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カテゴリ:上陽賦~運命の王妃~全68話
上阳赋 The Rebel Princess 第18話「待ちわびた英雄」 ついに始まった謇寧(ケンネイ)王の攻城。 暉(キ)州は様々な策を講じて抵抗して来たが、その夜、いよいよ城門が破られてしまう。 報告を聞いた宋懐恩(ソウカイオン)は城門へ急ぎ、必死に敵兵の入城を食い止めていた。 翌朝も上陽(ジョウヨウ)公主・王儇(オウケン)は次々に運ばれてくる負傷兵の介抱に追われていた。 するとついに西門が破られたと報告が届く。 南門は宋懐恩と牟連(ホウレン)が必死に守っていたがもはや時間の問題、そこで王儇は龐癸(ホウキ)に民たちを裏門へ移動させるよう命じた。 見かねた三皇子・馬子澹(バシタン)は一緒に逃げようと説得したが、王儇は聞く耳を持たない。 「私は死んでもここを離れない! 子澹哥哥?あなたはこの国の皇子でしょう?有事には民を保護し、天下を守る義務がある これ以上、煩わせないで、死を恐れ逃げるのは卑怯よ!」 「死など恐れてはおらぬ!暉州まで来たのはそなたを救うためだ!」 「…私がなぜ蕭綦(ショウキ)に惹かれたか分かる? 蕭綦は国を守ろうと死力を尽くして戦っている、あなたはどう?! 子澹哥哥、あなたを傷つけたくなかったけれど言わざるを得ないようね…軽蔑するわ」 その頃、南門では宋懐恩たち寧朔(ネイサク)軍が命を懸けて反乱軍を押し戻そうとしていた。 しかし急に敵軍の警告の笛が鳴り響き、兵士たちが撤退して行く。 懐恩たちは何事かと驚いて城門の外を見ると、王妃が刺繍した外套をまとって戦う蕭綦の姿があった。 「くま們!ひるむな!かかれえぇぇぇぇ!」 「うおぉぉぉぉ~!」 すると謇寧王は撤退を命じ、我れ先に逃げて行った。 敵軍の侵入を阻むため刺史府の門は固く閉ざされた。 説得をあきらめた子澹も病人の搬送に手を貸す中、王儇は民を逃すまで時間をかせごうと正門へ戻ってしまう。 王儇の護衛である龐癸は自分に任せて退避するよう訴えたが、王儇は捕らわれた時には自死する覚悟だと伝えた。 反乱軍が刺史府の正門を破ろうとしていた。 兵士たちは必死に門を押さえていたが、もはや限界が迫る。 その時、急に外が静かになった。 兵士たちは一斉に振り返り、王妃の指示を待つ。 「…開門」 その時、屋敷の前に勇猛な寧朔軍の姿が見えた。 するとついに待ちわびた英雄の姿が現れる。 王儇は思わず少女のように駆け出し、蕭綦の胸に飛び込んだ。 城楼を埋める兵士たちの歓声の中、王儇と蕭綦がやって来た。 牟連は豫章王に拝礼し勝利を宣言、すると蕭綦が兵士たちを労う。 しかし誰より勇敢だったのは阿嫵だと知った。 「まさか私の王妃が名軍師だったとはな」 「言い過ぎよ」 王儇はこれも皆の協力のおかげだと謙遜したが、兵士たちは一斉に王妃を称えた。 謇寧王は慌てて撤収したため、食糧を置き捨てていた。 そのおかげで夜は盛大な祝宴が開かれる。 「兄弟們!こたびは厳しい戦だった!私は皆を誇りに思う!」 大王!威武!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<だーわん!うぇいうぅ! すると懐恩と牟連が王妃の武勇伝を話した。 今や暉州の誰もが王妃を慕っているという。 「では最大の功労者は王妃か~では王妃に乾杯しよう」 「王妃、威武!」 王妃!威武!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<わんふぇい!うぇいうぅ! しかしそこへ酔っ払った子澹が現れ、賑やかな酒宴が水を打ったように静まり返った。 同じ頃、龐癸は王妃の寝殿の戸を王氏の合図で叩いた。 「どうしたの?」 「巡回の際に捕らえた兵が暉州戦について書かれた文を持っていました 豫章王の側近です…」 王儇は敵に間者を送るのはよくあることだと言ったが、その間者の文には王氏の紋章があったという。 証拠の文を見た王儇は驚愕し、思わず文をぐちゃぐちゃに丸めた。 「その兵は?」 「牢で自決しました」 子澹は豫章王に桃花酒を差し入れに来たと言った。 「この酒は…亡くなったある者が最も好んでいた、豫章王と飲み明かしたい」 「蕭綦、酒を飲みませんので代わりに水で殿下の杯をお受けしたします」 「水だと?酒を飲め」 子澹が豫章王にからむと、懐恩は豫章王が酒を飲まない理由を教えた。 「三皇子殿下、大王は以前から″長はいかなる時も素面で″との信条があります」 そこで胡光烈(ココウレツ)が大王の代わりに飲むと申し出たが、子澹が拒む。 「この酒は誰でも飲めるものではない…子澹、先に飲みま~す!豫章王、はい…」 胡光烈はしつこい三皇子の腕をつかんで止めたが、酔っていた三皇子は力なく尻餅をついてしまう。 すると醜態を晒した子澹は面目を失い、自ら帰って行った。 王儇は回廊でひとり悶々としていた。 …父上は蕭綦を心から信じたことはないのね、それは蕭綦も同じ …婚礼服を着て家を出た瞬間から父上は娘さえ信じなくなり、蕭綦を利用しながら警戒してきた …彼のそばに間者を置き、私との間にも距離ができた …いつか2人が敵対する日が来たら、一体どちらにつけばいいの? すると蕭綦が現れ、優しく抱きしめる。 「どうして外にいる?」 「酒臭いわ、飲んだの?」 「飲んでいない、ある者に酒をひっかけられたんだ…」 蕭綦は阿嫵を抱き上げ、寝殿に入った。 久しぶりに肌を重ねた蕭綦と阿嫵。 阿嫵は祝宴で騒いだのが子澹だと分かっていた。 すると阿嫵が実は子澹と会った時、過去はとうに捨てたことに気づいたという。 しかし蕭綦は青梅竹馬の三皇子を捨てられるのかと聞いた。 「うふふ、まさか蕭綦がヤキモチ?」 「そうだ」 「来るのが遅いからよ、生涯をかけて償ってもらわないとね」 すると蕭綦は今生だけでは足りず、阿嫵の来世も次の世も欲しいと言った。 密室で朗報を待っていた二皇子・馬子律(バシリツ)だったが、予想外の報告が舞い込んだ。 豫章王妃の妙策で謝淵(シャエン)は自死、呉謙(ゴケン)も捕らわれ、そこに豫章王が到着して攻城も失敗に終わったという。 「謇寧王は軍を立て直し、寧朔軍との戦の準備中です」 一方、皇太子・謝宛如(シャエンジョ)は侍従を呼び、暉州へ向かった蘇錦児(ソキンジ)を監視するよう命じていた。 実は錦児に渡した丹薬は猛毒のため、王儇が飲めばすぐに息絶える。 宛如は成功したらすぐ錦児を殺して口を封じ、もし失敗した時は王儇を始末するよう指示した。 蕭綦は翌日には暉州を離れねばならなかった。 暉州を守ったとは言えまだ先鋒部隊を撃破しただけ、主力を退けてから阿嫵を迎えに皇都へ行くことになる。 しかし今回の阿嫵の帰京は事情が違った。 「この匕首は私と共に戦をかいくぐり、幾度となく私の命を救った、持って行きなさい …それから優れた護衛を2名つける」 蕭綦は手練れの女刺客を紹介し、侍女としてそばに置くよう勧めた。 蕭綦は阿嫵と朝食を済ませ、身支度を整えて屋敷を出た。 しかし王儇は別れが辛くなると見送りに出ない。 蕭綦は宋懐恩に皇都の道中は決して気を抜かないよう命じた。 ( ತ _ತ)<ハアァァァァ~…大王?三皇子、ありゃ王妃に未練がありますぜ ( ー̀ωー́ )<懐恩、お前は王妃を守ってくれればいいんだ ( ತ _ತ)<ういっス 王儇は久しぶりに玉秀(ギョクシュウ)と酒を楽しんだ。 戦が終わって安心したのか玉秀はすぐ酔いが回り、秘めていた宋将軍への恋心を告白して酔いつぶれてしまう。 そこへ懐恩がやって来た。 懐恩は拝礼して顔を上げたが、酒で頬がほんのり赤くなった王妃の美しさに驚き、思わず目をそらしてしまう。 「ぁ…王妃、外に蘇錦児という娘が…」 「錦児…錦児が帰って来たのね!」 王儇は喜び勇んで走り出した。 すると錦児は門でひざまずき、王妃にすがりついて号泣してしまう。 「王妃…おそばを離れてすみません…だぁーっ(꒦ິ⌑꒦ີ)」 「もういいのよ」 日が暮れる頃、ようやく目を覚ました玉秀は慌てて王妃の元へ向かった。 しかしそばには錦児が仕え、自分が入る隙もない。 すると錦児は未だ婚礼の夜に逃げた豫章王を責め、三皇子はどうするのか聞いた。 「あなた誰?たわ言はやめて!」 憤慨した玉秀は思わず部屋に乗り込んだが、そこにいたのは王妃がよく話していた姉妹のような侍女・錦児だと知る。 そこで錦児はそろそ酒をやめて茶にしようと提案、玉秀に王妃を任せて出て行った。 (๑ŏ_ŏ)<王妃、錦児姐姐が戻ったから私はお役御免だって皆が言うんです… (^ꇴ^)<何よ、大王をかばったのかと思ったらやきもちなの? 一方、厨房では錦児が皇太子妃からもらった丹薬を茶に混ぜていた。 …王妃、ごめんなさい …でも今は豫章王を慕っておられるんだもの、三皇子殿下へのお気持ちも以前とは違うはず …私のためにどうか三皇子殿下を解放してください するとそこへ玉秀がやって来た。 「久しぶりの再会ですからお茶は私が、茶菓子も用意します」 「じゃあ、お願いするわね」 つづく ( ̄▽ ̄;)何だか見ちゃいけないものを見た気がする寝屋の二人w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.10.29 21:25:03
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