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カテゴリ:三千鴉の恋歌 全30話
三千鸦杀 Love of Thousand Years 第6話「唯一の願い」 覃川(タンセン)は左紫辰(サシシン)に仕えたくないときっぱり断った。 しかしその頑な態度を見た傅九雲(フキュウウン)は、未だあの娘の心にいるのが紫辰なのだと思い知る。 そんな九雲の切ない想いなど知る由もない白(ハク)公子は、絵を描いてくれる約束だと言いに来た。 九雲は絵を描けば覃川に公子斉(コウシセイ)だと気づかれてしまうため断ったが、白公子は約束したはずだとしつこい。 「描きたくないんだ」 「でも…」 「言っただろうっ?!」 九雲が思わず声を荒げると、白公子はなぜ九雲がそんなに怒るのか分からず、困惑した。 一方、香取(コウシュ)山主はお気に入りの弟子・青青(セイセイ)の膝枕で愚痴をこぼしていた。 「奴め!ここに宝を奪いに来る気だぞ?!身の程知らずめ!」 「師父の万宝(バンホウ)閣を見たら白河(ハクガ)龍王もさぞ羨ましがるでしょうね〜」 「この香取山の宝で最も価値のある物は何だと思う?…これだ」 山主は寝殿に飾ってある公子斉の絵を指さした。 「玄珠(ゲンシュ)が持って来たのだ、愚かな想い人のためにな」 その夜、九雲はもう一度、覃川に左公子に仕えても構わないと言った。 「左公子は目が見えない、昨夜、そなたに断られたのは気の毒だったな…」 覃川は一瞬、顔を曇らせたが、とにかく他には行かないと断った。 「彼がそなたを慕っていても?」 すると覃川は押し黙ってしまう。 九雲はそれが覃川の本音だと気づき、ようやく決断した。 「今夜は戻らぬ、だが悪さはするなよ?…侍女なら大勢いる、左公子のためにあちらへ行け」 九雲は眉山(ビザン)君を訪ねた。 すでに酔い潰れていた眉山は強引に起こされ、結局、九雲に付き合わされて酒を飲む。 一方、白公子は覃川が来てから九雲が怒りっぽくなり、自分に冷たくなったと不満だった。 しかしついに覃川が左公子の元へ移ると知り、ちょうど荷物をまとめていた覃川を早々に追い出してしまう。 覃川は行く当てもなく途方に暮れた。 驪(リ)国での紫辰との悲しい結末、まさか今さら紫辰の元へ行くわけにもいかない。 …この世のどこかに私の居場所はあるのかな?… 覃川が中庭の池を眺めていると、そこへ二萌(ジホウ)が現れた。 「眠れなかったし、会いに来たんだよ、川儿?この池は綺麗か?」 「二萌、人生って難しいわね…って、なぜあなたにこんな話を(クスッ」 すると二萌は自分が香取山に来たのは金稼ぎと妻が欲しかったからだと話した。 覃川は単純な二萌がうらやましかったが、二萌は単純な目的こそ成功する秘訣だともっともらしいことを言う。 「あれこれ欲しがると一番、欲しいものが分からなくなる」 二萌の答えは確かに明快だ。 顔を変えてまで香取山に潜り込んだ理由はただひとつ、復讐に他ならない。 「欲しいものは1つよ、忘れないわ…」 眉山は九雲がなぜ酒で憂さ晴らししたいのか、その理由に気づいていた。 「九雲よ、この世界には仙山はいくつもあるだろう? ではあの娘はなぜわざわざ香取山を選んだんだ?…理由はお前だ!」 九雲は思わぬ指摘に失笑した。 「そりゃ良い話だな~」 「笑っている場合か?!お前の運命をも変える一大事なんだぞ?!」 「運命ならどうやって逃げろというんだ?」 九雲はようやく見つけ出したあの娘を苦しめたくないと吐露した。 覃川は香取山へ来た目的を思い出し、再び霊灯を探すことにした。 そこで地図を頼りに再び禁地へ足を踏み入れ、ついに万宝閣を発見する。 一方、九雲は出雲(シュツウン)閣に帰っていた。 しかし覃川の姿がなく、聞いてみれば白公子がすでに追い出したという。 九雲はふと自分が決めたことだと思い出したが、その時、侵入者を知らせる石が光った。 「まずい…」 覃川は万宝閣の石門を開けようとした。 しかし目に見えない符文に触れ、万宝閣を守る2体の鎧兜が動き出してしまう。 覃川は応戦したものの深傷を負い、鎧兜たちの鉄鎖に捕まった。 すると意識が遠のく中、九雲が駆けつけ難を逃れる。 「小川よ~とんだ跳ねっ返りだな」 その時、運悪く山主と青青の声が聞こえて来た。 青青は山主の興味が玄珠(ゲンシュ)に移ったと疑った。 そこで山主は嫉妬する青青をなだめるため、万宝閣から好きな物を贈ることにする。 「多くの弟子の中でもお前は特別だよ~お前を蔑ろにするはずないだろう~」 山主は思わず青青を抱きしめると、青青は偶然、地面に落ちている小瓶に気づいた。 万宝閣と名が付くだけあって、洞窟の中には宝物が所狭しと置かれていた。 すると青青はたくさん並んだ香袋のひとつから仙気を感じ、手を伸ばす。 しかし山主が巾着などつまらない物だと声をかけた。 「そうですね、他のものにします」 実は九雲は覃川を連れて巾着の中に身を隠していた。 九雲はうなされる覃川に耳を近づけた。 「父皇…母后…妖魔を倒せません…」 「…霊灯か」 九雲はついに覃川が香取山に潜入した理由を知る。 するとようやく山主と青青が万宝閣を出て行った。 九雲は深傷を負った覃川を抱きかかえて出雲閣に戻った。 そこで白公子に誰も入れないよう頼んだが、運悪く紫辰と玄珠(ゲンシュ)がやって来る。 紫辰は覃川の答えを聞きたいと訴えたが、白公子は都合が悪いと断った。 玄珠も出直そうとなだめたが、紫辰はどうしても返事が欲しいと梃子でも動こうとしない。 すると九雲が中へ通すよう告げた。 医術の心得がある紫辰は覃川を脈診した。 「九雲大人、昨夜、姑娘の身に何があったので?」 「紫辰、帰りましょう?」 玄珠は紫辰の腕をつかんだが、紫辰は急に怒って玄珠の手を振り払った。 「重症だぞ!誰がこんなことを…」 仕方なく白公子は自分が殴ったとごまかしたが、紫辰にそんな嘘は通用しない。 そこで九雲は自分が罰したと嘘を付き、山主の高弟が侍女を罰しても問題ないと言った。 「玄珠、これが仙人だよ」 これにはさすに玄珠も呆れた。 「傅九雲、侍女の意見を尊重する人が体罰を与えたの?!」 「その通り、口では忠誠を誓いながら本心では左公子の所へ行きたがっていた」 「なぜ分かるの?」 「憶測さ…左公子、貴君も名家の息子なら見たことあるだろう?主が奴婢を罰するのを…」 「ふっ、なるほど、師父殺しなら侍女を殴ることくらい普通だろうな?」 憤慨した紫辰は玄珠にすぐ帰ろうと言った。 紫辰が覃川を侍女に欲しがったことで、覃川は注目の的になった。 弟子の子衿(シキン)と一心(イッシン)は覃川が九雲と共寝したらしいと噂したが、青青に聞かれて叱られてしまう。 あの日、万宝閣で覃川が落とした桂花油を拾った青青、覃川には必ず何か秘密があると疑った。 紫辰はこれまで九雲の悪評などただの噂に過ぎないと思っていた。 しかしどうやら真実だと失望し、玄珠にすぐにでも山を降りたいと希望する。 玄珠は目が治ったら帰ろうと言ったが、紫辰は玄珠が下山できない理由を知っていた。 「今朝から玄珠大人と呼ぶ声がする、私の目のために山主の弟子になったのか?」 「ええ」 玄珠は仕方なく認めると、紫辰はこの香取山にそこまでの価値があるのかと言った。 九雲は覃川に付き切りで看病していた。 すると記憶が戻った白公子が駆けつけ、覃川は危険なので追い出した方がいいとう。 「これを見て」 白公子は自分が壊された時の映像を映し出すと、そこには覃川の本当の姿があった。 「覃川が私の頭を割った!この侍女は人間の帝女だよ!名前を変えて別人になったんだ!」 恨みを募らせた白公子は覃川を起こして拷問しようと頼んだが、九雲は拷問するには早すぎるという。 「もっと大きな計画があるが、まだ数日かかる…」 青青は玄珠を花見に誘った。 紫辰を残しておくのは気が引ける玄珠、しかし紫辰はせっかくの厚意なので行ってくるよう勧める。 玄珠は弟子入りの件で気まずいこともあり、確かに紫辰を1人にしておくのも良いと考えた。 その頃、覃川はようやく目を覚ました。 しかしなぜか自分が出雲閣にいると気づいて困惑する。 すると九雲が薬湯を持って来た。 「昨夜のことを話そう、そなたは私の命で山に入り、道に迷って崖から落ちたんだ」 九雲は覃川に薬湯を飲ませると、ゆっくり休めと行って出かけることにする。 「傅九雲?@呼び捨て」 「無礼者!」 「私は万宝閣で盗みを働こうとした、なぜ助けたの?…本当のことを言って?!」 覃川は思わず寝台から飛び出したが、めまいでよろけてしまう。 慌てた九雲は覃川の腕をつかんで支えると、2人は気まずい雰囲気になった。 「なぜかって…それはそなたが最愛の侍女だからさ」 つづく (  ̄꒳ ̄)ちんだーれん、首から色が全然、違ってる時があったわw AIの精度が悪いのか、使いこなせていないのか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.04.21 18:16:06
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