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2021.09.10
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上阳赋 The Rebel Princess
第4話「子隆の失敗」

寧朔(ネイサク)軍の3代目首長・蕭綦(ショウキ)は20万人の兵士を率いて忽蘭(クラン)王を討ち取り、その功績を称えられ豫章(ヨショウ)王に冊封された。
ここに建国以来初めて馬(バ)姓以外の王が誕生する。
三皇子・子澹(シタン)は開宴するとすぐ恩人である蕭綦のもとへ向かった。
そこで敬意を表して一献しようとしたが、蕭綦は酒が飲めないので水だと断ってから杯を交わす。
そんな中、ひとり落ち着かない様子の皇太子・子隆(シリュウ)がいた。

子隆は頃合いを見計らって宴席を抜け出し、華光殿に戻った。
そこで使用人たちを全て追い出し、寝所に入ってその時を待つ。
しかし何者かが密かに迷香を置いていた。

蕭綦は息抜きに大殿を出て風に当たることにした。
一方、皇后に呼ばれた上陽郡主・王儇(オウケン)はなぜか叔母の昭陽殿ではなく、皇太子の華光殿に案内される。
「ここなの?…誰もいないわ」
「皇后殿下が静かな場所で話したいとおっしゃって…」
仕方なくは王儇は前庭に入ると、徐(ジョ)乳母と宦官は静かに門を閉めて錠をかけた。

王儇は正殿に入った。
しかし叔母の姿が見当たらず、仕方なく奥殿の戸を開けると、誰かの房事を目撃してしまう。
すると寝台の御簾を開けて皇太子が顔を出した。
「阿嫵(アーウォ)?…あれ?阿嫵?」
驚いた阿嫵は慌てて逃げ出したが、門が開かなかった。
そこへあられもない姿の皇太子が駆けつけ、間違いが起こったが、愛しているのは阿嫵だと迫る。
「来ないで!恥知らず!」
恐怖におののいた阿嫵は襲いかかる皇太子を蹴り飛ばし、木に登って塀の上に上がった。
無我夢中で細い足場をよろよろと歩いて行く阿嫵、やがてうっかり足を滑らせ落下してしまう。
その時、咄嗟に駆けつけた蕭綦が阿嫵を抱き止めた。
「…なぜあなたが?」
阿嫵はそのまま蕭綦の腕の中で意識を失ってしまう。

↓郡主が15歳だから…将軍は18歳くらい?…( °◊° )え?


皇后は是が非でも阿嫵を皇太子妃にすべく、子隆と無理やり関係を持たせて婚姻させようと企んだ。
しかしその計画を知った何者かが謝宛如(シャエンジョ)を阿嫵より先に華光殿へ案内してしまう。
その時、媚薬で我を失っていた子隆は宛如を阿嫵だと思い込み、無理やり寝台へ連れ込んでいた。

皇后は乳母から計画の失敗を聞いた。
しかも貞操を奪われた宛如が自害しようとしたことから、皇帝の知るところとなる。
皇帝は実は子隆が阿嫵を手込めにしようと企んでいたと知り、烈火の如く怒った。
「愚か者!太子の座はお前にはやれぬ!」
驚いた皇后は再考を嘆願すると、皇帝は今日のところはともかく華光殿を訪れた徐乳母以外の者に毒酒を飲ませるよう命じた。

その夜、知らせを聞いた丞相・王藺(オウリン)が昭陽殿に駆けつけた。
危うく娘を傷つけられるところだった王藺は浅はかな皇太子を引っ叩き、甥と言えども突き放す。
「舅舅…誓います、阿嫵をあきらめます」
「今度、問題を起こしたら王氏は助けぬ…すぐ宛如と婚姻し、太子妃に迎えよ」

子隆は意気消沈して昭陽殿を出ると、子澹が待っていた。
すると子澹は兄を殴りつけ、謝氏の女を陵辱し、自死に追いやりかけたと猛烈に抗議する。
子隆は口からあふれ出した血に呆然、しかし子澹は再び兄を殴りつけ、倒れた子隆の上にまたがった。
「これは阿嫵の分だ!こんな屈辱を受けたのは初めてだ!
 いいか!これは警告だ!今度、阿嫵に手を出したらこれでは済まないぞ!」

阿嫵は衝撃のあまり高熱を出して倒れた。
晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)は枕元で娘の手を握りしめ、兄・王夙(オウシュク)は皇太子への怒りがおさまらない。
そこへ遅れて王夙の妻・桓宓(カンヒツ)が見舞いにやって来た。
すると王夙は妹を静かに休ませたいと言って世子妃を追い返してしまう。
馬瑾若は息子夫婦の仲を心配していた。
婚姻して数年経ったが、一向に孫を抱ける様子はない。
一方、皇后はひどく殴られた息子の顔を手当てしながら子澹への恨みを募らせた。
しかし子隆は自分の過ちだと認め、三弟だけでなく父皇も叔父も謝貴妃も怒らせてしまったと嘆く。
「私は宛如に興味はありません…生涯、夫婦のふりをして生きろと?」
「あなたの意見は通らない」
皇后は太子の位を守るためには宛如と婚姻しなければならないと諭した。

その夜、蕭綦は中庭で草笛を吹きながら、上陽郡主を抱き留めた時のことを思い出していた。
「大王?どうされました?」
すると腹心のひとり、宋懐恩(ソウカイオン)がやって来る。

「草笛の音色もいつもと違いますね?…もしや日中、救った女子のことを想っていたので?」
「…月が明るい、眠れないのなら庭を100周、走って来い」
蕭綦は宋懐恩に胸中を見透かされ、照れ隠しに追いやった。

皇帝は皇位争いに巻き込まれた宛如に胸を痛めた。
確かに皇座に就くため琅琊王(ロウヤオウ)氏の力を借りたが、今となってはその事実が足かせとなる。
実のところ子隆は単純すぎる男で隠し事すらできない。
それでも王氏の息子であるがゆえ、いずれ皇位を継承しなくてはならなくなった。
謝氏の娘を蕭綦に嫁がせ王氏をけん制しようと考えたが、子隆の思わぬ過ちにより計画は水泡に帰してしまう。
…もはやこの機に乗じて決断するしかない、禍根を残さぬためにも…

いつの間にかうたた寝していた馬瑾若、ふと目を覚ますと肩に王藺の外套がかかっていた。
その頃、屋敷に戻った王藺は弟の王栩(オウク)から報告を聞いていた。
実は皇太子の寝所で迷香が見つかり、調べたところ催淫効果のある媚薬だったという。
歴代の王朝で禁じた薬だったが、後宮では寵愛を争う側室たちが欲しがり、禁止できなかったという曰くつきの薬だった。
「太子と宛如はこれを嗅いだのでしょう」
宛如は女官から皇后が呼んでいると言われて華光殿に案内されていたが、その女官は生死すら不明だという。
恐らく何者かが皇太子と阿嫵の婚姻と同時に謝氏と蕭綦の縁談も頓挫させたのだ。
三皇子は刺客に狙われ、顧庸(コヨウ)は殺され、そして華光殿の騒動、見たところ徳を得るのは王氏でもなければ謝氏でも皇帝でもない。
王藺は禁衛兵に調査させると決めたが、その前に解決すべき問題があった。
「皇帝が太子を廃位しようとしているらしい
 …皇帝が先に仁の道に背いた、私が不義になるのも責められまい(はっ!)誰だ!」
王藺は回廊に誰かがいると気づいた。
そこで王栩が様子を見に行こうとしたが、その時、馬瑾若が入って来る。
馬瑾若は夫の外套を抱え、書斎の明かりが見えたので寄ったと言ったが、王栩が来ていると知って戻って行った。
「大哥?嫂嫂に聞かれたでしょうか?」

その夜、馬瑾若はなかなか寝つけなかった。
…そなたは余の妹か、丞相の妻か…
皇兄の言葉を思い出し、馬瑾若の心は大きく揺れる。
そして翌朝、阿嫵は薬のおかげかすっきり目が覚めた。
「夢に子澹哥哥が出て来たわ」
すると侍女・蘇錦児(ソキンジ)が失笑し、実は三皇子が昨夜、来ていたという。
三皇子は郡主を休ませたいので起こさないよう頼み、そのまましばらく庭で見守ってから帰っていた。

皇帝は宛如を皇太子妃にするという王藺の救済策を謝淵に伝えた。
しかし謝淵は悪辣な皇太子の廃位を求める。
「子澹を太子にしては?良い機会です!」
「…たやすくはない、必ず一度で成功させなくては…」
実は皇帝も華光殿の一件には背後で操る者がいると疑っていた。
「探せ」

皇帝は皇后に子隆と宛如を婚姻させると命じた。
「それで終わりにする、しかし覚えておけ、これがお前たちに与える最後の機会だ」
この一件で皇帝と皇后の溝はいっそう深くなり、皇后は思わず積年の恨みを爆発させてしまう。
「かつては夫の愛に生きようとしました、でもあなたが守るのは別の女ばかり…
 私の願いを切り捨てたのは誰でしょう?陛下が私に投げられた言葉を忘れません!
 一体なぜこうなったのです?!」
「そなたは王氏の女であり、余は皇帝だ…仕方がない」
そんな2人の言い争いを王藺が回廊で聞いていた。

王藺が娘の寝宮を訪ねると、なぜか阿嫵が外にいた。
王藺は傷ついた娘を抱きしめ、何をしていたのか聞く。
「宛如姐姐に会いたいけど…余計に苦しめそうでためらってるの」
「…太子妃になるのを嫌がる女子は愚かな阿嫵を除いてこの世にいないだろう」
「姐姐は太子妃になるの?!ひどい目に遭わされた人に嫁ぐなんて…
 豫章王には何て説明するの?」
「そう言えば豫章王に助けられたあと、礼を言っておらぬな」
すると王藺は自分が代わりに伝えると言って戻って行った。

一方、子澹は父皇に謁見し、皇太子を殴ったと謝罪して罰を請うた。
しかし皇帝は自分の代わりに殴ってくれたと許してくれる。
「父皇、お願いがあります」

つづく


( ๑≧ꇴ≦)急にオスマン帝国外伝が始まったわw
今日の口ぶりだと皇后もいやいや嫁いだフラグ?





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最終更新日  2021.09.10 11:40:10
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