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カテゴリ:麗姫と始皇帝~月下の誓い~全48話
丽姬传(秦时丽人明月心)The King's Woman 第20話「女傑」 秦(シン)王・嬴政(エイセイ)は麗姫(レイキ)を刺した李仲(リチュウ)に聞いた。 「そなたは麗夫人が余を殺すと考えて刺したのか?」 李仲はあの時、麗夫人が剣を向けて走り出したため、大王の命が危ないと思ったと釈明した。 今になって思えば麗夫人は大王を刺客から守っただけ、確かに麗夫人が大王暗殺を企てるなら侍衛が控える祝宴で実行せずとも、機はいくらでもあっただろう。 一方、敏(ビン)夫人は楚(ソ)夫人の関与に気づいていた。 もちろん楚夫人は顔色ひとつ変えず知らないふりをしたが、敏夫人はいくらとぼけても真相は明らかになると釘を刺す。 「ひとつ忠告するわ、悪事は我が身に跳ね返るものよ?」 麗姫の傷は幸いにも深くなかった。 献身的に介抱する嬴政、すると麗姫がうなされながら韓申(カンシン)を案じている。 「大師兄…大師兄…」 「安心しろ、韓申は余が助けてやる」 麗姫は一瞬だけ目を開けたが、またすぐ眠った。 翌朝、燕(エン)の丹(タン)太子は太傅・粷武(キクブ)から宮中の動向を聞いた。 祝宴での剣舞は祖太后の謀だと発覚し、麗夫人と侍衛の韓申が重症だという。 秦王は華陽(カヨウ)宮の侍衛らに矛先を向けるばかりで、刺客の捜索は後回しになっていた。 丹太子が放った刺客は魏(ギ)人、天涯孤独で世に名も知られておらず、まさか燕太子府が送り込んだとは気づかれないだろう。 すると丹太子は他の妃とは一線を画す麗夫人に興味を持った。 富や名誉に興味を持たず、気概と風格にあふれた女剣客、あのような才徳ある妃を持った秦王が羨ましいという。 ↓色々な意味で圧が…w 麗姫が身体の重みで目を覚ますと、看病していた嬴政がうつぶして眠っていた。 そこで麗姫は嬴政の顔にそっと手を伸ばしたが、警戒心の強い嬴政が驚いて飛び起きる。 「知らぬまに眠ってしまったようだ」 すると麗姫は嬴政を殺そうとしたのではないと釈明し、大師兄がいなければ自分が命を落としていただろうと言った。 「任せておけ、余が片をつける」 しかし麗姫は考えれば考えるほど不思議だった。 自分に罪を着せるため仕組んだのなら、あの刺客は何者なのか。 「黒幕は2人いるような気がするわ…」 嬴政は麗姫の代わりに韓申の様子を見に来た。 韓申はかなりの深傷を負って高熱が続いていたが、太医はこの2日、持ちこたえれば危機は脱するという。 「韓侍衛は見上げた心意気ですな、麗夫人が剣を受けていたなら考えただけでも恐ろしいことに…」 すると嬴政は韓申を必ず助けるよう命じた。 李仲の捜査で刺客は魏人と分かり、麗姫の言った通り華容宮の侍衛とは無関係だった。 しかし嬴政は刺客より、自分を守るという名目で麗姫を殺そうとした侍衛への怒りが治らない。 すると李仲は祖太后が侍衛たちの引き渡しを拒んでいると報告した。 実は秦は今、魏の要請を受け楚に派兵したところ、祖太后の怒りを買えば楚が徹底抗戦の構えを取ると懸念される。 「ここは大局を考え、慎重に検討すべきです」 「…これ以上、秦が楚に譲歩する必要はない!」 嬴政は祖太后が楚を扇動するなら、後宮の粛正も辞さない覚悟を決めた。 華陽宮では祖太后と楚夫人が李斯(リシ)を懐柔していた。 同じ楚人同士、秦に仕える身となっても共に助け合うのは当然だという。 そこで李斯に楚から取り寄せた逸品、玉の柄杓(ヒシャク)を授けた。 李斯は見返りに魏が旧領地の奪還と称して楚への派兵を秦に要請、大王が応じたと教えてしまう。 すでに大王が命を下し、軍は歩を進めていた。 祖太后と楚夫人は寝耳に水だったが、その時、大王が侍衛を捕縛するため華陽宮に向かっていると知らせが届く。 驚いた李斯は大王に見つからないよう楚夫人と回廊へ出て物陰に身を潜めた。 嬴政は華陽宮の侍衛6名を連行するよう命じた。 しかし祖太后が回廊で立ちはだかり、先に自分を殺せという。 今回ばかりは嬴政も引き下がらず、この場で侍衛を死罪にすると決めたが、その時、病み上がりの麗姫が駆けつけ止めた。 嬴政は祝宴での一件が綿密に練られた罠だったと指摘、自分を利用して麗姫を陥れるという卑怯な所業を見過ごしてはおけないという。 すると麗姫は真剣をつかんだ自分を誰もが刺客だと疑ったはず、侍衛たちは大王を守ために職責を果たしただけだとかばった。 「今、死罪にしたら真相は分かりません、それでも良いと?」 「…分かった」 そこで嬴政は刑を免じて免職とし、辺境での軍役を科した。 ↓まだサンタは来ません 一方、旅に出た荊軻(ケイカ)と蓋蘭(コウラン)は大梁(リョウ)城に入った。 ふと麗児と街を歩いたことを思い出す荊軻、すると偶然にも食事をしようと立ち寄った酒楼で高漸離(コウゼンリ)と再会する。 高漸離はすっかり印象が変わった荊軻を見て、ようやく吹っ切れたと知った。 実は大梁に滞在しているのには目的があるという。 最近、秦が魏を援護し、楚に派兵していた。 しかしすぐ楚軍を退ける予定が見込みが外れたのか、両軍の対峙が続いているという。 このまま戦が長引けば秦の旗色は悪くなるばかり、兵を補うため徴兵が厳しくなるだろう。 荊軻と蘭児は戦で苦しむ民を救おうと孤軍奮闘している高漸離の話を聞き、協力すると決めた。 麗姫は侍衛たちが助かり安堵した。 しかし助かったのは嬴政も同じだという。 実は秦が楚に進軍したものの、戦況が行き詰まっていた。 李仲にも諫言されたが、本来、早期決着を図るためにも祖太后と争うべきではなかったという。 すると麗姫は剣舞が自分を陥れるための策略だったように、楚を攻めさせるのも魏の策略かもしれないと指摘した。 「今、秦と互角に争えるのは楚だけです 秦は東征によって趙と魏を下したけれど、南にある楚は侵略を免れたわ 魏は秦の目をそらすため、旧領奪回という名目で楚を攻めるよう申し出た 恐らく魏が秦の懐に入るのは領地のためではない、自衛のためよ 秦と楚が争えば両国は疲弊し、魏に漁夫の利を与えるだけでは?」 嬴政は麗姫の助言に感謝し、兵を退くことにした。 荊軻たちは秦軍の動向を探りにやって来た。 するとどんな心境の変化か、秦軍が撤兵している。 まさか麗姫の助言だとは夢にも思わず、荊軻は少なくともこれで血で血を洗う争いが収まったと安堵した。 高漸離は自分たちの出番もなくなり、物見遊山でもしようと提案する。 「いいわね!近くの嵩山(スウザン)に父の小屋があるの、そこでしばらく過ごさない?」 「嵩山は五岳の中心で東に泰山、西に華山がある…霊気が集まる修練に最適の場所だ」 蘭児と高漸離の話を聞いていた荊軻はふと暗号のことを思い出した。 「左の岱(タイ)…右の華…南の衡…北の恒…そうだったのか!」 荊軻はついに鵠落(コクラク)剣法の剣譜が嵩山にあると分かった。 ↓前髪が剣譜を感知! 嬴政は麗姫を連れて華陽宮を訪ねた。 祖太后も侍衛の一件で麗姫に大きな借りができたばかり、無下にもできない。 すると嬴政が思った通り、祖太后と楚夫人は楚との戦の件で自分を呼び出したと分かった。 嬴政は実は麗夫人からの助言で撤退を決めたと教え、麗姫を王后に立てると宣言する。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.08.19 17:05:18
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