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カテゴリ:夢幻の桃花~三生三世枕上書~全56話
![]() 三生三世枕上书 Eternal Love of Dream 第25話「湯あみの美女」 お見合いをぶち壊し、悠々と茶を飲んでいた白鳳九(ハクホウキュウ)。 後ろにいるのがてっきり青丘の迷谷(メイコク)だと思っていたが、振り返ると東華帝君(トウカテイクン)がいた。 「座るがいい…私を見てひどく驚いたな?」 「お目にかかり感激しただけです…ハイ…」 鳳九は帝君から茶を勧められたが、緊張してお茶をこぼしてしまう。 「手が滑り粗相を…鳳九、これで失礼します」 東華帝君は茶をこぼすくらい構わないと許したが、鳳九は居たたまれなくなって帰って行った。 その様子を偶然、第3皇子・連宋(レンソウ)と司命星君(シメイセイクン)が回廊から見ていた。 連宋は東華帝君とあの仙女に縁でもあるのかと勘ぐるが、司命はただの偶然だろうとかわす。 しかし俗世で生きる人間と違って自分たちは三清(サンセイ)で生きるが、天地万物を空無と見なすのは貴き東華帝君だけだった。 確かに悠久の時の中では九天さえも変化し、天君さえ死んでは生まれ次々と入れ替わるも、帝君だけは変わらず三千境地の頂点にいる。 連宋は誰にも関心を示したことがない帝君が、なぜあの女子だけに絡むのか気になった。 白真(ハクシン)は見合いを台無しにした白鳳九を叱った。 気に入らぬ相手を強要するつもりはないが、拒む理由もないなら娘らしく見合いを楽しめという。 その頃、千花(センカ)盛典に天君がお出ましになった。 連宋は東華帝君が私事で欠席のため、自分たちだけで宴を始めると告げる。 一方、鳳九は阿離を連れて芝居を観に行くところだった。 「危ない、阿離!妙華鏡(ミョウゲキョウ)の霊力で身体が傷つくわ!」 「鳳九姐姐、どう見てもただの滝です!」 「この滝が妙華鏡というの、仙力の強い神仙ならこの中に人間界のあらゆる栄枯盛衰が見えるの」 「父君なら見れますか?」 「うーん…神族で見られるのは東華帝君だけね、だから滝からは離れて」 実は鳳九の話を高台にいた東華帝君も聞いていた。 「父君ったらひどいんだ、僕は昨夜、娘亲の長昇(チョウショウ)殿で寝ていたはずなのに、 目が覚めたら慶雲(ケイウン)殿にいたんです、父君は僕が寝ぼけたんだろうって言うけど、 どうせ娘亲を独り占めしたくて僕を追い出したんです、手段を選ばず息子を騙すなんて…」 「長昇殿の前で大泣きすればよかったのに~」 「″涙は女の武器″というけど、男も使えるの?」 「もちろん!この世で最強の武器だわ、習得すれば無敵になれるわよ?」 東華帝君は湯が湧いたのも忘れ、鳳九の話に聞き入っていた。 盛典では成玉が瑤地(ヨウチ)で育てた花の精が披露された。 天君は60年に1度しか見られないと喜んだが、やがて精霊が暴走してしまう。 成玉は神弓で精霊を消滅させることに成功、連宋と2人で天君の前にひざまずいた。 「育てるのに失敗した私は万死に値します」 「父上ご明察を、花期をわきまえず育てさせたのは私です」 連宋と成玉がかばい合うと、天君は失態を見逃し、次から万全を期すよう諭した。 ![]() 承天台(ショウテンダイ)を目指して山を登って来た白鳳九と阿離、するとなぜか天空の山が真っ赤に燃えていた。 2人が急いで駆けつけてみると、承天台の門の前で神獣が火を吹いて暴れている。 そこには西荒から宴に駆けつけた知鶴(チカク)の姿もあった。 迷谷は障壁で行き場を失った侍女たちを守っていたが、水系の術を使える知鶴はなぜか助けようとしない。 そこで鳳九は阿離にすぐ白浅を呼びに向かわせた。 …陶鋳(トウチュウ)剣を使って刺し殺してもいいけど、時を要せば迷谷が守りきれない …ひとまず引きつけなきゃ 鳳九は仙術で一撃を与え、神獣の気を引いた。 ようやく知鶴が水を放って火を消してくれたが、神獣の敵ではない。 知鶴が再び水を放つと、神獣はあっさり避けて鳳九がずぶ濡れになった。 もはやこれまでかと思ったが、その時、鳳九に薄紫の薄衣が舞い降りてくる。 それは東華帝君の衣だった。 東華帝君が神獣を彼方へ吹き飛ばし、白鳳九たちは九死に一生を得た。 まだ裳裾が濡れていた白鳳九だったが、衣を畳んで東華帝君に返す。 「私の衣に問題でも?」 「お借りするとお返しに上がることになり、再び面倒をかけてしまいます」 「あ、帝君、小殿下を誤解せぬよう、本当は貴き帝君に毎日お会いしたいところですが… (ガツッ!)ウッ…」 「ならば上衣はやろう、返す必要はない」 「アノ…そう言う意味ではなく…」 その様子を知鶴が苛立ちながら見ていた。 「では洗って返してくれ」 ( ๑≧ꇴ≦).oO(だから借りたくないんだってば! 鳳九は改めて上衣を返すと言い張った。 すると東華帝君は鳳九に衣を差し出し、受け取らないという。 「恩を受けたなら返すのが当然では?洗濯くらいはたやすい」 「帝君、なぜ私を困らせるので?」 「…私にとっては唯一の道楽だからな」 「帝君というお方は…」 「私が何だ?」 ![]() 東華帝君に見つめられた鳳九は、かつて霊狐として可愛がられたことを思い出し、口ごもってしまう。 「なぜ戦った?」 「…あ、姑姑の教えです、青丘帝姫である私の務めは己の栄誉を求めるより、身を挺することだと 見殺しにすれば青丘の民に顔向けできません」 千花盛典が終わり、連宋は元極(ゲンキョク)宮に戻った。 すると門に入ろうとした時、成玉が謝罪にやって来る。 「借りは必ず返すから」 「どう返す?…必ず返してくれよ?ふっ」 成玉はきまりが悪くなり、原因が分かったか司命に聞いてくると言って帰っていった。 白鳳九は結局、東華帝君の上衣を持って帰った。 それを見た阿離は思わず誓いの品だと驚く。 鳳九は慌てて衣を片付けると、そこへ白浅の侍女が山のような書物を持ってやって来た。 明日までに書写できなければ、絶え間なく見合いを用意するという。 「ねえ、にゃんちんに何か言ったの?」 「阿離は何も~泣き落としの策を教えてくれたでしょう? それって恥知らずなのかってにゃんちんに聞いただけ~」 連宋は太晨(タイシン)宮を訪ね、東華帝君と一局、手合わせしながら探りを入れた。 「承天台の騒ぎのことで天宮はざわついています 赤焰獣(セキエンジュウ)が火を吹いた時、義妹の知鶴公主が火に包まれ、帝君が駆けつけて救ったと だがもう一説ある…天君が承天台を通りかかった時、美しき仙女が赤焰獣と戦っていた その美貌に惹かれて帝君は直ちに救ったとか…」 連宋は東華帝君も正室を迎える気になったのなら、父に知鶴の罪を許してもらうという。 「″美しき仙女″か…皆も美しいと思うのか?ならば皆も目が高い」 連宋は東華帝君がやはりあの仙女に関心があると確信した。 東華帝君は白鳳九の言葉を思い出していた。 …青丘帝姫である私の務めは己の栄誉を求めるより、身を挺すること …見殺しにすれば青丘の民に顔向けできません そこへ知鶴が挨拶にやって来る。 過ちを犯して西荒に追われた知鶴だったが、父の遺志通り斗母(トボ)元君のもとで修練させて欲しいと嘆願した。 白鳳九は書写が終わらず、翌日、姑姑の命で再び見合いをすることになった。 しかし見合いを壊すことなど朝飯前、鳳九は余裕で宝月光苑(ホウゲツコウエン)へ向かう。 すると数人だと思っていた見合い相手が予想以上に大勢いた。 「あ!来たぞ!小殿下だ!」 鳳九は驚いて見合いから逃げ出し、咄嗟に寝殿の一室に入って身を隠した。 白鳳九が逃げ込んだ部屋は温泉だった。 そこで早速、湯浴みを始めたが、気配に気づき、慌てて温泉の岩陰に隠れる。 すると突然、自分の下衣が吹き飛んで来た。 「何をしている?」 「(はっ!)ディ…ディ…ディジュン?!そりゃ湯浴みです!」 どうやら東華帝君が先に湯浴みをしていたらしい。 しかし連宋がのぞき見していると気づいて下衣を投げたのだった。 ![]() 連宋はそそくさと帰って行った。 白鳳九は衣を取りに行きたいが、女子に関心がない東華帝君は黙って鳳九を見つめている。 「あっちを向いてください…私を見ないで!」 東華帝君は仕方なく背を向けた。 その間に鳳九は衣を取って逃げようとしたが、東華帝君が引き止める。 「まだ残っている」 東華帝君は鳳九の胸当てを渡すと、次は履物を出した。 顔から火が出るほど恥ずかしい鳳九、するとまた連宋がのぞき見している。 「あ、いや~扇子を忘れたもので…お邪魔したならすみません」 連宋は扇子を持って出て行った。 ようやく鳳九は温泉の後ろ側へたどり着くと、急いで控えの間へ逃げ込む。 その様子を東華帝君は珍しそうに眺めていた。 白鳳九は洗梧宮(センゴキュウ)に阿離を訪ねた。 「ねえ阿離、好きだった子に数年後、再会したけど、相手はあなたのおしめ姿を覚えている そうしたらどうする?」 「そんなの耐えられないよ~ 鳳九姐姐が昔、好きだった人の前で下着を落とした話に負けず劣らず悲惨です 僕なら豆腐の角に頭を打ち付けて死にます」 すると鳳九は豆腐の角を探しに行くと言った。 阿離はそう言えば昨夜、母が探していたと教える。 「″あのわがまま娘の婿をどこで探せばいいの?″って嘆いていました ″成玉でさえ良縁に恵まれたのに″って」 何でも千花盛典で成玉が天君に咎められ、連宋が守ったのだとか。 白鳳九は慌てて成玉元君を訪ねた。 「大丈夫だった?!3殿下に助けられんでしょう?心が動いたりして~」 「冗談はやめてよね~」 すると鳳九は茶を飲みながらふと腕輪がないことに気づく。 「どこかに落としたんじゃないの?」 「昨日は…あ!思い出した…もうおしまいだわ…」 つづく (  ̄꒳ ̄)なぜか地道に山を登って行く小九… ↓赤いきつねと… ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.11.30 18:14:11
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