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カテゴリ:月に咲く花の如く 全74話
那年花开月正圆 Nothing Gold Can Stay 第39話「夢から醒めて」 沈星移(シンセイイ)と胡咏梅(コエイバイ)が陝西(センセイ)機器織布局の公募株を買い占め、周瑩(シュウエイ)は完全に出遅れた。 そこで沈星移を食事に誘い、株を譲ってもらえないか交渉する。 しかし沈星移の条件は自分の女になること、当然、周瑩は断り、からかって帰って行った。 そんな中、隆昇和(リュウショウワ)に突然、貝勒(ベイレ)の幕僚・文(ブン)先生が現れた。 一体、何事かと緊張して出迎える杜明礼(トメイレイ)と査坤(サコン)、実は趙白石(チョウハクセキ)が進める機器織布局の件だという。 実は貝勒は西洋にならって勢力を拡大する洋務派と対立していた。 そこで巡撫(ジュンブ)の肖朝徳(ショウチョウトク)に陝西を死守するよう命じていたが、趙白石が巡撫や総督を飛び越え、朝廷から直接、許しをもらってしまったという。 文先生は今や杜明礼と査坤が頼みの綱だと訴え、何としても陝西機器織布局の設立を阻止するよう命じた。 「″関中(カンチュウ)を得た者は天下を掌握する″と言う 貝勒爺は涇陽(ケイヨウ)を重視してお前たちを置いている もしお前たちが趙白石を抑え込めず、陝西に機器織布局が設立されたら、 貝勒爺の腹を刀で突き刺すも同然だ…どんな報いを受けるか、言うには及ばぬな?」 杜明礼は咄嗟にもちろん承知していると答えた。 すると文先生は趙白石が自分たちの手なずけた牛寿娃(ギュウジュア)を官軍も使わず始末したことを注視、侮れない相手だと警告する。 「慎重を期すのだぞ?」 「肝に命じます!」 杜明礼と査坤は丁重に拝命し、文先生を見送った。 まさか趙白石が肖朝徳の反対を押し切って勝手に動いていたとは予想外だった。 杜明礼と査坤は自分たちが出資に関与していると貝勒に知られるわけにはいかない。 そこで杜明礼は直ちに古月(コゲツ)洋布店に胡咏梅を訪ね、機器織布局の資本から撤退するよう頼んだ。 「貝勒爺を敵に回してはダメです!お願いです、貝勒爺を怒らせないほうがいい」 しかし胡咏梅は断り、それより隆昇和をやめて古月洋布店を手伝って欲しいと持ちかけた。 人手も足りず、何より相棒が必要、ならば唯一、信用できる杜明礼しかいない。 「出会いと別れは人の常、主人と番頭も例外ではありません 隆昇和では雇われ店主だけど、古月洋布店では主人の1人です …一生、貝勒爺の下にいるおつもり?自分の店を持ちたいと思ったことはないの? 生涯貫くと?独り身を…」 「咏梅、そんなことは考えたことがない…」 「では今から考えてみては?」 胡咏梅は機器織布局の株を持っていれば短い期間で大金を稼げると訴え、思わず将来は2人で一緒に何でもできると言ってしまう。 愛しい人からの夢のような誘いに杜明礼は心が揺れ、考える時間が欲しいと言って帰って行った。 杜明礼は査坤に今すぐ貝勒と縁を切ることは可能かと切り出した。 実は胡咏梅に引き抜かれたという。 話を聞いていた査坤の顔はみるみる険しくなり、思わず貝勒を裏切ればどんな悲惨な末路が待っているか分かっているはずだと声を荒げた。 「老板?貝勒爺と我らは主人と番頭ではない、主と奴婢なんですよ!」 「奴婢は嫌だ!分かるか?!」 「我らに選ぶ権利があるとでも?」 査坤は貝勒に逆らうことなどできないと説得した。 そこで杜明礼は今回の大仕事をやり遂げたら解放してもらおうと決める。 「咏梅と一緒ならどこへでも行く…」 しかし査坤の一言がうつつを抜かす杜明礼の目を覚させた。 「ふっ…己の正体を隠したままで? 胡咏梅が真実を知っても受け入れてくれると思いますか?…杜太監(タイカン)? 我らは誰も娶れません、女子とは永遠に縁がないのです…早くお目覚めに、これが運命です」 杜明礼が急に沈家にやって来た。 沈星移は機器織布局の件だと勘繰り、父について行くことにする。 「父上、分け前を奪われないように」 「…分かっとる」 杜明礼の話は案の定、機器織布局のことだった。 しかしいきなり理由もなく出資をやめるよう圧力をかけられてしまう。 星移は当然、猛反発したが、父に下がるよう言われて仕方なく出て行った。 そこで沈四海(シンシカイ)は息子の無礼を詫びつつ、確かに機器織布局を諦めたら沈家では今後、反物を扱えなくなると訴える。 すると杜明礼は仕方がないことだと恫喝した。 「金と命、どちらが大事ですか?荒稼ぎしていた呉蔚文(ゴイブン)はどうなりました? 貝勒爺のひと言で、訳が分からぬまま死にました…あなたも同じ目に遭いたいと?」 沈四海は貝勒のため諦めるしかなかった。 しかし沈星移は確かに貝勒から恩恵を受けてはいるが、代償もあったという。 軍需品の件では沈家の名声を危険にさらし、綿花の取引では利益を奪われただけ、綿布の在庫問題では妙案も出してくれなかった。 それなのにようやく訪れた好機を諦めろとは…。 そこで星移は今度こそ隆昇和と手を切るよう迫った。 「私たちは後ろ盾がなくてもやって行けます!」 「星移…隆昇和と完全に手を切れるのは…沈家が破産した時だ」 「なぜです?」 「…知らぬ方がいい」 沈四海はそこで話を終わらせた。 杜明礼が再び古月洋布店にやって来た。 嬉しそうに微笑む胡咏梅だったが、杜明礼の話を聞いて顔色が一変する。 杜明礼はやはり貝勒の元を離れられないと伝え、改めて機器織布局への出資を諦めて欲しいと迫った。 すでに沈家も撤退させたという。 「私はあなたと再会してから、あなたが望むことには何でも尽力して来た でも今回だけは私の言う通りに…」 「…断ったら?」 「あなたの身に何が起きても助けられません!」 しかし胡咏梅はどうしても譲らず、杜明礼を追い返してしまう。 沈星移は呉家東院を訪ね、周瑩に機器織布局の株を譲ると言った。 驚いた周瑩は何か魂胆があると疑ったが、実は沈家が撤退すると知る。 何でも父が杜明礼に頭が上がらず、出資するなと命令されたという。 「お前に譲ることがせめてもの慰めだよ…」 しかし周瑩は即決できなかった。 確かに自分が大当主だが、千両以上の取引は叔父たちと相談すると決めている。 すると星移は早くしないと横取りされると急かして帰ることにした。 「分かったわ!ひとつ借りね!」 査坤は杜明礼の指示通り噂を流した。 輪船招商(リンセンショウショウ)局や江南(コウナン)製造局の株の暴落はすでに知れ渡り、安慶軍械(アンケイグンカイ)所の爆発や汽車の衝突、各地で相次ぐ機械による事故の件も広める。 こうして洋務派の足を引っ張っていた杜明礼だったが、胡咏梅のこととなると怯んだ。 しかし趙白石を阻めなかった巡撫の肖朝徳が罷免されたと分かり、もはや胡咏梅の気が変わるのを待っている余裕はない。 査坤は二品の高官でもこうして簡単に切り捨てられるなら、自分たちが貝勒を怒らせたら殺されると怯えた。 「我らは生きるために大きな代償を払った…女のために命を捨てるのですか?」 「いいや…生きることが肝心だ」 「では他に道はありません」 「だが咏梅といると…幸せを感じるのだ」 査坤は苛立ちを隠せず、思わず身分を隠しているせいだと訴えた。 しかし杜明礼は黙って出て行ってしまう。 見かねた査坤はある切り札を持ち、独断で古月洋布店に乗り込んだ。 胡咏梅はちょうど沈家が手放した株を買取に行くところだと見栄を張った。 すると査坤は自分の話を聞けば気が変わるという。 実は査坤は胡咏梅がかつて牛寿娃宛に書いた文を持っていた。 そこには呉家東院が巨万の財産を持つことや、大当主・周瑩の普段の行動などが詳しく書いてある。 「資本を撤退するなら、この文は闇に葬ると誓いましょう ですが貝勒爺に逆らうなら、こちらにも考えが…」 査坤は名家の令嬢が盗賊と関わっていることが表沙汰になったらどうなるかと脅した。 その時、胡咏梅は査坤が自分に文を書かせるため、あの時、わざとお茶をこぼして杜明礼が火傷したと気づく。 まさかあれが全て罠だったとは…。 「あの人も全て承知なの?」 「(´゚艸゚)∴ブッ!ハハハ~どう思います?」 「…消えて!出て行って!」 査坤は何も知らないくせに傲慢な胡咏梅を笑い、帰って行った。 趙白石は周瑩が訪ねてきたと聞いて動揺した。 何とか冷静さを保とうと集中していると、そこへ周瑩が現れる。 実は沈家が撤退したと知り、呉家も参入できるはずだと迫った。 「100株、買います、きっちり1万両よ!」 しかし趙白石は受け取れないという。 周瑩はまたしても出遅れたのかと驚き、呉家や自分の何が気に入らないのかと責め立てた。 すると趙白石は呉家にも周瑩にも偏見はないと釈明し、機器織布局の設立が中止になったと教える。 ( ゚д゚)はあ? つづく ( ๑≧ꇴ≦)査坤の高笑いが~ そして奇しくも宦官ネタかかぶるという…どちらも切ない(TㅅT) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.03.03 10:53:40
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