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カテゴリ:上陽賦~運命の王妃~全68話
上阳赋 The Rebel Princess 第35話「忽蘭からの使い」 王儇(オウケン)は蘇錦児(ソキンジ)が屋敷に戻ってから様子がおかしいと気づいていた。 もしや玉秀(ギョクシュウ)をそばに置いたことで疎外感を感じさせてしまったのだろうか。 しかし徐(ジョ)女官は否定し、恐らく暉(キ)州で王妃と別れたあと何かあったのだと推察した。 王儇は母が徐女官と姉妹のような関係であったように、錦児への情を忘れることはない。 そこで王儇はそろそろ錦児に良い嫁ぎ先を見つけようと決めた。 一方、胡光烈(ココウレツ)は江南の兵士たちに渡った粗悪な冬服について調べていた。 すると戸部の官吏・謝守正(シャシュセイ)が怪しいと分かる。 酒楼に入った謝大人は取り巻きたちの接待を受け、冬服の件で世話になったと感謝されていた。 「金銀財宝はお目汚しになりますので、東側の牌坊(ハイボウ)近くに小さな邸宅を作りました 思う存分、享楽にふけってください」 王儇は玉秀の肩の傷がまだ痛むと聞いて見舞いに訪れた。 「誰が王妃に話したのですか?」 恐縮した玉秀は大事ないと言ったが、王儇は念のため傷跡を消す薬を渡す。 「傷を残したまま嫁がせたくないの」 「私は嫁いだりしません、ずっとお供します!」 そこで王儇はもし宋懐恩(ソウカイオン)が婚姻しても泣くなとからかった。 すると阿越(アエツ)が宋将軍なら玉秀を気遣い、ちょうど薬を差し入れてくれたと報告する。 「あの蘭も宋将軍が…」 王儇は宋懐恩に蘭を見て来て欲しいと頼んだことを思い出し、持ち帰ってくれたと知った。 その夜、王儇は久しぶりに琴を弾いた。 蕭綦(ショウキ)は楼閣で宋懐恩と琴の音に耳を傾けながら、悲しげな音色だという。 怪我だけでなく心が回復するまでには時間が必要なのだろう。 すると懐恩は安平王・馬子澹(バシタン)を送り届けた時、何者かに尾行されたと報告した。 寧朔(ネイサク)軍の警護のおかげで無事だったが、ただ豫章(ヨショウ)王に偏見を持つ安平王を守っても感謝はされないと嘆く。 しかし蕭綦は阿嫵(アーウォ)を助けてくれた借りがあると言った。 そんな中、ついに皇都に忽蘭(クラン)の使節団が到着した。 城門で様子を見ていた胡光烈だったが、使臣が忽耶奇(コツヤキ)だと気づき警戒する。 すると忽耶奇は胡光烈をにらんでから城内へ入った。 これに憤慨した胡光烈は王府へ戻り、挑発されたと報告、何か企んでいるはずだと訴える。 「そうだろうな…何の企みがあるのか、数日後、朝廷に行けば分かるだろう」 蕭綦は冷静だったが、その夜、到着したばかりの忽蘭の使いが王府にやって来た。 何でも王妃に面会したいという。 徐女官は追い返してもらうと言ったが、王儇は蕭綦の同席の元、会うことにした。 豫章王府に現れたのは忽耶奇だった。 すると忽耶奇は賀蘭箴(ガランシン)王子の命令で王妃に贈り物を届けに来たという。 化粧箱の中身は忽蘭の霍独(カクドク)峰に100年ごとに咲く不思議な花で、毒物の治療に効果がある貴重なものだった。 「豫章王妃は尊いお方だと王子がおっしゃった、この花にふさわしいのは王妃だけだと…」 王儇は気持ちだけ受け取ると辞退したが、蕭綦がありがたく受け取った。 王儇は房間に戻って化粧箱を開けた。 すると花の下に賀蘭箴を刺したまま失くしてしまったかんざしが入っている。 これは皇后・謝宛如(シャエンジョ)が婚姻祝いにくれたかんざしで、装飾の玄珠はこの世に1つしかなかった。 かんざしを送り返して来たのは謝罪のつもりだろうか。 しかし蕭綦に母を殺されたと誤解したまま、腕も失っている賀蘭箴が簡単に諦めるとは思えなかった。 その時、蕭綦が窓から雪を眺めている阿嫵に外套をかけてくれる。 「私がいる、心配ない」 使節団が登朝し、賀蘭箴は忽蘭王の代理として新皇帝の即位を祝った。 すると賀蘭箴は大成と同盟を結びたいと上奏し、友好を深めるためにも兄・賀蘭拓(ガランタク)との和親を希望する。 皇帝・馬子隆(バシリュウ)はあいにく公主がいないと答えたが、賀蘭箴は士族の女人から選んで公主に封じて構わないと言った。 「誠意の証しに軍を50里ほど後退させ、在位中は兵も出さず、公主を丁重に迎えます」 喜んだ皇帝は快諾し、早速、歓迎の宴を開くと決める。 そこで賀蘭箴はお願いついでに豫章王とのわだかまりを解くためにも宴に豫章王妃を同席させて欲しいと頼んだ。 昨夜、豫章王府に忽蘭の使者が訪ねたことはすでに皇后や皇太后の耳に入っていた。 一方、皇帝陵の子澹の元にも伝書鳩が届く。 皇后は錦児から王府の様子を聞き出すよう命じ、乳母は侍女を使って錦児を呼び出した。 しかし錦児の従妹が訪ねて来たと聞いた玉秀は首を傾げる。 「おかしいわね、王妃は身寄りがいないと言っていたのに…」 子隆は賀蘭箴の腹が読めず困惑した。 大臣たちの前で宴に自分がさらった阿嫵を同席させろとはどういう了見なのか。 阿嫵の体面を傷つけた賀蘭箴に腸が煮えくり返る思いだったが、子隆は皇帝として平静を装った。 すると黙って聞いていた宛如がある提案をする。 宴に士族の女人を呼び集め、そこで公主に封じる女人を選んではどうかというのだ。 「美女が大勢いれば豫章王妃がいても目立ちません」 そこで宴会を数日ほど延期することにした。 皇帝は豫章王が士族から寄附を集めてくれたことに感謝し、五千両を授けた。 すると蕭綦は公に寄付を公表すれば民から称賛を得られると進言する。 皇帝は妙案だと了承し、実は賀蘭拓に嫁がせる公主は顧采薇(コサイビ)に決めたと教えた。 豫章王と阿嫵にとって賀蘭箴の訪問が耐え難いことだと分かっていたが、国の平和のために堪えて欲しいという。 一方、謝守正を見張っていた胡光烈は謝守正が密かに入った私邸に潜入、取り引き帳簿を手に入れた。 蕭綦は帳簿にある名が大物ばかりだったことから、皇帝に進呈して指示を仰ぐと決める。 そこで引き続き胡瑶(コヨウ)に謝守正を見張らせるよう頼んだ。 胡光烈が下がり独り帳簿を確認する蕭綦、しかしそこに驚くべき名前を見つける。 …宋懐恩… すると蕭綦は懐恩の頁を破ってしまう。 その夜、王儇は玉秀が今でも傷が痛むようだと蕭綦に相談した。 蕭綦は寒くなると古傷が痛むものだと教え、阿嫵を守ってくれた玉秀を厚遇するつもりだという。 そこで王儇は懐恩が玉秀を見舞っていることから、2人は互いに気があるかもしれないと言った。 「玉秀の夫として懐恩をどう思う?」 つづく ( ;∀;)懐恩…切ない…?っていやいや懐恩、何してるの?! それより寒い寒い寒い、戸を閉めてくれ~w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.01.06 20:52:34
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