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カテゴリ:三千鴉の恋歌 全30話
三千鸦杀 Love of Thousand Years 第12話「霊灯の行方」 天原国の第二皇子・亭渊(テイエン)は趙(チョウ)管事の屋敷で霊灯を保管して欲しいと頼んだ。 「霊灯はあそこだ」 「では私が…」 趙管事に成り済ました白(ハク)公子は喜んで取りに行ったが、箱から飛び出した仙鎖に捕まってしまう。 『小白よ小白~何をしている?間抜けな奴め…』 桃花の絵の中にこもっている傅九雲(フキュウウン)は呆れて鏡を消した。 亭渊はすぐ趙管事が偽物だと分かった。 城にいる時はいつも趙管事と呼んでいるが、礼儀上、趙管事が一人称を使うはずがないという。 「覃川(タンセン)が親切にしてやったのに…裏切り者め!」 白公子の言葉に亭渊は目の色を変えた。 「覃川はどこにいる?」 「教えるもんか!死んでも言わないぞ?!」 すると亭渊は剣を取り、殺しはしないが顔を傷をつけると脅す。 「分かった!教えるよ~覃川の居場所なら知ってる」 しかしその時、皇太子の来訪を知らせる前触れが聞こえた。 靂渊(レキエン)がこれほど早く戻るとは予定外だった。 しかし亭渊はおくびにも出さずに歓迎する。 すると靂渊はしばらく世話になると告げ、付き合いのある術士たちを紹介するよう命じた。 玄珠(ゲンシュ)は母と水入らずの時間を過ごした。 秋華(シュウカ)夫人は香取(コウシュ)山で苦労した娘を労ったが、良い後ろ盾になると思っていた白河(ハクガ)龍王があっさり死んだと落胆する。 そこで今度は玄珠と左紫辰(サシシン)の仲を取り持ち、左相国を寄る辺にしようと考えた。 玄珠は母の変わり身の早さに戸惑っていたが、紫辰への想いは変わらない。 しかし紫辰は驪(リ)国を裏切った父へのわだかまりから、どこかよそよそしく見える。 玄珠は自分のそばにいて欲しいと頼んだが、紫辰は話をそらして答えなかった。 覃川はなかなか戻って来ない白公子を心配し、王府へ救出に向かった。 そこで屋根から部屋の中を調べていたが、偶然、靂渊の部屋をのぞいてしまう。 覃川は師匠の仙鶴で逃げ出した時に目が合った男だと思い出し、激しい憎悪が湧き上がった。 すると運悪く酒を飲んでいた靂渊が天井を見上げ、屋根からのぞく覃川に気がつく。 覃川は慌てて逃げ出したが、回廊を走っていたところで靂渊が矢を放った。 危ないところで矢を避けた覃川、しかし段差に足を取られて倒れそうになる。 その時、駆けつけた亭渊が覃川を抱き止め、物陰に隠れた。 亭渊は偽の刺客を準備していた。 走り去る黒い影に気づいた靂渊が後を追って消えると、その間に亭渊は覃川を隠す。 一方、靂渊は刺客を見失っていた。 その時、裏庭で剣戟(ケンゲキ)の音が聞こえ、急いで様子を見に行ってみる。 するとちょうど亭渊が刺客を倒したところだった。 亭渊は刺客の目的は明らかに自分だったと報告、闘鶏で勝ち過ぎて恨みを買ったのかもしれないと取り繕う。 しかし靂渊は近頃、驪国の残党があちこちで騒ぎを起こしていることから、驪国人の仕業だと決めつけた。 「安心しろ、今度こそ奴らを一掃してみせる…ところでお前の武芸も侮れんな 日を改めて私の稽古にも付き合え(ニヤリ」 「とんでもないことです、皇兄には敵いません」 亭渊は隠し扉を開け、覃川を密室から出した。 覃川は自分の身代わりを心配していたが、亭渊は無事だと安心させる。 すると亭渊は覃川が来ると分かっていたと意味ありげに笑い、眠っている白公子の姿を見せた。 「シャオバイ!」 「彼は無事だ、じきに目を覚ます」 そこで覃川は自分から奪った霊灯を返すよう迫り、天原国に滅ぼされた驪国のために必要だと訴える。 しかし亭渊はうかつに行動すれば覃川の命が危ないと案じた。 「それにしても普通の女子がなぜ霊灯を?」 「…あなたには関係ない、でもあなたが何を企んでいるかは知っているわ」 「ならば分かるだろう?私は君の敵ではない」 亭渊は霊灯をあきらめるよう説得し、兄がいる限り霊灯に近づいてはだめだと警告した。 「しばらくは楽師に変装していろ、上手く逃してやる」 覃川と白公子は楽師として王府に滞在することになった。 白公子は意識が戻ったものの、衝撃のあまり茫然自失としている。 ともかく覃川は白公子を連れて稽古場に出たが、驚いたことに舞姫が″東風桃花曲(トウフウトウカキョク)″で踊っていた。 聞いてみれば舞姫は驪国人で、公主の踊りを参考にしているという。 「戦のあと二皇子にかくまわれて何とか生きて来たわ」 舞姫は亭渊だけは他の皇族と違い、無辜の民を殺さないと言った。 覃川は白公子を弟だと紹介したため、2人は同じ居所になった。 するとようやく白公子が正気を取り戻し、覃川は安堵する。 そしてその夜、眠りについた覃川は傅九雲の夢を見ていた。 手鏡に戻って枕元で寝ている白公子、九雲は鏡を通して愛しい覃川の寝顔を眺めている。 「傅九雲…ムニャムニャ…どこにいるの?」 しかし今の九雲にしてやれることは、ずれた布団を直してやることだけだった。 いつの間にか眠っていた九雲は再び暴れ出した力で目を覚ました。 そこで力を鎮めてから鏡を映し出し、覃川たちの動向をうかがう。 その時、覃川と白公子は楽師たちに紛れて王府から抜け出していた。 するとちょうど連行される驪国の流民たちを見かける。 聞けば皇太子が全員を妖魔に捧げるつもりだという。 「どこで?!」 「きっと城外にある兵営よ」 覃川は怒りに震えて追いかけようとしたが、白公子が咄嗟に制止した。 「…今は戦うべき時じゃないわ」 「そうさ!」 「夜よ…」 「はあ?!」 覃川は白公子が来なくても1人で行くという。 その夜、亭渊は百里堕天(ヒャクリダテン)の2人を連れて皇太子の兵営を偵察していた。 すると眼下に天幕の影に隠れている覃川の姿を見つける。 覃川は生贄にされる驪国人たちを発見、物陰から思わず飛び出したが、あっという間に妖兵たちに囲まれた。 「まずい!」 驚いた亭渊は助けに行こうとしたが、百里堕天の2人に止められてしまう。 「行ってはなりませぬ!大義のためなのです!」 しかし突然、空に白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)が現れ、覃川のそばに降り立った。 「来てくれたのね!」 「早く!」 覃川は妖兵が鏡の光を浴びて倒れているうちに驪国人を開放し、鏡の中へ逃すことに成功する。 その時、突如、靂渊が現れ、覃川のか細い首を握った。 「うっ…」 息が止まり、意識が遠のいていく覃川、すると鏡の中から剣が飛び出して来る。 靂渊は咄嗟に覃川から手を離して身をかわすと、鏡の中にいる九雲に気づいて中へ飛び込んだ。 しかし不意をついて現れた九雲に背後から掌(ショウ)を受け、谷底へ突き落とされてしまう。 九雲が現れると同時に鏡は消えた。 「危なかったぞ?」 「…傅九雲っ」 覃川は自分を見下ろす九雲の姿に唖然となる。 「話はあとだ、ここを出よう」 九雲は覃川を抱き上げると、仙術で姿を消した。 高台に隠れていた亭渊たちが様子を見にやって来た。 すると空から黒い煙の玉が落下、中から靂渊が現れ、ばったり倒れてしまう。 「殿下、二度とない好機です!」 「そうだな」 亭渊は霊灯を取り出して空中に放り投げると、霊灯が開いて靂渊から魂を吸い始めた。 しかし霊灯の様子がおかしくなり、突然、爆発してしまう。 呆然となった亭渊だったが、ひとまず靂渊が死んだのか確認することにした。 そっと鼻の下に指を伸ばす亭渊、その時、靂渊が急に目を開ける。 「皇兄?!ご無事でしたか!」 亭渊は咄嗟に霊灯の破片を隠した。 「私が死ぬとでも思ったか?残念だったな」 「またそのような冗談を」 「で仙人はどこだ?」 「仙人?」 亭渊は自分が到着した時には仙人などいなかったとごまかした。 呆れた靂渊はどちらにしても誰も自分には勝てないと鼻で笑い、天幕へ帰ってしまう。 霊灯は偽物だった。 困惑する百里堕天の2人、本物は一体どこにあるのか。 「恐らくはまだ″彼″の手元にある…」 亭渊はふと覃川からもらった香袋を見つめた。 つづく |ω・`)9さん、お早いお戻りで…むしろ閉関していた方が面s…ゲフンゲフン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.04.27 13:15:41
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