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カテゴリ:上陽賦~運命の王妃~全68話
上阳赋 The Rebel Princess 第53話「侍女の裏切り」 病の床に伏し、信じていた温宗慎(オンシュウシン)にも裏切られた皇太后。 しかし何としてでも孫の馬静(バセイ)を取り返すため、皇后時代の侍従・金全(キンゼン)を呼ぶよう命じた。 口封じのため監禁されていた金全は侍女・朝雲(チョウウン)の顔を見ると涙を流して喜び、皇太后のため再び働くことになる。 一方、豫章(ヨショウ)王妃・王儇(オウケン)の馬車は城門で足止めされていた。 護衛・龐癸(ホウキ)が皇后の令牌を示したが、守衛は皇帝が崩御した一大事に皇都を出るのはおかしいと怪しむ。 そこへ皇太后の命で王儇を追う禁衛軍がやって来た。 「門を開けてはならぬ!太后の命令だ!豫章王は反逆により楝羽(レンウ)山で殺された! 皇后の令牌を盗み、脱出を企てた王妃を殺せーっ!」←え?殺すの?( ̄▽ ̄;) 龐癸は覚悟を決めて馬を降り、護衛たちと王妃の馬車を守った。 すると騎馬隊が一斉に弓矢を放ち、次々と護衛たちが倒れてしまう。 その時、王妃の馬車だと知った守衛たちが立ち上がった。 「じぃぁんしめん!我々は豫章王の部下だった!王妃を危険にさらしてはならない!」 守衛は城門を開けて王妃一行を逃し、命をかけて禁衛軍を阻止した。 郊外まで逃げたところで王儇は馬車を止めた。 このまま皇子が自分と一緒にいては危険と判断し、二手に分かれるという。 そこで王儇は馬静を徐(ジョ)女官に託し、阿越(アエツ)と一緒に江南にいる兄・王夙(オウシュク)に送り届けるよう頼んだ。 そして自身は蘇錦児(ソキンジ)と龐癸で大王を探しに狩り場へ向かうという。 錦児は王妃が居眠りしている隙に窓から目印を落とした。 すると物音に気づいて王儇が目を覚ましてしまう。 焦った錦児は怯えながら、暉(キ)州の時と同じように王妃を守れなかったらと思うと怖いと訴えた。 「…ごめんなさい」 「ばかね、私たちは一緒に育ち、嫁いでからも2人で困難を共にしてきた、なぜ謝るの?」 王儇は神様が必ず守ってくれると励ましたが、まさか姉妹同然の錦児に裏切られようとは夢にも思わなかった。 賀蘭箴(ガランシン)の一行は分かれ道で錦児が馬車から落とした目印を拾った。 そこでここからは腹心・忽耶奇(コツヤキ)に追跡を任せ、王儇を傷つけずに連れてくるよう命じる。 一方、禁衛軍も部隊を招集し、豫章王妃を追っていた。 しかし暗闇の中、潜んでいた賀蘭箴の配下に襲撃され、一網打尽にされてしまう。 やがて遅れて刺客を連れた金全が分かれ道にやって来た。 雷雨でぬかるんだ道にはどちらにも馬車が通った跡が残っている。 金全は恐らく王妃が江夏王を頼ると考え、迷わず江南を目指した。 江南の王夙は今朝も堤防の見回りに出かけた。 すると道すがら行き倒れの男を見かける。 男は兵士には目もくれず王夙に助けを求め、こっそり手首の入れ墨を見せた。 王夙は男が父の護衛だと気づき、救助するふりをして幕営にかくまった。 すると父・王藺(オウリン)が実は生存していると知る。 宮殿に潜んでいた護衛は王藺が危険に陥ったため北へ向かい救出、刺客たちをあざむくため他人の骸を利用して死を装い、秘密裏に逃亡していた。 当初は王藺の死を完全に信じさせるため息を潜めていたが事態が悪化、危険を冒してまで会いに来たという。 龐癸は夜を徹して馬車を走らせ、追っ手をまいた。 そこで馬を休ませがてら休憩することになり、錦児が近くの川で水を汲んで来てくれる。 何も知らず勧められるまま水を飲んだ王儇と龐癸、すると2人は急に意識を失った。 一方、王夙は医者を連れ、護衛の案内で人里離れた荒ら屋にやって来た。 すると疫病を患い憔悴した父が横たわっている。 王藺も護衛も近づいてはならないと警告したが、王夙は無視して父に駆け寄った。 錦児は愛する安平王のため王儇を裏切った。 「王妃…申し訳ありません、お許しください…本当は安平王に連れて来いと命じられました でも王妃が戻られれば、恐らく安平王は後先考えず王妃と婚姻するはず… あなたは豫章王妃、無理に臣下の妻と婚姻した皇帝が国を治められるでしょうか…いいえ 婚姻はさせません!恨むならどうぞ私を、すべて私の一存です 安平王のためなら地獄へ堕ちたとしても甘んじて受け入れます…」 その時、ついに忽耶奇が到着する。 「うまくいったな、俺の目は正しかった、お前は残酷な女だ」 忽耶奇は配下に王妃と護衛を連れて行くよう命じた。 王妃への後ろめたさに目を潤ませる錦児、しかしこれでようやく役目が終わったと安堵する。 「もう二度と訪ねて来ないで…」 「それは難しいな…お前のような女を放っておけるわけがない」 当初から錦児に目をつけていた忽耶奇、錦児は馬車に押し込まれ恥辱されてしまう。 皇帝陵では馬子澹(バシタン)が平常心でその時を待っていた。 するとその夜、ついに皇都から合図の照明弾が打ち上がる。 一方、瀕死の重傷を負った蕭綦(ショウキ)は見知らぬ民家で気がついた。 「娘(ニャン)!あの男の人が目を覚ましたよ!」 子供から聞いた父親は慌てて離れに駆けつけた。 「…他に…誰か生き残っていた者は…」 「お前さんは1人で倒れていた」 蕭綦は寧朔軍が全滅したと知り、再び意識を失った。 王藺は医官の手当てで快方に向かった。 江南は今日も激しい雨、以前はこの時期に水害と疫病が蔓延したが、護衛の話では王夙の治水のおかげで状況が一転したという。 「江夏王を過小評価しておられましたね?」 「…そうか、今度はちゃんと評価しよう」 蕭綦を助けてくれたのは山奥で薬材を作っている一家だった。 おかげで蕭綦は命拾いしたが、このまま静養している時間はない。 「よう!起きてもいいのかい?さあ、薬だよ…お前さんはすごいねえ~ この怪我なら普通は何ヶ月も起き上がれない」 「ずっと寝ていて、外で何が起きたかも知らなくて…」 すると男はふもとで聞いた話を教えた。 豫章王が反逆して皇帝は殺され、皇后は殉葬、皇太后も倒れたという。 何でも城楼には豫章王の首が晒されているとか。 「豫章王妃について何か知っているか?」 「確か皇都を脱出したそうだ、お尋ね者になり官府が捜索している」 蕭綦は床を離れ、楝羽山での攻防を思い出していた。 自分と生死を共にすると誓い、戦ってくれた兄弟、そして愛馬…。 寄る辺もなく逃亡している阿嫵(アーウォ)は今どこにいるのだろうか。 実はその頃、王儇は草原を走る馬車の中にいた。 「止めてっ!」 意識が戻った王儇は賀蘭箴の姿を見て驚愕、馬車が止ると飛び降りる。 しかしそこは何もない草原がただ広がっているだけだった。 つづく :(;゙゚’ω゚’): 錦児…本当に地獄に落ちてしまったじゃないの… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.03.10 22:10:14
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