秘密を守るよう迫り、一族の命を盾に約束させた。

離鏡が寒月芙蕖を眺めていると霊宝天尊(レイホウテンソン)がやって来た。
2人は7万年前、崑崙のふもとの洞窟で巡り合ったことを懐かしんだが、その時、仙娥たちが助けを求める声が聞こえて来る。
驚いた霊宝天尊が振り返ると、昭華宮から火の気が上がっていた。

霊宝天尊と離鏡が駆けつけると仙娥たちが宮門から飛び出して来た。
どうやら中に人がいるので助けを呼びに行ったらしい。
すると離鏡は石塔楼の後ろに火麒麟が隠れているのを見つけた。
離鏡は自分の坐騎が原因の火事だと謝罪、霊宝天尊は責めることなく法術で消火してくれる。
そこで離鏡は宝剣で錠を壊し、扉を蹴って中に飛び込んだ。

離鏡は意識を失くして倒れている素素を見て驚いた。
てっきり司音だと思った離鏡は素素を抱き上げ、霊宝天尊にちょうど自分の巫医がいると断り、急いで寝殿に連れて行く。

玄女は慌てて戻ってきた離鏡の様子を見に行くと、寝台に横たわった娘を見て愕然とした。
…ヒィ!あの子がなぜこんな所に?いいえ、あり得ないわ…
愛おしそうに娘を見つめる離鏡、そこで玄女は天族の幻化(ゲンケ)だと訴え、司音と私交があった離鏡を騙すつもりだと警告する。
しかし離鏡は玄女の手を振り払い、巫医に紅蓮業火(クレンゴウカ)にのまれた司音の手当てを任せた。
すると脈診した巫医はこの娘がただの人間だと教える。
驚いた離鏡は術を使って確認してみたが、確かにその娘は何の仙気も持っていなかった。
愚かにも神仙と人間の見分けも付かないほど混乱しようとは…。
そんな離鏡の落胆とは裏腹に玄女はほっと胸を撫で下ろしていた。
…この子の顔は司音と言うより白浅に見えたわ、でもどちらでもなくて良かった…

離鏡は落胆して寝所を出た。
すると回廊で待っていた火麒麟が現れ、謝罪する。
「ここは大紫明宮ではない、九重天だ!なぜ天宮で紅蓮業火を使ったんだ?」
「あのわびしい宮殿から懐かしい香りがしたんです
 のぞいてみると鎖がかかった寝殿の中に女の人がいて泣いていたから…
 その~彼女を助けようと思ったんです
 鎖は千年寒鉄(センネンカンテツ)だったから法術で切れなくて…」
「だから火を使って燃やそうと思ったのか」
「君上は言いましたよね?私の紅蓮業火は万物を灰にできると」
「そうだ、確かに万物を灰にする、だがお前は火脚を意のままに操れないんだ
 だからお前が鉄鎖を燃やそうとすれば、宮殿まで燃え広がってしまう
 まあ仕方がない、天君がこの件を追及しないことを願おう」
その時、素素が意識を取り戻した。

素素は見知らぬ部屋で目を覚ました。
離鏡は慌てて駆けつけたが、やはりその娘は自分を知らないらしい。
「私は翼君の離鏡、私の坐騎が過って火をつけてしまったんだ…本当に申し訳ない」
「そうだったの…彼らが私の命を奪おうとしたんだと思ってた」
「彼ら?」
そこへ火麒麟が申し訳なさそうに枕元までやって来た。
素素は一瞬ひるんだが、まだ子供だと気づく。
「あなた…いくつ?」
「7万300歳」
「ななまんさんびゃく…(っておい」
「姐姐(ジェジェ)、姐姐は桃の花の良い香りがするね」
すると素素は急に夜華がどこにいるか知らないかと聞いた。
夜華は司音に瓜二つの娘と皇太子の関係が気になったが、ちょうどそこに楽胥が現れる。
楽胥は素素を助けてくれた翼君に感謝し、天規を犯して昭華宮で反省させていたと説明して引き取っていった。

素素を治療した巫医は離鏡にあの娘が身ごもっていると教えた。
「君上、天族は厳しい律法を重んじで来ました
 それなのに一介の人間を天宮に閉じ込めているとは、それも身ごもっている人間です
 どうやら複雑な事情がありそうです」
離鏡は司音に似ている娘に興味があったが、天宮に来たのは謝罪するためだと思い直す。
「本君が力になってやれることはないだろう」

つづく


( *´꒳`* )もうね~夜華の声がいいのよ~(笑





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最終更新日  2019.09.11 17:32:37
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