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カテゴリ:斛珠夫人~真珠の涙~全48話
斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse 第3話「もう一人の公主」 注輦(チュウレン)で人質となっていた皇弟・褚季昶(チョキチョウ)の帰国が決まった。 しかしその際、注輦公主・緹蘭(テイラン)が同行、和親のため皇帝に嫁がせるという。 そこで旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は指揮使(シキシ)・方鑑明(ホウカンメイ)こと方諸(ホウショ)を呼びつけた。 四弟の出迎えを霽風(セイフウ)館に任せ、同時に歓迎されない公主はいつも通りでいいという。 「この世に紫簪(シサン)の変わりはおらぬ…」 方諸は緹蘭公主に罪はなく、拒めば友好関係に溝ができると諌めた。 確かに注輦は小国だが、大微(ダイチョウ)とは最も親しく、少なくとも南の国境の安定に貢献している。 「陛下、公主は亡き皇后の妹、どうか皇后に免じて…」 しかし紫簪を持ち出された褚仲旭は激高、思わず鑑明の胸ぐらをつかんでしまう。 「忠実な臣下のつもりか?…ずうずうしい、あの頃の若君のままだとでも? …お前はドブの中を這いずり回る汚れたネズミ、日陰を生きる朕の手先だ!…うせろっ!」 癒えることのない紫簪を失った悲しみ、兄弟も同然だった褚仲旭と鑑明の間には消すことのできないわだかまりがあった。 一方、方海市(ホウハイシー)は師匠が留守の間を狙い、元宵節(ゲンショウセツ)に現れた刺客を探ることにした。 その夜、霽風館を抜け出した海市は郊外の林まで曲者を誘き寄せる。 木の根元で息を潜める海市、するとそっと近づいてきた黒衣の刺客がまんまと罠に引っかかった。 「何をする!」 「それは針金を入れて編んだ網、鮫でも破ることはできない」 海市は焚き火を準備、その上に網に捕らえた刺客を吊り下げた。 「主人は誰だ?」 刺客は元宵節のことなど知らないと言ったが、海市は答えるまで紐をゆるめる。 「あちちちち!分かった!俺たちは…」 しかし突然、師匠が現れ、刺客を逃した。 海市は″命に従って行動する″という霽風館の掟を破った。 罰として掟を200回も書写したが、翌朝になっても師匠は口をきいてくれない。 機嫌を直してもらおうと躍起になる海市、しかし師匠は取り付く島もなく任務で参内してしまう。 方諸は海市の兄弟子・方卓英(ホウタクエイ)に皇弟の警護を任せることにした。 「陛下の命に疑問を感じても従うように…」 そこへ海市が現れ、自分が代わりに任務に行きたいと嘆願、功績で罪を償いたいという。 すると驚いたことに師匠は卓英に剣術で勝てたら認めると言った。 海市は詭計を弄した。 勝負の最中、急に防御を止めると、驚いた卓英は振り下ろした剣を自分に跳ね返し、倒れてしまう。 その隙を狙い海市は師兄に剣を突きつけた。 「私の勝ちだ」 しかし方諸はしつけ棒を出し、海市に手を出せと命じた。 すると卓英が咄嗟に自分の手を出して代わりに打たれてしまう。 「大目に見てやってください」 方諸は相手が敵でも手加減するのかと卓英を叱責した。 結局、兄弟の情で勝たせてもらっただけだと気づいた海市。 方諸は再び掟の書写を命じ、書き終わるまで海市を書房に閉じ込めてしまう。 殿中郎(デンチュウロウ)・方卓英は射声(シャセイ)校尉・親迎使に封じられ、兵符を授かった。 すると褚仲旭は卓英を書斎へ呼び、連れ帰るのは皇弟だけでいいと釘を刺す。 「親迎使とは名ばかり、注輦公主を天啓(テンケイ)に来させるな、よいな? 他のことは霽風館のやり方に任せる」 卓英は余計なことは言わず、拝命して下がった。 その帰り道、侍衛たちが入内した美しい娘に目を奪われ、うっかり転ぶところを目撃する。 「困った奴らだ…ふっ」 卓英にはその娘の後ろ姿しか見えなかったが、実はその娘こそ灯会の夜に一目惚れした美しい娘だとは知るはずもない。 その娘の名は鞠柘榴(キクシャリュウ)、綾錦司(リョウキンシ)の典衣・鞠七七(キクシツシツ)の姪だった。 西平港(セイヘイコウ)へ出立する朝、卓英は立派な鎧に身を包み、師匠に挨拶した。 しかしどうしても解せないことがあるという。 「公主を拒否して注輦を怒らせれば、注輦は西南の各部族と手を組むのでは? 北方には鵠庫(コクコ)の脅威もあるのです」 実は鵠庫は西部の部族に大徴が注輦と一体となって各部族を併呑する気だと風聴していた。 方諸はとにかく皇帝の命に従って皇弟を守り、他のことは自分に任せれば良いと言い聞かせる。 そこへ暗衛営の陳哨子(チンショウシ)が駆けつけた。 皇帝が水心苑(スイシンエン)へ行くため、指揮使と配下全員を護衛につかせろという。 海市は師匠たちが任務に出かけた隙に館を抜け出し、師兄を追った。 やがて今夜の野営に追いつき潜り込んだが、卓英に見つかってしまう。 しかしすでに西南の国境、卓英は仕方なく自分の衛兵に潜り込ませて連れて行くことにした。 四皇子と注輦公主は水路で無事、西平港に到着した。 整列する兵士に紛れて出迎えの儀式を見学する海市。 四皇子のそばにいるのは湯乾自(トウカンジ)という将軍らしい。 一方、公主は大きな冠に真っ白な面紗(メンシャ)で姿を隠していた。 顔ははっきり見えないが、海市でもそのたたずまいだけで美しいと分かる。 その夜、海市は師兄とくつろいでいたが、明日の警固が心配だった。 実はここへ来る途中、民たちが見知らぬ船や怪しい商人が増えたと噂していたという。 「誰かが婚姻に水を差す気かも…」 「…その話は師父も知っている」 卓英は鵠庫と西南の部族たちが婚姻を警戒しており、今回の任務では四皇子だけを守るよう皇帝から命じられたという。 そこへ刺史(シシ)・陳赫然(チンカクゼン)が訪ねて来た。 卓英が弟弟子を紹介すると、陳刺史は親迎使と違って書生のようだと笑う。 すると海市はふと思いついた。 「陳大人(ダーレン)に兵を借りたら?」 陳刺史が用意できた兵士は千人だけだった。 そこで卓英は3隊に分かれて敵の目をくらます作戦を立てる。 まず第1隊が四皇子を護衛、第2隊は注輦からの貢ぎ物の輸送を装い、卓英が公主を護衛する。 そして最後は公主に扮した海市がいる第3隊だ。 偽の公主の隊列は人数も多く目を引き、最も賑やかな東門から出て敵を引きつけるという。 第3隊の長い隊列は穏やかに郊外を進んでいた。 すると御者の趙(チョウ)叔はふと感慨を覚え、これが最後の任務だと漏らしてしまう。 「小公子、別れを伝えるのは掟に反するのですがつい…」 「気にしないで、困った時は私に知らせてね」 しかし海市は道中、何も起こらないことにかえって違和感を感じ始める。 思えばあの陳刺史の様子も不自然だった。 …まずい、罠だ… 海市の悪い予感は的中、卓英が護衛する公主の隊列は伏兵に襲われていた。 つづく ( ๑≧ꇴ≦)盛り上がってまいりました~w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.12.04 22:09:24
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