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カテゴリ:上陽賦~運命の王妃~全68話
上阳赋 The Rebel Princess 第61話「駆け引き」 豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)の入京を何とか阻止したい朝廷。 そこで粛毅(シュクキ)伯・宋懐恩(ソウカイオン)を説得に向かわせたが、あえなく失敗した。 朝廷は結局、自分たちが軟禁した皇帝・馬子澹(バシタン)を頼らざるを得なくなり、激しい雨の中で嘆願を続けるに至る。 「陛下…恐れながら大臣たちは2刻もひざまずいたままです」 侍女・凌春(リョウシュン)は見かねて皇帝に報告、すると子澹はようやく重い腰を上げて回廊へ出た。 「着替えてこい、半刻後に太極殿で話をしよう」 丞相・温宗慎(オンシュウシン)はもはや蕭綦率いる寧朔(ネイサク)軍の入京は防ぎようがないと上奏した。 そこであえて皇帝が入京を認め、互いの面目を保てば蕭綦も勝手な行動ができなくなるという。 子澹は自分たちが譲歩して入京を許すことにしたが、反逆罪についてはそのままにした。 「奴に分からせる、無実かどうかは調べの結果しだいだとな…」 その夜、宋懐恩の不安をよそに蕭玉岫(ショウギョクシュウ)は大王と王妃の帰京を心待ちにしていた。 「見て!明日、大王と王妃に会う時にこれを着るつもりなの! 大王とあなたが肩を並べて朝廷に立つ、これで士族も見下せなくなるわ~」 「つまり…大王がいなければ寒門出身を守れないと?」 「もちろんよ~大王は寒門出身で初めての王だもの、寒門の首領だわ」 すると懐恩は今や豫章王の部下ではないと憤慨した。 ″楝羽(レンウ)山の変″で豫章王が死んだと知り、いよいよ自分が取って代わろうと心を決めた途端、実は大王が生きて帰って来るという。 玉岫は夫の思わぬ言葉に困惑し、大王にとって懐恩はなくてはならない人だと訴えた。 翌朝、温宗慎は念のため皇帝に蕭綦の出迎えに行くのか確認した。 すると子澹はなぜ皇帝が反逆者を出迎えるのかと烈火の如く怒り出し、温宗慎は戸惑いを隠せない。 「誠に僭越ながら、陛下は王儇(オウケン)を忘れられず蕭綦を…」 「なら自分はどうなのだ?」 「陛下、私は太后を見舞いに行っただけです、他意はございません」 すると子澹は丞相の心が分かると言った。 「深い情があったからこそ未練が断ち切れぬ…出迎えの件はもう言うな、江夏王に行かせよ」 蕭綦と寧朔軍がついに皇都に到着した。 出迎えを任された王夙(オウシュク)は城門を飛び出し、愛しい妹と抱き合って再会を喜ぶ。 「哥哥(グァグァ)、静(セイ)児はどう?」 「心配ない、きちんと面倒を見ているよ」 すると王夙はこれから詔書を読むが、自分の責務のため容赦して欲しいと断った。 兄が詔書を開くのと同時にひざまずく王儇、しかし蕭綦は礼を尽くさず、王儇も立たせてしまう。 王夙は呆然としていたが、その時、蕭綦がいきなり詔書を取り上げ、自ら読み上げ始めた。 「…″楝羽山の変″は未解決であるが、蕭綦は3代の皇帝に仕え、戦場で功も立てた しばし反逆の罪を免じ、皇都の屋敷にとどまることを許す ただし真相が明らかになるまで地位は回復せず、朝廷への出入りも禁ず…」 蕭綦は詔書の内容に呆れた。 ″楝羽山の変″から半年、これ以上、待てないからこそ自ら戻って来たという。 「″楝羽山の変″は解決していない、私自身で調べます… 先帝を暗殺したのが誰なのか、私に罪を被せ、兵を害したのは誰なのか知りたい」 朝廷は蕭綦が赦免だけでは納得せず、真相解明を求めていると聞いた。 驚いた温宗慎たちは御花園で弓を射っている皇帝を訪ね、やはり出迎えに行くよう説得する。 「陛下、蕭綦1人の怒りではない、10万の兵の怒りなのです! 怒りを鎮めなければその後はどうなるか目に見えています!」 一方、王夙は阿嫵に蕭綦の説得を頼んでいた。 しかし王儇はこの件をうやむやにはできないと訴え、兄が盾になってもいけないという。 蕭綦は皇帝の勅命の撤回を要求、するとそこへ子澹と大臣たちがやって来た。 王儇は皇帝に拝礼しようとしたが、蕭綦が腕をつかんで止めた。 憤慨した衛(エイ)侯は寧朔軍にひざまずくよう命じたが、子澹が構わないという。 すると温宗慎が皇帝は豫章王の復位に来たと言った。 「大軍を率いて皇都にやって来たのだ、お前の要求を聞いてやろう」 「要求はただひとつ、″楝羽山の変″の真相だ」 「その件ならすでに調べを始めている…顧閔汶(コビンムン)、お前が担当だな?まだ動きはないのか?」 顧閔汶は複雑な事件で思うように調べが進んでいないと報告、その場にひざまずいて許しを請うた。 そこで子澹は杖刑を命じたが、蕭綦が止める。 「例え陛下が尚書を殺しても真相は解明できず、何の意味もありません」 「…では余に杖刑を、豫章王の気が済むまで止めるな」 陛下!>・゚・。゚・(ノД`)人(´Д`)人(Д` )ノ・゚。 ・゚・<陛下! 大臣たちは一斉にひざまずき、皇帝を鎮めようとした。 皇帝と豫章王がしばし睨み合い、城門は緊張に包まれる。 その時、王夙が豫章王に調べさせてはどうかと上奏した。 ←ナイスアシストw 「…豫章王、お前の意見は?」 すると蕭綦はようやく皇帝に拝礼した。 「仰せの通りに…」 宋懐恩が屋敷へ戻ると、玉岫は矢継ぎ早に大王と王妃の様子を聞いた。 しかし皇帝が自ら出迎えたため、話すこともできなかったという。 玉岫はならば差し入れを持って屋敷を訪ねると言ったが、懐恩は止めた。 「玉岫、もう王妃の侍女ではない、そなたは粛毅伯の妻だ」 「…懐恩?今の身分がどうあれ恩人を忘れてはなりません」 すると懐恩は驚いた様子で、遠路はるばる来た大王と王妃を少し休ませるよう諌めた。 玉岫は自分の早合点だったと気づいて安堵し、日を改めて出かけると笑う。 一方、豫章王府に戻った王儇は徐(ジョ)女官、阿越(アエツ)と再会、無事を喜んだ。 そこで小皇子・馬静(バセイ)がどこにいるのか聞いたが、江夏王が信頼のおける人に預けたとしか知らないという。 2人はそれより蘇錦児(ソキンジ)のことが不可解だった。 王妃が連れ去られたあと、お供していたはずの錦児が1人で帰京、今では貴妃になったという。 王儇は賀蘭箴(ガランシン)から錦児の裏切りを聞いていたが、自分にも分からないと嘘をついた。 「錦児姐姐は大王と王妃が亡くなったと嘘をつき、皇帝もそれを信じていたそうです 王妃、言わせてください、阿越は錦児姐姐を少し怪しんでいました…」 阿越が本音を漏らすと、徐女官も人は変わるものだと嘆いた。 寝殿に戻った蕭綦は寂しそうな姿の阿嫵を心配した。 「どうかしたか?」 「…時が経ち、人が変わった」 「それは誰のことだ?」 「多くの人よ」 「私もか?」 「変わったと思うの?」 蕭綦は皆に変わったと言われるが、自分自身では同じだと思うという。 「そなた以外の者にはどう思われても良い」 すると王儇は今日の蕭綦は確かに無礼だったが、正しいことをしたと評価した。 蕭綦も寧朔軍のために正義を主張した阿嫵に感謝し、豫章王よりずっと偉大だと笑う。 しかし王儇はこの先も危機が待っているようで不安だった。 「約束して、真相を明らかにし罪なき人は殺さないと…」 その時、急に雷鳴が轟いた。 翌日、王夙は豫章王府に阿嫵を訪ねた。 そこで馬静を江南の顧采薇(コサイビ)に預けたと嘘をつく。 もし自分のそばに置いて正体がばれたら士族が狙いかねないため、江南に残して来るのが安全だと考えたと説明した。 「身分は明かしていない、一夜限りの舞姫との間に生まれた子だと伝えた」 すると王儇は真実味がある嘘だとからかった。 王夙は自分を疑わない妹の姿に良心が痛み、うっかり口を滑らせそうになる。 「阿嫵…父亲大人が…」 つづく ( ̄▽ ̄;)ひげだん、怖かった~確かに変わってしまった気がする お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.04.08 21:52:46
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