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カテゴリ:天舞紀~トキメキ☆恋空書院~全28話
天舞纪 Dance of the Sky Empire 第26話 昆吾(コンゴ)族と人族が共存する平安(ヘイアン)村。 その朝、空腹で外に出た李玄(リゲン)は偶然、村の厨房にいる昆吾族の母娘の話を耳にした。 「どうして食べちゃだめなの?」 「小宝(ショウホウ)、我慢してね、お粥は聖女様と人族のお兄さんの分なの でも父さんが食べ物を取って来てくれるわ」 すると母娘は聖女にお粥を届けに向かった。 李玄はこの村にとってお粥が滅多に食べられないご馳走だと知った。 そこでお粥には手をつけず、隣の釜から村人たちが食べている不思議な料理をもらう。 しかしそれは焼いた木の皮で、とても食べられた物ではなかった。 その時、村人が大慌てで母娘に知らせに来る。 「大変だ!小宝パパが崖から落ちたって!」 李玄が医廬(イリョ)へ駆けつけると母娘が涙に暮れていた。 蘇猶憐(ソユウレン)の話では山菜を採ろうとして崖から落ちてしまったという。 父親が背負っていたであろう籠には粗末な草が入っていた。 「こんな物のために?」 「( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)ピキッ!山菜はごちそうなのよ!そんな言い方しないで!」 小宝は泣きながら李玄を非難した。 「パパは私のために山菜を採りに行って崖から落ちた…全部、私のせいよ…うわーん!」 困窮と無縁の人生だった李玄は小さな女の子の心を傷つけ、反省した。 聞けば最近は山菜すら獲れず、食べられるものと言えば木の皮しかないという。 小宝の父親は命を取り留めたが、脚は諦めるしかなかった。 聖医の話では崖の下に生えている龍牙(リュウガ)草があれば治せるが、危険すぎるという。 「俺が行く」 李玄は自分が貴重な山菜を振る舞ってもらったせいだと責任を感じ、名乗りを上げた。 李玄は命綱を谷底へ下ろし、ひとり崖を降りて行った。 しかし予想外に崖下は深く、やがて険しい岩壁でこすれた命綱が切れてしまう。 村人は慌てて聖医と聖女に報告、縄は半分の長さの所で切れていたと伝えた。 一方、什葉(ジュウヨウ)城では龍嶶児(リュウビジ)が密かに御風穆(ギョフウボク)を客桟に呼び出していた。 王子が国境を封鎖したところをみると、大かた天啓(テンケイ)国と戦うための準備だろう。 そこで嶶児は自分と手を組まないかと提案した。 「兵を3万ほど借りたい、私が皇帝になれば沙国との関係を改善しよう 沙国の領土だった土地は全て返還してもいい」 「それだけか?」 「…蘇猶憐を取り戻せると言ったら?」 風穆と嶶児は結盟書を取り交わした。 嶶児は2日以内に猶憐を引き渡すと約束、すると密偵が駆けつけ、皇太子の簒奪を報告する。 「もっと探れ」 それにしても皇太子はどんな手を使ったのだろうか。 すると風穆が蕭鳳鳴(ショウホウメイ)だと明かした。 しかも龍皇(リュウコウ)の心魔に操られた鳳鳴を鎮めるためには龍皇を呼び覚ますしかないという。 「蕭鳳鳴を鎮めなければ、太子に勝ったところで皇帝の座は手に入らないだろうな」 風穆は龍皇を助ければ昆吾との関係を修復できるかもしれないとほのめかし、李玄という切り札を使ってはどうかと助言した。 「李玄?…気づいていたのか」 かつて昆吾族は天界の神の一族だった。 しかし初代聖女が人族と恋に落ちたせいで天界を追われ、人族とも対立することになる。 そこで初代聖女と人族の夫は平和を願い、命と引き換えに2つの血筋を持つ末裔に強大な力を与えた。 風穆は書院の一件以来、李玄が蘇猶憐をも負かすほど急激に成長した姿に驚き、その正体に気がついたという。 「李玄の母親が誰かは未だ謎だが、皇子はご存知なのでは?」←( ˙꒳˙ )え? 嶶児はその質問には返答せず、蘇猶憐に協力すると決めた。 李玄は転落したが無事だった。 谷底はもやがかかり、美しい花々が咲き乱れる謎めいた場所だ。 すると李玄はどんな薬草か聞いていなかったと思い出す。 仕方なく付近を散策する李玄、すると湖のそばにある木の根元に珍しい大きな花があった。 李玄はその花に手を伸ばしたが、突然、自分の名を呼ぶ声が聞こえる。 それは顔も知らない母親だった。 李玄が転落したと聞いた猶憐たちは崖に駆けつけた。 「李玄!李玄ーっ!」 猶憐は必死に谷底へ呼びかけたが、返事はない。 実はその時、李玄は木の妖魔にとらわれ、母の夢を見ていた。 しかし愛する人の声で現実に引き戻される。 一方、猶憐は李玄を探すため谷底へ降りようとしていた。 聖医は早まるなと必死に止めたが、その時、崖を登って来た李玄の手が見える。 その手には確かに龍牙草があった。 ↓「とったどー!」 猶憐と李玄は沙国へ帰ることになった。 見送りに出た昆吾族は聖女に一斉に拝礼すると、小宝は父の恩人である李玄にも叩頭する。 李玄は小宝を立たせ、皆に見送られながら猶憐と村をあとにした。 嶶児と風穆が客桟で待っていると、李玄が猶憐を連れて戻って来た。 風穆は真っ先に李玄から猶憐を引き離したが、猶憐のあられもない姿を見て愕然となる。 後ろめたいことはない猶憐だったが、王子と二人だけで話したいと頼んだ。 猶憐と風穆が出て行くと、嶶児は王子に対して挑発的な態度を取る李玄に釘を刺した。 「忘れるな、あの二人は夫婦だ」 「関係ないね、奴は初夜もまだだし…」 しかし嶶児は聖石を扱えるのは風穆だけだと警告した。 「過去を知りたいんだろう?よく考えろ」 すると李玄は不満そうに出て行ってしまう。 風穆と猶憐は回廊にいた。 この客桟にも王子の結婚を祝う飾り付けがあったが、どうやら無駄になりそうだ。 「猶憐、聖石を君に譲る方法は他にもある…教えてくれ、君はまだ李玄のことが好きなのか?」 「ええ、愛しているわ…本当にごめんなさい」 しかし風穆は謝る必要などないと許し、ひとまず部屋で休むよう勧めた。 「明日、王宮で…」 「王子、あなたは昆吾族の恩人よ」 そんな二人の話を李玄が聞いていた。 王宮への帰り道、疤頭(バトウ)は王子の決断を知り愕然となった。 風穆は愛する猶憐のために聖石との結びつきを断つ覚悟だという。 実は病弱だった風穆は聖石の力を借りて何度も死の淵からよみがえって来た。 しかし聖石は本来、昆吾のもの、これまで1人で恩恵を受けて来たが、猶憐に譲れば沙国と昆吾族の民が救われる。 風穆は自分の命にかえても聖石を猶憐に返すと決めた。 猶憐は師匠に聖石を手に入れられそうだと報告していた。 その時、突然、李玄が部屋の戸を叩き、猶憐の意識が戻る。 「一体、何の用?」 猶憐が戸を開けるなり、李玄が飛び込んできた。 「夜食を持って来た!」 しかし猶憐は何か話があって来たのだと気づく。 「実は…その~言いたいことが…俺も同じだ」 「同じって何が?」 すると李玄は苛立って回廊へ出て行ってしまう。 「(はっ!)李玄!盗み聞きしていたのね!」 「ふっ、月がきれいだ」 二人は互いの気持ちを知り、自然とわだかまりが解けていた。 翌朝、猶憐は約束通り王宮の聖殿を訪ねた。 すると物陰に隠れていた風穆が背後から猶憐に法術をかけ、聖石の力を全て譲ってしまう。 猶憐が目を覚ますと手には聖石があった。 輝きを取り戻した聖石を見て感激する猶憐、そこへ青ざめた風穆が現れる。 「…どうかしたの?」 「なんでもない」 猶憐はひざまずいて風穆の深い温情に感謝したが、疤頭は思わず聖石に比べたら何の価値もないと口を滑らせた。 「どういう意味?」 「何でもない、疤頭は聖石との別れが辛いだけさ」 猶憐は風穆と疤頭の様子がおかしいと気づいたが、結局、何も知らないまま客桟へ戻った。 猶憐と誤解が解けた李玄はやはり記憶を取り戻したいと願った。 本当に聖石の力で思い出せるのか半信半疑だったが、李玄は寝台に横になって猶憐に任せる。 すると李玄に幼い頃の記憶が甦り、ついに美しい母の顔を思い出した。 父と母の愛情に包まれ幸せだった日々、李玄の顔にも自然と笑みが浮かぶ しかし母との別れは突然だった。 龍皇の妹だった母は人族と昆吾族の大戦に巻き込まれ、鳳尾(ホウビ)谷で亡くなってしまう。 「嘘だ…」 猶憐は李玄の苦悩の表情に驚き、急いで聖石を引き上げた。 李玄が突然、目を覚まし起き上がった。 「あいつだ…あいつが母上を殺した…昆吾族だから殺されたのか…俺にも昆吾族の血が…」 すると李玄は部屋を飛び出して行った。 猶憐は慌てて追いかけたが、嶶児が引き止める。 「今はだめだ」 つづく |ω・`)王子…いや笑うところじゃないんだけど…王子がおじいち…(´゚艸゚)ゲフンゲフン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.06.15 09:38:01
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