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カテゴリ:星漢燦爛(セイカンサンラン) 全56話
星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第12話「古琴の弦」 猟師小屋で眠れぬ夜を過ごす程少商(チォンシャオシャン)たち。 その頃、驊(カ)県は賊軍に包囲され、民を人質に開門を迫られていた。 追い詰められた県令は自分がおとりとなって敵を引きつけると決断、その間に足の速い将兵が突破して援軍を要請するよう指示する。 しかし一族の男たちと官兵が一斉にひざまずき、共に戦うと嘆願した。 一方、嫋嫋(ニャオニャオ)を手厳しく追い出した蕭元漪(シャオユエンイー)、しかし悪夢にうなされ、ふいに目を覚ました。 「にゃおにゃお!(はっ)」 気まずい蕭元漪だが、青蓯(チンツォン)は出征の時も女君がうたた寝をしては娘の名を呼んでいたと知っている。 「私の前で体裁を気にしてどうします?」 すると蕭元漪は娘を案じても、外の世界に出なければ本当に哀れな者や、自分たちがどうやって生きてきたかも知ることができないと話した。 驊県の県令たちは城外で応戦するも全滅、固く閉ざした城門がついに破壊された。 城内に一気になだれ込んだ賊軍は殺戮と強奪を繰り返し、民は逃げまどう。 そんな中、勇敢にも県令の孫娘が落ちていた剣を拾い、賊の背中を突き刺した。 しかし少女の力では鎧を貫通することも叶わず、敵兵に蹴り飛ばされてしまう。 賊兵は剣を振り上げ少女に襲いかかったが、その時、首に矢が命中した。 凌不疑(リンブーイー)率いる黒甲衛(コクコウエイ)が驊県に駆けつけた。 驚いた賊軍たちは慌てて撤収、かろうじて城は陥落を免れる。 不疑は倒れていた娘を抱き起こすと、少女は小さな箱を渡した。 「…阿兄が新しく来た県丞?これは大父から頼まれたの」 少女は祖父から書房にある赤い箱を隠し、新しい県丞へ渡すよう命じられたという。 「分かった」 その時、残党が矢を放った。 不疑は少女をかばって咄嗟に避けたが、背中に矢を受けてしまう。 深手を負った凌不疑は梁邱飛(リャンチゥフェイ)に娘を任せた。 少女から預かった箱は梁邱起(リャンチゥチー)に頼んだが、実は新しい県丞が程将軍の三弟・程止(チォンジー)で、夫人と四娘子も随行していると知る。 「本来なら一行は昨日、到着するはずでした 周囲には樊昌(ファンチャン)の一味もいます、もしや一行も…」 驚いた不疑は自ら背中の矢を切り落とし、手当てもせず馬に飛び乗った。 少商はいつの間にか眠っていた。 すると激しい物音で目を覚まし、急いで外へ出る。 その時、ちょうど賊軍が門を突き破ってなだれ込んで来た。 「外へ伝えたか?!」 「それが怖いのね?匪賊ではないから…」 「あの女と同じ末路を辿ることになるぞ?」 少商は阿妙(アーミャオ)が殺されたと知り、命で償わせると短剣を抜いた。 それを合図に激しい戦いが始まり、少商めがけて男が馬で駆けて来る。 少商は馬を避けようとして転倒し、絶体絶命。 その時、凌不疑が放った長槍が賊の身体を貫通し、男は吹き飛ばされて行った。 「大丈夫、私がいる!」 少商は率先して負傷者を手当てした。 しかし慣れない血生臭さで気分が悪くなり、思わず外へ飛び出してしまう。 すると凌不疑が現れ、手巾を差し出した。 「安神(アンシン)薬を含ませてある、口と鼻に当てるといい」 「ありがとうございます」 少商は手巾を受け取ると、行軍を遅らせないためにも負傷兵をここへ置いていくよう勧めた。 「私がお世話します」 「…なぜ配下だけ?私は残れないのか?」 凌不疑は右肩に矢が貫通していた。 少商は凌将軍が一睡もせず、手当てもしないまま救出に駆けつけてくれたと知る。 しかし凌将軍の肌から突き出した矢は半寸にも満たないため、抜くには傷を開かねばならなかった。 ここには難しい手当ができる者はおらず、軍医を呼ぶにも数日はかかる。 その時、少商が自分に考えがあると言った。 「ただうまく行くかどうか…」 「うまく行く」 不疑は少商を無条件で信頼した。 少商は首飾りの玉を全て外してから紐をよった。 「その紐は?頑丈なのか?」 「普通の紐じゃないの、少商(ショウショウ)の弦よ、私の名前の由来なの」 「そうであったか…ではよろしく頼む」 少商は慎重に矢尻に弦を引っ掛けた。 「その少商の弦は…意中の者が贈ってくれたのか?」 「確かに好きな人よ…萋萋(チーチー)姉姉からもらったの」 不疑は想い人ではないと知って安堵したが、矢を抜く時はさすがに激痛で顔をゆがませた。 少商は見事に矢を抜いた。 「手当をお願い!」 すると少商は慌ててその場を離れ、今さらながら背中を向けて着替えを待つ。 凌不疑は少商が落とした血まみれの弦を拾うと、早速、矢尻を調べた。 「これは軍で最も新しい鉄器だな、董(ドウ)倉管が管理していたが、賊の手に渡っていたとは…」 「蜀(ショク)は二心を抱き、兵器を集め、謀反を企んだ…彼らは匪賊ではなく賊軍よ」 少商は思わず口を挟み、慌てて憶測だと言葉を濁した。 「凌将軍、外にいる逆賊たちをどうするの?」 外には形勢が不利と見て投降した賊兵たちが捕縛されていた。 凌不疑は誰が武器を売ったのか聞いたが、賊兵は知らないという。 「そうか…では連行して斬れ」 驚いた賊兵は樊昌将軍に脅され仕方がなかったと釈明、樊昌は蜀を守ることが不満で兵器を盗用していたという。 すると少商は我慢ならなくなった。 「仕方がなかった?権力と財にすがったのでしょう?自業自得のくせに哀れみを乞うつもり?」 しかし降卒を殺すのは不吉と言われていた。 「なら私がやる、私には投降していないから…」 少商は自分をかばって殺された阿妙や使用人、馬引きの敵をどうしても討ちたいと訴えた。 結局、不疑は賊兵を処刑すると決めたが、少商にはこのまま残るよう説得する。 「初めて見る光景だろう、悪夢を見る」 「見届けたいの!」 「だめだ、ここにいろ…君はよくやった」 不疑は裏山で処刑を終えたが、物陰で全てを見ていた少商に気づいた。 凌不疑は念のため梁邱起たちを護衛に残して戻った。 少商たちも出発の準備を始めたが、そこへようやく三叔父と楼垚(ロウヤオ)が到着する。 程止は嫋嫋の無事を確認すると、馬車の中で夫人と再会を果たした。 実は臆病な楼垚が道中で気絶したため遅れてしまったという。 「援軍を呼ぶのが遅過ぎない?」 さすがに少商は呆れたが、楼垚の話では気絶したのは自分ではなく三叔父だという。 聞けば三叔父は合流した楼垚から賊に遭遇したと聞いて倒れ、その後、賊に襲われ壊れた馬車を見て倒れ、さらに途中で捨ててあった荷物を見て倒れていた。 結局、楼垚たちは少商たちを探して一日と一晩、山道を辿っていたという。 (๑ ・᷄ὢ・᷅)<賊は君たちを包囲していたから、私たちは安全だった… (*ತ _ತ)<…三叔父ってやっぱり強運よね、かすり傷ひとつないなんて 一方、凌不疑は山道で葉についた血を見つけた。 「まだ乾いていない…樊昌は近くにいるな、先を探す!」 不疑は手についた血を拭くため手巾を取り出したが、少商に貸したことを思い出し、大事そうにしまってしまう。 すると梁邱飛は首を傾げた。 「その手巾は…その~深手の身で程四娘子を救った上、なぜ大兄に護送まで?」 「まだ残党がいるやもしれん、警戒しないと…」 「それだけですか?」 「…悪いか」 不疑は阿飛の袖で血を拭くと、独りでここを守れと命じた。 梁邱起は少商たちを驊県に送り届け、そこで別れた。 しかし無事に到着したものの城外一帯は血の海、兵士たちの亡骸で埋め尽くされている。 城内では家族を失った民の泣き叫ぶ声が響き渡っていた。 少商も楼垚も乱世の現実を目の当たりにし、ただ呆然とたちすくんでしまう。 つづく (; ̄▽ ̄)三叔父のオチで何とか救われた12話 何しろルースーが上手い! からの颯爽とウマーで駆けてきて片手で配下を止めるウーレイ!カッコいい! それにしてもママン、まさに獅子は我が子を千尋の谷に落とすですな〜 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.29 00:13:38
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