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カテゴリ:上陽賦~運命の王妃~全68話
上阳赋 The Rebel Princess 第46話「皇子の誕生」 皇后・謝宛如(シャエンジョ)が産気づいた。 臨月までまだ3ヶ月、急な早産に驚いた皇帝・馬子隆(バシリュウ)は昭陽殿に駆けつけ、何としてでも母子を守れと叱咤する。 一方、夜中に起こされた皇太后は面倒臭そうに着替えていた。 桂(ケイ)嬷嬷(モーモー)は皇帝がこの数日、辛(シン)貴人を訪ねていたため、皇后の気を引く作戦だと揶揄する。 「まあいいわ、行きましょう、初孫には違いないのだから…」 皇后は難産で苦しみながらもついに皇子を出産した。 謝家の血筋だと冷静だった皇太后も、息子そっくりな孫を抱いて目尻を下げる。 一方、王儇(オウケン)も翌朝、蕭綦(ショウキ)から皇子の誕生を聞いた。 「時が経つのは早いものね…」 一緒に育って来た兄の王夙(オウシュク)と宛如が親になったと思うと王儇は感慨深い。 すると蕭綦はそのまま阿嫵(アブ)と寝所にこもった。 その頃、北の地で死を装った王藺(オウリン)は道なき道を進んでいた。 護衛は皇都に戻るよう勧めたが、警戒心の強い王藺は嘘とはいつか露呈するものだと戒める。 そんな王藺にとって江南の水害が思わぬ助けとなった。 「まさか私が行くとは誰も思うまい」 護衛は疫病が蔓延していると反対したが、王藺は江南で治水にあたる息子・王夙を訪ねると譲らなかった。 「心配ならここで待て」 王夙が避難民を集めたおかげで人手不足は解消された。 しかし梅雨はまだ1ヶ月は続くため、先手を打たねばならないと気を引き締める。 そんな中、突然、見覚えのある美しい娘が王夙を訪ねて来た。 「…采微か?久しぶりだな」 聞けば顧氏は江南陵陽(リョウヨウ)の出身、大雨で祖父の墓が損壊したと知らせがあり、朝廷にいる兄の代わりに修繕に来ていたという。 王夙は力を貸すと申し出たが、実は采微が来たのは治水に人手が足りないと聞いたからだった。 「江南の士族は顧氏から恩恵を受けているため、力になれるかと…」 宮殿で皇子の誕生を祝う盛大な宴会が開かれた。 しかしなぜか主役の皇子と皇后の姿がない。 その頃、宛如は泣き止まない皇子に苛立ち、宮女たちに八つ当たりしていた。 皇子が病弱だと噂になれば皇太子の地位に影響しかねない。 鄭(テイ)嬷嬷(モーモー)はかんの虫退治も試したが効果がなかったと訴え、仕方なくある方法を提案した。 皇后が遅れて息子・馬静(バセイ)を連れて大殿に現れた。 皇帝は早速、臣下たちに皇子を披露、阿嫵に自分の子供を見てくれという。 そこで王儇は席を立ち、皇子を腕に抱かせてもらった。 皇子は眠っていたが、なぜか顔が赤く、様子がおかしい。 しかし王儇は何も言わず席へ戻った。 祝宴はお開きとなり、王儇は申太医の治療を受けるため鳳池(ホウチ)宮に泊まることになった。 「明日、迎えに来よう…酒は飲むなよ」 「…はお」 すると王儇は意味ありげに微笑んで蕭綦と別れた。 王儇は道すがら徐(ジョ)女官に小皇子の様子が変だったと教えた。 「ものすごく顔が赤かったの、でも汗は出ていなかった」 しかし徐女官は多くの付き人がいる皇子に問題があるとは思えないという。 王儇は皇子を抱いた時に酒気がしたと言ったが、確かに自分の匂いだったかもしれないと笑った。 鳳池宮の宮女たちは郡主との再会を喜んだ。 「お帰りをお待ちしていました!王妃、申太医がお待ちです」 皇祖母から賜った鳳池宮は今も何ら変わっていない。 …民たちは″宮殿は欲望の城だ″という …山のような財宝と権力があり、富み栄えた場所だと言うが …私にとって宮殿は鎖であり邪悪な獣そのもの、それでいて我が家のようにも感じる …好きだけど怖くもある …今なら分かる、宮殿には愛すべき親族たちがいるが、怖いのもまた彼らだと 王儇は治療が終わると、中庭の木の根を掘り始めた。 実は成人の儀の前にこの下に桃花酒を埋めたという。 「せっかくだから味見しないと…」 「大王の言いつけを忘れたのですか?」 王儇は徐女官に叱られたが、2人だけの秘密だと説得した。 「少しだけですよ?」 「酔わないと誓うわ」 しかしそこへ招かれざる客が現れた。 皇太后は阿嫵が鳳池宮に泊まると知り、急に訪ねて来た。 困惑する王儇をよそに酒を飲もうと誘う皇太后、しかし王儇は口をつけようとしない。 そこで皇太后は昔話を持ち出して叔母と姪の情を懐かしんだ。 「…あの頃、太后は私の叔母で、私は阿嫵でした」 「そうよ、私はずっとあなたの叔母です、あなたが成長して言うことを聞かなくなっただけ」 皇太后は冗談めかして笑いながら、もし皇帝に嫁いでいれば何も変わらなかったという。 「そなたがあの頃のままなら良かったのに…」 一方、宛如は皇子に酒を飲ませて眠らせ祝宴を乗り切った。 しかし昭陽殿に戻ってしばらくすると、皇子は身体中に湿疹が出て泣き出してしまう。 皇太后は改めて酒を勧めたが、王儇は拒んだ。 もし皇帝と婚姻すれば父と皇太后は不仲にならず、先帝も父も命を落とさずに済んだと言うのか。 「母親は今も屋敷で私を待っていてくれたと?」 皇太后は阿嫵がまだ自分を恨んでいると分かったが、王儇は皇太后を責めなかった。 ただ自分が皇太后の障害になれば、結局、自分も排除されるのだろう。 皇太后は阿嫵の言葉に驚き、和解をあきらめて席を立った。 「お気をつけて」 皇帝は知らせを聞いて慌てて昭陽殿に駆けつけた。 確かに皇子は身体中が真っ赤になり湿疹が出ていたが、申太医は異常ないという。 「…陛下、発疹の原因はおそらく酒です」 「酒だと?!」 太医の呆れた診断に子隆は思わずふざけるなと怒号を響かせたが…。 つづく ( ๑≧ꇴ≦)哥哥の満面の笑みよw お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.02.10 16:55:50
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